本法ニ於テ公務員トハ文官 及警察監獄職員ヲ謂フ
恩給法
第一節 通則
文官トハ官ニ在ル者 又ハ国会職員(国会職員法(昭和二十二年法律第八十五号)第一条第一号乃至第四号ニ掲グル者ヲ謂フ)ニシテ警察監獄職員ニ非ザルモノヲ謂フ
前項ノ官ニ在ル者トハ左ニ掲グル官職ニ在ル者ヲ謂フ
天皇ガ任命シ 又ハ任免ヲ認証スル官職
内閣官房長官、内閣官房副長官、法制局長官、法制局次長、事務次官 又ハ秘書官
法制局参事官 若ハ法制局事務官 又ハ府、省、裁判所、会計検査院 若ハ人事院ニ置カレタル事務官、技官 若ハ教官
検察官(第一号ニ掲グル官職ヲ除ク)
裁判官(第一号ニ掲グル官職ヲ除ク)
第二号又ハ第三号ニ掲グル官職ニ相当スル官職(委員会ノ委員長 及委員並法令ニ依ル公団ノ役員 及職員中別ニ法律ヲ以テ定ムルモノ以外ノモノヲ含マザルモノトス)
前項第十号ニ規定スル官職ニ該当スルヤ否ヤ疑ハシキモノニ付テハ総務大臣之ヲ定ム
警察監獄職員トハ左ニ掲クル者ヲ謂フ
警部補、巡査部長 又ハ巡査タル警察官
副看守長、看守部長 又ハ看守タル法務事務官
皇宮警部補、皇宮巡査部長 又ハ皇宮巡査タル皇宮護衛官
一等陸曹、一等海曹 若ハ一等空曹、二等陸曹、二等海曹 若ハ二等空曹、三等陸曹、三等海曹 若ハ三等空曹、陸士長、海士長 若ハ空士長、一等陸士、一等海士若ハ一等空士 又ハ二等陸士、二等海士 若ハ二等空士タル自衛官
本法ニ於テ就職トハ公務員タル官職ニ在ラザル者ガ公務員タル官職ニ任命セラルルコトヲ謂フ
廃庁、廃校、官職廃止 若ハ官職名改定ノ際其ノ廃改ニ係ル官職ニ在リタル者 又ハ定員ノ減少ニ因リ退職シタル者即日 又ハ翌日他ノ官職ニ就職シタルトキハ之ヲ転任ト看做ス
但シ之ニ依リ第二十六条第二項ノ規定ニ該当スルニ至ル場合ハ此ノ限ニ在ラス
本法ニ於テ退職トハ免職、退職 又ハ失職ヲ謂フ
公務員ノ在職年ハ就職ノ月ヨリ之ヲ起算シ退職 又ハ死亡ノ月ヲ以テ終ル
退職シタル後再就職シタルトキハ前後ノ在職年月数ハ之ヲ合算ス
但シ一時恩給 又ハ第八十二条ニ規定スル一時扶助料ノ基礎ト為ルヘキ在職年ニ付テハ前ニ一時恩給ノ基礎ト為リタル在職年其ノ他ノ前在職年ノ年月数ハ之ヲ合算セス
警察監獄職員ノ恩給権ニ付其ノ在職年ヲ計算スル場合ニ於テハ十二年ニ達スル迄ハ警察監獄職員以外ノ公務員トシテノ在職年ハ其ノ十分ノ七ニ当ル年月数ヲ以テ之ヲ計算ス
休職、待命、停職其ノ他現実ニ職務ヲ執ルヲ要セサル在職期間ニシテ一月以上ニ亘ルモノハ在職年ノ計算ニ於テ之ヲ半減ス
前項ニ規定スル期間一月以上ニ亘ルトキトハ其ノ期間カ在職年ノ計算ニ於テ一月以上ニ計算セラルル総テノ場合ヲ謂フ
但シ現実ニ職務ヲ執ルヲ要スル日ノアリタル月ハ在職年ノ計算ニ於テ之ヲ半減セス
第五十一条ノ規定ニ依リ公務員カ恩給ヲ受クルノ資格ヲ失ヒタル在職年
公務員退職後在職中ノ職務ニ関スル犯罪(過失犯ヲ除ク)ニ付禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルトキハ其ノ犯罪ノ時ヲ含ム引続キタル在職年月数
本法ニ於テ俸給トハ本俸ヲ謂フ
公務員二以上ノ官職ヲ併有シ各官職ニ付俸給ヲ給セラルル場合ニ於テハ俸給額ヲ合算シタルモノヲ以テ其ノ者ノ俸給額トス
前項ノ期間ヲ経過シタルトキト雖裁定庁ニ於テ審議会等ノ議ニ付スルヲ相当ト認メ且審議会等ニ於テ重度障害カ公務ニ起因シタルコト顕著ナリト議決シタルトキハ議決シタル月ノ翌月ヨリ之ニ相当ノ恩給ヲ給シ又ハ之ヲ改定ス
公務員公務ノ為傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ重度障害ノ状態ト為ルモ公務員ニ重大ナル過失アリタルトキハ前三項ニ規定スル恩給ヲ給セス
公務員公務ノ為傷痍ヲ受ケ 又ハ疾病ニ罹リ重度障害ノ程度ニ至ラザルモ第四十九条ノ三ニ規定スル程度ニ達シ失格原因ナクシテ退職シタルトキハ之ニ傷病賜金ヲ給ス
公務員公務ノ為傷痍ヲ受ケ 又ハ疾病ニ罹リ失格原因ナクシテ退職シタル後五年内ニ之ガ為重度障害ノ程度ニ至ラザルモ第四十九条ノ三ニ規定スル程度ニ達シタル場合ニ於テ其ノ期間内ニ請求シタルトキハ之ニ傷病賜金ヲ給ス
前項ノ期間ヲ経過シタルトキト雖裁定庁ニ於テ審議会等ノ議ニ付スルヲ相当ト認メ且審議会等ニ於テ其ノ障害ノ程度ガ公務ニ起因シタルコト顕著ナリト議決シタルトキハ之ニ傷病賜金ヲ給ス
前条第四項ノ規定ハ前三項ノ規定ニ依リ給スベキ傷病賜金ニ付之ヲ準用ス
傷病賜金ハ国家公務員災害補償法(昭和二十六年法律第百九十一号)第十三条 若ハ労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第七十七条ノ規定ニ依ル障害補償 又ハ之ニ相当スル給付ニシテ同法第八十四条第一項ノ規定ニ該当スルモノヲ受ケタル者ニハ之ヲ給セズ
但シ当該補償 又ハ給付ノ金額ガ傷病賜金ノ金額ヨリ少キトキハ此ノ限ニ在ラズ
傷病賜金ハ之ヲ普通恩給 又ハ一時恩給ト併給スルヲ妨ゲズ
公務旅行中別表第一号表ニ掲クル流行病ニ罹リタルトキ
公務傷病ニ因ル重度障害ノ程度ハ別表第一号表ノ二ニ掲グル七項トス
傷病賜金ヲ給スベキ障害ノ程度ハ別表第一号表ノ三ニ掲グル五款トス
裁定庁ハ増加恩給ノ裁定ヲ為スニ当リ将来重度障害ノ回復シ又ハ其ノ程度低下スルコトアルヘキコトヲ認メタルトキハ五年間之ニ普通恩給及増加恩給ヲ給ス
前項ノ期間満了ノ六月前迄傷痍疾病回復セサル者ハ再審査ヲ請求スルコトヲ得再審査ノ結果恩給ヲ給スヘキモノナルトキハ之ニ相当ノ恩給ヲ給ス
在職中禁錮以上ノ刑ニ処セラレタルトキ
会計検査院検査官職務上ノ義務ニ違反スル事実ニ付会計検査院法 第六条ノ規定ニ依リ退職シタルトキ
第二十六条第二項ノ規定ハ前項ノ規定ノ適用ニ関シテハ之ヲ適用セス
再就職後在職一年以上ニシテ退職シタルトキ
再就職後公務ノ為傷痍ヲ受ケ又ハ疾病ニ罹リ退職シタル後五年内ニ之カ為重度障害ノ状態ト為リ又ハ其ノ程度増進シタル場合ニ於テ其ノ期間内ニ請求シタルトキ
前項第三号ノ場合ニ於テハ第四十六条第三項ノ規定ヲ準用ス
前条ノ規定ニ依リ普通恩給ヲ改定スルニハ前後ノ在職年ヲ合算シ其ノ年額ヲ定メ増加恩給ヲ改定スルニハ前後ノ傷痍又ハ疾病ヲ合シタルモノヲ以テ重度障害ノ程度トシ其ノ恩給年額ヲ定ム
前二条ノ規定ニ依リ恩給ヲ改定スル場合ニ於テ其ノ年額従前ノ恩給年額ヨリ少キトキハ従前ノ恩給年額ヲ以テ改定恩給ノ年額トス
普通恩給ハ之ヲ受クル者公務員トシテ就職スルトキハ就職ノ月ノ翌月ヨリ退職ノ月迄之ヲ停止ス
但シ実在職期間一月未満ナルトキハ此ノ限ニ在ラズ
普通恩給及増加恩給ハ之ヲ受クル者三年以下ノ懲役 又ハ禁錮ノ刑ニ処セラレタルトキハ其ノ月ノ翌月ヨリ其ノ執行ヲ終リ 又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル月迄之ヲ停止ス
但シ刑ノ全部ノ執行猶予ノ言渡ヲ受ケタルトキハ之ヲ停止セズ刑ノ一部ノ執行猶予ノ言渡ヲ受ケタルトキハ其ノ刑ノ内執行ガ猶予サレザリシ部分ノ期間ノ執行ヲ終リ 又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル月ノ翌月以降ハ之ヲ停止セズ之等ノ言渡ヲ猶予ノ期間中ニ取消サレタルトキハ取消ノ月ノ翌月ヨリ刑ノ執行ヲ終リ 又ハ執行ヲ受クルコトナキニ至リタル月迄之ヲ停止ス
普通恩給ハ之ヲ受クル者四十五歳ニ満ツル月迄ハ其ノ全額、四十五歳ニ満ツル月ノ翌月ヨリ五十歳ニ満ツル月迄ハ其ノ十分ノ五、五十歳ニ満ツル月ノ翌月ヨリ五十五歳ニ満ツル月迄ハ其ノ十分ノ三ヲ停止ス
普通恩給ニ増加恩給 又ハ第四十六条ノ二ニ規定スル傷病賜金ヲ併給スル場合ニハ前項ノ規定ニ依ル停止ハ之ヲ為サズ
公務ニ起因セザル傷痍疾病第四十九条ノ二又ハ第四十九条ノ三ニ規定スル程度ニ達シ之ガ為退職シタル場合ニハ退職後五年間第一項ノ規定ニ依ル停止ハ之ヲ為サズ
前項ノ期間満了ノ六月前迄傷痍疾病回復セザル者ハ同項ノ期間ノ延長ヲ請求スルコトヲ得此ノ場合ニ於テ傷痍疾病仍前項ニ規定スル程度ニ達スルモノナルトキハ第一項ノ規定ニ依ル停止ハ引続キ之ヲ為サズ
普通恩給ハ恩給年額百七十万円以上ニシテ之ヲ受クル者ノ前年ニ於ケル恩給外ノ所得ノ年額七百万円ヲ超ユルトキハ左ノ区分ニ依リ恩給年額ノ一部ヲ停止ス
但シ恩給ノ支給年額百七十万円ヲ下ラシムルコトナク其ノ停止年額ハ恩給年額ノ五割ヲ超ユルコトナシ
恩給年額ト恩給外ノ所得ノ年額トノ合計額ガ千四十万円以下ナルトキハ八百七十万円ヲ超ユル金額ノ三割五分ノ金額ニ相当スル金額
恩給年額ト恩給外ノ所得ノ年額トノ合計額ガ千四十万円ヲ超エ千二百十万円以下ナルトキハ八百七十万円ヲ超エ千四十万円以下ノ金額ノ三割五分ノ金額及千四十万円ヲ超ユル金額ノ四割ノ金額ノ合計額ニ相当スル金額
恩給年額ト恩給外ノ所得ノ年額トノ合計額ガ千二百十万円ヲ超エ千三百八十万円以下ナルトキハ八百七十万円ヲ超エ千四十万円以下ノ金額ノ三割五分ノ金額、千四十万円ヲ超エ千二百十万円以下ノ金額ノ四割ノ金額及千二百十万円ヲ超ユル金額ノ四割五分ノ金額ノ合計額ニ相当スル金額
恩給年額ト恩給外ノ所得ノ年額トノ合計額ガ千三百八十万円ヲ超ユルトキハ八百七十万円ヲ超エ千四十万円以下ノ金額ノ三割五分ノ金額、千四十万円ヲ超エ千二百十万円以下ノ金額ノ四割ノ金額、千二百十万円ヲ超エ千三百八十万円以下ノ金額ノ四割五分ノ金額及千三百八十万円ヲ超ユル金額ノ五割ノ金額ノ合計額ニ相当スル金額
前項ノ恩給外ノ所得ノ計算ニ付テハ所得税法(昭和四十年法律第三十三号)ノ 課税総所得金額ノ計算ニ関スル規定ヲ準用ス
第一項ノ恩給外ノ所得ハ毎年税務署長ノ調査ニ依リ裁定庁之ヲ決定ス
第一項ニ規定スル恩給ノ停止ハ前項ノ決定ニ基キ其ノ年ノ七月ヨリ翌年六月ニ至ル期間分ノ恩給ニ付之ヲ為ス
但シ恩給ヲ受クベキ事由ノ生ジタル月ノ翌月ヨリ翌年六月ニ至ル期間分ニ付テハ此ノ限ニ在ラズ
恩給ノ請求 又ハ裁定ノ遅延ニ依リ前年以前ノ分ノ恩給ニ付第一項ノ規定ニ依ル停止ヲ為スベキ場合ニ於テハ其ノ停止額ハ前項ノ規定ニ拘ラズ同項ノ期間後ノ期間分ノ恩給支給額中ヨリ之ヲ控除スルコトヲ得
増加恩給(第六十五条第二項乃至第六項ノ規定ニ依ル加給ヲ含ム)ハ之ヲ受クル者国家公務員災害補償法第十三条 若ハ労働基準法第七十七条ノ規定ニ依ル障害補償 又ハ之ニ相当スル給付ニシテ同法第八十四条第一項ノ規定ニ該当スルモノヲ受ケタル者ナルトキハ当該補償 又ハ給付ヲ受クル事由ノ生ジタル月ノ翌月ヨリ六年間之ヲ停止ス
但シ其ノ年額中当該補償 又ハ給付ノ金額ノ六分ノ一ニ相当スル金額ヲ超ユル部分ハ之ヲ停止セズ
公務員ハ 毎月其ノ俸給ノ百分ノ二ニ相当スル金額ヲ国庫ニ納付スベシ