民事訴訟法

# 平成八年法律第百九号 #
略称 : 民訴法 

第二章 上告

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年三月一日 ( 2024年 3月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第四十八号による改正
最終編集日 : 2024年 07月31日 09時08分


1項

上告は、高等裁判所が第二審 又は第一審としてした終局判決に対しては最高裁判所に、地方裁判所が第二審としてした終局判決に対しては高等裁判所にすることができる。

2項

第二百八十一条第一項ただし書の場合には、地方裁判所の判決に対しては最高裁判所に、簡易裁判所の判決に対しては高等裁判所に、直ちに上告をすることができる。

1項

上告は、判決に憲法の解釈の誤りがあること その他憲法の違反があることを理由とするときに、することができる。

2項

上告は、次に掲げる事由があることを理由とするときも、することができる。


ただし第四号に掲げる事由については、第三十四条第二項第五十九条において準用する場合を含む。)の規定による追認があったときは、この限りでない。

一 号

法律に従って判決裁判所を構成しなかったこと。

二 号

法律により判決に関与することができない裁判官が判決に関与したこと。

二の二 号

日本の裁判所の管轄権の専属に関する規定に違反したこと。

三 号

専属管轄に関する規定に違反したこと(第六条第一項各号に定める裁判所が第一審の終局判決をした場合において当該訴訟が同項の規定により他の裁判所の専属管轄に属するときを除く)。

四 号

法定代理権、訴訟代理権 又は代理人が訴訟行為をするのに必要な授権を欠いたこと。

五 号

口頭弁論の公開の規定に違反したこと。

六 号

判決に理由を付せず、又は理由に食違いがあること。

3項

高等裁判所にする上告は、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があることを理由とするときも、することができる。

1項

前章の規定は、特別の定めがある場合を除き、上告 及び上告審の訴訟手続について準用する。

1項

上告の提起は、上告状を原裁判所に提出してしなければならない。

2項

前条において準用する第二百八十八条 及び第二百八十九条第二項の規定による裁判長の職権は、原裁判所の裁判長が行う。

1項

上告状に上告の理由の記載がないときは、上告人は、最高裁判所規則で定める期間内に、上告理由書を原裁判所に提出しなければならない。

2項

上告の理由は、最高裁判所規則で定める方式により記載しなければならない。

1項

次の各号に該当することが明らかであるときは、原裁判所は、決定で上告を却下しなければならない。

一 号

上告が不適法でその不備を補正することができないとき。

二 号

前条第一項の規定に違反して上告理由書を提出せず、又は上告の理由の記載が同条第二項の規定に違反しているとき。

2項

前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。

1項

前条第一項各号に掲げる場合には、上告裁判所は、決定で、上告を却下することができる。

2項

上告裁判所である最高裁判所は、上告の理由が明らかに第三百十二条第一項 及び第二項に規定する事由に該当しない場合には、決定で、上告を棄却することができる。

1項

上告をすべき裁判所が最高裁判所である場合には、最高裁判所は、原判決に最高裁判所の判例(これがない場合にあっては、大審院 又は上告裁判所 若しくは控訴裁判所である高等裁判所の判例)と相反する判断がある事件 その他の法令の解釈に関する重要な事項を含むものと認められる事件について、申立てにより、決定で、上告審として事件を受理することができる。

2項

前項の申立て(以下「上告受理の申立て」という。)においては、第三百十二条第一項 及び第二項に規定する事由を理由とすることができない

3項

第一項の場合において、最高裁判所は、上告受理の申立ての理由中に重要でないと認めるものがあるときは、これを排除することができる。

4項

第一項の決定があった場合には、上告があったものとみなす。


この場合においては、第三百二十条の規定の適用については、上告受理の申立ての理由中 前項の規定により排除されたもの以外のものを上告の理由とみなす。

5項

第三百十三条から第三百十五条まで 及び第三百十六条第一項の規定は、上告受理の申立てについて準用する。

1項

上告裁判所は、上告状、上告理由書、答弁書 その他の書類により、上告を理由がないと認めるときは、口頭弁論を経ないで、判決で、上告を棄却することができる。

1項

上告裁判所は、上告の理由に基づき、不服の申立てがあった限度においてのみ調査をする。

1項

原判決において適法に確定した事実は、上告裁判所を拘束する。

2項

第三百十一条第二項の規定による上告があった場合には、上告裁判所は、原判決における事実の確定が法律に違反したことを理由として、その判決を破棄することができない

1項

前二条の規定は、裁判所が職権で調査すべき事項には、適用しない

1項

上告裁判所は、原判決について不服の申立てがない部分に限り、申立てにより、決定で、仮執行の宣言をすることができる。

1項

上告裁判所である高等裁判所は、最高裁判所規則で定める事由があるときは、決定で、事件を最高裁判所に移送しなければならない。

1項

第三百十二条第一項 又は第二項に規定する事由があるときは、上告裁判所は、原判決を破棄し、次条の場合を除き、事件を原裁判所に差し戻し、又はこれと同等の他の裁判所に移送しなければならない。


高等裁判所が上告裁判所である場合において、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときも、同様とする。

2項

上告裁判所である最高裁判所は、第三百十二条第一項 又は第二項に規定する事由がない場合であっても、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるときは、原判決を破棄し、次条の場合を除き、事件を原裁判所に差し戻し、又はこれと同等の他の裁判所に移送することができる。

3項

前二項の規定により差戻し 又は移送を受けた裁判所は、新たな口頭弁論に基づき裁判をしなければならない。


この場合において、上告裁判所が破棄の理由とした事実上 及び法律上の判断は、差戻し 又は移送を受けた裁判所を拘束する。

4項

原判決に関与した裁判官は、前項の裁判に関与することができない

1項

次に掲げる場合には、上告裁判所は、事件について裁判をしなければならない。

一 号

確定した事実について憲法 その他の法令の適用を誤ったことを理由として判決を破棄する場合において、事件がその事実に基づき裁判をするのに熟するとき。

二 号

事件が裁判所の権限に属しないことを理由として判決を破棄するとき。

1項

高等裁判所が上告審としてした終局判決に対しては、その判決に憲法の解釈の誤りがあること その他憲法の違反があることを理由とするときに限り、最高裁判所に更に上告をすることができる。

2項

前項の上告 及びその上告審の訴訟手続には、その性質に反しない限り、第二審 又は第一審の終局判決に対する上告 及びその上告審の訴訟手続に関する規定を準用する。


この場合において、

第三百二十一条第一項
原判決」とあるのは、
「地方裁判所が第二審としてした終局判決(第三百十一条第二項の規定による上告があった場合にあっては、簡易裁判所の終局判決)」と

読み替えるものとする。