農林水産大臣 又は都道府県知事は、漁業調整のため、特定の種類の水産動植物であつて農林水産省令 若しくは規則で定めるものの採捕を目的として営む漁業 若しくは特定の漁業の方法であつて農林水産省令 若しくは規則で定めるものにより営む漁業(水産動植物の採捕に係るものに限る。)を禁止し、又はこれらの漁業について、農林水産省令 若しくは規則で定めるところにより、農林水産大臣 若しくは都道府県知事の許可を受けなければならないこととすることができる。
漁業法
第五章 漁業調整に関するその他の措置
農林水産大臣 又は都道府県知事は、漁業調整のため、次に掲げる事項に関して必要な農林水産省令 又は規則を定めることができる。
水産動植物の採捕 又は処理に関する制限 又は禁止(前項の規定により漁業を営むことを禁止すること 及び農林水産大臣 又は都道府県知事の許可を受けなければならないこととすることを除く。)
水産動植物 若しくはその製品の販売 又は所持に関する制限 又は禁止
前項の規定による農林水産省令 又は規則には、必要な罰則を設けることができる。
前項の罰則に規定することができる罰は、農林水産省令にあつては二年以下の懲役、五十万円以下の罰金、拘留 若しくは科料 又はこれらの併科、規則にあつては六月以下の懲役、十万円以下の罰金、拘留 若しくは科料 又はこれらの併科とする。
第二項の規定による農林水産省令 又は規則には、犯人が所有し、又は所持する漁獲物、その製品、漁船 及び漁具 その他水産動植物の採捕 又は養殖の用に供される物の没収 並びに犯人が所有していたこれらの物件の全部 又は一部を没収することができない場合におけるその価額の追徴に関する規定を設けることができる。
農林水産大臣は、第一項 及び第二項の農林水産省令を制定し、又は改廃しようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
都道府県知事は、第一項 及び第二項の規則を制定し、又は改廃しようとするときは、農林水産大臣の認可を受けなければならない。
都道府県知事は、第一項 及び第二項の規則を制定し、又は改廃しようとするときは、関係海区漁業調整委員会の意見を聴かなければならない。
海区漁業調整委員会 又は連合海区漁業調整委員会は、水産動植物の繁殖保護を図り、漁業権(第六十条第一項に規定する漁業権をいう。以下同じ。)又は入漁権(同条第七項に規定する入漁権をいう。次条第一項において同じ。)の行使を適切にし、漁場の使用に関する紛争の防止 又は解決を図り、その他漁業調整のために必要があると認めるときは、関係者に対し、水産動植物の採捕に関する制限 又は禁止、漁業者の数に関する制限、漁場の使用に関する制限 その他必要な指示をすることができる。
前項の規定による海区漁業調整委員会の指示が同項の規定による連合海区漁業調整委員会の指示に抵触するときは、当該海区漁業調整委員会の指示は、抵触する範囲においてその効力を有しない。
都道府県知事は、海区漁業調整委員会 又は連合海区漁業調整委員会に対し、第一項の指示について必要な指示をすることができる。
この場合には、都道府県知事は、あらかじめ、農林水産大臣に当該指示の内容を通知するものとする。
第一項の場合において、都道府県知事は、その指示が妥当でないと認めるときは、その全部 又は一部を取り消すことができる。
第一項の規定による指示については、第八十六条第三項の規定を準用する。
この場合において、
同項中
「都道府県知事」とあるのは、
「海区漁業調整委員会 又は連合海区漁業調整委員会」と
読み替えるものとする。
前項において準用する第八十六条第三項の規定による指示に従つてされた第一項の指示については、第四項の規定は適用しない。
農林水産大臣は、第五項において準用する第八十六条第三項の規定により指示をしようとするときは、あらかじめ、関係都道府県知事に当該指示の内容を通知しなければならない。
ただし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十条の六第一項の規定による通知をした場合は、この限りでない。
第一項の指示を受けた者がこれに従わないときは、海区漁業調整委員会 又は連合海区漁業調整委員会は、都道府県知事に対して、その者に当該指示に従うべきことを命ずべき旨を申請することができる。
都道府県知事は、前項の申請を受けたときは、その申請に係る者に対して、異議があれば一定の期間内に申し出るべき旨を催告しなければならない。
前項の期間は、十五日を下ることができない。
第九項の場合において、同項の期間内に異議の申出がないとき 又は異議の申出に理由がないときは、都道府県知事は、第八項の申請に係る者に対し、第一項の指示に従うべきことを命ずることができる。
都道府県知事が前項の規定による命令をしない場合には、第八十六条第三項の規定を準用する。
広域漁業調整委員会は、都道府県の区域を超えた広域的な見地から、水産動植物の繁殖保護を図り、漁業権 又は入漁権(第百八十三条の規定により農林水産大臣が自ら都道府県知事の権限を行う漁場に係る漁業権 又は入漁権に限る。)の行使を適切にし、漁場(同条の規定により農林水産大臣が自ら都道府県知事の権限を行うものに限る。)の使用に関する紛争の防止 又は解決を図り、その他漁業調整のために必要があると認めるときは、関係者に対し、水産動植物の採捕に関する制限 又は禁止、漁業者の数に関する制限、漁場の使用に関する制限 その他必要な指示をすることができる。
前条第一項の規定による海区漁業調整委員会 又は連合海区漁業調整委員会の指示が前項の規定による広域漁業調整委員会の指示に抵触するときは、当該海区漁業調整委員会 又は連合海区漁業調整委員会の指示は、抵触する範囲においてその効力を有しない。
農林水産大臣は、広域漁業調整委員会に対し、第一項の指示について必要な指示をすることができる。
第一項の規定による指示については、前条第四項 及び第八項から第十一項までの規定を準用する。
この場合において、
同条第四項、第八項、第九項 及び第十一項中
「都道府県知事」とあるのは
「農林水産大臣」と、
同条第八項中
「海区漁業調整委員会 又は連合海区漁業調整委員会」とあるのは
「広域漁業調整委員会」と
読み替えるものとする。
都道府県知事は、漁業者、漁業協同組合 又は漁業協同組合連合会に対して、漁場の標識の建設 又は漁具 その他水産動植物の採捕 若しくは養殖の用に供される物の標識の設置を命ずることができる。
公共の用に供しない水面であつて公共の用に供する水面 又は第四条の水面に通ずるものには、命令をもつて第百十九条の規定 及びこれに係る罰則を適用することができる。
漁業者は、漁獲割当管理区分以外の管理区分(第七条第二項に規定する管理区分をいう。)における特定水産資源 又は特定水産資源以外の水産資源の保存 及び管理に関して、協定を締結し、農林水産省令の定めるところにより、農林水産大臣 又は都道府県知事に提出して、当該協定が適当である旨の認定を受けることができる。
前項の協定(以下この章において単に「協定」という。)においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
協定の対象となる水域 並びに水産資源の種類 及び漁業の種類
協定の対象となる種類の水産資源の保存 及び管理の方法
その他農林水産省令で定める事項
農林水産大臣 又は都道府県知事は、前条第一項の認定の申請に係る協定の内容が次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、同項の認定をするものとする。
資源管理基本方針 又は都道府県資源管理方針に照らして適当なものであること。
この法律 及びこの法律に基づく命令 その他関係法令に違反するものでないこと。
特定水産資源を対象とする協定にあつては、当該特定水産資源に係る大臣管理漁獲可能量 又は知事管理漁獲可能量を超えないように漁獲量の管理を行うために効果的なものであると認められるものであること。
特定水産資源以外の水産資源を対象とする協定にあつては、この法律 及びこの法律に基づく命令 その他関係法令により漁業者が遵守しなければならない措置以外に当該水産資源の保存 及び管理に効果的と認められる措置が定められていること。
その他農林水産省令で定める基準を満たしていること。
前項に規定するもののほか、協定の認定(協定の変更の認定を含む。)及びその取消し 並びに協定の廃止に関し必要な事項は、政令で定める。
第百二十四条第一項の認定を受けた協定(以下この条 及び次条において「認定協定」という。)に参加している者は、認定協定の対象となる水域において認定協定の対象となる種類の水産資源について認定協定の対象となる種類の漁業を営む者であつて認定協定に参加していないものに対し認定協定を示して参加を求めた場合においてその参加を承諾しない者があるときは、農林水産省令で定めるところにより、同項の認定をした農林水産大臣 又は都道府県知事に対し、その者の承諾を得るために必要なあつせんをすべきことを求めることができる。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、前項の規定による申請があつた場合において、認定協定に参加していない者の認定協定への参加が前条第一項の規定に照らして相当であり、かつ、認定協定の内容からみてその者に対し参加を求めることが特に必要であると認めるときは、あつせんをするものとする。
認定協定に参加している者は、その数が認定協定の対象となる水域において認定協定の対象となる水産資源について認定協定の対象となる種類の漁業を営む者の全ての数の三分の二以上であつて農林水産省令で定める割合を超えていること その他の農林水産省令で定める基準に該当するときは、農林水産省令で定めるところにより、農林水産大臣 又は都道府県知事に対し、認定協定の目的を達成するために必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、前項の規定による申出があつた場合において、資源管理のために必要があると認めるときは、その申出の内容を勘案して、第四十四条第一項 若しくは第二項(これらの規定を第五十八条において準用する場合を含む。)、第五十五条第一項、第八十六条第一項 若しくは第三項、第九十三条第一項 若しくは第四項 又は第百十九条第一項 若しくは第二項の規定により必要な措置を講ずるものとする。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、認定協定に参加している者に対し、認定協定の実施状況について報告を求めることができる。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、所部の職員の中から漁業監督官 又は漁業監督吏員を命じ、漁業に関する法令の励行に関する事務をつかさどらせる。
漁業監督官の資格について必要な事項は、政令で定める。
漁業監督官 又は漁業監督吏員は、必要があると認めるときは、漁場、船舶、事業場、事務所、倉庫 その他の場所に臨んでその状況 若しくは帳簿書類 その他の物件を検査し、又は関係者に対し質問をすることができる。
漁業監督官 又は漁業監督吏員がその職務を行う場合には、その身分を証明する証票を携帯し、要求があるときはこれを提示しなければならない。
漁業監督官 及び漁業監督吏員であつてその所属する官公署の長がその者の主たる勤務地を管轄する地方裁判所に対応する検察庁の検事正と協議をして指名したものは、漁業に関する罪に関し、刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)の規定による司法警察員として職務を行う。
農林水産大臣は、捜査上特に必要があると認めるときは、都道府県知事に対し、特定の事件につき、当該都道府県の漁業監督吏員を漁業監督官に協力させるべきことを求めることができる。
この場合においては、当該漁業監督吏員は、捜査に必要な範囲において、農林水産大臣の指揮監督を受けるものとする。
都道府県知事は、捜査上特に必要があると認めるときは、農林水産大臣に対し、特定の事件につき、漁業監督官の協力を申請することができる。
この場合においては、農林水産大臣は、適当と認めるときは、当該漁業監督官を協力させるものとする。
漁業監督吏員は、前条に規定する場合のほか、捜査のため必要がある場合において、農林水産大臣の許可を受けたときは、当該都道府県の区域外においても、その職務を行うことができる。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、漁業者 その他水産動植物を採捕し、又は養殖する者が漁業に関する法令の規定 又はこれらの規定に基づく処分に違反する行為をしたと認めるとき(第二十七条 及び第三十四条に規定する場合を除く。)は、当該行為をした者が使用する船舶について停泊港 及び停泊期間を指定して停泊を命じ、又は当該行為に使用した漁具 その他水産動植物の採捕 若しくは養殖の用に供される物について期間を指定してその使用の禁止 若しくは陸揚げを命ずることができる。
農林水産大臣 又は都道府県知事は、前項の規定による処分(第二十五条第一項の規定に違反する行為に係るものを除く。)をしようとするときは、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
第一項の規定による処分に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
何人も、特定水産動植物(財産上の不正な利益を得る目的で採捕されるおそれが大きい水産動植物であつて当該目的による採捕が当該水産動植物の生育 又は漁業の生産活動に深刻な影響をもたらすおそれが大きいものとして農林水産省令で定めるものをいう。次項第四号 及び第百八十九条において同じ。)を採捕してはならない。
前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
漁獲割当管理区分において年次漁獲割当量設定者がその設定を受けた年次漁獲割当量の範囲内において採捕する場合
第三十六条第一項、第五十七条第一項、第八十八条第一項(同条第五項において準用する場合を含む。)又は第百十九条第一項の規定による許可を受けた者が当該許可に基づいて漁業を営む場合
漁業権 又は組合員行使権を有する者がこれらの権利に基づいて漁業を営む場合
前三号に掲げる場合のほか、当該特定水産動植物の生育 及び漁業の生産活動への影響が軽微な場合として農林水産省令で定める場合
国は、漁業調整の円滑な実施を確保するため、水産資源の状況 及び当該水産資源の採捕の状況に照らし、当該水産資源の採捕に使用される船舶の数 又は操業日数の削減 その他の漁業者による漁獲努力量(第七条第三項に規定する漁獲努力量をいう。)の調整を図るために必要な措置を講ずるものとする。