裁判所は、第二十一条第一項、第二項、第四項(第四号を除く。)、第五項 若しくは第六項の罪 又は前条第一項(第三号を除く。)の罪に係る事件を取り扱う場合において、当該事件の被害者 若しくは当該被害者の法定代理人 又はこれらの者から委託を受けた弁護士から、当該事件に係る営業秘密を構成する情報の全部 又は一部を特定させることとなる事項を公開の法廷で明らかにされたくない旨の申出があるときは、被告人 又は弁護人の意見を聴き、相当と認めるときは、その範囲を定めて、当該事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができる。
不正競争防止法
第六章 刑事訴訟手続の特例
前項の申出は、あらかじめ、検察官にしなければならない。
この場合において、検察官は、意見を付して、これを裁判所に通知するものとする。
裁判所は、第一項に規定する事件を取り扱う場合において、検察官 又は被告人 若しくは弁護人から、被告人 その他の者の保有する営業秘密を構成する情報の全部 又は一部を特定させることとなる事項を公開の法廷で明らかにされたくない旨の申出があるときは、相手方の意見を聴き、当該事項が犯罪の証明 又は被告人の防御のために不可欠であり、かつ、当該事項が公開の法廷で明らかにされることにより当該営業秘密に基づく被告人 その他の者の事業活動に著しい支障を生ずるおそれがあると認める場合であって、相当と認めるときは、その範囲を定めて、当該事項を公開の法廷で明らかにしない旨の決定をすることができる。
裁判所は、第一項 又は前項の決定(以下「秘匿決定」という。)をした場合において、必要があると認めるときは、検察官 及び被告人 又は弁護人の意見を聴き、決定で、営業秘密構成情報特定事項(秘匿決定により公開の法廷で明らかにしないこととされた営業秘密を構成する情報の全部 又は一部を特定させることとなる事項をいう。以下同じ。)に係る名称 その他の表現に代わる呼称 その他の表現を定めることができる。
裁判所は、秘匿決定をした事件について、営業秘密構成情報特定事項を公開の法廷で明らかにしないことが相当でないと認めるに至ったとき、又は刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)第三百十二条の規定により罰条が撤回 若しくは変更されたため第一項に規定する事件に該当しなくなったときは、決定で、秘匿決定の全部 又は一部 及び当該秘匿決定に係る前項の決定(以下「呼称等の決定」という。)の全部 又は一部を取り消さなければならない。
秘匿決定があったときは、刑事訴訟法第二百九十一条第一項の起訴状の朗読は、営業秘密構成情報特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。
この場合においては、検察官は、被告人に起訴状を示さなければならない。
刑事訴訟法第二百七十一条の二第四項の規定による措置がとられた場合(当該措置に係る個人特定事項(同法第二百一条の二第一項に規定する個人特定事項をいう。以下この項において同じ。)の全部について同法第二百七十一条の五第一項の決定があった場合を除く。)における前項後段の規定の適用については、
同項後段中
「起訴状」とあるのは、
当該措置に係る個人特定事項の一部について同法第二百七十一条の五第一項の決定があった場合にあっては
「起訴状抄本等(同法第二百七十一条の二第二項に規定する起訴状抄本等をいう。)及び同法第二百七十一条の五第四項に規定する書面」と、
それ以外の場合にあっては
「起訴状抄本等(同法第二百七十一条の二第二項に規定する起訴状抄本等をいう。)」と
する。
裁判長は、秘匿決定があった場合において、訴訟関係人のする尋問 又は陳述が営業秘密構成情報特定事項にわたるときは、これを制限することにより、犯罪の証明に重大な支障を生ずるおそれがある場合 又は被告人の防御に実質的な不利益を生ずるおそれがある場合を除き、当該尋問 又は陳述を制限することができる。
訴訟関係人の被告人に対する供述を求める行為についても、同様とする。
刑事訴訟法第二百九十五条第五項 及び第六項の規定は、前項の規定による命令を受けた検察官 又は弁護士である弁護人がこれに従わなかった場合について準用する。
裁判所は、秘匿決定をした場合において、証人、鑑定人、通訳人 若しくは翻訳人を尋問するとき、又は被告人が任意に供述をするときは、検察官 及び被告人 又は弁護人の意見を聴き、証人、鑑定人、通訳人 若しくは翻訳人の尋問 若しくは供述 又は被告人に対する供述を求める行為 若しくは被告人の供述が営業秘密構成情報特定事項にわたり、かつ、これが公開の法廷で明らかにされることにより当該営業秘密に基づく被害者、被告人その他の者の事業活動に著しい支障を生ずるおそれがあり、これを防止するためやむを得ないと認めるときは、公判期日外において当該尋問 又は刑事訴訟法第三百十一条第二項 及び第三項に規定する被告人の供述を求める手続をすることができる。
刑事訴訟法第百五十七条第一項 及び第二項、第百五十八条第二項 及び第三項、第百五十九条第一項、第二百七十三条第二項、第二百七十四条 並びに第三百三条の規定は、前項の規定による被告人の供述を求める手続について準用する。
この場合において、
同法第百五十七条第一項、第百五十八条第三項 及び第百五十九条第一項中
「被告人 又は弁護人」とあるのは
「弁護人、共同被告人 又はその弁護人」と、
同法第百五十八条第二項中
「被告人 及び弁護人」とあるのは
「弁護人、共同被告人 及びその弁護人」と、
同法第二百七十三条第二項中
「公判期日」とあるのは
「不正競争防止法第二十六条第一項の規定による被告人の供述を求める手続の期日」と、
同法第二百七十四条中
「公判期日」とあるのは
「不正競争防止法第二十六条第一項の規定による被告人の供述を求める手続の日時 及び場所」と、
同法第三百三条中
「証人 その他の者の尋問、検証、押収 及び捜索の結果を記載した書面 並びに押収した物」とあるのは
「不正競争防止法第二十六条第一項の規定による被告人の供述を求める手続の結果を記載した書面」と、
「証拠書類 又は証拠物」とあるのは
「証拠書類」と
読み替えるものとする。
裁判所は、呼称等の決定をし、又は前条第一項の規定により尋問 若しくは被告人の供述を求める手続を公判期日外においてする旨を定めるに当たり、必要があると認めるときは、検察官 及び被告人 又は弁護人に対し、訴訟関係人のすべき尋問 若しくは陳述 又は被告人に対する供述を求める行為に係る事項の要領を記載した書面の提示を命ずることができる。
秘匿決定があったときは、刑事訴訟法第三百五条第一項 又は第二項の規定による証拠書類の朗読は、営業秘密構成情報特定事項を明らかにしない方法でこれを行うものとする。
次に掲げる事項は、公判前整理手続 及び期日間整理手続において行うことができる。
秘匿決定 若しくは呼称等の決定 又はこれらの決定を取り消す決定をすること。
第二十六条第一項の規定により尋問 又は被告人の供述を求める手続を公判期日外においてする旨を定めること。
検察官 又は弁護人は、第二十三条第一項に規定する事件について、刑事訴訟法第二百九十九条第一項の規定により証拠書類 又は証拠物を閲覧する機会を与えるに当たり、第二十三条第一項 又は第三項に規定する営業秘密を構成する情報の全部 又は一部を特定させることとなる事項が明らかにされることにより当該営業秘密に基づく被害者、被告人その他の者の事業活動に著しい支障を生ずるおそれがあると認めるときは、相手方に対し、その旨を告げ、当該事項が、犯罪の証明 若しくは犯罪の捜査 又は被告人の防御に関し必要がある場合を除き、関係者(被告人を含む。)に知られないようにすることを求めることができる。
ただし、被告人に知られないようにすることを求めることについては、当該事項のうち起訴状に記載された事項以外のものに限る。
前項の規定は、検察官 又は弁護人が刑事訴訟法第二編第三章第二節第一款第二目(同法第三百十六条の二十八第二項において準用する場合を含む。)の規定による証拠の開示をする場合について準用する。
この法律に定めるもののほか、第二十三条から前条までの規定の実施に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。