この法律は、情報通信技術を利用する方法による国の歳入(歳入歳出外現金を含み、各省各庁の事務に係るものに限る。以下「歳入等」という。)の納付(納付の委託を含む。以下この条において同じ。)を行うために必要となる事項を定めることにより、国の歳入等の納付の方法について定めた他の法令の規定にかかわらず、情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付を可能とし、もって当該納付に係る関係者の利便性の向上を図ることを目的とする。
情報通信技術を利用する方法による国の歳入等の納付に関する法律
第一章 総則
この法律において「法令」とは、法律、法律に基づく命令 及び最高裁判所規則をいう。
この法律において「各省各庁」とは、裁判所、会計検査院、内閣(内閣府 及びデジタル庁を除く。)、内閣府、デジタル庁 及び各省をいう。
第二章 情報通信技術を利用して自ら納付する方法による納付
各省各庁は、歳入等の納付のうち、当該歳入等の納付に関する他の法令の規定において収入印紙をもってすること その他の当該歳入等の納付の方法が規定されているもので主務省令(裁判所の事務に係る歳入等にあっては、最高裁判所規則。以下この章から第四章までにおいて同じ。)で定めるものについては、当該法令の規定にかかわらず、当該歳入等を納付しようとする者が自ら納付する方法であって、電子情報処理組織を使用するもの その他の情報通信技術を利用するもので主務省令で定めるものにより当該歳入等の納付を行わせることができる。
前項の規定は、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成十四年法律第百五十一号)第六条第五項に規定する場合については、適用しない。
第三章 情報通信技術を利用して指定納付受託者に委託して納付する方法による納付
各省各庁は、歳入等の納付で主務省令で定めるものについては、次条の規定により指定納付受託者(第八条第一項に規定する指定納付受託者をいう。以下この章において同じ。)に当該歳入等の納付を委託して納付する方法により当該歳入等の納付を行わせることができる。
この場合において、当該歳入等の納付に関する他の法令の規定において収入印紙をもってすること その他の当該歳入等の納付の方法が規定されているものについては、当該 他の法令の規定は、適用しない。
各省各庁が前条前段に規定する方法により歳入等の納付を行わせる場合において、当該方法により歳入等を納付しようとする者は、次の各号のいずれかに該当する方法により、当該歳入等の納付を指定納付受託者に委託しなければならない。
電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信技術を利用する方法により次に掲げる事項を指定納付受託者に通知する方法(当該歳入等の徴収 又は収納を行う各省各庁を通じて通知する方法を含む。)
歳入等の納付に係る書面(前号イに掲げる事項 及びバーコード その他の情報通信技術を利用するための符号が記載されたものに限る。)で主務省令で定めるものを指定納付受託者に提示する方法
指定納付受託者は、前条の規定により歳入等を納付しようとする者の委託(以下この条において「委託」という。)を受けたときは、主務省令で定めるところにより、その旨を当該歳入等を納付しようとする者に通知しなければならない。
指定納付受託者は、前条の規定により委託を受けたときは、当該歳入等の徴収 又は収納を行う各省各庁の長(当該各省各庁が裁判所である場合にあっては、最高裁判所長官。以下同じ。)の定める期間ごとに、遅滞なく、次に掲げる事項を当該各省各庁の長に報告しなければならない。
報告の対象となった期間 並びに当該期間において前条の規定により委託を受けた件数 及び歳入等の金額の合計額
前号に規定する期間において受けた委託に係る次に掲げる事項
前条第一号イに掲げる事項
指定納付受託者は、前条の規定により委託を受けたときは、当該歳入等の額に相当する金銭を受領したかどうかにかかわらず、主務省令で定める日までに当該委託を受けた歳入等を納付しなければならない。
前項の場合において、当該指定納付受託者が同項の主務省令で定める日までに当該歳入等を納付したときは、当該委託を受けた日に当該歳入等の納付がされたものとみなす。
ただし、当該歳入等に係る延滞金 その他の歳入等の納付の遅滞に係る徴収金に関する他の法令の規定の適用については、指定納付受託者が同項の主務省令で定める日までに当該歳入等を納付したかどうかにかかわらず、当該委託を受けた日に当該歳入等の納付がされたものとみなす。
指定納付受託者が前条第三項に規定する歳入等を同項の主務省令で定める日までに納付しないときは、各省各庁の長は、国税の保証人に関する徴収の例によりその歳入等を当該指定納付受託者から徴収するものとする。
各省各庁の長は、前条第三項の規定により指定納付受託者が納付すべき歳入等については、当該指定納付受託者に対して前項の規定により国税の保証人に関する徴収の例による滞納処分をしてもなお徴収すべき残余がある場合でなければ、その残余の額について当該歳入等に係る第五条の規定による委託をした者から徴収することができない。
第四章 指定納付受託者
各省各庁の長は、歳入等を納付しようとする者の委託を受けて国に当該歳入等を納付する事務(第五項、次条 及び第十一条第一項第三号において「納付事務」という。)を適切かつ確実に実施することができる者として政令で定める者を、その申請により、主務省令で定めるところにより、指定納付受託者として指定することができる。
各省各庁の長は、前項の規定による指定をしたときは、直ちに、指定納付受託者の名称、住所 又は事務所の所在地、納付を委託することができる歳入等の種類 その他主務省令で定める事項を公示しなければならない。
指定納付受託者は、その名称、住所 又は事務所の所在地を変更するときは、主務省令で定めるところにより、あらかじめ、その旨を各省各庁の長に届け出なければならない。
各省各庁の長は、前項の規定による届出があったときは、速やかに、当該届出に係る事項を公示しなければならない。
指定納付受託者は、主務省令で定めるところにより、帳簿を備え付け、これに納付事務に関する事項を記載し、及びこれを保存しなければならない。
各省各庁の長は、第六条から前条までの規定を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、主務省令で定めるところにより、指定納付受託者に対し、報告をさせることができる。
各省各庁の長は、第六条から前条までの規定を施行するため必要があると認めるときは、その必要な限度で、その職員に、指定納付受託者の事務所に立ち入り、指定納付受託者の帳簿書類(その作成 又は保存に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。)の作成 又は保存がされている場合における当該電磁的記録を含む。)その他必要な物件を検査させ、又は関係者に質問させることができる。
前項の規定により立入検査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
第二項に規定する権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
各省各庁の長は、指定納付受託者が次の各号のいずれかに該当するときは、主務省令で定めるところにより、第八条第一項の規定による指定を取り消すことができる。
第六条第二項 又は前条第一項の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
第八条第一項に規定する政令で定める者に該当しなくなったとき。
第八条第五項の政令で定める者以外の者に納付事務を委託したとき。
第九条の規定に違反して、帳簿を備え付けず、帳簿に記載せず、若しくは帳簿に虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかったとき。
前条第二項の規定による立入り若しくは検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して陳述をせず、若しくは虚偽の陳述をしたとき。
各省各庁の長は、前項の規定により指定を取り消したときは、直ちに、その旨を公示しなければならない。
第五章 雑則
各省各庁は、第三条第一項に規定する情報通信技術を利用して自ら納付する方法 及び第四条前段に規定する指定納付受託者に納付を委託して納付する方法により納付を行うことができる当該各省各庁の事務に係る歳入等を、インターネットの利用 その他の方法により公表するものとする。
前二章に規定する各省各庁の長の権限 又は事務は、政令で定めるところにより、当該各省各庁の機関に委任することができる。
この法律における主務省令は、歳入等の納付に関する他の法令(会計検査院規則、人事院規則、公正取引委員会規則、国家公安委員会規則、個人情報保護委員会規則、カジノ管理委員会規則、公害等調整委員会規則、公安審査委員会規則、中央労働委員会規則、運輸安全委員会規則 及び原子力規制委員会規則を除く。)を所管する内閣官房、内閣府、デジタル庁 又は各省の内閣官房令、内閣府令、デジタル庁令 又は省令とする。
ただし、会計検査院、人事院、公正取引委員会、国家公安委員会、個人情報保護委員会、カジノ管理委員会、公害等調整委員会、公安審査委員会、中央労働委員会、運輸安全委員会 又は原子力規制委員会の所管に係る歳入等の納付については、それぞれ会計検査院規則、人事院規則、公正取引委員会規則、国家公安委員会規則、個人情報保護委員会規則、カジノ管理委員会規則、公害等調整委員会規則、公安審査委員会規則、中央労働委員会規則、運輸安全委員会規則 又は原子力規制委員会規則とする。
この法律に定めるもののほか、この法律の実施のために必要な事項は、政令で定める。