人事評価は、国家公務員法(以下「法」という。)第三章第四節の規定 及び この政令の規定 並びにこれらの規定に基づき所轄庁の長が定めた人事評価の実施に関する規程(以下「人事評価実施規程」という。)に基づいて実施するものとする。
人事評価の基準、方法等に関する政令
制定に関する表明
内閣は、国家公務員法(昭和二十二年法律第百二十号)第七十条の三第二項 及び附則第十三条の規定に基づき、この政令を制定する。
第一章 総則
所轄庁の長は、人事評価実施規程を定めようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣と協議しなければならない。
前項の規定は、人事評価実施規程の変更について準用する。
ただし、内閣官房令で定める軽微な変更については、内閣総理大臣に報告することをもって足りる。
人事評価は、所轄庁の長 又は その指定した部内の上級の職員(以下「実施権者」と総称する。)が実施するものとする。
非常勤職員(法第八十一条の五第一項に規定する短時間勤務の官職を占める職員を除く。)
法第六十条の規定により臨時的に任用された職員であって人事評価の結果を給与等へ反映する余地がないもの
検察庁法(昭和二十二年法律第六十一号)第十五条第一項に規定する職員
人事評価は、能力評価(職員がその職務を遂行するに当たり発揮した能力を把握した上で行われる勤務成績の評価をいう。以下同じ。)及び業績評価(職員がその職務を遂行するに当たり挙げた業績を把握した上で行われる勤務成績の評価をいう。以下同じ。)によるものとする。
法第五十九条の条件付採用 又は条件付昇任を正式のものとするか否かについての判断のために行う人事評価は、前項の規定にかかわらず、能力評価のみによるものとする。
能力評価は、当該能力評価に係る評価期間において現実に職員が職務遂行の中でとった行動を、標準職務遂行能力の類型を示す項目として人事評価実施規程に定める項目(以下「評価項目」という。)ごとに、各評価項目に係る能力が具現されるべき行動として人事評価実施規程に定める行動に照らして、当該職員が発揮した能力の程度を評価することにより行うものとする。
第二章 定期評価
第一節 通則
前条第一項の規定による人事評価は、十月一日から翌年九月三十日までの期間を単位とし、毎年実施するものとする。
前項の規定により実施する人事評価は、定期評価という。
定期評価における能力評価は、十月一日から翌年九月三十日までの期間を評価期間とし、次条、第七条 及び次節の規定により行うものとする。
定期評価における業績評価は、十月一日から翌年三月三十一日までの期間 及び四月一日から九月三十日までの期間をそれぞれ評価期間とし、それぞれについて次条、第七条 及び第三節の規定により行うものとする。
定期評価における能力評価に当たっては評価項目ごとに、定期評価における業績評価に当たっては第四条第四項に規定する役割(目標を定めることにより示されたものに限る。)ごとに、それぞれ評価の結果を表示する記号(以下「個別評語」という。)を付すほか、当該能力評価 又は当該業績評価の結果をそれぞれ総括的に表示する記号(以下この章において「全体評語」という。)を付すものとする。
個別評語 及び全体評語は、次の各号に掲げる職員の区分に応じ、当該各号に定める数の段階とする。
ただし、内閣総理大臣は、第三号に掲げる職員の能力評価に係る評価項目のうち、個別評語を同号に定める数の段階とする必要がないと認めるものについては、当該数を下回る範囲内の数で個別評語の段階を別に定めることができる。
第十九条第一号に掲げる職員のうち、事務次官 及びこれに準ずる職にある職員
二
第十九条第一号に掲げる職員のうち、前号に掲げる職員以外の職員
三
前二号に掲げる職員以外の職員
六
個別評語 及び全体評語を付す場合において、能力評価にあっては第四条第三項の発揮した能力の程度が当該能力評価に係る職員に求められる能力の発揮の程度に達していると、業績評価にあっては同条第四項の役割を果たした程度が当該業績評価に係る職員に求められる当該役割を果たした程度に達していると認めるときは、次の各号に掲げる職員の区分に応じ、前項に定める段階のうち当該各号に定めるものを付すものとする。
ただし、同項ただし書の規定により個別評語の段階を定めた場合には、当該個別評語については、内閣総理大臣が別に定める段階を付すものとする。
前項第一号に掲げる職員
上位の段階
前項第二号に掲げる職員
上位 又は中位の段階
前項第三号に掲げる職員
最下位の段階より二段階以上上位の段階
実施権者は、定期評価における能力評価 及び業績評価を受ける職員(以下「被評価者」という。)の監督者の中から次節 及び第三節(第九条第二項 及び第三項 並びに第十条(第十四条において準用する場合を含む。)を除く。)に定める手続を行う者を評価者として指定するものとする。
実施権者は、評価者の監督者の中から第九条第二項(第十四条において準用する場合を含む。)に定める手続を行う者を調整者として指定するものとする。
ただし、任命権者が評価者である場合 その他合理的な理由がある場合には、調整者を指定しないことができる。
実施権者は、評価者 又は調整者を補助する者(以下「補助者」という。)を指定することができる。
第二節 能力評価の手続
評価者は、定期評価における能力評価を行うに際し、その参考とするため、被評価者に対し、あらかじめ、当該能力評価に係る評価期間において当該被評価者の発揮した能力に関する被評価者の自らの認識 その他評価者による評価の参考となるべき事項について申告を行わせるものとする。
評価者は、被評価者について、個別評語 及び評価者としての全体評語を付すことにより評価(次項 及び第三項に規定する再評価を含む。)を行うものとする。
調整者は、評価者による評価について、不均衡があるかどうかという観点から審査を行い、調整者としての全体評語を付すことにより調整(次項に規定する再調整を含む。)を行うものとする。
この場合において、調整者は、当該全体評語を付す前に、評価者に再評価を行わせることができる。
実施権者は、調整者による調整(第七条第二項ただし書の規定により調整者を指定しない場合においては、評価者による評価)について審査を行い、適当でないと認める場合には調整者に再調整を(同項ただし書の規定により調整者を指定しない場合においては、評価者に再評価を)行わせた上で、人事評価実施規程に定める方法により、定期評価における能力評価が適当である旨の確認を行うものとする。
実施権者は、前条第三項の確認を行った後に、被評価者の定期評価における能力評価の結果を、内閣官房令で定めるところにより、当該被評価者に開示するものとする。
評価者は、前条の開示が行われた後に、被評価者と面談(映像 及び音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながらする通話(次項において「特定通話」という。)を含む。同項 及び次条において同じ。)を行い、定期評価における能力評価の結果 及び その根拠となる事実に基づき指導 及び助言を行うものとする。
評価者は、被評価者が遠隔の地に勤務し、かつ、特定通話を行うために必要な電気通信回線を利用することができないこと その他の事情により前項の面談により難い場合には、電話 その他の通信手段による交信(特定通話に該当するものを除く。)を行うことにより、同項の面談に代えることができる。
第三節 業績評価の手続
前条第二項の規定は、前項の面談について準用する。
評価者は、定期評価における業績評価を行うに際し、その参考とするため、被評価者に対し、あらかじめ、当該業績評価に係る評価期間において当該被評価者の挙げた業績に関する被評価者の自らの認識 その他評価者による評価の参考となるべき事項について申告を行わせるものとする。
第九条から第十一条までの規定は、定期評価における業績評価の手続について準用する。
第三章 特別評価
第四条第二項の規定による人事評価は、条件付任用期間(条件付採用期間 及び条件付昇任期間をいう。以下同じ。)中の職員に対して実施するものとする。
前項の規定により実施する人事評価は、特別評価という。
特別評価は、条件付任用期間を評価期間とし、次条から第十八条までの規定により行うものとする。
特別評価に当たっては、能力評価の結果を総括的に表示する記号(以下この章において「全体評語」という。)を付すものとする。
全体評語は、二段階とする。
全体評語を付す場合において、第四条第三項の発揮した能力の程度が同条第二項に規定する判断の対象となる官職に求められる能力の発揮の程度に達していると認めるときは、前項に定める段階のうち上位の段階を付すものとする。
実施権者は、特別評価の実施に当たり、当該条件付任用期間中の職員について、第七条第一項 及び第二項の規定により定期評価の評価者 及び調整者として指定した者を、それぞれ特別評価の評価者 及び調整者として指定するものとする。
実施権者は、当該条件付任用期間中の職員について、第七条第三項の規定により定期評価の補助者として指定した者がいる場合には、当該指定した者を特別評価の補助者として指定することができる。
特別評価の手続については、次の各号に掲げる職員の区分に応じ、当該各号に定める規定を準用する。
条件付採用期間中の職員
第九条(個別評語に係る部分を除く。)
条件付昇任期間中の職員
第九条(個別評語に係る部分を除く。)及び第十条
第四章 雑則
次に掲げる職員についての定期評価の実施に際しては、当該職員の職務と責任の特殊性に照らして、第八条、第九条第一項(個別評語に係る部分に限る。)及び第十一条(これらの規定を第十四条において準用する場合を含む。)、第十二条 並びに第十三条の規定の特例を要する場合には、人事評価実施規程をもって、これを規定することができる。
国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第六条に規定する長官、同法第十八条第一項に規定する事務次官、同法第二十一条第一項に規定する事務局長、局長 若しくは部長の職 又はこれらに準ずる職(行政の特定の分野における高度の専門的な知識経験に基づく調査、研究、情報の分析等を行うことによる政策の企画 及び立案等の支援に関する事務をつかさどる職を除く。)にある職員
国家行政組織法第八条の二に規定する文教研修施設 又はこれに類する施設において長期間の研修を受けている職員
留学(学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)に基づく大学の大学院の課程(同法第百四条第七項第二号の規定により大学院の課程に相当する教育を行うものとして認められたものを含む。)又はこれに相当する外国の大学(これに準ずる教育施設を含む。)の課程に在学してその課程を履修する研修であって、法第七十条の六の規定に基づき、国が実施するものをいう。)その他これに類する長期間の研修を受けている職員
実施権者は、第十条(第十四条 及び第十八条第二号において準用する場合を含む。)の規定により職員に開示された定期評価における能力評価 若しくは業績評価 又は特別評価の結果に関する職員の苦情 その他人事評価に関する職員の苦情について、内閣官房令で定めるところにより、適切に対応するものとする。
職員は、前項の苦情の申出をしたことを理由として、不利益な取扱いを受けない。
人事評価の記録は、内閣官房令で定めるところにより、人事評価記録書として作成しなければならない。
この政令に定めるもののほか、人事評価の基準 及び方法 その他人事評価に関し必要な事項は、内閣官房令で定める。