国税徴収法

# 昭和三十四年法律第百四十七号 #

第四節 換価代金等の配当

分類 法律
カテゴリ   国税
@ 施行日 : 令和六年六月十四日 ( 2024年 6月14日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第五十二号による改正
最終編集日 : 2024年 09月16日 09時47分


1項

税務署長は、次に掲げる金銭をこの節の定めるところにより配当しなければならない。

一 号

差押財産 又は特定参加差押不動産(次条第一項第三号 及び第百三十六条滞納処分費の範囲)において「差押財産等」という。)の売却代金

二 号

有価証券、債権 又は無体財産権等の差押えにより第三債務者等から給付を受けた金銭

三 号
差し押さえた金銭
四 号
交付要求により交付を受けた金銭
2項

第八十九条第三項換価する財産の範囲等)の規定により差押財産等(同条第一項に規定する差押財産等をいう。以下この項において同じ。)が一括して公売に付され、又は随意契約により売却された場合において、各差押財産等ごとに前項第一号に掲げる売却代金の額を定める必要があるときは、その額は、売却代金の総額を各差押財産等の見積価額に応じて按分して得た額とする。


各差押財産等ごとの滞納処分費の負担についても、同様とする。

1項

前条第一項第一号 又は第二号に掲げる金銭(以下「換価代金等」という。)は、次に掲げる国税 その他の債権に配当する。

一 号

差押えに係る国税(特定参加差押不動産の売却代金を配当する場合にあつては、特定参加差押えに係る国税

二 号

交付要求を受けた国税、地方税 及び公課(特定参加差押不動産の売却代金を配当する場合にあつては、差押えに係る国税、地方税 及び公課を含む。

三 号
差押財産等に係る質権、抵当権、先取特権、留置権 又は担保のための仮登記により担保される債権
四 号

第五十九条第一項後段、第三項 又は第四項引渡命令を受けた第三者等の権利の保護)(これらの規定を第七十一条第四項自動車、建設機械 又は小型船舶の差押え)において準用する場合を含む。)の規定の適用を受ける損害賠償請求権 又は借賃に係る債権

2項

前条第一項第三号 又は第四号に掲げる金銭は、それぞれ差押え 又は交付要求に係る国税に充てる。

3項

前二項の規定により配当した金銭に残余があるときは、その残余の金銭は、滞納者に交付する。

4項

換価財産上に担保のための仮登記がある場合における当該仮登記により担保される債権に対する配当については、仮登記担保契約に関する法律第十三条優先弁済請求権)(同法第二十条土地等の所有権以外の権利を目的とする契約への準用)において準用する場合を含む。)の規定を準用する。

5項

換価代金等が第一項各号に掲げる国税 その他の債権の総額に不足するときは、税務署長は、第二章国税と 他の債権との調整)、第五十九条第一項後段、第三項 及び第四項これらの規定を第七十一条第四項において準用する場合を含む。)、前項 並びに民法 その他の法律の規定により配当すべき順位 及び金額を定めて配当しなければならない。

6項

第一項 又は第二項の規定により国税に配当された金銭を国税(附帯税を除く。以下この項において同じ。)及びその延滞税 又は利子税に充てるべきときは、その金銭は、まず その国税に充てなければならない。

1項

前条第一項第二号に掲げる国税、地方税 又は公課を徴収する者 及び同項第三号 又は第四号に掲げる債権を有する者は、売却決定の日の前日までに債権現在額申立書を税務署長に提出しなければならない。

2項

税務署長は、前項の債権現在額申立書を調査して前条第一項各号に掲げる国税 その他の債権を確認するものとする。


この場合において、次に掲げる債権を有する者が債権現在額申立書を提出しないときは、税務署長の調査によりその額を確認するものとする。

一 号
登記がされた質権、抵当権 若しくは先取特権により担保される債権 又は担保のための仮登記により担保される債権
二 号
登記することができない質権 若しくは先取特権 又は留置権により担保される債権で知れているもの
三 号

前条第一項第四号に掲げる債権で知れているもの

3項

前条第一項第三号に掲げる債権のうち前項第一号 及び第二号に掲げる債権以外の債権を有する者が売却決定の時までに債権現在額申立書を提出しないときは、その者は、配当を受けることができない

1項

税務署長は、第百二十九条配当の原則)の規定により配当しようとするときは、政令で定めるところにより、配当を受ける債権、前条第二項の規定により税務署長が確認した金額 その他必要な事項を記載した配当計算書を作成し、換価財産の買受代金の納付の日から三日以内に、次に掲げる者に対する交付のため、その謄本を発送しなければならない。

一 号
債権現在額申立書を提出した者
二 号

前条第二項後段の規定により金額を確認した債権を有する者

三 号
滞納者
1項

税務署長は、前条の規定により配当計算書の謄本を交付するときは、その謄本に換価代金等の交付期日を附記して告知しなければならない。

2項

前項の換価代金等の交付期日は、配当計算書の謄本を交付のため発送した日から起算して七日を経過した日としなければならない。


ただし第百二十九条第一項第三号 又は第四号配当を受ける債権)に掲げる債権を有する者で前条第一号 又は第二号に掲げる者に該当するものがない場合には、その期間は、短縮することができる。

1項
税務署長は、換価代金等の交付期日に配当計算書に従つて換価代金等を交付するものとする。
2項

換価代金等の交付期日までに配当計算書に関する異議の申出があつた場合における前項の換価代金等の交付は、次に定めるところによる。

一 号

その異議が配当計算書に記載された国税、地方税 又は公課の配当金額に対するものであるときは、その行政機関等からの通知に従い、配当計算書を更正し、又は直ちに交付するものとする。

二 号
その異議が配当計算書に記載された国税、地方税 又は公課の配当金額を変更させないものである場合において、その異議に関係を有する者 及び滞納者がその異議を正当と認めたとき、又はその他の方法で合意したときは、配当計算書を更正して交付するものとする。
三 号
その異議が配当計算書に記載された国税、地方税 又は公課の配当金額を変更させるその他の債権の配当金額に関するものである場合において、その異議に関係を有する者 及び滞納者がその異議を正当と認めたとき、又はその他の方法で合意したときは、配当計算書を更正して交付するものとし、その合意がなかつたときは、その異議を参酌して配当計算書を更正して交付し、又は異議につき相当の理由がないと認めるときは、直ちに国税、地方税 又は公課の金額を交付するものとする。
3項

前項の規定により換価代金等を交付することができない場合、換価代金等を配当すべき債権が停止条件付である場合 又は換価代金等を配当すべき債権が仮登記(民事保全法平成元年法律第九十一号第五十三条第二項不動産の登記請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行)(同法第五十四条(==不動産に関する権利以外の権利についての登記 又は登録請求権を保全するための処分禁止の仮処分の執行)において準用する場合を含む。)の規定による仮処分による仮登記を含む。==)がされた質権、抵当権 若しくは先取特権により担保される債権である場合における換価代金等の交付については、政令で定めるところによる。

1項

換価代金等を配当すべき債権の弁済期が到来していないときは、その債権者に交付すべき金額は、供託しなければならない。

2項

税務署長は、前項の規定により供託したときは、その旨を同項の債権者に通知しなければならない。

1項

税務署長は、売却決定を取り消したときは、次に掲げる手続をしなければならない。


ただし第百十二条第一項動産等の売却決定の取消)の規定により、その取消をもつて買受人に対抗することができないときは、この限りでない。

一 号
徴収職員が受領した換価代金等の買受人への返還
二 号

第百二十一条権利移転の登記の嘱託)その他の法令の規定により嘱託した換価に係る権利の移転の登記のまつ消の嘱託

三 号

第百二十五条換価に伴い消滅する権利の登記のまつ消の嘱託)その他の法令の規定による嘱託で換価に係るものによりまつ消された質権、抵当権 その他の権利の登記の回復の登記の嘱託

2項

前項第三号の規定により嘱託した回復の登記に係る質権者、抵当権者 又は先取特権者に対し換価代金等から配当した金額がある場合において、これらの者がその金額を返還しないときは、税務署長は、その金額を限度として、これらの者に代位することができる。


この場合において、配当した金額がその質権、抵当権 又は先取特権により担保される債権の一部であるときは、税務署長は、その代位した債権者の承諾を要しないで、その代位に係る権利を行使し、かつ、その債権者に優先して弁済を受けることができる。