日本郵便株式会社(以下「会社」という。)は、郵便の業務、銀行窓口業務 及び保険窓口業務 並びに郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務を営むことを目的とする株式会社とする。
日本郵便株式会社法
第一章 総則
この法律において「郵便窓口業務」とは、簡易郵便局法(昭和二十四年法律第二百十三号)第二条に規定する郵便窓口業務をいう。
この法律において「銀行窓口業務」とは、会社と次に掲げる事項を含む契約(以下「銀行窓口業務契約」という。)を締結する銀行法(昭和五十六年法律第五十九号)第二条第一項に規定する銀行(以下「関連銀行」という。)を所属銀行(同条第十六項に規定する所属銀行をいう。)として営む銀行代理業(同条第十四項第一号 及び第三号に掲げる行為に係るものであって、会社が第五条の責務を果たすために営むべきものとして総務省令で定めるものに限る。以下 この項において同じ。)をいう。
会社が第五条の責務を果たすために銀行代理業を営むこと。
会社が営む銀行代理業の具体的な内容 及び方法
会社の営業所であって、銀行代理業を行うものの名称 及び所在地
その他総務省令で定める事項
この法律において「保険窓口業務」とは、会社と次に掲げる事項を含む契約(以下「保険窓口業務契約」という)を締結する保険業法(平成七年法律第百五号)第二条第三項に規定する生命保険会社(株式会社に限る。以下「関連保険会社」という。)を所属保険会社等として営む保険募集 及び関連保険会社の事務の代行(同法第三条第四項第一号に掲げる保険(第五条において「生命保険」という。)に係るものであって、会社が第五条の責務を果たすために営むべきものとして総務省令で定めるものに限る。以下 この項において同じ。)をいう。
会社が第五条の責務を果たすために保険募集 及び関連保険会社の事務の代行を営むこと。
会社が営む保険募集 及び関連保険会社の事務の代行の具体的な内容 及び方法
会社の営業所であって、保険募集 及び関連保険会社の事務の代行を行うものの名称 及び所在地
その他総務省令で定める事項
この法律において「郵便局」とは、会社の営業所であって、郵便窓口業務、銀行窓口業務 及び保険窓口業務を行うものをいう。
この法律において「銀行代理業」とは、銀行法第二条第十四項に規定する銀行代理業をいう。
この法律において「所属保険会社等」又は「保険募集」とは、それぞれ保険業法第二条第二十四項 又は第二十六項に規定する所属保険会社等 又は保険募集をいう。
会社でない者は、その商号中に日本郵便株式会社という文字を使用してはならない。
第二章 業務等
会社は、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むものとする。
郵便法(昭和二十二年法律第百六十五号)の規定により行う郵便の業務
前号に掲げる業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するために行う、銀行窓口業務契約の締結 及び当該銀行窓口業務契約に基づいて行う関連銀行に対する権利の行使
前号に掲げる業務の健全、適切かつ安定的な運営を維持するために行う、保険窓口業務契約の締結 及び当該保険窓口業務契約に基づいて行う関連保険会社に対する権利の行使
国の委託を受けて行う印紙の売りさばき
前各号に掲げる業務に附帯する業務
会社は、前項に規定する業務を営むほか、その目的を達成するため、次に掲げる業務を営むことができる。
お年玉付郵便葉書等に関する法律(昭和二十四年法律第二百二十四号)第一条第一項に規定するお年玉付郵便葉書等 及び同法第五条第一項に規定する寄附金付郵便葉書等の発行
地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律(平成十三年法律第百二十号) 第三条第五項に規定する事務取扱郵便局において行う同条第一項第一号に規定する郵便局取扱事務に係る業務
前号に掲げるもののほか、郵便局を活用して行う地域住民の利便の増進に資する業務
前三号に掲げる業務に附帯する業務
会社は、前二項に規定する業務のほか、前二項に規定する業務の遂行に支障のない範囲内で、前二項に規定する業務以外の業務を営むことができる。
会社は、第二項第三号に掲げる業務 及びこれに附帯する業務 並びに前項に規定する業務を営もうとするときは、あらかじめ、総務省令で定める事項を総務大臣に届け出なければならない。
第一項の規定は、同項第二号の規定により会社が営む銀行窓口業務以外の銀行代理業 又は同項第四号の規定により会社が営む保険窓口業務以外の保険募集 若しくは所属保険会社等の事務の代行を第二項 又は第三項の規定により会社が営むことを妨げるものではない。
会社は、その業務の運営に当たっては、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金 及び債権債務の決済の役務 並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにする責務を有する。
会社は、総務省令で定めるところにより、あまねく全国において利用されることを旨として郵便局を設置しなければならない。
会社は、総務省令で定めるところにより、業務開始の際、次に掲げる事項を総務大臣に届け出なければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
会社の営業所であって、郵便窓口業務を行うもののうち、銀行窓口業務 又は保険窓口業務を行わないものの名称 及び所在地
会社は、総務省令で定めるところにより、銀行窓口業務契約 又は保険窓口業務契約を締結する前に、その内容を総務大臣に届け出なければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
会社の社債権者は、会社の財産について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
会社は、会社法(平成十七年法律第八十六号)第百九十九条第一項に規定するその発行する株式(第二十三条第四号において「新株」という。)若しくは同法第二百三十八条第一項に規定する募集新株予約権(同号において「募集新株予約権」という。)を引き受ける者の募集をし、又は株式交換 若しくは株式交付に際して株式 若しくは新株予約権を交付しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。
会社は、新株予約権の行使により株式を発行した後、遅滞なく、その旨を総務大臣に届け出なければならない。
会社は、毎事業年度の開始前に、総務省令で定めるところにより、その事業年度の事業計画を定め、総務大臣の認可を受けなければならない。
これを変更しようとするときも、同様とする。
会社は、総務省令で定める重要な財産を譲渡し、又は担保に供しようとするときは、総務大臣の認可を受けなければならない。
会社の定款の変更、合併、会社分割 及び解散の決議は、総務大臣の認可を受けなければ、その効力を生じない。
会社は、総務省令で定めるところにより、毎事業年度の貸借対照表、損益計算書 及び事業報告書 その他会社の財産、損益 又は業務の状況を示す書類として総務省令で定める書類を総務大臣に提出しなければならない。
会社は、総務省令で定めるところにより、毎事業年度の次に掲げる業務の区分ごとの収支の状況を記載した書類を総務大臣に提出しなければならない。
第四条第一項第一号 及び第六号 並びに第二項第一号に掲げる業務 並びにこれらに附帯する業務
第四条第一項第二号 及び第三号に掲げる業務 並びにこれらに附帯する業務
第四条第一項第四号 及び第五号に掲げる業務 並びにこれらに附帯する業務
前三号に掲げる業務以外の業務
第三章 雑則
会社は、総務大臣がこの法律 及び次に掲げる法律の定めるところに従い監督する。
印紙をもつてする歳入金納付に関する法律(昭和二十三年法律第百四十二号)
郵便切手類販売所等に関する法律(昭和二十四年法律第九十一号)
お年玉付郵便葉書等に関する法律
郵便物運送委託法(昭和二十四年法律第二百八十四号)
地方公共団体の特定の事務の郵便局における取扱いに関する法律(第五条の規定に限る。)
独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構法(平成十七年法律第百一号)
総務大臣は、この法律 及び前項各号に掲げる法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社に対し、その業務に関し監督上 必要な命令をすることができる。
総務大臣は、この法律 及び前条第一項各号に掲げる法律を施行するため特に必要があると認めるときは、会社からその業務に関し報告をさせ、又はその職員に、会社の営業所、事務所 その他の事業場に立ち入り、帳簿、書類 その他の物件を検査させることができる。
前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人にこれを提示しなければならない。
第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
総務大臣は、第十条、第十一条 又は第十二条(定款の変更の決議に係るものを除く。)の認可をしようとするときは、財務大臣に協議しなければならない。
会社は、金融商品取引法(昭和二十三年法律第二十五号)第二十四条第一項第一号に規定する有価証券の発行者が同法第二十五条第二項の規定により公衆の縦覧に供しなければならない書類の写しに記載される情報を勘案して総務省令で定める情報を、総務省令で定めるところにより、公表しなければならない。
会社は、前項に定めるもののほか、次の各号のいずれかに該当するときは、総務省令で定めるところにより、その旨を公表しなければならない。
第四条第四項、第六条第二項 又は第七条の規定による届出をしたとき。
第十条の規定による認可を受けたとき。
第十四条の規定による提出をしたとき。
第四章 罰則
会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役 又は職員が、その職務に関して、賄賂を収受し、又はその要求 若しくは約束をしたときは、三年以下の懲役に処する。
これによって不正の行為をし、又は相当の行為をしなかったときは、五年以下の懲役に処する。
前項の場合において、犯人が収受した賄賂は、没収する。
その全部 又は一部を没収することができないときは、その価額を追徴する。
前条第一項の賄賂を供与し、又はその申込み 若しくは約束をした者は、三年以下の懲役 又は百万円以下の罰金に処する。
前項の罪を犯した者が自首したときは、その刑を減軽し、又は免除することができる。
第十九条第一項の罪は、日本国外において同項の罪を犯した者にも適用する。
前条第一項の罪は、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二条の例に従う。
第十六条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)、監査役 又は職員は、三十万円以下の罰金に処する。
次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした会社の取締役、執行役、会計参与 若しくはその職務を行うべき社員 又は監査役は、百万円以下の過料に処する。
第四条第四項の規定に違反して、同項の届出を行わず、又は虚偽の届出を行ったとき。
第六条第二項の規定に違反して、同項の届出を行わず、又は虚偽の届出を行ったとき。
第七条の規定に違反して、同条の届出を行わず、又は虚偽の届出を行ったとき。
第九条第一項の規定に違反して、新株 若しくは募集新株予約権を引き受ける者の募集をし、又は株式交換 若しくは株式交付に際して株式 若しくは新株予約権を交付したとき。
第九条第二項の規定に違反して、株式を発行した旨の届出を行わなかったとき。
第十条の規定に違反して、事業計画の認可を受けなかったとき。
第十一条の規定に違反して、財産を譲渡し、又は担保に供したとき。
第十三条の規定に違反して、貸借対照表、損益計算書、事業報告書 若しくは同条の総務省令で定める書類を提出せず、又は虚偽の記載 若しくは記録をしたこれらのものを提出したとき。
第十四条の規定に違反して、同条に規定する書類を提出せず、又は虚偽の記載 若しくは記録をした同条に規定する書類を提出したとき。
第十五条第二項の規定による命令に違反したとき。
第十八条第一項 又は第二項の規定による公表をせず、又は虚偽の公表をしたとき。
第三条の規定に違反した者は、十万円以下の過料に処する。