母子及び父子並びに寡婦福祉法
第一章 総則
全て母子家庭等には、児童が、その置かれている環境にかかわらず、心身ともに健やかに育成されるために必要な諸条件と、その母子家庭の母 及び父子家庭の父の健康で文化的な生活とが保障されるものとする。
国 及び地方公共団体は、母子家庭等 又は寡婦の福祉に関係のある施策を講ずるに当たつては、その施策を通じて、前条に規定する理念が具現されるように配慮しなければならない。
第八条第一項に規定する母子・父子自立支援員、福祉事務所(社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に定める福祉に関する事務所をいう。以下同じ。)その他母子家庭の福祉に関する機関、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)に定める児童委員、売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第三十五条第一項に規定する婦人相談員、児童福祉法第四十四条の二第一項に規定する児童家庭支援センター、同法第三十八条に規定する母子生活支援施設、第十七条第一項、第三十条第三項 又は第三十一条の五第二項の規定により都道府県 又は市(特別区を含む。以下同じ。)町村から委託を受けている者、第三十八条に規定する母子・父子福祉施設、母子・父子福祉団体、公共職業安定所 その他母子家庭の支援を行う関係機関は、母子家庭の母 及び児童の生活の安定と向上のために相互に協力しなければならない。
第八条第一項に規定する母子・父子自立支援員、福祉事務所 その他父子家庭の福祉に関する機関、児童福祉法に定める児童委員、同法第四十四条の二第一項に規定する児童家庭支援センター、第三十一条の七第一項、第三十一条の九第三項 又は第三十一条の十一第二項の規定により都道府県 又は市町村から委託を受けている者、第三十八条に規定する母子・父子福祉施設、母子・父子福祉団体、公共職業安定所 その他父子家庭の支援を行う関係機関は、父子家庭の父 及び児童の生活の安定と向上のために相互に協力しなければならない。
第八条第一項に規定する母子・父子自立支援員、福祉事務所 その他寡婦の福祉に関する機関、第三十三条第一項、第三十五条第三項 又は第三十五条の二第二項の規定により都道府県 又は市町村から委託を受けている者、第三十八条に規定する母子・父子福祉施設、母子・父子福祉団体、公共職業安定所 その他寡婦の支援を行う関係機関は、寡婦の生活の安定と向上のために相互に協力しなければならない。
この法律において「配偶者のない女子」とは、配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含む。以下同じ。)と死別した女子であつて、現に婚姻(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある場合を含む。以下同じ。)をしていないもの及びこれに準ずる次に掲げる女子をいう。
前各号に掲げる者に準ずる女子であつて政令で定めるもの
この法律において「配偶者のない男子」とは、配偶者と死別した男子であつて、現に婚姻をしていないもの及びこれに準ずる次に掲げる男子をいう。
前各号に掲げる者に準ずる男子であつて政令で定めるもの
この法律において「児童」とは、二十歳に満たない者をいう。
この法律において「寡婦」とは、配偶者のない女子であつて、かつて配偶者のない女子として民法(明治二十九年法律第八十九号)第八百七十七条の規定により児童を扶養していたことのあるものをいう。
この法律において「母子家庭等」とは、母子家庭 及び父子家庭をいう。
この法律において「母子・父子福祉団体」とは、配偶者のない者で現に児童を扶養しているもの(配偶者のない女子であつて民法第八百七十七条の規定により現に児童を扶養しているもの(以下「配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの」という。)又は配偶者のない男子であつて同条の規定により現に児童を扶養しているもの(以下「配偶者のない男子で現に児童を扶養しているもの」という。)をいう。第八条第二項において同じ。)の福祉 又はこれに併せて寡婦の福祉を増進することを主たる目的とする次の各号に掲げる法人であつて当該各号に定めるその役員の過半数が配偶者のない女子 又は配偶者のない男子であるものをいう。
前号に掲げるもののほか、営利を目的としない法人であつて内閣府令で定めるもの内閣府令で定める役員
次の各号に掲げる機関は、母子家庭等の福祉に関する事項につき、調査審議するほか、当該各号に定める者の諮問に答え、又は関係行政機関に意見を具申することができる。
児童福祉法第八条第二項に規定する都道府県児童福祉審議会(同条第一項ただし書に規定する都道府県にあつては、社会福祉法第七条第一項に規定する地方社会福祉審議会)都道府県知事
児童福祉法第八条第四項に規定する市町村児童福祉審議会 市町村長(特別区の区長を含む。以下同じ。)
都道府県知事、市長(特別区の区長を含む。)及び福祉事務所を管理する町村長(以下「都道府県知事等」という。)は、社会的信望があり、かつ、次項に規定する職務を行うに必要な熱意と識見を持つている者のうちから、母子・父子自立支援員を委嘱するものとする。
配偶者のない者で現に児童を扶養しているもの 及び寡婦に対し、相談に応じ、その自立に必要な情報提供 及び指導を行うこと。
配偶者のない者で現に児童を扶養しているもの 及び寡婦に対し、職業能力の向上 及び求職活動に関する支援を行うこと。
都道府県、市 及び福祉事務所を設置する町村(以下「都道府県等」という。)は、母子・父子自立支援員の研修の実施 その他の措置を講ずることにより、母子・父子自立支援員 その他の母子家庭の母 及び父子家庭の父 並びに寡婦の自立の支援に係る事務に従事する人材の確保 及び資質の向上を図るよう努めるものとする。
福祉事務所は、この法律の施行に関し、主として次の業務を行うものとする。
児童福祉法に定める児童委員は、この法律の施行について、福祉事務所の長 又は母子・父子自立支援員の行う職務に協力するものとする。
第二章 基本方針等
内閣総理大臣は、母子家庭等 及び寡婦の生活の安定と向上のための措置に関する基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。
都道府県等が、次条の規定に基づき策定する母子家庭等 及び寡婦の生活の安定と向上のための措置に関する計画(以下「自立促進計画」という。)の指針となるべき基本的な事項
前三号に掲げるもののほか、母子家庭等 及び寡婦の生活の安定と向上のための措置に関する重要事項
内閣総理大臣は、基本方針を定め、又は変更するときは、あらかじめ、関係行政機関の長に協議するものとする。
前三号に掲げるもののほか、母子家庭等 及び寡婦の生活の安定と向上のための措置に関する重要事項
都道府県等は、自立促進計画を策定し、又は変更するときは、あらかじめ、母子家庭等 及び寡婦の置かれている環境、母子家庭等 及び寡婦に対する福祉の措置の利用に関する母子家庭等 及び寡婦の意向 その他の母子家庭等 及び寡婦の事情を勘案するよう努めなければならない。
都道府県等は、自立促進計画を策定し、又は変更するときは、あらかじめ、第七条各号に掲げる機関、子ども・子育て支援法(平成二十四年法律第六十五号)第七十二条第一項 又は第四項に規定する機関 その他の母子家庭等 及び寡婦の福祉に関する事項を調査審議する合議制の機関の意見を聴くよう努めなければならない。
都道府県等は、自立促進計画を策定し、又は変更するときは、あらかじめ、母子・父子福祉団体の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
前項に定めるもののほか、都道府県等は、自立促進計画を策定し、又は変更するときは、あらかじめ、インターネットの利用 その他の内閣府令で定める方法により広く母子家庭等 及び寡婦の意見を求めること その他の住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
第三章 母子家庭に対する福祉の措置
都道府県は、配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの又はその扶養している児童(配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものが同時に民法第八百七十七条の規定により二十歳以上である子 その他これに準ずる者を扶養している場合におけるその二十歳以上である子 その他これに準ずる者を含む。以下 この項 及び第三項において同じ。)に対し、配偶者のない女子の経済的自立の助成と生活意欲の助長を図り、あわせてその扶養している児童の福祉を増進するため、次に掲げる資金を貸し付けることができる。
前三号に掲げるもののほか、配偶者のない女子 及び その者が扶養している児童の福祉のために必要な資金であつて政令で定めるもの
都道府県は、前項に規定する資金のうち、その貸付けの目的を達成するために一定の期間継続して貸し付ける必要がある資金で政令で定めるものについては、その貸付けの期間中に当該配偶者のない女子が民法第八百七十七条の規定により扶養している全ての児童が二十歳に達した後でも、政令で定めるところにより、なお継続してその貸付けを行うことができる。
都道府県は、第一項に規定する資金のうち、その貸付けの目的が児童の修学 又は知識技能の習得に係る資金であつて政令で定めるものを配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものに貸し付けている場合において、その修学 又は知識技能の習得の中途において当該配偶者のない女子が死亡したときは、政令で定めるところにより、当該児童(前項の規定による貸付けに係る二十歳以上である者を含む。)がその修学 又は知識技能の習得を終了するまでの間、当該児童に対して、当該資金の貸付けを行うことができる。
都道府県は、政令で定める事業を行う母子・父子福祉団体であつてその事業に使用される者が主として次の各号に掲げる者のいずれかであるもの 又は第一号に掲げる者の自立の促進を図るための事業として政令で定めるものを行う母子・父子福祉団体に対し、これらの事業につき、前条第一項第一号に掲げる資金を貸し付けることができる。
前号に掲げる者 及び配偶者のない男子で現に児童を扶養しているもの
第一号に掲げる者 及び寡婦
第二号に掲げる者 及び寡婦
都道府県は、第十三条の規定による貸付金の貸付けを受けた者が死亡したとき、又は精神 若しくは身体に著しい障害を受けたため、当該貸付金を償還することができなくなつたと認められるときは、議会の議決を経て、当該貸付金の償還未済額の全部 又は一部の償還を免除することができる。
ただし、政令で定める場合は、この限りでない。
都道府県は、第十三条第一項第四号に掲げる資金のうち政令で定めるものの貸付けを受けた者が、所得の状況 その他政令で定める事由により当該貸付金を償還することができなくなつたと認められるときは、条例で定めるところにより、当該貸付金の償還未済額の一部の償還を免除することができる。
前三条に定めるもののほか、第十三条 及び第十四条の規定による貸付金(以下「母子福祉資金貸付金」という。)の貸付金額の限度、貸付方法、償還 その他母子福祉資金貸付金の貸付けに関して必要な事項は、政令で定める。
都道府県 又は市町村は、配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものがその者の疾病 その他の理由により日常生活に支障を生じたと認められるときは、政令で定める基準に従い、その者につき、その者の居宅 その他内閣府令で定める場所において、乳幼児の保育 若しくは食事の世話 若しくは専門的知識をもつて行う生活 及び生業に関する助言、指導 その他の日常生活を営むのに必要な便宜であつて内閣府令で定めるものを供与し、又は当該都道府県 若しくは市町村以外の者に当該便宜を供与することを委託する措置を採ることができる。
前項の規定による委託に係る事務に従事する者 又は従事していた者は、正当な理由がなく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
都道府県知事 又は市町村長は、前条第一項の措置を解除する場合には、あらかじめ、当該措置に係る者に対し、当該措置の解除の理由について説明するとともに、その意見を聴かなければならない。
ただし、当該措置に係る者から当該措置の解除の申出があつた場合 その他内閣府令で定める場合においては、この限りでない。
第十七条第一項の措置を解除する処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条 及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。
国 及び都道府県以外の者は、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、内閣府令で定める事項を都道府県知事に届け出て、母子家庭日常生活支援事業(第十七条第一項の措置に係る者につき同項の内閣府令で定める便宜を供与する事業をいう。以下同じ。)を行うことができる。
母子家庭日常生活支援事業を行う者は、その事業を廃止し、又は休止するときは、あらかじめ、内閣府令で定める事項を都道府県知事に届け出なければならない。
都道府県知事は、母子家庭の福祉のために必要があると認めるときは、母子家庭日常生活支援事業を行う者に対し、必要と認める事項の報告を求め、又は当該職員に、関係者に対して質問させ、若しくはその事務所に立ち入り、帳簿書類 その他の物件を検査させることができる。
前項の規定による質問 又は立入検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
都道府県知事は、母子家庭日常生活支援事業を行う者が、この法律 若しくはこれに基づく命令 若しくはこれらに基づいてする処分に違反したとき、又はその事業に関し不当に営利を図り、若しくは第十七条第一項の措置に係る配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの等の処遇につき不当な行為をしたときは、その事業を行う者に対し、その事業の制限 又は停止を命ずることができる。
母子家庭日常生活支援事業を行う者は、第十七条第一項の規定による委託を受けたときは、正当な理由がなく、これを拒んではならない。
前項の規定により売店 その他の施設を設置することを許された者は、病気 その他正当な理由がある場合のほかは、自らその業務に従事し、又は当該母子・父子福祉団体が使用する配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものをその業務に従事させなければならない。
都道府県知事は、第一項に規定する売店 その他の施設の設置 及び その運営を円滑にするため、当該都道府県の区域内の公共的施設の管理者と協議を行い、かつ、公共的施設内における売店等の設置の可能な場所、販売物品の種類等を調査し、その結果を配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの及び母子・父子福祉団体に知らせる措置を講じなければならない。
配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものがたばこ事業法(昭和五十九年法律第六十八号)第二十二条第一項の規定による小売販売業の許可を申請した場合において同法第二十三条各号の規定に該当しないときは、財務大臣は、その者に当該許可を与えるように努めなければならない。
前条第二項の規定は、前項の規定によりたばこ事業法第二十二条第一項の許可を受けた者について準用する。
地方公共団体は、公営住宅法(昭和二十六年法律第百九十三号)による公営住宅の供給を行う場合には、母子家庭の福祉が増進されるように特別の配慮をしなければならない。
市町村は、子ども・子育て支援法第二十七条第一項に規定する特定教育・保育施設(次項において「特定教育・保育施設」という。)又は同法第四十三条第二項に規定する特定地域型保育事業(次項において「特定地域型保育事業」という。)の利用について、同法第四十二条第一項 若しくは第五十四条第一項の規定により相談、助言 若しくはあつせん 若しくは要請を行う場合 又は児童福祉法第二十四条第三項の規定により調整 若しくは要請を行う場合には、母子家庭の福祉が増進されるように特別の配慮をしなければならない。
特定教育・保育施設の設置者 又は子ども・子育て支援法第二十九条第一項に規定する特定地域型保育事業者は、同法第三十三条第二項 又は第四十五条第二項の規定により当該特定教育・保育施設を利用する児童(同法第十九条第二号 又は第三号に該当する児童に限る。以下 この項において同じ。)又は当該特定地域型保育事業者に係る特定地域型保育事業を利用する児童を選考するときは、母子家庭の福祉が増進されるように特別の配慮をしなければならない。
市町村は、児童福祉法第六条の三第二項に規定する放課後児童健全育成事業 その他の内閣府令で定める事業を行う場合には、母子家庭の福祉が増進されるように特別の配慮をしなければならない。
国は、前条第二項の規定に基づき公共職業安定所が講ずる措置のほか、次に掲げる業務を行うものとする。
都道府県が行う次項に規定する業務(以下「母子家庭就業支援事業」という。)について、都道府県に対し、情報の提供 その他の援助を行うこと。
前項の規定による委託に係る事務に従事する者 又は従事していた者は、正当な理由がなく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
都道府県等は、配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものの雇用の安定 及び就職の促進を図るため、政令で定めるところにより、配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの 又は事業主に対し、次に掲げる給付金(以下「母子家庭自立支援給付金」という。)を支給することができる。
配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものが、内閣府令で定める教育訓練を受け、当該教育訓練を修了した場合に、その者に支給する給付金(以下「母子家庭自立支援教育訓練給付金」という。)
配偶者のない女子で現に児童を扶養しているものが、安定した職業に就くことを容易にするため必要な資格として内閣府令で定めるものを取得するため養成機関において修業する場合に、その修業と生活との両立を支援するためその者に支給する給付金(以下「母子家庭高等職業訓練促進給付金」という。)
前二号に掲げる給付金以外の給付金であつて、政令で定めるもの
母子家庭自立支援教育訓練給付金 又は母子家庭高等職業訓練促進給付金の支給を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
租税 その他の公課は、母子家庭自立支援教育訓練給付金 又は母子家庭高等職業訓練促進給付金として支給を受けた金銭を標準として、課することができない。
都道府県 及び市町村は、母子家庭の母 及び児童の生活の向上を図るため、母子・父子福祉団体と緊密な連携を図りつつ、次に掲げる業務(以下「母子家庭生活向上事業」という。)を行うことができる。
前項の規定による委託に係る事務に従事する者 又は従事していた者は、正当な理由がなく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
第四章 父子家庭に対する福祉の措置
都道府県は、配偶者のない男子で現に児童を扶養しているもの又はその扶養している児童(配偶者のない男子で現に児童を扶養しているものが同時に民法第八百七十七条の規定により二十歳以上である子 その他これに準ずる者を扶養している場合におけるその二十歳以上である子 その他これに準ずる者を含む。以下 この項 及び第三項において同じ。)に対し、配偶者のない男子の経済的自立の助成と生活意欲の助長を図り、あわせてその扶養している児童の福祉を増進するため、次に掲げる資金を貸し付けることができる。
都道府県は、前項に規定する資金のうち、その貸付けの目的を達成するために一定の期間継続して貸し付ける必要がある資金で政令で定めるものについては、その貸付けの期間中に当該配偶者のない男子が民法第八百七十七条の規定により扶養している全ての児童が二十歳に達した後でも、政令で定めるところにより、なお継続してその貸付けを行うことができる。
都道府県は、第一項に規定する資金のうち、その貸付けの目的が児童の修学 又は知識技能の習得に係る資金であつて政令で定めるものを配偶者のない男子で現に児童を扶養しているものに貸し付けている場合において、その修学 又は知識技能の習得の中途において当該配偶者のない男子が死亡したときは、政令で定めるところにより、当該児童(前項の規定による貸付けに係る二十歳以上である者を含む。)がその修学 又は知識技能の習得を終了するまでの間、当該児童に対して、当該資金の貸付けを行うことができる。
第十四条(各号を除く。)の規定は、政令で定める事業を行う母子・父子福祉団体であつてその事業に使用される者が主として次の各号に掲げる者のいずれかであるもの又は第一号に掲げる者の自立の促進を図るための事業として政令で定めるものを行う母子・父子福祉団体について準用する。
この場合において、
同条中
「次の各号」とあるのは
「第三十一条の六第四項各号」と、
「又は第一号」とあるのは
「又は同項第一号」と、
「前条第一項第一号」とあるのは
「同条第一項第一号」と
読み替えるものとする。
第十五条第一項の規定は第一項から第三項までの規定による貸付金の貸付けを受けた者について、同条第二項の規定は第一項第四号に掲げる資金のうち政令で定めるものの貸付けを受けた者について、それぞれ準用する。
都道府県は、母子福祉資金貸付金の貸付けを受けることができる母子・父子福祉団体については、第一項から第三項まで 及び第四項において読み替えて準用する第十四条の規定による貸付金(以下「父子福祉資金貸付金」という。)の貸付けを行わない。
第一項から第三項まで、第四項において読み替えて準用する第十四条、第五項において準用する第十五条 及び前項に定めるもののほか、父子福祉資金貸付金の貸付金額の限度、貸付方法、償還 その他父子福祉資金貸付金の貸付けに関して必要な事項は、政令で定める。
都道府県 又は市町村は、配偶者のない男子で現に児童を扶養しているものがその者の疾病 その他の理由により日常生活に支障を生じたと認められるときは、政令で定める基準に従い、その者につき、その者の居宅 その他内閣府令で定める場所において、乳幼児の保育 若しくは食事の世話 若しくは専門的知識をもつて行う生活 及び生業に関する助言、指導 その他の日常生活を営むのに必要な便宜であつて内閣府令で定めるものを供与し、又は当該都道府県 若しくは市町村以外の者に当該便宜を供与することを委託する措置を採ることができる。
前項の規定による委託に係る事務に従事する者 又は従事していた者は、正当な理由がなく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
第十八条 及び第十九条の規定は、第一項の措置について準用する。
第二十条の規定は父子家庭日常生活支援事業(第一項の措置に係る配偶者のない男子で現に児童を扶養しているものにつき同項の内閣府令で定める便宜を供与する事業をいう。以下同じ。)について、第二十一条から第二十四条までの規定は父子家庭日常生活支援事業を行う者について、それぞれ準用する。
この場合において、
第二十二条第一項中
「母子家庭の」とあるのは
「父子家庭の」と、
第二十三条中
「第十七条第一項」とあるのは
「第三十一条の七第一項」と、
「配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの」とあるのは
「配偶者のない男子で現に児童を扶養しているもの」と、
第二十四条中
「第十七条第一項」とあるのは
「第三十一条の七第一項」と
読み替えるものとする。
第二十七条 及び第二十八条の規定は父子家庭について、第二十九条第一項の規定は父子家庭の父 及び児童について、同条第二項の規定は父子家庭の父について、それぞれ準用する。
国は、前条において準用する第二十九条第二項の規定に基づき公共職業安定所が講ずる措置のほか、次に掲げる業務を行うものとする。
都道府県が行う次項に規定する業務(以下「父子家庭就業支援事業」という。)について、都道府県に対し、情報の提供 その他の援助を行うこと。
前項の規定による委託に係る事務に従事する者 又は従事していた者は、正当な理由がなく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
第三十一条から第三十一条の四までの規定は、配偶者のない男子で現に児童を扶養しているものについて準用する。
この場合において、
第三十一条中
「母子家庭自立支援給付金」とあるのは
「父子家庭自立支援給付金」と、
同条第一号中
「母子家庭自立支援教育訓練給付金」とあるのは
「父子家庭自立支援教育訓練給付金」と、
同条第二号中
「母子家庭高等職業訓練促進給付金」とあるのは
「父子家庭高等職業訓練促進給付金」と、
第三十一条の二中
「母子家庭自立支援給付金」とあるのは
「父子家庭自立支援給付金」と、
第三十一条の三 及び第三十一条の四中
「母子家庭自立支援教育訓練給付金 又は母子家庭高等職業訓練促進給付金」とあるのは
「父子家庭自立支援教育訓練給付金 又は父子家庭高等職業訓練促進給付金」と
読み替えるものとする。
都道府県 及び市町村は、父子家庭の父 及び児童の生活の向上を図るため、母子・父子福祉団体と緊密な連携を図りつつ、次に掲げる業務(以下「父子家庭生活向上事業」という。)を行うことができる。
前項の規定による委託に係る事務に従事する者 又は従事していた者は、正当な理由がなく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
第五章 寡婦に対する福祉の措置
都道府県は、寡婦 又は寡婦が民法第八百七十七条の規定により扶養している二十歳以上である子 その他これに準ずる者(以下 この項 及び次項において「寡婦の被扶養者」という。)に対し、寡婦の経済的自立の助成と生活意欲の助長を図り、あわせて寡婦の被扶養者の福祉を増進するため、次に掲げる資金を貸し付けることができる。
前三号に掲げるもののほか、寡婦 及び寡婦の被扶養者の福祉のために必要な資金であつて政令で定めるもの
都道府県は、前項に規定する資金のうち、その貸付けの目的が寡婦の被扶養者の修学 又は知識技能の習得に係る資金であつて政令で定めるものを寡婦に貸し付けている場合において、当該寡婦の被扶養者の修学 又は知識技能の習得の中途において当該寡婦が死亡したときは、政令で定めるところにより、当該寡婦の被扶養者であつた者が修学 又は知識技能の習得を終了するまでの間、当該寡婦の被扶養者であつた者に対して、当該資金の貸付けを行うことができる。
民法第八百七十七条の規定により現に扶養する子 その他これに準ずる者のない寡婦については、当該寡婦の収入が政令で定める基準を超えるときは、第一項の規定による貸付金の貸付けは、行わない。
ただし、政令で定める特別の事情がある者については、この限りでない。
第十四条(各号を除く。)の規定は、政令で定める事業を行う母子・父子福祉団体であつてその事業に使用される者が主として寡婦であるもの又は寡婦の自立の促進を図るための事業として政令で定めるものを行う母子・父子福祉団体について準用する。
この場合において、
同条中
「前条第一項第一号」とあるのは、
「第三十二条第一項第一号」と
読み替えるものとする。
第十五条第一項の規定は、第一項 及び第二項の規定による貸付金の貸付けを受けた者について準用する。
都道府県は、母子福祉資金貸付金の貸付けを受けることができる寡婦 又は母子福祉資金貸付金 若しくは父子福祉資金貸付金の貸付けを受けることができる母子・父子福祉団体については、第一項 及び第二項 並びに第四項において読み替えて準用する第十四条の規定による貸付金(以下「寡婦福祉資金貸付金」という。)の貸付けを行わない。
第一項から第三項まで、第四項において読み替えて準用する第十四条、第五項において準用する第十五条第一項 及び前項に定めるもののほか、寡婦福祉資金貸付金の貸付金額の限度、貸付方法、償還 その他寡婦福祉資金貸付金の貸付けに関して必要な事項は、政令で定める。
都道府県 又は市町村は、寡婦がその者の疾病 その他の理由により日常生活に支障を生じたと認められるときは、政令で定める基準に従い、その者につき、その者の居宅 その他内閣府令で定める場所において、食事の世話 若しくは専門的知識をもつて行う生活 及び生業に関する助言、指導 その他の日常生活を営むのに必要な便宜であつて内閣府令で定めるものを供与し、又は当該都道府県 若しくは市町村以外の者に当該便宜を供与することを委託する措置を採ることができる。
前項の規定による委託に係る事務に従事する者 又は従事していた者は、正当な理由がなく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
第十八条 及び第十九条の規定は、第一項の措置について準用する。
母子家庭日常生活支援事業を行う者は、内閣府令で定めるところにより、あらかじめ、内閣府令で定める事項を都道府県知事に届け出て、寡婦日常生活支援事業(第一項の措置に係る寡婦につき同項の内閣府令で定める便宜を供与する事業をいう。以下同じ。)を行うことができる。
第二十一条から第二十四条までの規定は、寡婦日常生活支援事業を行う者について準用する。
この場合において、
第二十二条第一項中
「母子家庭の」とあるのは
「寡婦の」と、
第二十三条中
「第十七条第一項」とあるのは
「第三十三条第一項」と、
「配偶者のない者で現に児童を扶養しているもの」とあるのは
「寡婦」と、
第二十四条中
「第十七条第一項」とあるのは
「第三十三条第一項」と
読み替えるものとする。
第二十五条、第二十六条 及び第二十九条の規定は、寡婦について準用する。
この場合において、
第二十五条第一項中
「配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの又は母子・父子福祉団体」とあり、
及び同条第三項中
「配偶者のない女子で現に児童を扶養しているもの及び母子・父子福祉団体」とあるのは、
「寡婦」と
読み替えるものとする。
第二十五条第一項の規定により売店 その他の施設を設置することを許された母子・父子福祉団体は、同条第二項の規定にかかわらず、当該母子・父子福祉団体が使用する寡婦をその業務に従事させることができる。
国は、前条第一項において準用する第二十九条第二項の規定に基づき公共職業安定所が講ずる措置のほか、次に掲げる業務を行うものとする。
都道府県が行う次項に規定する業務(以下「寡婦就業支援事業」という。)について、都道府県に対し、情報の提供 その他の援助を行うこと。
前項の規定による委託に係る事務に従事する者 又は従事していた者は、正当な理由がなく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
都道府県 及び市町村は、前項に規定する業務(以下「寡婦生活向上事業」という。)に係る事務の全部 又は一部を内閣府令で定める者に委託することができる。
前項の規定による委託に係る事務に従事する者 又は従事していた者は、正当な理由がなく、当該事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
第六章 福祉資金貸付金に関する特別会計等
都道府県は、母子福祉資金貸付金、父子福祉資金貸付金 及び寡婦福祉資金貸付金(以下「福祉資金貸付金」と総称する。)の貸付けを行うについては、特別会計を設けなければならない。
前項の特別会計においては、一般会計からの繰入金、次条第一項の規定による国からの借入金(以下「国からの借入金」という。)、福祉資金貸付金の償還金(当該福祉資金貸付金に係る政令で定める収入を含む。以下同じ。)及び附属雑収入をもつてその歳入とし、福祉資金貸付金、同条第二項 及び第四項の規定による国への償還金、同条第五項の規定による一般会計への繰入金 並びに貸付けに関する事務に要する費用をもつてその歳出とする。
第二項に規定する貸付けに関する事務に要する費用の額は、同項の規定に基づく政令で定める収入のうち収納済となつたものの額に政令で定める割合を乗じて得た額と、当該経費に充てるための一般会計からの繰入金の額との合計額を超えてはならない。
国は、都道府県が福祉資金貸付金の財源として特別会計に繰り入れる金額の二倍に相当する金額を、当該繰入れが行われる年度において、無利子で、当該都道府県に貸し付けるものとする。
都道府県は、毎年度、当該年度の前々年度の特別会計の決算上の剰余金の額が、政令で定める額を超えるときは、その超える額に第一号に掲げる金額の第二号に掲げる金額に対する割合を乗じて得た額に相当する金額を、政令で定めるところにより国に償還しなければならない。
当該年度の前々年度までの国からの借入金の総額(この項 及び第四項の規定により国に償還した金額を除く。)
前号に掲げる額と当該都道府県が当該年度の前々年度までに福祉資金貸付金の財源として特別会計に繰り入れた金額の総額(第五項の規定により一般会計に繰り入れた金額を除く。)との合計額
前項の政令で定める額は、当該都道府県の福祉資金貸付金の貸付けの需要等の見通しからみて、同項の剰余金の額が著しく多額である都道府県について同項の規定が適用されるように定めるものとする。
都道府県は、第二項に規定するもののほか、毎年度、福祉資金貸付金の貸付業務に支障が生じない限りにおいて、国からの借入金の総額の一部に相当する金額を国に償還することができる。
都道府県は、毎年度、第二項 又は前項の規定により国への償還を行つた場合に限り、政令で定める額を限度として、福祉資金貸付金の財源として特別会計に繰り入れた金額の総額の一部に相当する金額を、政令で定めるところにより一般会計に繰り入れることができる。
都道府県は、福祉資金貸付金の貸付業務を廃止したときは、その際における福祉資金貸付金の未貸付額 及びその後において支払を受けた福祉資金貸付金の償還金の額に、それぞれ第一号に掲げる金額の第二号に掲げる金額に対する割合を乗じて得た額の合計額を、政令で定めるところにより国に償還しなければならない。
国からの借入金の総額(第二項 及び第四項の規定により国に償還した金額を除く。)
前号に掲げる額と当該都道府県が福祉資金貸付金の財源として特別会計に繰り入れた金額の総額(前項の規定により一般会計に繰り入れた金額を除く。)との合計額
第一項の規定による国の貸付け 並びに第二項、第四項 及び前項の規定による国への償還の手続に関し必要な事項は、内閣府令で定める。
第七章 母子・父子福祉施設
母子・父子福祉センターは、無料 又は低額な料金で、母子家庭等に対して、各種の相談に応ずるとともに、生活指導 及び生業の指導を行う等母子家庭等の福祉のための便宜を総合的に供与することを目的とする施設とする。
母子・父子休養ホームは、無料 又は低額な料金で、母子家庭等に対して、レクリエーシヨン その他休養のための便宜を供与することを目的とする施設とする。
第八章 費用
第十七条第一項の規定により市町村が行う母子家庭日常生活支援事業の実施に要する費用
第三十一条の規定により市町村が行う母子家庭自立支援給付金の支給に要する費用
第三十一条の五第一項の規定により市町村が行う母子家庭生活向上事業の実施に要する費用
第三十一条の七第一項の規定により市町村が行う父子家庭日常生活支援事業の実施に要する費用
第三十一条の十の規定により市町村が行う父子家庭自立支援給付金の支給に要する費用
第三十一条の十一第一項の規定により市町村が行う父子家庭生活向上事業の実施に要する費用
第三十三条第一項の規定により市町村が行う寡婦日常生活支援事業の実施に要する費用
第三十五条の二第一項の規定により市町村が行う寡婦生活向上事業の実施に要する費用
第十七条第一項の規定により都道府県が行う母子家庭日常生活支援事業の実施に要する費用
第三十条第二項の規定により都道府県が行う母子家庭就業支援事業の実施に要する費用
第三十一条の規定により都道府県が行う母子家庭自立支援給付金の支給に要する費用
第三十一条の五第一項の規定により都道府県が行う母子家庭生活向上事業の実施に要する費用
第三十一条の七第一項の規定により都道府県が行う父子家庭日常生活支援事業の実施に要する費用
第三十一条の九第二項の規定により都道府県が行う父子家庭就業支援事業の実施に要する費用
第三十一条の十の規定により都道府県が行う父子家庭自立支援給付金の支給に要する費用
第三十一条の十一第一項の規定により都道府県が行う父子家庭生活向上事業の実施に要する費用
第三十三条第一項の規定により都道府県が行う寡婦日常生活支援事業の実施に要する費用
第三十五条第二項の規定により都道府県が行う寡婦就業支援事業の実施に要する費用
第三十五条の二第一項の規定により都道府県が行う寡婦生活向上事業の実施に要する費用
都道府県は、政令で定めるところにより、第四十二条の規定により市町村が支弁した費用のうち、同条第一号、第三号、第四号 及び第六号から第八号までの費用については、その四分の一以内を補助することができる。
国は、政令で定めるところにより、第四十二条の規定により市町村が支弁した費用のうち、同条第一号、第三号、第四号 及び第六号から第八号までの費用についてはその二分の一以内を、同条第二号 及び第五号の費用についてはその四分の三以内を補助することができる。
国は、政令で定めるところにより、第四十三条の規定により都道府県が支弁した費用のうち、同条第一号、第二号、第四号、第五号、第六号 及び第八号から第十一号までの費用についてはその二分の一以内を、同条第三号 及び第七号の費用についてはその四分の三以内を補助することができる。
第九章 雑則
この法律中都道府県が処理することとされている事務で政令で定めるものは、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)及び同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「中核市」という。)においては、政令で定めるところにより、指定都市 又は中核市(以下「指定都市等」という。)が処理するものとする。
この場合においては、この法律中都道府県に関する規定は、指定都市等に関する規定として、指定都市等に適用があるものとする。
この法律に特別の規定があるものを除くほか、この法律の実施のための手続 その他その執行について必要な細則は、内閣府令で定める。
第十章 罰則
第十七条第二項、第三十条第四項、第三十一条の五第三項、第三十一条の七第二項、第三十一条の九第四項、第三十一条の十一第三項、第三十三条第二項、第三十五条第四項 又は第三十五条の二第三項の規定に違反して秘密を漏らした者は、一年以下の懲役 又は五十万円以下の罰金に処する。