地方公務員法

# 昭和二十五年法律第二百六十一号 #
略称 : 地公法 

第二節 任用

分類 法律
カテゴリ   地方自治
@ 施行日 : 令和五年四月一日 ( 2023年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和三年法律第六十三号による改正
最終編集日 : 2024年 11月08日 10時35分


1項

職員の任用は、この法律の定めるところにより、受験成績、人事評価 その他の能力の実証に基づいて行わなければならない。

1項

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 号

採用

職員以外の者を職員の職に任命すること(臨時的任用を除く)をいう。

二 号

昇任

職員をその職員が現に任命されている職より上位の職制上の段階に属する職員の職に任命することをいう。

三 号

降任

職員をその職員が現に任命されている職より下位の職制上の段階に属する職員の職に任命することをいう。

四 号

転任

職員をその職員が現に任命されている職以外の職員の職に任命することであつて前二号に定めるものに該当しないものをいう。

五 号

標準職務遂行能力

職制上の段階の標準的な職(職員の職に限る。以下同じ。)の職務を遂行する上で発揮することが求められる能力として任命権者が定めるものをいう。

2項

前項第五号の標準的な職は、職制上の段階 及び職務の種類に応じ、任命権者が定める。

3項

地方公共団体の長 及び議会の議長以外の任命権者は、標準職務遂行能力 及び第一項第五号の標準的な職を定めようとするときは、あらかじめ、地方公共団体の長に協議しなければならない。

1項

次の各号いずれかに該当する者は、条例で定める場合を除くほか、職員となり、又は競争試験 若しくは選考を受けることができない

一 号

禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わるまで又はその執行を受けることがなくなるまでの者

二 号

当該地方公共団体において懲戒免職の処分を受け、当該処分の日から二年を経過しない者

三 号

人事委員会 又は公平委員会の委員の職にあつて、第六十条から第六十三条までに規定する罪を犯し、刑に処せられた者

四 号

人事委員会 又は公平委員会の委員の職にあつて、第六十条から第六十三条までに規定する罪を犯し刑に処せられた者

1項

職員の職に欠員を生じた場合においては、任命権者は、採用、昇任、降任 又は転任のいずれかの方法により、職員を任命することができる。

2項

人事委員会(競争試験等を行う公平委員会を含む。以下この節において同じ。)を置く地方公共団体においては、人事委員会は、前項の任命の方法のうちのいずれによるべきかについての一般的基準を定めることができる。

1項

人事委員会を置く地方公共団体においては、職員の採用は、競争試験によるものとする。


ただし、人事委員会規則(競争試験等を行う公平委員会を置く地方公共団体においては、公平委員会規則。以下この節において同じ。)で定める場合には、選考(競争試験以外の能力の実証に基づく試験をいう。以下同じ。)によることを妨げない。

2項

人事委員会を置かない地方公共団体においては、職員の採用は、競争試験 又は選考によるものとする。

3項

人事委員会(人事委員会を置かない地方公共団体においては、任命権者とする。以下この節において「人事委員会等」という。)は、正式任用になつてある職に就いていた職員が、職制 若しくは定数の改廃 又は予算の減少に基づく廃職 又は過員によりその職を離れた後において、再びその職に復する場合における資格要件、採用手続 及び採用の際における身分に関し必要な事項を定めることができる。

1項

採用のための競争試験(以下「採用試験」という。)又は選考は、人事委員会等が行うものとする。


ただし、人事委員会等は、他の地方公共団体の機関との協定によりこれと共同して、又は国 若しくは他の地方公共団体の機関との協定によりこれらの機関に委託して、採用試験 又は選考を行うことができる。

1項

採用試験は、人事委員会等の定める受験の資格を有する全ての国民に対して平等の条件で公開されなければならない。

1項

試験機関に属する者 その他職員は、受験を阻害し、又は受験に不当な影響を与える目的をもつて特別 若しくは秘密の情報を提供してはならない。

1項

人事委員会等は、受験者に必要な資格として職務の遂行上必要であつて最少かつ適当な限度の客観的かつ画一的な要件を定めるものとする。

1項

採用試験は、受験者が、当該採用試験に係る職の属する職制上の段階の標準的な職に係る標準職務遂行能力 及び当該採用試験に係る職についての適性を有するかどうかを正確に判定することをもつてその目的とする。

2項

採用試験は、筆記試験 その他の人事委員会等が定める方法により行うものとする。

1項

人事委員会を置く地方公共団体における採用試験による職員の採用については、人事委員会は、試験ごとに採用候補者名簿を作成するものとする。

2項

採用候補者名簿には、採用試験において合格点以上を得た者の氏名 及び得点を記載するものとする。

3項

採用候補者名簿による職員の採用は、任命権者が、人事委員会の提示する当該名簿に記載された者の中から行うものとする。

4項

採用候補者名簿に記載された者の数が採用すべき者の数よりも少ない場合 その他の人事委員会規則で定める場合には、人事委員会は、他の最も適当な採用候補者名簿に記載された者を加えて提示することを妨げない。

5項

前各項に定めるものを除くほか、採用候補者名簿の作成 及びこれによる採用の方法に関し必要な事項は、人事委員会規則で定めなければならない。

1項

選考は、当該選考に係る職の属する職制上の段階の標準的な職に係る標準職務遂行能力 及び当該選考に係る職についての適性を有するかどうかを正確に判定することをもつてその目的とする。

2項

選考による職員の採用は、任命権者が、人事委員会等の行う選考に合格した者の中から行うものとする。

3項

人事委員会等は、その定める職員の職について前条第一項に規定する採用候補者名簿がなく、かつ、人事行政の運営上必要であると認める場合においては、その職の採用試験 又は選考に相当する国 又は他の地方公共団体の採用試験 又は選考に合格した者を、その職の選考に合格した者とみなすことができる。

1項

職員の昇任は、任命権者が、職員の受験成績、人事評価 その他の能力の実証に基づき、任命しようとする職の属する職制上の段階の標準的な職に係る標準職務遂行能力 及び当該任命しようとする職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。

1項

任命権者が職員を人事委員会規則で定める職(人事委員会を置かない地方公共団体においては、任命権者が定める職)に昇任させる場合には、当該職について昇任のための競争試験(以下「昇任試験」という。)又は選考が行われなければならない。

2項

人事委員会は、前項の人事委員会規則を定めようとするときは、あらかじめ、任命権者の意見を聴くものとする。

3項

昇任試験は、人事委員会等の指定する職に正式に任用された職員に限り、受験することができる。

4項

第十八条から第二十一条までの規定は、第一項の規定による職員の昇任試験を実施する場合について準用する。


この場合において、

第十八条の二
「定める受験の資格を有する全ての国民」とあるのは
「指定する職に正式に任用された全ての職員」と、

第二十一条
「職員の採用」とあるのは
「職員の昇任」と、

「採用候補者名簿」とあるのは
「昇任候補者名簿」と、

同条第四項
「採用すべき」とあるのは
「昇任させるべき」と、

同条第五項
「採用の方法」とあるのは
「昇任の方法」と

読み替えるものとする。

5項

第十八条 並びに第二十一条の二第一項 及び第二項の規定は、第一項の規定による職員の昇任のための選考を実施する場合について準用する。


この場合において、

同条第二項
「職員の採用」とあるのは、
「職員の昇任」と

読み替えるものとする。

1項

任命権者は、職員を降任させる場合には、当該職員の人事評価 その他の能力の実証に基づき、任命しようとする職の属する職制上の段階の標準的な職に係る標準職務遂行能力 及び当該任命しようとする職についての適性を有すると認められる職に任命するものとする。

2項

職員の転任は、任命権者が、職員の人事評価 その他の能力の実証に基づき、任命しようとする職の属する職制上の段階の標準的な職に係る標準職務遂行能力 及び当該任命しようとする職についての適性を有すると認められる者の中から行うものとする。

1項

職員の採用は、全て条件付のものとし、当該職員がその職において六月の期間を勤務し、その間 その職務を良好な成績で遂行したときに、正式のものとなるものとする。


この場合において、人事委員会等は、人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則。第二十二条の四第一項 及び第二十二条の五第一項において同じ。)で定めるところにより、条件付採用の期間を一年を超えない範囲内で延長することができる。

1項

次に掲げる職員(以下この条において「会計年度任用職員」という。)の採用は、第十七条の二第一項 及び第二項の規定にかかわらず、競争試験 又は選考によるものとする。

一 号

一会計年度を超えない範囲内で置かれる非常勤の職(第二十二条の四第一項に規定する短時間勤務の職を除く)(次号において「会計年度任用の職」という。)を占める職員であつて、その一週間当たりの通常の勤務時間が常時勤務を要する職を占める職員の一週間当たりの通常の勤務時間に比し短い時間であるもの

二 号

会計年度任用の職を占める職員であつて、その一週間当たりの通常の勤務時間が常時勤務を要する職を占める職員の一週間当たりの通常の勤務時間と同一の時間であるもの

2項

会計年度任用職員の任期は、その採用の日から同日の属する会計年度の末日までの期間の範囲内で任命権者が定める。

3項

任命権者は、前二項の規定により会計年度任用職員を採用する場合には、当該会計年度任用職員にその任期を明示しなければならない。

4項

任命権者は、会計年度任用職員の任期が第二項に規定する期間に満たない場合には、当該会計年度任用職員の勤務実績を考慮した上で、当該期間の範囲内において、その任期を更新することができる。

5項

第三項の規定は、前項の規定により任期を更新する場合について準用する。

6項

任命権者は、会計年度任用職員の採用 又は任期の更新に当たつては、職務の遂行に必要かつ十分な任期を定めるものとし、必要以上に短い任期を定めることにより、採用 又は任期の更新を反復して行うことのないよう配慮しなければならない。

7項

会計年度任用職員に対する前条の規定の適用については、

同条
六月」とあるのは、
一月」と

する。

1項

人事委員会を置く地方公共団体においては、任命権者は、人事委員会規則で定めるところにより、常時勤務を要する職に欠員を生じた場合において、緊急のとき、臨時の職に関するとき、又は採用候補者名簿(第二十一条の四第四項において読み替えて準用する第二十一条第一項に規定する昇任候補者名簿を含む。)がないときは、人事委員会の承認を得て、六月を超えない期間で臨時的任用を行うことができる。


この場合において、任命権者は、人事委員会の承認を得て、当該臨時的任用を六月を超えない期間で更新することができるが、再度更新することはできない

2項

前項の場合において、人事委員会は、臨時的に任用される者の資格要件を定めることができる。

3項

人事委員会は、前二項の規定に違反する臨時的任用を取り消すことができる。

4項

人事委員会を置かない地方公共団体においては、任命権者は、地方公共団体の規則で定めるところにより、常時勤務を要する職に欠員を生じた場合において、緊急のとき、又は臨時の職に関するときは、六月を超えない期間で臨時的任用を行うことができる。


この場合において、任命権者は、当該臨時的任用を六月を超えない期間で更新することができるが、再度更新することはできない

5項

臨時的任用は、正式任用に際して、いかなる優先権をも与えるものではない。

6項

前各項に定めるもののほか、臨時的に任用された職員に対しては、この法律を適用する。

1項

任命権者は、当該任命権者の属する地方公共団体の条例年齢以上退職者(条例で定める年齢に達した日以後に退職(臨時的に任用される職員 その他の法律により任期を定めて任用される職員 及び非常勤職員が退職する場合を除く)をした者をいう。以下同じ。)を、条例で定めるところにより、従前の勤務実績 その他の人事委員会規則で定める情報に基づく選考により、短時間勤務の職(当該職を占める職員の一週間当たりの通常の勤務時間が、常時勤務を要する職でその職務が当該短時間勤務の職と同種の職を占める職員の一週間当たりの通常の勤務時間に比し短い時間である職をいう。以下同じ。)に採用することができる。


ただし、条例年齢以上退職者がその者を採用しようとする短時間勤務の職に係る定年退職日相当日(短時間勤務の職を占める職員が、常時勤務を要する職でその職務が当該短時間勤務の職と同種の職を占めているものとした場合における第二十八条の六第一項に規定する定年退職日をいう。第三項 及び第四項において同じ。)を経過した者であるときは、この限りでない。

2項

前項の条例で定める年齢は、国の職員につき定められている国家公務員法昭和二十二年法律第百二十号第六十条の二第一項に規定する年齢を基準として定めるものとする。

3項

第一項の規定により採用された職員(以下この条 及び第二十九条第三項において「定年前再任用短時間勤務職員」という。)の任期は、採用の日から定年退職日相当日までとする。

4項

任命権者は、条例年齢以上退職者のうちその者を採用しようとする短時間勤務の職に係る定年退職日相当日を経過していない者以外の者を当該短時間勤務の職に採用することができず、定年前再任用短時間勤務職員のうち当該定年前再任用短時間勤務職員を昇任し、降任し、又は転任しようとする短時間勤務の職に係る定年退職日相当日を経過していない定年前再任用短時間勤務職員以外の職員を当該短時間勤務の職に昇任し、降任し、又は転任することができない。

5項

任命権者は、定年前再任用短時間勤務職員を、常時勤務を要する職に昇任し、降任し、又は転任することができない。

6項

第一項の規定による採用については、第二十二条の規定は、適用しない

1項

地方公共団体の組合を組織する地方公共団体の任命権者は、前条第一項本文の規定によるほか、当該地方公共団体の組合の条例年齢以上退職者を、条例で定めるところにより、従前の勤務実績 その他の人事委員会規則で定める情報に基づく選考により、短時間勤務の職に採用することができる。

2項

地方公共団体の組合の任命権者は、前条第一項本文の規定によるほか、当該地方公共団体の組合を組織する地方公共団体の条例年齢以上退職者を、条例で定めるところにより、従前の勤務実績 その他の地方公共団体の組合の規則(競争試験等を行う公平委員会を置く地方公共団体の組合においては、公平委員会規則)で定める情報に基づく選考により、短時間勤務の職に採用することができる。

3項

前二項の場合においては、前条第一項ただし書 及び第三項から第六項までの規定を準用する。