恩給法

# 大正十二年法律第四十八号 #

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   国家公務員
@ 施行日 : 令和五年四月一日 ( 2023年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和三年法律第六十一号
最終編集日 : 2024年 08月17日 14時16分


1項

公務員 及其ノ遺族ハ 本法ノ定ムル所ニ依リ恩給ヲ受クルノ権利ヲ有ス

1項

本法ニ於テ恩給トハ普通恩給、増加恩給、傷病賜金、一時恩給、扶助料及一時扶助料ヲ謂フ

○2項

普通恩給、増加恩給 及扶助料ハ年金トシ傷病賜金、一時恩給 及一時扶助料ハ一時金トス

1項

年金タル恩給ノ額ニ付テハ国民ノ生活水準、国家公務員ノ給与、物価 其ノ他ノ諸事情ニ著シキ変動ガ生ジタル場合ニ於テハ変動後ノ諸事情ヲ総合勘案シ速ニ改定ノ措置ヲ講ズルモノトス

1項
年金タル恩給ノ給与ハ之ヲ給スヘキ事由ノ生シタル月ノ翌月ヨリ之ヲ始メ権利消滅ノ月ヲ以テ終ル
1項
恩給年額並一時恩給及一時扶助料ノ額ノ円位未満ハ之ヲ円位ニ満タシム
1項

恩給ヲ受クルノ権利ハ之ヲ給スヘキ事由ノ生シタル日ヨリ七年間請求セサルトキハ時効ニ因リテ消滅ス

1項

普通恩給 又ハ増加恩給ヲ受クルノ権利ヲ有スル者退職後一年内ニ再就職スルトキハ前条ノ期間ハ再就職ニ係ル官職ノ退職ノ日ヨリ進行ス

1項

第七十四条ノ二第一項ノ扶助料及同条第二項ノ一時扶助料ニ付テハ第五条ニ規定スル期間ハ戸籍届出ノ受理ノ日ヨリ進行ス

1項

時効期間満了前二十日内ニ於テ天災其ノ他避クヘカラサル事変ノ為請求ヲ為スコト能ハサルトキハ其ノ妨碍ノ止ミタル日ヨリ二十日内ハ時効完成セス

○2項

時効期間満了前六月内ニ於テ前権利者生死 若ハ所在不明ノ為 又ハ未成年者 若ハ成年被後見人法定代理人ヲ有セサル為請求ヲ為スコト能ハサルトキハ 請求ヲ為スコトヲ得ルニ至リタル日ヨリ六月内ハ時効完成セス

○3項

請求ガ郵便 又ハ 民間事業者による信書の送達に関する法律平成十四年法律第九十九号第二条第六項ニ規定スル 一般信書便事業者 若ハ同条第九項ニ規定スル 特定信書便事業者ニ依ル同条第二項ニ規定スル 信書便ニ依リ為サレタル場合ニ於テハ 送付ニ要シタル日数ハ之ヲ時効期間ニ算入セズ

1項

公務員 又ハ其ノ遺族互ニ通算セラレ得ヘキ在職年 又ハ同一ノ傷病ヲ理由トシテ二以上ノ恩給ヲ併給セラルヘキ場合ニ於テハ其ノ者ノ選択ニ依リ其ノ一ヲ給ス


但シ特ニ併給スヘキコトヲ定メタル場合ハ此ノ限ニ在ラス

○2項

公務員ノ扶養家族 又ハ扶養遺族第六十五条第二項 又ハ第七十五条第二項ノ規定ニ依リ二以上ノ恩給ニ付共通ニ加給ノ原因タルベキトキハ最初ニ給与事由ノ生ジタル恩給ニ付テノミ加給ノ原因タルベキモノトス

1項

年金タル恩給ヲ受クルノ権利ヲ有スル者左ノ各号ノ一ニ該当スルトキハ其ノ権利消滅ス

一 号
死亡シタルトキ
二 号

死刑 又ハ無期 若ハ三年ヲ超ユル懲役 若ハ禁錮ノ刑ニ処セラレタルトキ

三 号
国籍ヲ失ヒタルトキ
○2項

在職中ノ職務ニ関スル犯罪(過失犯ヲ除ク)ニ因リ禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルトキハ其ノ権利消滅ス


但シ其ノ在職カ普通恩給ヲ受ケタル後ニ為サレタルモノナルトキハ其ノ再在職ニ因リテ生シタル権利ノミ消滅ス

1項
裁定庁ハ年金タル恩給ヲ受クルノ権利ヲ有スル者ニ付其ノ権利ノ存否ヲ調査スヘシ
1項
恩給権者死亡シタルトキハ其ノ生存中ノ恩給ニシテ給与ヲ受ケサリシモノハ之ヲ当該公務員ノ遺族ニ給シ遺族ナキトキハ死亡者ノ相続人ニ給ス
○2項

前項ノ規定ニ依リ恩給ノ支給ヲ受クヘキ遺族及其ノ順位ハ扶助料ヲ受クヘキ遺族及其ノ順位ニ依ル

1項

前条ノ場合ニ於テ死亡シタル恩給権者未タ恩給ノ請求ヲ為ササリシトキハ恩給ノ支給ヲ受クヘキ遺族又ハ相続人ハ自己ノ名ヲ以テ死亡者ノ恩給ノ請求ヲ為スコトヲ得

○2項

前条ノ場合ニ於テ死亡シタル恩給権者ノ生存中裁定ヲ経タル恩給ニ付テハ死亡者ノ遺族又ハ相続人ハ自己ノ名ヲ以テ其ノ恩給ノ支給ヲ受クルコトヲ得

1項

前条ノ場合ニ於テ恩給ノ請求及支給ノ請求ヲ為スベキ同順位者二人以上アルトキハ其ノ一人ガ為シタル請求ハ全員ノ為其ノ全額ニ付之ヲ為シタルモノト看做シ其ノ一人ニ対シテ為シタル支給ハ全員ニ対シテ之ヲ為シタルモノト看做ス

1項

恩給ヲ受クルノ権利ハ之ヲ譲渡シ 又ハ担保ニ供スルコトヲ得ス


但シ株式会社日本政策金融公庫及別ニ法律ヲ以テ定ムル金融機関ニ担保ニ供スルハ此ノ限ニ在ラズ

○2項

前項ノ規定ニ違反シタルトキハ裁定庁ハ支給庁ニ通知シ恩給ノ支給ヲ差止ムヘシ

○3項

恩給ヲ受クルノ権利ハ之ヲ差押フルコトヲ得ス


但シ普通恩給(増加恩給ト併給スルモノヲ除ク)及一時恩給ヲ受クルノ権利ニ付テハ滞納処分ニ依ル場合ハ此ノ限ニ在ラス

1項
恩給ヲ受クルノ権利ハ総務大臣之ヲ裁定ス
1項

行政上ノ処分ニ因リ恩給ニ関スル権利ヲ侵害セラレタリトスル者ノ為ス審査請求ニ関スル行政不服審査法平成二十六年法律第六十八号第十八条第一項本文ノ期間ハ処分ノアリタルコトヲ知リタル日ノ翌日ヨリ起算シテ一年トス

○2項

行政不服審査法第十八条第二項ノ規定ハ前項ノ審査請求ニ関シテハ之ヲ適用セズ

1項

総務大臣恩給ニ関スル行政上ノ処分又ハ其ノ不作為ニ関スル審査請求ノ裁決ヲ為ス場合ニ於テハ審議会等(国家行政組織法昭和二十三年法律第百二十号第八条ニ規定スル機関ヲ謂フ)ニシテ政令ヲ以テ定ムルモノ(以下審議会等ト称ス)ニ諮問スヘシ

1項
恩給ハ国庫之ヲ負担ス
1項
恩給ノ支給ヲ停止スベキ事由ガ生ジタルニ拘ラズ其ノ支給ヲ停止スベキ期間ノ分トシテ恩給ガ支払ハレタルトキハ其ノ支払ハレタル恩給ハ其ノ後ニ支払フベキ恩給ノ内払ト看做スコトヲ得恩給ヲ減額シテ改定スベキ事由ガ生ジタルニ拘ラズ其ノ事由ガ生ジタル月ノ翌月以後ノ分トシテ減額セザル額ノ恩給ガ支払ハレタル場合ニ於ケル其ノ恩給ノ其ノ減額スベカリシ部分ニ付亦同ジ
1項

恩給ヲ受クルノ権利ヲ有スル者死亡ニ因リ其ノ恩給ヲ受クルノ権利ガ消滅シタルニ拘ラズ其ノ死亡ノ日ノ属スル月ノ翌月以後ノ分トシテ当該恩給ノ過誤払ガ行ハレタル場合ニ於テ当該過誤払ニ依ル返還金ニ係ル債権(以下返還金債権ト称ス)ニ係ル債務ノ弁済ヲ為スベキ者ニ支払フベキ恩給アルトキハ総務省令ノ定ムル所ニ依リ当該恩給ノ支払金ノ金額ヲ当該過誤払ニ依ル返還金債権ノ金額ニ充当スルコトヲ得

1項
本法ニ規定スルモノヲ除クノ外恩給ノ請求、裁定、支給及受給権存否ノ調査ニ関スル手続ニ付テハ政令ヲ以テ之ヲ定ム