裁判官訴追委員(以下訴追委員という。)の員数は、衆議院議員 及び参議院議員各十人とし、その予備員の員数は、衆議院議員 及び参議院議員各五人とする。
裁判官弾劾法
第二章 訴追
衆議院議員たる訴追委員 及びその予備員の選挙は、衆議院議員総選挙の後初めて召集される国会の会期の始めにこれを行う。
衆議院議員たる訴追委員 又はその予備員が欠けたときは、衆議院においてその補欠選挙を行う。
参議院における訴追委員 及びその予備員の選挙は、第二十二回国会の会期中にこれを行う。
参議院議員たる訴追委員 又はその予備員が欠けたときは、参議院においてその補欠選挙を行う。
訴追委員 及びその予備員の任期は、衆議院議員 又は参議院議員としての任期による。
訴追委員 又はその予備員が辞職しようとするときは、委員長を経由して、その者の属する議院の許可を受けなければならない。
但し、国会の閉会中は、その者の属する議院の議長の許可を受けて辞職することができる。
予備員は、その者の属する議院の議員たる訴追委員に事故のある場合 又はその訴追委員が欠けた場合に、その訴追委員の職務を行う。
予備員が前項の規定により職務を行う順序は、その選挙の際、その者の属する議院の議決によりこれを定める。
訴追委員会の委員長は、会務を統理し、訴追委員会を代表する。
委員長に事故のあるときは、予め訴追委員会の定める順序により、他の訴追委員が、臨時に委員長の職務を行う。
訴追委員会に事務局を置く。
事務局に参事 その他の職員を置く。
事務局の職員の定員は、委員長が両議院の議院運営委員会の承認を得て これを定める。
参事の中一人を事務局長とする。
事務局長は、委員長の監督を受けて、庶務を掌理し、他の職員を指揮監督する。
事務局長以外の職員は、上司の命を受けて、庶務に従事する。
事務局長 その他の職員は、委員長が両議院の議長の同意 及び議院運営委員会の承認を得てこれを任免する。
委員長は、必要に応じ、課を置き、事務の分掌を定めることができる。
訴追委員は、独立してその職権を行う。
訴追委員会は、委員長がこれを招集する。
五人以上の訴追委員の要求があるときは、委員長は、訴追委員会を招集しなければならない。
訴追委員会は、衆議院議員たる訴追委員 及び参議院議員たる訴追委員がそれぞれ七人以上出席しなければ、議事を開き議決することができない。
訴追委員会の議事は、出席訴追委員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
但し、罷免の訴追 又は罷免の訴追の猶予をするには、出席訴追委員の三分の二以上の多数でこれを決する。
訴追委員会の議事は、これを公開しない。
訴追委員会は裁判官について、訴追の請求があつたとき 又は弾劾による罷免の事由があると思料するときは、その事由を調査しなければならない。
訴追委員会は、官公署に前項の調査を嘱託することができる。
訴追委員会 及び前項の嘱託を受けた官公署は、その調査に関して、証人の出頭 及び証言 並びに記録の提出を要求することができる。
前項の要求により出頭した証人には、弾劾裁判所に証人が出頭した場合の例により、旅費、日当 及び止宿料を支給する。
訴追委員会は、調査のため訴追委員を派遣することができる。
国会の開会中、訴追委員会において、調査のため、訴追委員を派遣しようとするときは、衆議院議員たる訴追委員については衆議院議長の承認を、参議院議員たる訴追委員については参議院議長の承認を得なければならない。
前二項の規定により訴追委員が派遣されたときは、両議院の議長の協議して定めるところにより、派遣旅費を受ける。
罷免の訴追は、弾劾による罷免の事由があつた後三年を経過したときは、これをすることができない。
但し、その期間内に、衆議院議員の任期が満了し、又は衆議院が解散されたときは、その後初めて召集される国会において衆議院議員たる訴追委員が選挙されて後一箇月を経過するまで、又、同一の事由について刑事訴追があつたときは、事件の判決が確定した後一年を経過するまで罷免の訴追をすることができる。
訴追委員会は、情状により訴追の必要がないと認めるときは、罷免の訴追を猶予することができる。
罷免の訴追は、弾劾裁判所に訴追状を提出してこれをするものとする。
訴追状には、訴追を受ける裁判官の官職、氏名 及び罷免の事由を記載しなければならない。
訴追委員会は、弾劾裁判所に訴追状を提出したときは、直ちにその旨を最高裁判所に通知しなければならない。
何人も、裁判官について弾劾による罷免の事由があると思料するときは、訴追委員会に対し、罷免の訴追をすべきことを求めることができる。
高等裁判所長官は その勤務する裁判所 及びその管轄区域内の下級裁判所の裁判官について、地方裁判所長は その勤務する裁判所 及びその管轄区域内の簡易裁判所の裁判官について、家庭裁判所長は その勤務する裁判所の裁判官について、弾劾による罷免の事由があると思料するときは、最高裁判所に対し、その旨を報告しなければならない。
最高裁判所は、裁判官について、弾劾による罷免の事由があると思料するときは、訴追委員会に対し罷免の訴追をすべきことを求めなければならない。
罷免の訴追の請求をするには、その事由を記載した書面を提出しなければならない。
但し、その証拠は、これを要しない。