母子及び父子並びに寡婦福祉法

# 昭和三十九年法律第百二十九号 #
略称 : 母子父子寡婦法  母子父子寡婦福祉法 

第三章 母子家庭に対する福祉の措置

分類 法律
カテゴリ   社会福祉
@ 施行日 : 令和五年四月一日 ( 2023年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第七十六号による改正
最終編集日 : 2023年 04月04日 09時42分


1項

都道府県は、配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの又はその扶養している児童(配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものが同時に民法第八百七十七条の規定により二十歳以上である子 その他これに準ずる者を扶養している場合におけるその二十歳以上である子 その他これに準ずる者を含む。以下 この項 及び第三項において同じ。)に対し、配偶者のない女子の経済的自立の助成と生活意欲の助長を図り、あわせてその扶養している児童の福祉を増進するため、次に掲げる資金を貸し付けることができる。

一 号
事業を開始し、又は継続するのに必要な資金
二 号
配偶者のない女子が扶養している児童の修学に必要な資金
三 号
配偶者のない女子 又はその者が扶養している児童が事業を開始し、又は就職するために必要な知識技能を習得するのに必要な資金
四 号

前三号に掲げるもののほか、配偶者のない女子 及び その者が扶養している児童の福祉のために必要な資金であつて政令で定めるもの

2項

都道府県は、前項に規定する資金のうち、その貸付けの目的を達成するために一定の期間継続して貸し付ける必要がある資金で政令で定めるものについては、その貸付けの期間中に当該配偶者のない女子が民法第八百七十七条の規定により扶養している全ての児童が二十歳に達した後でも、政令で定めるところにより、なお継続してその貸付けを行うことができる。

3項

都道府県は、第一項に規定する資金のうち、その貸付けの目的が児童の修学 又は知識技能の習得に係る資金であつて政令で定めるものを配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものに貸し付けている場合において、その修学 又は知識技能の習得の中途において当該配偶者のない女子が死亡したときは、政令で定めるところにより、当該児童(前項の規定による貸付けに係る二十歳以上である者を含む。)がその修学 又は知識技能の習得を終了するまでの間、当該児童に対して、当該資金の貸付けを行うことができる。

1項

都道府県は、政令で定める事業を行う母子・父子福祉団体であつてその事業に使用される者が主として次の各号に掲げる者のいずれかであるもの 又は第一号に掲げる者の自立の促進を図るための事業として政令で定めるものを行う母子・父子福祉団体に対し、これらの事業につき、前条第一項第一号に掲げる資金を貸し付けることができる。

一 号
配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの
二 号

前号に掲げる者 及び配偶者のない男子で現に児童を扶養しているもの

三 号

第一号に掲げる者 及び寡婦

四 号

第二号に掲げる者 及び寡婦

1項

都道府県は、第十三条の規定による貸付金の貸付けを受けた者が死亡したとき、又は精神 若しくは身体に著しい障害を受けたため、当該貸付金を償還することができなくなつたと認められるときは、議会の議決を経て、当該貸付金の償還未済額の全部 又は一部の償還を免除することができる。


ただし、政令で定める場合は、この限りでない。

2項

都道府県は、第十三条第一項第四号に掲げる資金のうち政令で定めるものの貸付けを受けた者が、所得の状況 その他政令で定める事由により当該貸付金を償還することができなくなつたと認められるときは、条例で定めるところにより、当該貸付金の償還未済額の一部の償還を免除することができる。

1項

前三条に定めるもののほか第十三条 及び第十四条の規定による貸付金(以下「母子福祉資金貸付金」という。)の貸付金額の限度、貸付方法、償還 その他母子福祉資金貸付金の貸付けに関して必要な事項は、政令で定める。

1項

都道府県 又は市町村は、配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものがその者の疾病 その他の理由により日常生活に支障を生じたと認められるときは、政令で定める基準に従い、その者につき、その者の居宅 その他内閣府令で定める場所において、乳幼児の保育 若しくは食事の世話 若しくは専門的知識をもつて行う生活 及び生業に関する助言、指導 その他の日常生活を営むのに必要な便宜であつて内閣府令で定めるものを供与し、又は当該都道府県 若しくは市町村以外の者に当該便宜を供与することを委託する措置を採ることができる。

2項

前項の規定による委託に係る事務に従事する者 又は従事していた者は、正当な理由がなく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

1項

都道府県知事 又は市町村長は、前条第一項の措置を解除する場合には、あらかじめ、当該措置に係る者に対し、当該措置の解除の理由について説明するとともに、その意見を聴かなければならない。


ただし、当該措置に係る者から当該措置の解除の申出があつた場合 その他内閣府令で定める場合においては、この限りでない。

1項

第十七条第一項の措置を解除する処分については、行政手続法平成五年法律第八十八号第三章第十二条 及び第十四条除く)の規定は、適用しない

1項

国 及び都道府県以外の者は、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、内閣府令で定める事項を都道府県知事に届け出て、母子家庭日常生活支援事業(第十七条第一項の措置に係る者につき同項の内閣府令で定める便宜を供与する事業をいう。以下同じ。)を行うことができる。

1項

母子家庭日常生活支援事業を行う者は、その事業を廃止し、又は休止するときは、あらかじめ、内閣府令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。

1項

都道府県知事は、母子家庭の福祉のために必要があると認めるときは、母子家庭日常生活支援事業を行う者に対し、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその事務所に立ち入り、帳簿書類 その他の物件を検査させることができる。

2項

前項の規定による質問 又は立入検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3項

第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

1項

都道府県知事は、母子家庭日常生活支援事業を行う者が、この法律 若しくはこれに基づく命令 若しくはこれらに基づいてする処分に違反したとき、又はその事業に関し不当に営利を図り、若しくは第十七条第一項の措置に係る配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの等の処遇につき不当な行為をしたときは、その事業を行う者に対し、その事業の制限 又は停止を命ずることができる。

1項

母子家庭日常生活支援事業を行う者は、第十七条第一項の規定による委託を受けたときは、正当な理由がなく、これを拒んではならない。

1項
国 又は地方公共団体の設置した事務所 その他の公共的施設の管理者は、配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの又は母子・父子福祉団体からの申請があつたときは、その公共的施設内において、新聞、雑誌、たばこ、事務用品、食料品 その他の物品を販売し、又は理容業、美容業等の業務を行うために、売店 又は理容所、美容所等の施設を設置することを許すように努めなければならない。
2項

前項の規定により売店 その他の施設を設置することを許された者は、病気 その他正当な理由がある場合のほかは、自らその業務に従事し、又は当該母子・父子福祉団体が使用する配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものをその業務に従事させなければならない。

3項

都道府県知事は、第一項に規定する売店 その他の施設の設置 及び その運営を円滑にするため、当該都道府県の区域内の公共的施設の管理者と協議を行い、かつ、公共的施設内における売店等の設置の可能な場所、販売物品の種類等を調査し、その結果を配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの及び母子・父子福祉団体に知らせる措置を講じなければならない。

1項

配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものがたばこ事業法昭和五十九年法律第六十八号第二十二条第一項の規定による小売販売業の許可を申請した場合において同法第二十三条各号の規定に該当しないときは、財務大臣は、その者に当該許可を与えるように努めなければならない。

2項

前条第二項の規定は、前項の規定によりたばこ事業法第二十二条第一項の許可を受けた者について準用する。

1項

地方公共団体は、公営住宅法昭和二十六年法律第百九十三号)による公営住宅の供給を行う場合には、母子家庭の福祉が増進されるように特別の配慮をしなければならない。

1項

市町村は、子ども・子育て支援法第二十七条第一項に規定する特定教育・保育施設(次項において「特定教育・保育施設」という。)又は同法第四十三条第二項に規定する特定地域型保育事業(次項において「特定地域型保育事業」という。)の利用について、同法第四十二条第一項 若しくは第五十四条第一項の規定により相談、助言 若しくはあつせん 若しくは要請を行う場合 又は児童福祉法第二十四条第三項の規定により調整 若しくは要請を行う場合には、母子家庭の福祉が増進されるように特別の配慮をしなければならない。

2項

特定教育・保育施設の設置者 又は子ども・子育て支援法第二十九条第一項に規定する特定地域型保育事業者は、同法第三十三条第二項 又は第四十五条第二項の規定により当該特定教育・保育施設を利用する児童(同法第十九条第二号 又は第三号に該当する児童に限る。以下 この項において同じ。)又は当該特定地域型保育事業者に係る特定地域型保育事業を利用する児童を選考するときは、母子家庭の福祉が増進されるように特別の配慮をしなければならない。

3項

市町村は、児童福祉法第六条の三第二項に規定する放課後児童健全育成事業 その他の内閣府令で定める事業を行う場合には、母子家庭の福祉が増進されるように特別の配慮をしなければならない。

1項
国 及び地方公共団体は、就職を希望する母子家庭の母 及び児童の雇用の促進を図るため、事業主 その他国民一般の理解を高めるとともに、職業訓練の実施、就職のあつせん、公共的施設における雇入れの促進等必要な措置を講ずるように努めるものとする。
2項
公共職業安定所は、母子家庭の母の雇用の促進を図るため、求人に関する情報の収集 及び提供、母子家庭の母を雇用する事業主に対する援助 その他必要な措置を講ずるように努めるものとする。
1項

国は、前条第二項の規定に基づき公共職業安定所が講ずる措置のほか、次に掲げる業務を行うものとする。

一 号
母子家庭の母 及び児童の雇用の促進に関する調査 及び研究を行うこと。
二 号
母子家庭の母 及び児童の雇用の促進に関する業務に従事する者 その他の関係者に対する研修を行うこと。
三 号

都道府県が行う次項に規定する業務(以下「母子家庭就業支援事業」という。)について、都道府県に対し、情報の提供 その他の援助を行うこと。

2項
都道府県は、就職を希望する母子家庭の母 及び児童の雇用の促進を図るため、母子・父子福祉団体と緊密な連携を図りつつ、次に掲げる業務を総合的かつ一体的に行うことができる。
一 号
母子家庭の母 及び児童に対し、就職に関する相談に応じること。
二 号
母子家庭の母 及び児童に対し、職業能力の向上のために必要な措置を講ずること。
三 号
母子家庭の母 及び児童 並びに事業主に対し、雇用情報 及び就職の支援に関する情報の提供 その他母子家庭の母 及び児童の就職に関し必要な支援を行うこと。
3項
都道府県は、母子家庭就業支援事業に係る事務の全部 又は一部を内閣府令で定める者に委託することができる。
4項

前項の規定による委託に係る事務に従事する者 又は従事していた者は、正当な理由がなく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

1項

都道府県等は、配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものの雇用の安定 及び就職の促進を図るため、政令で定めるところにより、配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの 又は事業主に対し、次に掲げる給付金(以下「母子家庭自立支援給付金」という。)を支給することができる。

一 号

配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものが、内閣府令で定める教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合に、その者に支給する給付金(以下「母子家庭自立支援教育訓練給付金」という。

二 号

配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものが、安定した職業に就くことを容易にするため必要な資格として内閣府令で定めるものを取得するため養成機関において修業する場合に、その修業と生活との両立を支援するためその者に支給する給付金(以下「母子家庭高等職業訓練促進給付金」という。

三 号

前二号に掲げる給付金以外の給付金であつて、政令で定めるもの

1項
偽りその他不正の手段により母子家庭自立支援給付金の支給を受けた者があるときは、都道府県知事等は、受給額に相当する金額の全部 又は一部をその者から徴収することができる。
1項

母子家庭自立支援教育訓練給付金 又は母子家庭高等職業訓練促進給付金の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。

1項

租税 その他の公課は、母子家庭自立支援教育訓練給付金 又は母子家庭高等職業訓練促進給付金として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。

1項

都道府県 及び市町村は、母子家庭の母 及び児童の生活の向上を図るため、母子・父子福祉団体と緊密な連携を図りつつ、次に掲げる業務(以下「母子家庭生活向上事業」という。)を行うことができる。

一 号
母子家庭の母 及び児童に対し、家庭生活 及び職業生活に関する相談に応じ、又は母子・父子福祉団体による支援 その他の母子家庭の母 及び児童に対する支援に係る情報の提供を行うこと。
二 号
母子家庭の児童に対し、生活に関する相談に応じ、又は学習に関する支援を行うこと。
三 号
母子家庭の母 及び児童に対し、母子家庭相互の交流の機会を提供すること その他の必要な支援を行うこと。
2項
都道府県 及び市町村は、母子家庭生活向上事業に係る事務の全部 又は一部を内閣府令で定める者に委託することができる。
3項

前項の規定による委託に係る事務に従事する者 又は従事していた者は、正当な理由がなく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。