警察法

# 昭和二十九年法律第百六十二号 #

第二章 国家公安委員会

分類 法律
カテゴリ   警察
@ 施行日 : 令和五年六月一日 ( 2023年 6月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第九十七号による改正
最終編集日 : 2024年 02月27日 14時53分


1項

内閣総理大臣の所轄の下に、国家公安委員会を置く。

2項

国家公安委員会は、委員長 及び五人の委員をもつて組織する。

1項

国家公安委員会は、国の公安に係る警察運営をつかさどり、警察教養、警察通信、情報技術の解析、犯罪鑑識、犯罪統計 及び警察装備に関する事項を統轄し、並びに警察行政に関する調整を行うことにより、個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持することを任務とする。

2項

前項に定めるもののほか、国家公安委員会は、同項の任務に関連する特定の内閣の重要政策に関する内閣の事務を助けることを任務とする。

3項

国家公安委員会は、前項の任務を遂行するに当たり、内閣官房を助けるものとする。

4項

国家公安委員会は、第一項の任務を達成するため、次に掲げる事務について、警察庁を管理する。

一 号

警察に関する制度の企画 及び立案に関すること。

二 号

警察に関する国の予算に関すること。

三 号

警察に関する国の政策の評価に関すること。

四 号

次に掲げる事案で国の公安に係るものについての警察運営に関すること。

民心に不安を生ずべき大規模な災害に係る事案

地方の静穏を害するおそれのある騒乱に係る事案

国際関係に重大な影響を与え、その他 国の重大な利益を著しく害するおそれのある航空機の強取、人質による強要、爆発物の所持 その他 これらに準ずる犯罪に係る事案

五 号

第七十一条の緊急事態に対処するための計画 及び その実施に関すること。

六 号

次のいずれかに該当する広域組織犯罪 その他の事案(以下「広域組織犯罪等」という。)に対処するための警察の態勢に関すること。

全国の広範な区域において個人の生命、身体 及び財産 並びに公共の安全と秩序を害し、又は害するおそれのある事案(に掲げるものを除く

国外において日本国民の生命、身体 及び財産 並びに日本国の重大な利益を害し、又は害するおそれのある事案(に掲げるものを除く

サイバーセキュリティ(サイバーセキュリティ基本法平成二十六年法律第百四号第二条に規定するサイバーセキュリティをいう。)が害されることその他情報技術を用いた不正な行為により生ずる個人の生命、身体及び財産並びに公共の安全と秩序を害し、又は害するおそれのある事案(以下この号 及び第二十五条第一号において「サイバー事案」という。)のうち次のいずれかに該当するもの(第十六号 及び第六十一条の三において「重大サイバー事案」という。

(1)
次に掲げる事務又は事業の実施に重大な支障が生じ、又は生ずるおそれのある事案
(i)

国 又は地方公共団体の重要な情報の管理 又は重要な情報システムの運用に関する事務

(ii)

国民生活 及び経済活動の基盤であつて、その機能が停止し、又は低下した場合に国民生活 又は経済活動に多大な影響を及ぼすおそれが生ずるものに関する事業

(2)

高度な技術的手法が用いられる事案 その他のその対処に高度な技術を要する事案

(3)

国外に所在する者であつてサイバー事案を生じさせる不正な活動を行うものが関与する事案

七 号

全国的な幹線道路における交通の規制に関すること。

八 号

犯罪による収益に関する情報の集約、整理 及び分析 並びに関係機関に対する提供に関すること。

九 号

国際刑事警察機構、外国の警察行政機関 その他国際的な警察に関する関係機関との連絡に関すること。

十 号

国際捜査共助に関すること。

十一 号

国際緊急援助活動に関すること。

十二 号

所掌事務に係る国際協力に関すること。

十三 号

犯罪被害者等基本計画(犯罪被害者等基本法平成十六年法律第百六十一号第八条第一項に規定する犯罪被害者等基本計画をいう。第二十一条第二十一号において同じ。)の作成 及び推進に関すること。

十四 号

債権管理回収業に関する特別措置法(平成十年法律第百二十六号)の規定に基づく意見の陳述 その他の活動に関すること。

十五 号

無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律平成十一年法律第百四十七号)の規定に基づく意見の陳述 その他の活動に関すること。

十六 号
重大サイバー事案に係る犯罪の捜査 その他の重大サイバー事案に対処するための警察の活動に関すること。
十七 号
皇宮警察に関すること。
十八 号
警察教養施設の維持管理 その他警察教養に関すること。
十九 号
警察通信施設の維持管理 その他警察通信に関すること。
二十 号

犯罪の取締りのための電子情報処理組織 及び電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の解析 その他情報技術の解析に関すること。

二十一 号
犯罪鑑識施設の維持管理 その他犯罪鑑識に関すること。
二十二 号
犯罪統計に関すること。
二十三 号
警察装備に関すること。
二十四 号
警察職員の任用、勤務 及び活動の基準に関すること。
二十五 号

前号に掲げるもののほか、警察行政に関する調整に関すること。

二十六 号

前各号に掲げる事務を遂行するために必要な監察に関すること。

二十七 号

前各号に掲げるもののほか、他の法律(これに基づく命令を含む。)の規定に基づき警察庁の権限に属させられた事務

5項

前項に定めるもののほか、国家公安委員会は、第一項の任務を達成するため、法律(法律に基づく命令を含む。)の規定に基づきその権限に属させられた事務をつかさどる。

6項

前二項に定めるもののほか、国家公安委員会は、第二項の任務を達成するため、内閣府設置法平成十一年法律第八十九号第四条第二項に規定する事務のうち、第一項の任務に関連する特定の内閣の重要政策について、当該重要政策に関して閣議において決定された基本的な方針に基づいて、行政各部の施策の統一を図るために必要となる企画 及び立案 並びに総合調整に関する事務をつかさどる。

7項

国家公安委員会は、都道府県公安委員会と常に緊密な連絡を保たなければならない。

1項

委員長は、国務大臣をもつて充てる。

2項

委員長は、会務を総理し、国家公安委員会を代表する。

3項

国家公安委員会は、あらかじめ委員の互選により、委員長に故障がある場合において委員長を代理する者を定めておかなければならない。

1項

委員は、任命前五年間に警察 又は検察の職務を行う職業的公務員の前歴のない者のうちから、内閣総理大臣が両議院の同意を得て任命する。

2項

委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会 又は衆議院の解散のために両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、前項の規定にかかわらず同項に定める資格を有する者のうちから、委員を任命することができる。

3項

前項の場合においては、任命後最初の国会で両議院の事後の承認を得なければならない。


この場合において、両議院の事後の承認を得られないときは、内閣総理大臣は、直ちにその委員を罷免しなければならない。

4項

次の各号いずれかに該当する者は、委員となることができない

一 号

破産者で復権を得ない者

二 号

禁錮以上の刑に処せられた者

5項

委員の任命については、そのうち三人以上が同一の政党に所属することとなつてはならない。

1項

委員の任期は、五年とする。


但し、補欠の委員は、前任者の残任期間在任する。

2項

委員は、一回に限り再任されることができる。

1項

委員は、第七条第四項各号の一に該当するに至つた場合においては、その職を失うものとする。

2項

内閣総理大臣は、委員が心身の故障のため職務の執行ができないと認める場合 又は委員に職務上の義務違反 その他委員たるに適しない非行があると認める場合においては、両議院の同意を得て、これを罷免することができる。

3項

内閣総理大臣は、両議院の同意を得て、左に掲げる委員を罷免する。

一 号

委員のうち何人も所属していなかつた同一の政党に新たに三人以上の委員が所属するに至つた場合においては、これらの者のうち二人をこえる員数の委員

二 号

委員のうち一人がすでに所属している政党に新たに二人以上の委員が所属するに至つた場合においては、これらの者のうち一人をこえる員数の委員

4項

内閣総理大臣は、委員のうち二人がすでに所属している政党に新たに所属するに至つた委員を直ちに罷免する。

5項

第七条第三項 及び前三項の場合を除く外、委員は、その意に反して罷免されることがない。

1項

国家公務員法昭和二十二年法律第百二十号第九十六条第一項第九十七条第九十八条第一項第九十九条第百条第一項 及び第二項第百三条第一項 及び第二項 並びに第百四条の規定は、委員の服務について準用する。


この場合において、

同法第九十七条
政令」とあるのは
「内閣府令」と、

同法第百三条第二項
人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認」とあり、
又は同法第百四条
内閣総理大臣 及び その職員の所轄庁の長の許可」とあるのは
「内閣総理大臣の承認」と

読み替えるものとする。

2項

委員は、国 若しくは地方公共団体の常勤の職員 又は国家公務員法第六十条の二第一項に規定する短時間勤務の官職 若しくは地方公務員法昭和二十五年法律第二百六十一号第二十二条の四第一項に規定する短時間勤務の職を占める職員と兼ねることができない

3項

委員は、政党 その他の政治的団体の役員となり、又は積極的に政治運動をしてはならない。

4項

委員の給与は、別に法律で定める。

1項

国家公安委員会は、委員長が招集する。


国家公安委員会は、委員長 及び三人以上の委員の出席がなければ会議を開き、議決をすることができない

2項

国家公安委員会の議事は、出席委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。

3項

委員長に故障がある場合においては、第六条第三項に規定する委員長を代理する者は、前二項に規定する委員長の職務を行うものとし、これらの項に規定する会議 又は議事の定足数の計算については、なお委員であるものとする。

1項

国家公安委員会は、その所掌事務について、法律、政令 又は内閣府令の特別の委任に基づいて、国家公安委員会規則を制定することができる。

1項

国家公安委員会は、第五条第四項第二十六号の監察について必要があると認めるときは、警察庁に対する同項の規定に基づく指示を具体的 又は個別的な事項にわたるものとすることができる。

2項

国家公安委員会は、前項の規定による指示をした場合において、必要があると認めるときは、その指名する委員に、当該指示に係る事項の履行の状況を点検させることができる。

3項

国家公安委員会は、警察庁の職員に、前項の規定により指名された委員の同項に規定する事務を補助させることができる。

1項

国家公安委員会は、第五条第六項に規定する事務の遂行のため必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、必要な資料の提出 及び説明を求めることができる。

2項

国家公安委員会は、第五条第六項に規定する事務の遂行のため特に必要があると認めるときは、関係行政機関の長に対し、勧告することができる。

3項

国家公安委員会は、前項の規定により関係行政機関の長に対し勧告したときは、当該関係行政機関の長に対し、その勧告に基づいてとつた措置について報告を求めることができる。

4項

国家公安委員会は、第二項の規定により勧告した事項に関し特に必要があると認めるときは、内閣総理大臣に対し、当該事項について内閣法昭和二十二年法律第五号第六条の規定による措置がとられるよう意見を具申することができる。

1項

国家公安委員会に、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律昭和五十五年法律第三十六号)、オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金の支給に関する法律平成二十年法律第八十号)及び国外犯罪被害弔慰金等の支給に関する法律平成二十八年法律第七十三号)の規定による裁定に係る審査請求について専門の事項を調査審議させるため、専門委員若干人を置く。

2項

専門委員の任命、任期 その他専門委員に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

国家公安委員会の庶務は、警察庁において処理する。

1項

この法律に定めるものの外、国家公安委員会の運営に関し必要な事項は、国家公安委員会が定める。