裁判所は、訴訟が裁判をするのに熟したときは、終局判決をする。
民事訴訟法
第五章 判決
裁判所は、訴訟の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について終局判決をすることができる。
前項の規定は、口頭弁論の併合を命じた数個の訴訟中 その一が裁判をするのに熟した場合 及び本訴 又は反訴が裁判をするのに熟した場合について準用する。
裁判所は、当事者の双方 又は一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合において、審理の現状 及び当事者の訴訟追行の状況を考慮して相当と認めるときは、終局判決をすることができる。
ただし、当事者の一方が口頭弁論の期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷をした場合には、出頭した相手方の申出があるときに限る。
裁判所は、独立した攻撃 又は防御の方法 その他中間の争いについて、裁判をするのに熟したときは、中間判決をすることができる。
請求の原因 及び数額について争いがある場合におけるその原因についても、同様とする。
裁判所は、当事者が申し立てていない事項について、判決をすることができない。
裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨 及び 証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。
損害が生じたことが認められる場合において、損害の性質上 その額を立証することが極めて困難であるときは、裁判所は、口頭弁論の全趣旨 及び証拠調べの結果に基づき、相当な損害額を認定することができる。
判決は、その基本となる口頭弁論に関与した裁判官がする。
裁判官が代わった場合には、当事者は、従前の口頭弁論の結果を陳述しなければならない。
単独の裁判官が代わった場合 又は合議体の裁判官の過半数が代わった場合において、その前に尋問をした証人について、当事者が更に尋問の申出をしたときは、裁判所は、その尋問をしなければならない。
判決は、言渡しによってその効力を生ずる。
判決の言渡しは、口頭弁論の終結の日から二月以内にしなければならない。
ただし、事件が複雑であるときその他特別の事情があるときは、この限りでない。
判決の言渡しは、当事者が在廷しない場合においても、することができる。
判決の言渡しは、判決書の原本に基づいてする。
判決書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
事実の記載においては、請求を明らかにし、かつ、主文が正当であることを示すのに必要な主張を摘示しなければならない。
次に掲げる場合において、原告の請求を認容するときは、判決の言渡しは、第二百五十二条の規定にかかわらず、判決書の原本に基づかないですることができる。
被告が口頭弁論において原告の主張した事実を争わず、その他何らの防御の方法をも提出しない場合
被告が公示送達による呼出しを受けたにもかかわらず 口頭弁論の期日に出頭しない場合(被告の提出した準備書面が口頭弁論において陳述されたものとみなされた場合を除く。)
前項の規定により判決の言渡しをしたときは、裁判所は、判決書の作成に代えて、裁判所書記官に、当事者 及び法定代理人、主文、請求 並びに理由の要旨を、判決の言渡しをした口頭弁論期日の調書に記載させなければならない。
判決書 又は前条第二項の調書は、当事者に送達しなければならない。
前項に規定する送達は、判決書の正本 又は前条第二項の調書の謄本によってする。
裁判所は、判決に法令の違反があることを発見したときは、その言渡し後一週間以内に限り、変更の判決をすることができる。
ただし、判決が確定したとき、又は判決を変更するため事件につき更に弁論をする必要があるときは、この限りでない。
変更の判決は、口頭弁論を経ないでする。
前項の判決の言渡期日の呼出しにおいては、公示送達による場合を除き、送達をすべき場所にあてて呼出状を発した時に、送達があったものとみなす。
判決に計算違い、誤記 その他これらに類する明白な誤りがあるときは、裁判所は、申立てにより 又は職権で、いつでも更正決定をすることができる。
更正決定に対しては、即時抗告をすることができる。
ただし、判決に対し適法な控訴があったときは、この限りでない。
裁判所が請求の一部について裁判を脱漏したときは、訴訟は、その請求の部分については、なお その裁判所に係属する。
訴訟費用の負担の裁判を脱漏したときは、裁判所は、申立てにより又は職権で、その訴訟費用の負担について、決定で、裁判をする。
この場合においては、第六十一条から第六十六条までの規定を準用する。
前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
第二項の規定による訴訟費用の負担の裁判は、本案判決に対し適法な控訴があったときは、その効力を失う。
この場合においては、控訴裁判所は、訴訟の総費用について、その負担の裁判をする。
財産権上の請求に関する判決については、裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより 又は職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言することができる。
手形 又は小切手による金銭の支払の請求 及びこれに附帯する法定利率による損害賠償の請求に関する判決については、裁判所は、職権で、担保を立てないで仮執行をすることができることを宣言しなければならない。
ただし、裁判所が相当と認めるときは、仮執行を担保を立てることに係らしめることができる。
裁判所は、申立てにより 又は職権で、担保を立てて仮執行を免れることができることを宣言することができる。
仮執行の宣言は、判決の主文に掲げなければならない。
前項の規定による宣言についても、同様とする。
仮執行の宣言の申立てについて裁判をしなかったとき、又は職権で仮執行の宣言をすべき場合においてこれをしなかったときは、裁判所は、申立てにより 又は職権で、補充の決定をする。
第三項の申立てについて裁判をしなかったときも、同様とする。
第七十六条、第七十七条、第七十九条 及び第八十条の規定は、第一項から第三項までの担保について準用する。
仮執行の宣言は、その宣言 又は本案判決を変更する判決の言渡しにより、変更の限度においてその効力を失う。
本案判決を変更する場合には、裁判所は、被告の申立てにより、その判決において、仮執行の宣言に基づき被告が給付したものの返還 及び仮執行により 又はこれを免れるために被告が受けた損害の賠償を原告に命じなければならない。
仮執行の宣言のみを変更したときは、後に本案判決を変更する判決について、前項の規定を適用する。