大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律

平成十年法律第五十二号
略称 : 大学等技術移転促進法  TLO法 
分類 法律
カテゴリ   産業通則
@ 施行日 : 平成三十一年四月一日
@ 最終更新 : 平成三十年法律第三十三号による改正
最終編集日 : 2023年 07月29日 11時01分

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1項

この法律は、大学、高等専門学校、大学共同利用機関 及び国の試験研究機関における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進を図るための措置を講ずることにより、新たな事業分野の開拓 及び産業の技術の向上 並びに大学、高等専門学校、大学共同利用機関 及び国の試験研究機関における研究活動の活性化を図り、もって我が国産業構造の転換の円滑化、国民経済の健全な発展 及び学術の進展に寄与することを目的とする。

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1項

この法律において「特定大学技術移転事業」とは、大学(学校教育法昭和二十二年法律第二十六号第一条に規定する大学 及び高等専門学校 並びに国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第四項に規定する大学共同利用機関をいう。以下同じ。)における技術に関する研究成果(以下「特定研究成果」という。)について、特定研究成果に係る特許権 その他の政令で定める権利のうち国以外の者に属するものについての譲渡、専用実施権の設定 その他の行為により、特定研究成果の活用を行うことが適切かつ確実と認められる民間事業者に対し移転する事業であって、当該大学における研究の進展に資するものをいう。

2項

この法律において「中小企業者」とは、次の各号いずれかに該当する者をいう。

一 号

資本金の額 又は出資の総額が三億円以下の会社 並びに常時使用する従業員の数が三百人以下の会社 及び個人であって、製造業、建設業、運輸業 その他の業種(次号から第二号の三までに掲げる業種 及び第三号の政令で定める業種を除く)に属する事業を主たる事業として営むもの

二 号

資本金の額 又は出資の総額が一億円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社 及び個人であって、卸売業第三号の政令で定める業種を除く)に属する事業を主たる事業として営むもの

二の二 号

資本金の額 又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が百人以下の会社 及び個人であって、サービス業第三号の政令で定める業種を除く)に属する事業を主たる事業として営むもの

二の三 号

資本金の額 又は出資の総額が五千万円以下の会社並びに常時使用する従業員の数が五十人以下の会社 及び個人であって、小売業(次号の政令で定める業種を除く)に属する事業を主たる事業として営むもの

三 号

資本金の額 又は出資の総額がその業種ごとに政令で定める金額以下の会社 並びに常時使用する従業員の数がその業種ごとに政令で定める数以下の会社 及び個人であって、その政令で定める業種に属する事業を主たる事業として営むもの

四 号
企業組合
五 号
協業組合
六 号

事業協同組合、事業協同小組合、商工組合、協同組合連合会 その他の特別の法律により設立された組合 及びその連合会であって、政令で定めるもの

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1項

文部科学大臣 及び経済産業大臣は、特定研究成果の民間事業者への効率的な移転を促進するため、特定大学技術移転事業の実施に関する指針(以下「実施指針」という。)を定めなければならない。

2項

実施指針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 号

特定大学技術移転事業の推進に関する基本的な方向

二 号

特定大学技術移転事業を実施する者の要件に関する事項

三 号

特定大学技術移転事業の内容 及び実施方法に関する事項

四 号

大学における学術研究の特性その他特定大学技術移転事業の実施に際し 配慮すべき事項

3項

文部科学大臣 及び経済産業大臣は、実施指針を定め、又はこれを変更しようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。

4項

文部科学大臣 及び経済産業大臣は、実施指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

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1項

特定大学技術移転事業を実施しようとする者(特定大学技術移転事業を実施する法人を設立しようとする者を含む。)は、当該特定大学技術移転事業の実施に関する計画(以下「実施計画」という。)を作成し、これを文部科学大臣 及び経済産業大臣に提出して、その実施計画が適当である旨の承認を受けることができる。

2項

実施計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号

特定大学技術移転事業を実施する者に関する事項

二 号

特定大学技術移転事業の内容 及び実施方法

三 号
特定大学技術移転事業の実施時期
四 号

特定大学技術移転事業の実施に必要な資金の額 及びその調達方法

3項

文部科学大臣 及び経済産業大臣は、第一項の承認の申請があった場合において、その実施計画が実施指針に照らして適切なものであり、かつ、当該実施計画が確実に実施される見込みがあると認めるときは、その承認をするものとする。

4項

文部科学大臣 及び経済産業大臣は、第一項の承認をしたときは、その旨を公表するものとする。

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1項

前条第一項の承認を受けた者(その者の設立に係る同項の法人を含む。)は、当該承認に係る実施計画を変更しようとするときは、文部科学大臣 及び経済産業大臣の承認を受けなければならない。

2項

文部科学大臣 及び経済産業大臣は、前条第一項の承認を受けた実施計画(前項の規定による変更の承認があったときは、その変更後のもの。以下「承認計画」という。)に係る特定大学技術移転事業を実施する者(以下「承認事業者」という。)が当該承認計画に従って特定大学技術移転事業を実施していないと認めるときは、その承認を取り消すことができる。

3項

前条第三項の規定は第一項の承認に、同条第四項の規定は前項の規定による承認の取消しに準用する。

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1項

独立行政法人中小企業基盤整備機構は、特定研究成果の民間事業者への移転を促進するため、承認計画に係る特定大学技術移転事業の実施に必要な資金を調達するために発行する社債(社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第六十六条第一号に規定する短期社債を除く)及び当該資金の借入れに係る債務の保証の業務を行う。

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1項

中小企業投資育成株式会社は、中小企業投資育成株式会社法昭和三十八年法律第百一号) 第五条第一項各号に掲げる事業のほか、次に掲げる事業を行うことができる。

一 号

承認事業者が承認計画に従って行う特定大学技術移転事業により特定研究成果の移転を受けて、中小企業者 又は事業を営んでいない個人が当該特定研究成果を活用する事業を実施するために資本金の額が三億円を超える株式会社を設立する際に発行する株式の引受け 及び当該引受けに係る株式の保有

二 号

承認事業者が承認計画に従って行う特定大学技術移転事業により特定研究成果の移転を受けて、中小企業者のうち資本金の額が三億円を超える株式会社が当該特定研究成果を活用する事業を実施するために必要とする資金の調達を図るために発行する株式、新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く)又は新株予約権付社債等(中小企業投資育成株式会社法第五条第一項第二号に規定する新株予約権付社債等をいう。以下この条において同じ。)の引受け 及び当該引受けに係る株式、新株予約権(その行使により発行され、又は移転された株式を含む。)又は新株予約権付社債等(新株予約権付社債等に付された新株予約権の行使により発行され、又は移転された株式を含む。)の保有

2項

前項第一号の規定による株式の引受け 及び当該引受けに係る株式の保有 並びに同項第二号の規定による株式、新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く)又は新株予約権付社債等の引受け 及び当該引受けに係る株式、新株予約権(その行使により発行され、又は移転された株式を含む。)又は新株予約権付社債等(新株予約権付社債等に付された新株予約権の行使により発行され、又は移転された株式を含む。)の保有は、中小企業投資育成株式会社法の適用については、それぞれ同法第五条第一項第一号 及び第二号の事業とみなす。

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1項

文部科学大臣は、特定研究成果の民間事業者への移転の促進に資するため、大学における学術の応用に関する研究の進展が図られるよう必要な配慮をするものとする。

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1項

文部科学大臣 及び経済産業大臣は、特定研究成果の民間事業者への移転を促進するため、研究開発に関し、大学と民間事業者との連携 及び協力が円滑になされるよう努めるものとする。


この場合において、大学における学術研究の特性に常に配慮しなければならない。

2項

文部科学大臣 及び経済産業大臣は、民間事業者が特定研究成果を活用するために必要な知識 及び技術の習得を促進するための施策を効果的に推進するよう 努めなければならない。

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1項

経済産業大臣は、特定研究成果の活用において中小企業者が果たす重要な役割に鑑み、研究開発、特定研究成果の活用に関する情報の提供その他の関連施策を効果的に推進するよう努めるものとする。

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1項

国の試験研究機関であって政令で定めるもの(以下「特定試験研究機関」という。)における技術に関する研究成果について、当該研究成果に係る国有の特許権 若しくは特許を受ける権利 又は国有の実用新案権 若しくは実用新案登録を受ける権利の譲渡を受け、当該特許権 若しくは当該特許を受ける権利に基づいて取得した特許権 又は当該実用新案権 若しくは当該実用新案登録を受ける権利に基づいて取得した実用新案権についての譲渡、専用実施権の設定 その他の行為により、当該研究成果の活用を行おうとする民間事業者に対し移転する事業を行う者は、当該特定試験研究機関を所管する大臣に申請して、その事業が次の各号いずれにも適合している旨の認定を受けることができる。

一 号

当該事業を適確かつ円滑に実施することができる技術的能力を有するものであること。

二 号

当該特許権若しくは当該特許を受ける権利に係る発明 又は当該実用新案権若しくは当該実用新案登録を受ける権利に係る考案を自ら実施するものでないこと。

三 号

当該特許権若しくは当該特許を受ける権利に係る発明又は当該実用新案権 若しくは当該実用新案登録を受ける権利に係る考案に関する民間事業者への情報の提供において特定の民間事業者に対して不当な差別的取扱いをするものでないことその他当該事業を適正に行うに必要な業務の実施の方法が定められているものであること。

2項

特定試験研究機関を所管する大臣は、前項の認定を受けた者(以下「認定事業者」という。)が同項各号いずれかに適合しなくなったと認めるときは、その認定を取り消すことができる。

3項

特定試験研究機関を所管する大臣は、第一項の規定による認定をしたとき、及び前項の規定による認定の取消しをしたときは、その旨を特許庁長官に通知しなければならない。

4項

特許法昭和三十四年法律第百二十一号第百七条第二項の規定は、次に掲げる特許権であって当該認定事業者に属するものに準用する。

一 号

認定事業者が国から譲渡を受けた特定試験研究機関における技術に関する研究成果に係る特許を受ける権利に基づいて取得した特許権

二 号

認定事業者が国から譲渡を受けた特定試験研究機関における技術に関する研究成果に係る特許権

5項

特許法第百九十五条第四項の規定は、前項に規定する特許権 又は認定事業者が国から譲渡を受けた特定試験研究機関における技術に関する研究成果に係る特許を受ける権利であって当該認定事業者に属するものについて同条第一項から第三項までの規定により手数料(政令で定めるものに限る)を納付すべき者が当該認定事業者である場合に準用する。

6項

第四項に規定する特許権 又は前項に規定する特許を受ける権利が認定事業者と認定事業者以外の者との共有に係る場合における特許法第百九十五条第一項 又は第二項の規定による手数料(出願審査の請求の手数料以外の政令で定める手数料に限る)の納付については、認定事業者を国とみなして同条第五項の規定を適用する。

7項

工業所有権に関する手続等の特例に関する法律平成二年法律第三十号) 第四十条第三項の規定は、第四項に規定する特許権 又は第五項に規定する特許を受ける権利について同条第一項の規定により手数料(政令で定めるものに限る)を納付すべき者が当該認定事業者である場合に準用する。

8項

第四項に規定する特許権 又は第五項に規定する特許を受ける権利が認定事業者と認定事業者以外の者との共有に係る場合における工業所有権に関する手続等の特例に関する法律第四十条第一項の規定による手数料(前項の政令で定めるものに限る)の納付については、認定事業者を国とみなして同条第四項の規定を適用する。

9項

第四項から前項までの規定は、認定事業者が国から譲渡を受けた特定試験研究機関における技術に関する研究成果に係る実用新案登録を受ける権利、認定事業者が国から譲渡を受けた特定試験研究機関における技術に関する研究成果に係る実用新案登録を受ける権利に基づいて取得した実用新案権 及び認定事業者が国から譲渡を受けた特定試験研究機関における技術に関する研究成果に係る実用新案権であって当該認定事業者に属するものに準用する。


この場合において、

第四項
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第百七条第二項」とあるのは
実用新案法昭和三十四年法律第百二十三号第三十一条第二項」と、

第五項
特許法第百九十五条第四項」とあるのは
実用新案法第五十四条第三項」と、

第六項
特許法第百九十五条第一項 又は第二項」とあるのは
実用新案法第五十四条第一項 又は第二項」と、

出願審査の請求の手数料」とあるのは
「実用新案技術評価の請求の手数料」と、

同条第五項」とあるのは
同条第四項」と

読み替えるものとする。

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1項

文部科学大臣 及び経済産業大臣は、承認事業者に対し、承認計画の実施状況について報告を求めることができる。

2項

特定試験研究機関を所管する大臣は、この法律の施行に必要な限度において、認定事業者に対し、その業務の状況について報告を求めることができる。

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1項

前条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者は、二十万円以下の罰金に処する。

2項

法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対して同項の刑を科する。

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