家事事件手続法

# 平成二十三年法律第五十二号 #

第十三節 遺産の分割に関する審判事件

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第百二号による改正
最終編集日 : 2024年 04月27日 10時48分


1項

遺産の分割に関する審判事件は、相続が開始した地を管轄する家庭裁判所の管轄に属する。

2項

前項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判事件(別表第二の十二の項の事項についての審判事件をいう。以下同じ。)が係属している場合における寄与分を定める処分の審判事件(同表の十四の項の事項についての審判事件をいう。次条において同じ。)は、当該遺産の分割の審判事件が係属している裁判所の管轄に属する。

1項

遺産の分割の審判事件 及び寄与分を定める処分の審判事件が係属するときは、これらの審判の手続 及び審判は、併合してしなければならない。


数人からの寄与分を定める処分の審判事件が係属するときも、同様とする。

1項

家庭裁判所は、遺産の分割の審判の手続において、一月を下らない範囲内で、当事者が寄与分を定める処分の審判の申立てをすべき期間を定めることができる。

2項

家庭裁判所は、寄与分を定める処分の審判の申立てが前項の期間を経過した後にされたときは、当該申立てを却下することができる。

3項

家庭裁判所は、第一項の期間を定めなかった場合においても、当事者が時機に後れて寄与分を定める処分の申立てをしたことにつき、申立人の責めに帰すべき事由があり、かつ、申立てに係る寄与分を定める処分の審判の手続を併合することにより、遺産の分割の審判の手続が著しく遅滞することとなるときは、その申立てを却下することができる。

1項

家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があると認めるときは、相続人に対し、遺産の全部 又は一部を競売して換価することを命ずることができる。

2項

家庭裁判所は、遺産の分割の審判をするため必要があり、かつ、相当と認めるときは、相続人の意見を聴き、相続人に対し、遺産の全部 又は一部について任意に売却して換価することを命ずることができる。


ただし、共同相続人中に競売によるべき旨の意思を表示した者があるときは、この限りでない。

3項

前二項の規定による裁判(以下この条において「換価を命ずる裁判」という。)が確定した後に、その換価を命ずる裁判の理由の消滅 その他の事情の変更があるときは、家庭裁判所は、相続人の申立てにより 又は職権で、これを取り消すことができる。

4項

換価を命ずる裁判は、第八十一条第一項において準用する第七十四条第一項に規定する者のほか、遺産の分割の審判事件の当事者に告知しなければならない。

5項

相続人は、換価を命ずる裁判に対し、即時抗告をすることができる。

6項

家庭裁判所は、換価を命ずる裁判をする場合において、第二百条第一項の財産の管理者が選任されていないときは、これを選任しなければならない。

7項

家庭裁判所は、換価を命ずる裁判により換価を命じられた相続人に対し、遺産の中から、相当な報酬を与えることができる。

8項

第百二十五条の規定 及び民法第二十七条から第二十九条まで同法第二十七条第二項除く)の規定は、第六項の規定により選任した財産の管理者について準用する。


この場合において、

第百二十五条第三項
成年被後見人の財産」とあるのは、
「遺産」と

読み替えるものとする。

1項

家庭裁判所は、遺産の分割の審判をする場合において、特別の事情があると認めるときは、遺産の分割の方法として、共同相続人の一人 又は数人に他の共同相続人に対する債務を負担させて、現物の分割に代えることができる。

1項

家庭裁判所は、遺産の分割の審判において、当事者に対し、金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行 その他の給付を命ずることができる。

1項

家庭裁判所は、事情の変更があるときは、相続人の申立てにより、いつでも、遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判をすることができる。


この申立てに係る審判事件は、別表第二に掲げる事項についての審判事件とみなす。

1項

次の各号に掲げる審判に対しては、当該各号に定める者は、即時抗告をすることができる。

一 号

遺産の分割の審判 及びその申立てを却下する審判

相続人

二 号

遺産の分割の禁止の審判

相続人

三 号

遺産の分割の禁止の審判を取り消し、又は変更する審判

相続人

四 号

寄与分を定める処分の審判

相続人

五 号

寄与分を定める処分の申立てを却下する審判

申立人

2項

第百九十二条前段の規定により審判が併合してされたときは、寄与分を定める処分の審判 又はその申立てを却下する審判に対しては、独立して即時抗告をすることができない

3項

第百九十二条後段の規定により審判が併合してされたときは、申立人の一人がした即時抗告は、申立人の全員に対してその効力を生ずる。

1項

第百五十三条の規定は、遺産の分割の審判の申立ての取下げについて準用する。

2項

第八十二条第二項の規定にかかわらず、遺産の分割の審判の申立ての取下げは、相続開始の時から十年を経過した後にあっては、相手方の同意を得なければ、その効力を生じない。

1項

家庭裁判所(第百五条第二項の場合にあっては、高等裁判所。次項 及び第三項において同じ。)は、遺産の分割の審判 又は調停の申立てがあった場合において、財産の管理のため必要があるときは、申立てにより又は職権で、担保を立てさせないで、遺産の分割の申立てについての審判が効力を生ずるまでの間、財産の管理者を選任し、又は事件の関係人に対し、財産の管理に関する事項を指示することができる。

2項

家庭裁判所は、遺産の分割の審判 又は調停の申立てがあった場合において、強制執行を保全し、又は事件の関係人の急迫の危険を防止するため必要があるときは、当該申立てをした者 又は相手方の申立てにより、遺産の分割の審判を本案とする仮差押え、仮処分 その他の必要な保全処分を命ずることができる。

3項

前項に規定するもののほか、家庭裁判所は、遺産の分割の審判 又は調停の申立てがあった場合において、相続財産に属する債務の弁済、相続人の生活費の支弁 その他の事情により遺産に属する預貯金債権(民法第四百六十六条の五第一項に規定する預貯金債権をいう。以下 この項において同じ。)を当該申立てをした者 又は相手方が行使する必要があると認めるときは、その申立てにより、遺産に属する特定の預貯金債権の全部 又は一部をその者に仮に取得させることができる。


ただし、他の共同相続人の利益を害するときは、この限りでない。

4項

第百二十五条第一項から第六項までの規定 及び民法第二十七条から第二十九条まで同法第二十七条第二項除く)の規定は、第一項の財産の管理者について準用する。


この場合において、

第百二十五条第三項
成年被後見人の財産」とあるのは、
「遺産」と

読み替えるものとする。