この法律は、教育基本法(平成十八年法律第百二十号)の精神に則り、社会教育に関する国 及び地方公共団体の任務を明らかにすることを目的とする。
社会教育法
第一章 総則
この法律において「社会教育」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)又は就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)に基づき、学校の教育課程として行われる教育活動を除き、主として青少年 及び成人に対して行われる組織的な教育活動(体育 及びレクリエーシヨンの活動を含む。)をいう。
国 及び地方公共団体は、この法律 及び 他の法令の定めるところにより、社会教育の奨励に必要な施設の設置 及び運営、集会の開催、資料の作製、頒布 その他の方法により、すべての国民があらゆる機会、あらゆる場所を利用して、自ら実際生活に即する文化的教養を高め得るような環境を醸成するように努めなければならない。
国 及び地方公共団体は、前項の任務を行うに当たつては、国民の学習に対する多様な需要を踏まえ、これに適切に対応するために必要な学習の機会の提供 及び その奨励を行うことにより、生涯学習の振興に寄与することとなるよう努めるものとする。
国 及び地方公共団体は、第一項の任務を行うに当たつては、社会教育が学校教育 及び家庭教育との密接な関連性を有することにかんがみ、学校教育との連携の確保に努め、及び家庭教育の向上に資することとなるよう必要な配慮をするとともに、学校、家庭 及び地域住民 その他の関係者相互間の連携 及び協力の促進に資することとなるよう努めるものとする。
前条第一項の任務を達成するために、国は、この法律 及び 他の法令の定めるところにより、地方公共団体に対し、予算の範囲内において、財政的援助 並びに物資の提供 及び そのあつせんを行う。
市(特別区を含む。以下同じ。)町村の教育委員会は、社会教育に関し、当該地方の必要に応じ、予算の範囲内において、次の事務を行う。
所管に属する図書館、博物館、青年の家 その他の社会教育施設の設置 及び管理に関すること。
講座の開設 及び討論会、講習会、講演会、展示会 その他の集会の開催 並びにこれらの奨励に関すること。
家庭教育に関する学習の機会を提供するための講座の開設 及び集会の開催 並びに家庭教育に関する情報の提供 並びにこれらの奨励に関すること。
情報化の進展に対応して情報の収集 及び利用を円滑かつ適正に行うために必要な知識 又は技能に関する学習の機会を提供するための講座の開設 及び集会の開催 並びにこれらの奨励に関すること。
主として学齢児童 及び学齢生徒(それぞれ学校教育法第十八条に規定する学齢児童 及び学齢生徒をいう。)に対し、学校の授業の終了後 又は休業日において学校、社会教育施設 その他適切な施設を利用して行う学習 その他の活動の機会を提供する事業の実施 並びにその奨励に関すること。
青少年に対しボランティア活動など社会奉仕体験活動、自然体験活動 その他の体験活動の機会を提供する事業の実施 及び その奨励に関すること。
社会教育における学習の機会を利用して行つた学習の成果を活用して学校、社会教育施設 その他地域において行う教育活動 その他の活動の機会を提供する事業の実施 及び その奨励に関すること。
その他第三条第一項の任務を達成するために必要な事務
市町村の教育委員会は、前項第十三号から第十五号までに規定する活動であつて地域住民 その他の関係者(以下 この項 及び第九条の七第二項において「地域住民等」という。)が学校と協働して行うもの(以下「地域学校協働活動」という。)の機会を提供する事業を実施するに当たつては、地域住民等の積極的な参加を得て当該地域学校協働活動が学校との適切な連携の下に円滑かつ効果的に実施されるよう、地域住民等と学校との連携協力体制の整備、地域学校協働活動に関する普及啓発 その他の必要な措置を講ずるものとする。
地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和三十一年法律第百六十二号)第二十三条第一項の条例の定めるところによりその長が同項第一号に掲げる事務(以下「特定事務」という。)を管理し、及び執行することとされた地方公共団体(以下「特定地方公共団体」という。)である市町村にあつては、第一項の規定にかかわらず、同項第三号 及び第四号の事務のうち特定事務に関するものは、その長が行うものとする。
都道府県の教育委員会は、社会教育に関し、当該地方の必要に応じ、予算の範囲内において、前条第一項各号の事務(同項第三号の事務を除く。)を行うほか、次の事務を行う。
前条第二項の規定は、都道府県の教育委員会が地域学校協働活動の機会を提供する事業を実施する場合に準用する。
特定地方公共団体である都道府県にあつては、第一項の規定にかかわらず、前条第一項第四号の事務のうち特定事務に関するものは、その長が行うものとする。
地方公共団体の長は、その所掌に関する必要な広報宣伝で視聴覚教育の手段を利用すること その他教育の施設 及び手段によることを適当とするものにつき、教育委員会に対し、その実施を依頼し、又は実施の協力を求めることができる。
前項の規定は、他の行政庁がその所掌に関する必要な広報宣伝につき、教育委員会(特定地方公共団体にあつては、その長 又は教育委員会)に対し、その実施を依頼し、又は実施の協力を求める場合に準用する。
教育委員会は、社会教育に関する事務を行うために必要があるときは、当該地方公共団体の長 及び関係行政庁に対し、必要な資料の提供 その他の協力を求めることができる。
特定地方公共団体の長は、特定事務のうち当該特定地方公共団体の教育委員会の所管に属する学校、社会教育施設 その他の施設における教育活動と密接な関連を有するものとして当該特定地方公共団体の規則で定めるものを管理し、及び執行するに当たつては、当該教育委員会の意見を聴かなければならない。
特定地方公共団体の長は、前項の規則を制定し、又は改廃しようとするときは、あらかじめ、当該特定地方公共団体の教育委員会の意見を聴かなければならない。
特定地方公共団体の教育委員会は、特定事務の管理 及び執行について、その職務に関して必要と認めるときは、当該特定地方公共団体の長に対し、意見を述べることができる。