簡易確定手続は、共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した時 又は請求の認諾等(請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解 又は和解金債権が存することを認める旨の和解をいう。以下この条において同じ。)によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体(第九十三条第二項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた特定適格消費者団体。第十五条において同じ。)の申立てにより、当該判決が確定した時 又は請求の認諾等によって当該共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった事業者等を相手方として、共通義務確認訴訟の第一審の終局判決をした地方裁判所(第一審において請求の認諾等によって共通義務確認訴訟が終了したときは、当該共通義務確認訴訟が係属していた地方裁判所)が行う。
消費者の財産的被害等の集団的な回復のための民事の裁判手続の特例に関する法律
第二節 対象債権の確定手続
⤏ 第一款 簡易確定手続
⤏ 第二目 簡易確定手続の開始
共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した時 又は請求の認諾によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。
第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、当該義務に係る対象債権について、簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。
ただし、当該対象債権のうち、当該和解においてその額 又は算定方法のいずれかが定められている部分(当該和解において簡易確定手続開始の申立てをしなければならない旨が定められている部分を除く。)については、この限りでない。
和解金債権が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した場合において、当該和解において当該和解金債権の全部 又は一部について簡易確定手続開始の申立てをしなければならない旨が定められているときは、当該共通義務確認訴訟が終了した時に当事者であった特定適格消費者団体は、正当な理由がある場合を除き、当該定めに係る和解金債権について簡易確定手続開始の申立てをしなければならない。
前条の場合において、簡易確定手続開始の申立ては、共通義務確認訴訟における請求を認容する判決が確定した日 又は請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解 若しくは和解金債権が存することを認める旨の和解によって共通義務確認訴訟が終了した日(第九十三条第二項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた日)から四月以内にしなければならない。
裁判所は、必要があると認めるときは、前条の規定により簡易確定手続開始の申立てをしなければならない特定適格消費者団体の申立てにより、二月以内の期間を定めて、前項の期間(この項の規定により当該期間が伸長された場合にあっては、当該伸長された期間。次項において同じ。)の伸長の決定をすることができる。
ただし、当該期間は、通じて八月を超えることができない。
裁判所は、前項の規定により第一項の期間の伸長の決定をしたときは、前条の規定により簡易確定手続開始の申立てをしなければならない特定適格消費者団体 及び第十三条に規定する事業者等に対し、その旨を通知しなければならない。
簡易確定手続開始の申立ては、最高裁判所規則で定める事項を記載した書面でしなければならない。
簡易確定手続開始の申立てをするときは、申立てをする特定適格消費者団体は、第二十三条第一項の規定による公告 及び同条第二項の規定による通知に要する費用として裁判所の定める金額を予納しなければならない。
簡易確定手続開始の申立ては、裁判所の許可を得なければ、取り下げることできない。
民事訴訟法第二百六十一条第三項 及び第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による申立ての取下げについて準用する。
裁判所は、簡易確定手続開始の申立てがあった場合には、当該申立てが不適法であると認めるとき 又は第十八条に規定する費用の予納がないときを除き、簡易確定手続開始の決定(以下「簡易確定手続開始決定」という。)をする。
簡易確定手続開始の申立てを却下する決定に対しては、即時抗告をすることができる。
簡易確定手続開始決定は、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項を記載した決定書を作成してしなければならない。
共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められたとき
当該義務に係る対象債権 及び対象消費者の範囲
共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をしたとき
当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号 及び第三号に掲げる事項
裁判所は、簡易確定手続開始決定と同時に、当該簡易確定手続開始決定に係る簡易確定手続開始の申立てをした特定適格消費者団体(第九十三条第一項の規定による指定があった場合には、その指定を受けた特定適格消費者団体。以下「簡易確定手続申立団体」という。)が第三十三条第二項に規定する債権届出をすべき期間(以下「届出期間」という。)及びその債権届出に対して簡易確定手続の相手方(以下この款において単に「相手方」という。)が認否をすべき期間(以下「認否期間」という。)を定めなければならない。
裁判所は、簡易確定手続開始決定をしたときは、直ちに、官報に掲載して次に掲げる事項を公告しなければならない。
第二十一条各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定める事項
裁判所は、簡易確定手続申立団体 及び相手方に対し、前項の規定により公告すべき事項を通知しなければならない。
簡易確定手続開始決定がされた事件については、特定適格消費者団体は、更に簡易確定手続開始の申立てをすることができない。
裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより 又は職権で、届出期間 又は認否期間の伸長の決定をすることができる。
裁判所は、前項の規定により届出期間 又は認否期間の伸長の決定をしたときは、簡易確定手続申立団体 及び相手方に対し、その旨を通知しなければならない。
裁判所は、第一項の規定により届出期間 又は認否期間の伸長の決定をしたときは、直ちに、官報に掲載してその旨を公告しなければならない。
⤏ 第三目 簡易確定手続申立団体による公告及び通知等
簡易確定手続開始決定がされたときは、簡易確定手続申立団体は、正当な理由がある場合を除き、届出期間の末日の一月前までに、次に掲げる事項を相当な方法により公告しなければならない。
共通義務確認訴訟の確定判決の内容(請求の認諾、第二条第四号に規定する義務が存することを認める旨の和解 又は和解金債権が存することを認める旨の和解がされた場合には、その内容)
共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められた場合には、当該義務に係る対象債権 及び対象消費者の範囲
共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をした場合には、当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号 及び第三号に掲げる事項
対象消費者等(対象消費者 及び和解対象消費者をいう。以下同じ。)が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする方法
対象消費者等が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする期間
前項の規定による公告後、届出期間中に同項第七号に掲げる事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を、相当な方法により公告するとともに、裁判所 及び相手方に通知しなければならない。
この場合において、当該通知を受けた裁判所は、直ちに、官報に掲載してその旨を公告しなければならない。
第一項の規定による公告後、届出期間中に同項第八号から第十二号までに掲げる事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を、相当な方法により公告しなければならない。
簡易確定手続開始決定がされたときは、簡易確定手続申立団体は、正当な理由がある場合を除き、届出期間の末日の一月前までに、知れている対象消費者等(次条第一項の規定による通知(以下この目 及び第九十八条第二項第二号において「相手方通知」という。)を受けたものを除く。)に対し、前条第一項各号に掲げる事項を書面 又は電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法をいう。以下同じ。)であって内閣府令で定めるものにより通知しなければならない。
前項の規定にかかわらず、同項の規定による通知において次に掲げる事項を記載する場合には、前条第一項第一号、第三号、第六号、第九号、第十号 及び第十二号に掲げる事項を記載することを要しない。
前条第一項の規定により公告を行っている旨
相手方は、簡易確定手続申立団体の求め(相手方通知のため通常必要な期間を考慮して内閣府令で定める日までにされたものに限る。)があるときは、届出期間の末日の二月以上前の日であって内閣府令で定める日までに、当該求めに係る知れている対象消費者等に対し、次に掲げる事項を書面 又は電磁的方法であって内閣府令で定めるものにより通知しなければならない。
共通義務確認訴訟において第二条第四号に規定する義務が認められた場合には、当該義務に係る対象債権 及び対象消費者の範囲
共通義務確認訴訟において和解金債権が存する旨を認める和解をした場合には、当該和解金債権に係る第十一条第二項第一号 及び第三号に掲げる事項
対象消費者等が簡易確定手続申立団体に対して第三十四条第一項の授権をする期間
簡易確定手続申立団体が第二十六条第一項の規定により公告を行っている旨
簡易確定手続申立団体は、相手方に対し、前項の求めをするときは、同項第四号に掲げる連絡先、同項第五号から第七号までに掲げる事項 その他内閣府令で定める事項を通知しなければならない。
相手方は、相手方通知をしたときは、当該相手方通知をした時から一週間以内に、第一項の求めをした簡易確定手続申立団体に対し、次に掲げる事項を通知しなければならない。
相手方は、簡易確定手続申立団体の求めがあるときは、遅滞なく、インターネットの利用、営業所 その他の場所において公衆に見やすいように掲示する方法 その他これらに類する方法により、届出期間中、前条第一項各号に掲げる事項(同項第四号、第五号、第八号 又は第九号に掲げる事項に変更があったときは、変更後の当該各号に掲げる事項)を公表しなければならない。
前条第二項の規定は、簡易確定手続申立団体が相手方に対し前項の求めをするときについて準用する。
この場合において、
同条第二項中
「ならない」とあるのは、
「ならない。この場合において、当該求めの後、届出期間中に前項第四号 又は第五号に掲げる事項 その他内閣府令で定める事項に変更があったときは、当該変更に係る簡易確定手続申立団体は、遅滞なく、その旨を相手方に通知しなければならない」と
読み替えるものとする。
相手方は、簡易確定手続申立団体から次に掲げる事項について照会があるときは、当該照会があった時から一週間以内に、当該簡易確定手続申立団体に対し、書面 又は電磁的方法であって内閣府令で定めるものにより回答しなければならない。
相手方は、対象消費者等の氏名 及び住所 又は連絡先(内閣府令で定めるものに限る。次項において同じ。)が記載された文書(電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)をもって作成されている場合における当該電磁的記録を含む。)を所持する場合において、届出期間中に簡易確定手続申立団体の求めがあるときは、当該文書を当該簡易確定手続申立団体に開示することを拒むことができない。
ただし、相手方が開示すべき文書の範囲を特定するために不相当な費用 又は時間を要するときは、この限りでない。
前項に規定する文書の開示は、その写しの交付(電磁的記録については、当該電磁的記録を出力した書面の交付 又は当該電磁的記録に記録された情報の電磁的方法による提供であって内閣府令で定めるもの)により行う。この場合において、相手方は、個人(対象消費者等でないことが明らかである者を除く。)の氏名 及び住所 又は連絡先が記載された部分以外の部分を除いて開示することができる。
相手方は、第一項に規定する文書の開示をしないときは、簡易確定手続申立団体に対し、速やかに、その旨 及びその理由を書面により通知しなければならない。
簡易確定手続申立団体は、届出期間中、裁判所に対し、情報開示命令(前条第一項の規定により相手方が簡易確定手続申立団体に開示しなければならない同項に規定する文書について、同条第二項に規定する方法による開示を相手方に命ずる旨の決定をいう。以下この条において同じ。)の申立てをすることができる。
情報開示命令の申立ては、文書の表示を明らかにしてしなければならない。
裁判所は、情報開示命令の申立てを理由があると認めるときは、情報開示命令を発する。
裁判所は、情報開示命令の申立てについて決定をする場合には、相手方を審尋しなければならない。
情報開示命令の申立てについての決定に対しては、即時抗告をすることができる。
相手方が正当な理由なく情報開示命令に従わないときは、裁判所は、決定で、三十万円以下の過料に処する。
前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法第百八十九条の規定は、第七項の規定による過料の裁判について準用する。
⤏ 第四目 対象債権等の確定
前項の規定による届出(以下「債権届出」という。)は、届出期間内に、次に掲げる事項を記載した書面(以下この節において「届出書」という。)を簡易確定手続開始決定をした裁判所に提出してしなければならない。
前二号に掲げるもののほか、最高裁判所規則で定める事項
簡易確定手続申立団体は、債権届出の時に対象消費者が事業者等に対して対象債権に基づく訴えを提起するとすれば民事訴訟法第一編第二章第一節の規定により日本の裁判所が管轄権を有しないときは、第一項の規定にかかわらず、当該対象債権については、債権届出をすることができない。
簡易確定決定があるまでに簡易確定手続申立団体が届出債権について第一項の授権を欠いたとき(前項の規定により当該授権がその効力を失ったときを除く。)は、当該届出債権については、債権届出の取下げがあったものとみなす。
前項の届出消費者が同項の期間内に第一項の授権をしないときは、その届出債権については、債権届出の取下げがあったものとみなす。
簡易確定決定があった後に、届出消費者が第三項の規定により第一項の授権を取り消したときは、当該届出消費者は、更に簡易確定手続申立団体に同項の授権をすることができない。
簡易確定手続申立団体は、前条第一項の授権に先立ち、当該授権をしようとする者に対し、内閣府令で定めるところにより、被害回復裁判手続の概要 及び事案の内容 その他内閣府令で定める事項について、これを記載した書面を交付し、又はこれを記録した電磁的記録を提供して説明をしなければならない。
簡易確定手続申立団体は、やむを得ない理由があるときを除いては、簡易確定手続授権契約(対象消費者等が第三十四条第一項の授権をし、簡易確定手続申立団体が対象債権等について債権届出をすること 及び簡易確定手続を追行することを約する契約をいう。以下同じ。)の締結を拒絶してはならない。
第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、やむを得ない理由があるときを除いては、簡易確定手続授権契約を解除してはならない。
第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、当該授権をした対象消費者等のために、公平かつ誠実に債権届出、簡易確定手続の追行 及び第二条第九号ロに規定する民事執行の手続の追行(当該授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。)並びにこれらに伴い取得した金銭 その他の財産の管理をしなければならない。
第三十四条第一項の授権を得た簡易確定手続申立団体は、当該授権をした対象消費者等に対し、善良な管理者の注意をもって前項に規定する行為をしなければならない。
裁判所は、第三十三条第二項の規定による届出書の提出を受けたときは、次条第一項 又は第六十九条第一項の規定により債権届出を却下する場合を除き、遅滞なく、当該届出書を相手方に送達しなければならない。
裁判所は、債権届出が不適法であると認めるとき、又は届出書の送達に必要な費用の予納がないときは、決定で、当該債権届出を却下しなければならない。
前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
債権届出団体は、簡易確定手続において、届出債権について、和解をすることができる。
債権届出があったときは、当該債権届出に係る対象債権の時効の完成猶予 及び更新に関しては、簡易確定手続の前提となる共通義務確認の訴えを提起し、又は民事訴訟法第百四十三条第二項の書面を当該共通義務確認の訴えが係属していた裁判所に提出した時に、裁判上の請求があったものとみなす。
債権届出団体は、届出期間内に限り、当該債権届出の内容を変更することができる。
債権届出は、簡易確定決定に対し適法な異議の申立てがあるまで、その全部 又は一部を取り下げることができる。
ただし、簡易確定決定があった後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。
民事訴訟法第二百六十一条第三項 及び第二百六十二条第一項の規定は、前項の規定による債権届出の取下げについて準用する。
裁判所書記官は、届出債権について、届出消費者表を作成しなければならない。
前項の届出消費者表には、各届出債権について、その内容 その他最高裁判所規則で定める事項を記載しなければならない。
届出消費者表の記載に誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでもその記載を更正する処分をすることができる。
相手方は、届出期間内に債権届出があった届出債権の内容について、認否期間内に、認否をしなければならない。
認否期間内に前項の認否(以下「届出債権の認否」という。)がないときは、相手方において、届出期間内に債権届出があった届出債権の内容の全部を認めたものとみなす。
相手方が、認否期間内に届出債権の内容の全部を認めたときは、当該届出債権の内容は、確定する。
裁判所書記官は、届出債権の認否の内容を届出消費者表に記載しなければならない。
第三項の規定により確定した届出債権については、届出消費者表の記載は、確定判決と同一の効力を有する。
この場合において、債権届出団体は、確定した届出債権について、相手方に対し、届出消費者表の記載により強制執行をすることができる。
債権届出団体は、前条第三項の規定により届出債権の内容が確定したときを除き、届出債権の認否に対し、認否期間の末日から一月の不変期間内に、裁判所に届出債権の認否を争う旨の申出(以下単に「認否を争う旨の申出」という。)をすることができる。
裁判所は、認否を争う旨の申出が不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。
前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
裁判所書記官は、認否を争う旨の申出の有無を届出消費者表に記載しなければならない。
裁判所は、適法な認否を争う旨の申出があったときは、第三十九条第一項 又は第六十九条第一項の規定により債権届出を却下する場合を除き、簡易確定決定をしなければならない。
裁判所は、簡易確定決定をする場合には、当事者双方を審尋しなければならない。
簡易確定決定は、主文 及び理由の要旨を記載した決定書を作成してしなければならない。
届出債権の支払を命ずる簡易確定決定(第五十九条 及び第八十九条第一項第二号において「届出債権支払命令」という。)については、裁判所は、必要があると認めるときは、申立てにより 又は職権で、担保を立てて、又は立てないで仮執行をすることができることを宣言することができる。
第三項の決定書は、当事者に送達しなければならない。
この場合においては、簡易確定決定の効力は、当事者に送達された時に生ずる。
簡易確定決定のための審理においては、証拠調べは、書証に限りすることができる。
文書の提出 又は対照の用に供すべき筆跡 若しくは印影を備える物件の提出の命令は、することができない。
前二項の規定は、裁判所が職権で調査すべき事項には、適用しない。
当事者は、簡易確定決定に対し、第四十七条第五項の規定による送達を受けた日から一月の不変期間内に、当該簡易確定決定をした裁判所に異議の申立てをすることができる。
届出消費者は、簡易確定決定に対し、債権届出団体が第四十七条第五項の規定による送達を受けた日から一月の不変期間内に、当該簡易確定決定をした裁判所に異議の申立てをすることができる。
裁判所は、異議の申立てが不適法であると認めるときは、決定で、これを却下しなければならない。
前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
適法な異議の申立てがあったときは、簡易確定決定は、仮執行の宣言を付したものを除き、その効力を失う。
適法な異議の申立てがないときは、簡易確定決定は、確定判決と同一の効力を有する。
民事訴訟法第三百五十八条 及び第三百六十条の規定は、第一項 及び第二項の異議について準用する。
適法な認否を争う旨の申出がないときは、届出債権の内容は、届出債権の認否の内容により確定する。
前項の規定により確定した届出債権については、届出消費者表の記載は、確定判決と同一の効力を有する。
この場合において、債権届出団体は、確定した届出債権について、相手方に対し、届出消費者表の記載により強制執行をすることができる。
⤏ 第五目 費用の負担
簡易確定手続の費用(債権届出の手数料 及び簡易確定手続における届出債権に係る申立ての手数料(次条第一項 及び第三項において「個別費用」と総称する。)を除く。以下この条において同じ。)は、各自が負担する。
前項の規定にかかわらず、裁判所は、事情により、同項の規定によれば当事者がそれぞれ負担すべき費用の全部 又は一部を、その負担すべき者以外の当事者に負担させることができる。
裁判所は、簡易確定手続に係る事件が終了した場合において、必要があると認めるときは、申立てにより 又は職権で、簡易確定手続の費用の負担を命ずる決定をすることができる。
前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法第六十九条から第七十二条まで 及び第七十四条の規定は、簡易確定手続の費用の負担について準用する。
裁判所は、届出債権について簡易確定手続に係る事件が終了した場合(第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合には、異議後の訴訟が終了した場合)において、必要があると認めるときは、申立てにより 又は職権で、当該事件に関する個別費用の負担を命ずる決定をすることができる。
前項の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
民事訴訟法第一編第四章第一節(第六十五条、第六十六条、第六十七条第二項 及び第七十三条を除く。)の規定は、個別費用の負担について準用する。
⤏ 第六目 補則
特別の定めがある場合を除き、簡易確定手続については、その性質に反しない限り、民事訴訟法第二条、第十四条、第十六条、第二十一条、第二十二条、第一編第二章第三節、第三章(第三十条、第四十条から第四十九条まで、第五十二条 及び第五十三条を除く。)、第五章(第八十七条、第八十七条の二、第九十一条第一項 及び第二項、第九十二条第六項から第八項まで、第二節、第百十六条 並びに第百十八条を除く。)及び第七章、第二編第一章(第百三十三条、第百三十四条、第百三十七条第二項 及び第三項、第百三十八条第一項、第百三十九条、第百四十条 並びに第百四十三条から第百四十六条までを除く。)、第三章(第百五十六条の二、第百五十七条の二、第百五十八条、第百五十九条第三項、第百六十一条第三項 及び第三節を除く。)、第四章(第七節を除く。)、第五章(第二百四十五条、第二百四十九条から第二百五十二条まで、第二百五十三条第二項、第二百五十四条、第二百五十五条、第二百五十八条第二項から第四項まで 並びに第二百五十九条第一項 及び第二項を除く。)及び第六章(第二百六十一条から第二百六十三条まで 及び第二百六十六条を除く。)、第三編第三章、第四編 並びに第八編(第四百三条第一項第二号 及び第四号から第六号までを除く。)の規定を準用する。
第五十三条において準用する民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出がない場合には、送達は、次の各号に掲げる区分に応じ、それぞれ当該各号に定める場所においてする。
共通義務確認訴訟において民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出があった場合
当該届出に係る場所
共通義務確認訴訟において民事訴訟法第百四条第一項前段の規定による届出がなかった場合
当該共通義務確認訴訟における同条第三項に規定する場所
⤏ 第二款 異議後の訴訟に係る民事訴訟手続の特例
簡易確定決定に対し適法な異議の申立てがあったときは、債権届出に係る請求については、当該債権届出の時に、当該債権届出に係る債権届出団体(当該債権届出に係る届出消費者が当該異議の申立てをしたときは、その届出消費者)を原告として、当該簡易確定決定をした地方裁判所に訴えの提起があったものとみなす。
この場合においては、届出書を訴状と、第三十八条の規定による送達を訴状の送達とみなす。
前項の規定により訴えの提起があったものとみなされる事件は、同項の地方裁判所の管轄に専属する。
前項の事件が係属する地方裁判所は、著しい損害 又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、同項の規定にかかわらず、申立てにより又は職権で、その事件に係る訴訟を民事訴訟法第四条第一項 又は第五条第一号、第五号 若しくは第九号の規定により管轄権を有する地方裁判所に移送することができる。
債権届出団体は、異議後の訴訟を追行するには、届出消費者の授権がなければならない。
届出消費者は、その届出債権に係る債権届出団体に限り、前項の授権をすることができる。
届出消費者が第八項において準用する第三十四条第三項の規定により第一項の授権を取り消し、又は自ら異議後の訴訟を追行したときは、当該届出消費者は、更に債権届出団体に同項の授権をすることができない。
債権届出団体は、正当な理由があるときを除いては、訴訟授権契約(届出消費者が第一項の授権をし、債権届出団体が異議後の訴訟を追行することを約する契約をいう。以下同じ。)の締結を拒絶してはならない。
第一項の授権を得た債権届出団体は、正当な理由があるときを除いては、訴訟授権契約を解除してはならない。
第一項の授権を得た債権届出団体は、当該授権をした届出消費者のために、公平かつ誠実に異議後の訴訟の追行 及び第二条第九号ロに規定する民事執行の手続の追行(当該授権に係る債権に係る裁判外の和解を含む。)並びにこれらに伴い取得した金銭 その他の財産の管理をしなければならない。
第一項の授権を得た債権届出団体は、当該授権をした届出消費者に対し、善良な管理者の注意をもって前項に規定する行為をしなければならない。
第三十四条第三項から第五項まで 及び第三十五条の規定は、第一項の授権について準用する。
民事訴訟法第五十八条第二項 並びに第百二十四条第一項(第六号に係る部分に限る。)及び第二項の規定は、異議後の訴訟において債権届出団体が第一項の授権を欠くときについて準用する。
異議後の訴訟においては、原告は、訴えの変更(届出消費者 又は請求額の変更を内容とするものを除く。)をすることができない。
異議後の訴訟においては、反訴を提起することができない。
仮執行の宣言を付した届出債権支払命令に係る請求について第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合において、当該訴えについてすべき判決が届出債権支払命令と符合するときは、その判決において、届出債権支払命令を認可しなければならない。
ただし、届出債権支払命令の手続が法律に違反したものであるときは、この限りでない。
前項の規定により届出債権支払命令を認可する場合を除き、仮執行の宣言を付した届出債権支払命令に係る請求について第五十六条第一項の規定により訴えの提起があったものとみなされた場合における当該訴えについてすべき判決においては、届出債権支払命令を取り消さなければならない。