地方公営企業法

# 昭和二十七年法律第二百九十二号 #

第三章 財務

分類 法律
カテゴリ   地方自治
@ 施行日 : 令和六年五月三十一日 ( 2024年 5月31日 )
@ 最終更新 : 令和六年法律第四十二号
最終編集日 : 2024年 08月15日 18時09分


1項

地方公営企業の経理は、第二条第一項に掲げる事業ごとに特別会計を設けて行なうものとする。


但し同条同項に掲げる事業を二以上経営する地方公共団体においては、政令で定めるところにより条例で二以上の事業を通じて一の特別会計を設けることができる。

1項

次に掲げる地方公営企業の経費で政令で定めるものは、地方公共団体の一般会計 又は他の特別会計において、出資、長期の貸付け、負担金の支出 その他の方法により負担するものとする。

一 号

その性質上 当該地方公営企業の経営に伴う収入をもつて充てることが適当でない経費

二 号

当該地方公営企業の性質上能率的な経営を行なつてもなおその経営に伴う収入のみをもつて充てることが客観的に困難であると認められる経費

2項

地方公営企業の特別会計においては、その経費は、前項の規定により地方公共団体の一般会計 又は他の特別会計において負担するものを除き、当該地方公営企業の経営に伴う収入をもつて充てなければならない。

1項

地方公共団体は、災害の復旧 その他特別の理由により必要がある場合には、一般会計 又は他の特別会計から地方公営企業の特別会計に補助をすることができる。

1項

地方公共団体は、第十七条の二第一項の規定によるもののほか、一般会計 又は他の特別会計から地方公営企業の特別会計に出資をすることができる。

2項

地方公営企業の特別会計は、前項の規定による出資を受けた場合には、利益の状況に応じ、納付金を一般会計 又は当該他の特別会計に納付するものとする。

1項

地方公共団体は、第十七条の二第一項の規定によるもののほか、一般会計 又は他の特別会計から地方公営企業の特別会計に長期の貸付けをすることができる。

2項

地方公営企業の特別会計は、前項の規定による長期の貸付けを受けた場合には、適正な利息を一般会計 又は当該他の特別会計に支払わなければならない。

1項

地方公営企業の事業年度は、地方公共団体の会計年度による。

1項

地方公営企業においては、その経営成績を明らかにするため、すべての費用 及び収益を、その発生の事実に基いて計上し、かつ、その発生した年度に正しく割り当てなければならない。

2項

地方公営企業においては、その財政状態を明らかにするため、すべての資産、資本 及び負債の増減 及び異動を、その発生の事実に基き、かつ、適当な区分 及び配列の基準 並びに一定の評価基準に従つて、整理しなければならない。

3項

前項の資産、資本 及び負債については、政令で定めるところにより、その内容を明らかにしなければならない。

1項

地方公共団体は、地方公営企業の給付について料金を徴収することができる。

2項

前項の料金は、公正妥当なものでなければならず、かつ、能率的な経営の下における適正な原価を基礎とし、地方公営企業の健全な運営を確保することができるものでなければならない。

1項

国は、地方公営企業の健全な運営を確保するため必要があると認めるときは、地方公共団体が地方公営企業の建設、改良等に要する資金に充てるため起こす地方債(以下「企業債」という。)の償還の繰延べ、借換え等につき、法令の範囲内において、資金事情が許す限り、特別の配慮をするものとする。

1項

地方公共団体は、企業債のうち、地方公営企業の建設に要する資金に充てるものについては、償還期限を定めないことができる。


この場合においては、当該地方公営企業の毎事業年度における利益の状況に応じ、特別利息をつけることができる。

1項

地方公営企業の予算は、地方公営企業の毎事業年度における業務の予定量 並びにこれに関する収入 及び支出の大綱を定めるものとする。

2項

地方公共団体の長は、当該地方公営企業の管理者が作成した予算の原案に基いて毎事業年度地方公営企業の予算を調製し、年度開始前に議会の議決を経なければならない。

3項

業務量の増加に因り地方公営企業の業務のため直接必要な経費に不足を生じたときは、管理者は、当該業務量の増加に因り増加する収入に相当する金額を当該企業の業務のため直接必要な経費に使用することができる。


この場合においては、遅滞なく、管理者は、当該地方公共団体の長にその旨を報告するものとし、報告を受けた地方公共団体の長は、次の会議においてその旨を議会に報告しなければならない。

1項

地方公共団体の長は、地方公営企業の予算を議会に提出する場合においては、当該地方公営企業の管理者が作成した政令で定める予算に関する説明書をあわせて提出しなければならない。

1項

予算に定めた地方公営企業の建設 又は改良に要する経費のうち、年度内に支払義務が生じなかつたものがある場合においては、管理者は、その額を翌年度に繰り越して使用することができる。

2項

前項の規定による場合を除くほか、毎事業年度の支出予算の金額は、翌事業年度において使用することができない


ただし、支出予算の金額のうち、年度内に支出の原因となる契約 その他の行為をし、避け難い事故のため年度内に支払義務が生じなかつたものについては、管理者は、その金額を翌事業年度に繰り越して使用することができる。

3項

前二項の規定により予算を繰り越した場合においては、管理者は、地方公共団体の長に繰越額の使用に関する計画について報告をするものとし、報告を受けた地方公共団体の長は、次の会議においてその旨を議会に報告しなければならない。

1項

地方公営企業の業務に係る出納は、管理者が行う。


ただし、管理者は、地方公営企業の業務の執行上必要がある場合においては、政令で定める金融機関で地方公共団体の長の同意を得て指定したものに、当該地方公営企業の業務に係る公金の出納事務の一部を取り扱わせることができる。

1項

監査委員は、必要があると認めるとき、又は管理者の要求があるときは、前条の規定により指定された金融機関が取り扱う地方公営企業の業務に係る公金の収納 又は支払の事務について監査することができる。

2項

監査委員は、前項の規定により監査をしたときは、監査の結果に関する報告を地方公共団体の議会 及び長 並びに管理者に提出しなければならない。

1項

地方公営企業を経営する地方公共団体に、当該地方公営企業の業務に係る出納 その他の会計事務をつかさどらせるため、企業出納員 及び現金取扱員を置く。


ただし、現金取扱員は、置かないことができる。

2項

企業出納員 及び現金取扱員は、企業職員のうちから、管理者が命ずる。

3項

企業出納員は、管理者の命を受けて、出納 その他の会計事務をつかさどる。

4項

現金取扱員は、上司の命を受けて、企業管理規程で定めた額を限度として当該地方公営企業の業務に係る現金の出納に関する事務をつかさどる。

1項

管理者は、予算内の支出をするため、一時の借入をすることができる。

2項

前項の規定による借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。


但し、資金不足のため償還することができない場合においては、償還することができない金額を限度として、これを借り換えることができる。

3項

前項但書の規定により借り換えた借入金は、一年以内償還しなければならない。


但し、借入金をもつてこれを償還するようなことをしてはならない。

1項

管理者は、毎事業年度終了後二月以内に当該地方公営企業の決算を調製し、証書類、当該年度の事業報告書 及び政令で定めるその他の書類と併せて、当該地方公共団体の長に提出しなければならない。

2項

地方公共団体の長は、決算 及び前項の書類を監査委員の審査に付さなければならない。

3項

監査委員は、前項の審査をするに当たつては、地方公営企業の運営が第三条の規定の趣旨に従つてされているかどうかについて、特に、意を用いなければならない。

4項

地方公共団体の長は、第二項の規定により監査委員の審査に付した決算を、監査委員の意見を付けて、遅くとも当該事業年度終了後三月を経過した後において最初に招集される定例会である議会の認定(地方自治法第百二条の二第一項の議会においては、遅くとも当該事業年度終了後三月を経過した後の最初の定例日(同条第六項に規定する定例日をいう。)に開かれる会議において議会の認定)に付さなければならない。

5項

前項の規定による意見の決定は、監査委員の合議によるものとする。

6項

地方公共団体の長は、第四項の規定により決算を議会の認定に付するに当たつては、第二項の規定により監査委員の審査に付した当該年度の事業報告書 及び政令で定めるその他の書類を併せて提出しなければならない。

7項

地方公共団体の長は、第四項の規定により議会の認定に付した決算の要領を住民に公表しなければならない。

8項

地方公共団体の長は、第四項の規定による決算の認定に関する議案が否決された場合において、当該議決を踏まえて必要と認める措置を講じたとき、又は管理者が当該議決を踏まえて必要と認める措置を講じて当該措置の内容を当該地方公共団体の長に報告したときは、速やかに、これらの措置の内容を議会に報告するとともに、公表しなければならない。

9項

第一項の決算について作成すべき書類は、当該年度の予算の区分に従つて作成した決算報告書 並びに損益計算書、剰余金計算書 又は欠損金計算書、剰余金処分計算書 又は欠損金処理計算書 及び貸借対照表とし、その様式は、総務省令で定める。

1項

管理者は、毎月末日をもつて試算表 その他当該企業の計理状況を明らかにするために必要な書類を作成し、翌月二十日までに当該地方公共団体の長に提出しなければならない。

1項

地方公営企業は、毎事業年度利益を生じた場合において前事業年度から繰り越した欠損金があるときは、その利益をもつてその欠損金をうめなければならない。

2項

毎事業年度生じた利益の処分は、前項の規定による場合を除くほか、条例の定めるところにより、又は議会の議決を経て、行わなければならない。

3項

毎事業年度生じた資本剰余金の処分は、条例の定めるところにより、又は議会の議決を経て、行わなければならない。

4項

資本金の額は、議会の議決を経て、減少することができる。

1項

地方公営企業は、毎事業年度欠損を生じた場合において前事業年度から繰り越した利益があるときは、その利益をもつてその欠損金をうめなければならない。

1項

地方公営企業の用に供する資産の取得、管理 及び処分は、管理者が行う。

2項

前項の資産のうちその種類 及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める重要なものの取得 及び処分については、予算で定めなければならない。

3項

地方公営企業の用に供する行政財産を地方自治法第二百三十八条の四第七項の規定により使用させる場合に徴収する使用料に関する事項については、管理者が定める。

1項

地方自治法第二百四十三条の二から第二百四十三条の二の六までの規定は、地方公営企業の業務に係る公金の徴収 若しくは収納 又は支出の事務の委託について準用する。


この場合において、

同法第二百四十三条の二の四第一項
他の法律 又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、政令で定めるもの」とあるのは
「地方公営企業の業務に係るもの(指定公金事務取扱者が徴収することにより、その収入の確保 及び住民の便益の増進に寄与すると認められるものに限る)」と、

同法第二百四十三条の二の六第一項
他の法律 又はこれに基づく政令に特別の定めがあるものを除くほか、政令で定めるもの」とあるのは
「地方公営企業の業務に係るものとして政令で定めるもの」と、

同条第三項
規則」とあるのは
「規則 又は企業管理規程」と

読み替えるものとする。

1項

地方自治法第二百四十三条の二の八の規定は、地方公営企業の業務に従事する職員の賠償責任について準用する。


この場合において、

同条第一項
規則」とあるのは
「規則 又は企業管理規程」と、

同条第八項
議会の同意を得て」とあるのは
「条例で定める場合には議会の同意を得て」と

読み替えるほか、第七条の規定により管理者が置かれている地方公営企業の業務に従事する職員の賠償責任について準用する場合に限り、

同法第二百四十三条の二の八第三項
普通地方公共団体の長」とあるのは
「管理者」と、

同条第八項
普通地方公共団体の長」とあるのは
「管理者」と、

あらかじめ監査委員の意見を聴き、その意見」とあるのは
「管理者があらかじめ監査委員の意見を聴き、普通地方公共団体の長が当該意見」と

読み替えるものとする。

1項

第二条第二項 又は第三項の規定により地方公共団体の経営する企業に財務規定等が適用される場合においては、管理者の権限は、当該地方公共団体の長が行う。


ただし、管理者の権限のうち当該企業の出納 その他の会計事務 及び決算に係るものについては、条例で定めるところにより、その全部 又は一部を当該地方公共団体の会計管理者に行わせることができる。

1項

この章に定めるものを除く外、地方公営企業の財務に関し必要な事項は、政令で定める。