船舶により行う漁業であつて農林水産省令で定めるものを営もうとする者は、船舶ごとに、農林水産大臣の許可を受けなければならない。
漁業法
第一節 大臣許可漁業
前項の農林水産省令は、漁業調整(特定水産資源の再生産の阻害の防止 若しくは特定水産資源以外の水産資源の保存 及び管理 又は漁場の使用に関する紛争の防止のために必要な調整をいう。以下同じ。)のため漁業者 及びその使用する船舶(船舶において使用する漁ろう設備を含む。)について制限措置を講ずる必要があり、かつ、政府間の取決めが存在すること、漁場の区域が広域にわたること その他の政令で定める事由により当該措置を統一して講ずることが適当であると認められる漁業について定めるものとする。
農林水産大臣は、第一項の農林水産省令を制定し、又は改廃しようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
前条第一項の農林水産省令で定める漁業(以下「大臣許可漁業」という。)について同項の許可(以下この節(第四十七条を除く。)において単に「許可」という。)を受けた者は、資源管理を適切にするために必要な取組を自ら行うとともに、漁業の生産性の向上に努めるものとする。
許可を受けようとする者であつて現に船舶を使用する権利を有しないものは、船舶の建造に着手する前 又は船舶を譲り受け、借り受け、その返還を受け、その他船舶を使用する権利を取得する前に、船舶ごとに、あらかじめ起業につき農林水産大臣の認可を受けることができる。
前条の認可(以下この節において「起業の認可」という。)を受けた者がその起業の認可に基づいて許可を申請した場合において、申請の内容が認可を受けた内容と同一であるときは、農林水産大臣は、次条第一項各号のいずれかに該当する場合を除き、許可をしなければならない。
起業の認可を受けた者が、認可を受けた日から農林水産大臣の指定した期間内に許可を申請しないときは、起業の認可は、その期間の満了の日に、その効力を失う。
次の各号のいずれかに該当する場合は、農林水産大臣は、許可 又は起業の認可をしてはならない。
申請者が次条第一項に規定する適格性を有する者でない場合
その申請に係る漁業と同種の漁業の許可の不当な集中に至るおそれがある場合
農林水産大臣は、前項の規定により許可 又は起業の認可をしないときは、あらかじめ、当該申請者にその理由を文書をもつて通知し、公開による意見の聴取を行わなければならない。
前項の意見の聴取に際しては、当該申請者 又はその代理人は、当該事案について弁明し、かつ、証拠を提出することができる。
許可 又は起業の認可について適格性を有する者は、次の各号のいずれにも該当しない者とする。
漁業 又は労働に関する法令を遵守せず、かつ、引き続き遵守することが見込まれない者であること。
法人であつて、その役員 又は政令で定める使用人のうちに前二号のいずれかに該当する者があるものであること。
暴力団員等がその事業活動を支配する者であること。
許可を受けようとする船舶が農林水産大臣の定める基準を満たさないこと。
その申請に係る漁業を適確に営むに足りる生産性を有さず、又は有することが見込まれない者であること。
農林水産大臣は、前項第五号の基準を定め、又は変更しようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
農林水産大臣は、許可(第三十九条第一項 及び第四十五条の規定によるものを除く。以下この条において同じ。)又は起業の認可(第四十五条の規定によるものを除く。以下この条において同じ。)をしようとするときは、当該大臣許可漁業を営む者の数、当該大臣許可漁業に係る船舶の数 及びその操業の実態 その他の事情を勘案して、許可 又は起業の認可をすべき船舶の数 及び船舶の総トン数、操業区域、漁業時期、漁具の種類 その他の農林水産省令で定める事項に関する制限措置を定め、当該制限措置の内容 及び許可 又は起業の認可を申請すべき期間を公示しなければならない。
前項の申請すべき期間は、三月を下ることができない。
ただし、農林水産省令で定める緊急を要する特別の事情があるときは、この限りでない。
農林水産大臣は、第一項の規定により公示する制限措置の内容 及び申請すべき期間を定めようとするときは、水産政策審議会の意見を聴かなければならない。
ただし、前項ただし書の農林水産省令で定める緊急を要する特別の事情があるときは、この限りでない。
第一項の申請すべき期間内に許可 又は起業の認可を申請した者(次項において「申請者」という。)に対しては、農林水産大臣は、第四十条第一項各号のいずれかに該当する場合を除き、許可 又は起業の認可をしなければならない。
前項の規定により許可 又は起業の認可をすべき船舶の数が第一項の規定により公示した船舶の数を超える場合においては、前項の規定にかかわらず、申請者の生産性を勘案して許可 又は起業の認可をする者を定めるものとする。
前項の規定により許可 又は起業の認可をする者を定めることができないときは、公正な方法でくじを行い、許可 又は起業の認可をする者を定めるものとする。
農林水産大臣は、漁獲割当ての対象となる特定水産資源の採捕を通常伴うと認められる大臣許可漁業について、前条第一項の規定による公示をするに当たつては、当該大臣許可漁業において採捕すると見込まれる水産資源の総量のうちに漁獲割当ての対象となる特定水産資源の数量の占める割合が農林水産大臣が定める割合を下回ると認められる場合を除き、船舶の数 及び船舶の総トン数 その他の船舶の規模に関する制限措置を定めないものとする。
農林水産大臣は、漁業調整 その他公益上必要があると認めるときは、許可 又は起業の認可をするに当たり、許可 又は起業の認可に条件を付けることができる。
農林水産大臣は、漁業調整 その他公益上必要があると認めるときは、許可 又は起業の認可後、当該許可 又は起業の認可に条件を付けることができる。
農林水産大臣は、前項の規定により条件を付けようとするときは、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
第二項の規定による条件の付加に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
次の各号のいずれかに該当する場合は、その申請の内容が従前の許可 又は起業の認可を受けた内容と同一であるときは、第四十条第一項各号のいずれかに該当する場合を除き、許可 又は起業の認可をしなければならない。
許可を受けた者が、その許可の有効期間の満了日の到来のため、その許可を受けた船舶と同一の船舶について許可を申請したとき。
許可を受けた者が、その許可の有効期間中に、その許可を受けた船舶を当該大臣許可漁業に使用することを廃止し、他の船舶について許可 又は起業の認可を申請したとき。
許可を受けた者が、その許可を受けた船舶が滅失し、又は沈没したため、滅失 又は沈没の日から六月以内(その許可の有効期間中に限る。)に他の船舶について許可 又は起業の認可を申請したとき。
許可を受けた者から、その許可の有効期間中に、許可を受けた船舶を譲り受け、借り受け、その返還を受け、その他相続 又は法人の合併 若しくは分割以外の事由により当該船舶を使用する権利を取得して当該大臣許可漁業を営もうとする者が、当該船舶について許可 又は起業の認可を申請したとき。
許可の有効期間は、漁業の種類ごとに五年を超えない範囲内において農林水産省令で定める期間とする。
ただし、前条(第一号を除く。)の規定によつて許可をした場合は、従前の許可の残存期間とする。
農林水産大臣は、漁業調整のため必要な限度において、水産政策審議会の意見を聴いて、前項の期間より短い期間を定めることができる。
大臣許可漁業の許可を受けた者が、第四十二条第一項の農林水産省令で定める事項について、同項の規定により定められた制限措置と異なる内容により、大臣許可漁業を営もうとするときは、農林水産大臣の許可を受けなければならない。
許可 又は起業の認可を受けた者が死亡し、解散し、又は分割(当該許可 又は起業の認可を受けた船舶を承継させるものに限る。)をしたときは、その相続人(相続人が二人以上ある場合においてその協議により大臣許可漁業を営むべき者を定めたときは、その者)、合併後存続する法人 若しくは合併によつて成立した法人 又は分割によつて当該船舶を承継した法人は、当該許可 又は起業の認可を受けた者の地位を承継する。
前項の規定により許可 又は起業の認可を受けた者の地位を承継した者は、承継の日から二月以内にその旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
次の各号のいずれかに該当する場合は、許可 又は起業の認可は、その効力を失う。
許可を受けた船舶を当該大臣許可漁業に使用することを廃止したとき。
許可 又は起業の認可を受けた船舶が滅失し、又は沈没したとき。
許可を受けた船舶を譲渡し、貸し付け、返還し、その他その船舶を使用する権利を失つたとき。
許可 又は起業の認可を受けた者は、前項各号のいずれかに該当することとなつたときは、その日から二月以内にその旨を農林水産大臣に届け出なければならない。
許可を受けた者は、一漁業時期以上にわたつて休業しようとするときは、休業期間を定め、あらかじめ農林水産大臣に届け出なければならない。
農林水産大臣は、許可を受けた者が農林水産省令で定める期間を超えて休業したときは、その許可を取り消すことができる。
許可を受けた者の責めに帰すべき事由による場合を除き、第五十五条第一項の規定により許可の効力を停止された期間 及び第百十九条第一項 若しくは第二項の規定に基づく命令、第百二十条第一項の規定による指示、同条第十一項の規定による命令、第百二十一条第一項の規定による指示 又は同条第四項において読み替えて準用する第百二十条第十一項の規定による命令により大臣許可漁業を禁止された期間は、前項の期間に算入しない。
第一項の規定による許可の取消しに係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
許可を受けた者は、農林水産省令で定めるところにより、当該許可に係る大臣許可漁業における資源管理の状況、漁業生産の実績 その他の農林水産省令で定める事項を農林水産大臣に報告しなければならない。
ただし、第二十六条第一項 又は第三十条第一項の規定により農林水産大臣に報告した事項については、この限りでない。
農林水産大臣は、国際的な枠組みにおいて決定された措置の履行 その他漁業調整のため特に必要があると認めるときは、許可を受けた者に対し、衛星船位測定送信機 その他の農林水産省令で定める電子機器を当該許可を受けた船舶に備え付け、かつ、操業し、又は航行する期間中は当該電子機器を常時作動させることを命ずることができる。
前項の規定による命令を受けた者は、通信の妨害 その他の当該命令に係る電子機器の機能を損なう行為をしてはならない。
農林水産大臣は、許可 又は起業の認可を受けた者が第四十一条第一項第六号に該当することとなつたときは、当該許可 又は起業の認可を受けた者に対し、必要な措置を講ずべきことを勧告するものとする。
農林水産大臣は、許可 又は起業の認可を受けた者が第四十条第一項第二号 又は第四十一条第一項各号(第六号を除く。)のいずれかに該当することとなつたときは、当該許可 又は起業の認可を取り消さなければならない。
農林水産大臣は、許可 又は起業の認可を受けた者が次の各号のいずれかに該当することとなつたときは、当該許可 又は起業の認可を変更し、取り消し、又はその効力の停止を命ずることができる。
漁業に関する法令の規定に違反したとき。
前条の規定による勧告に従わないとき。
農林水産大臣は、前項の規定による処分をしようとするときは、行政手続法第十三条第一項の規定による意見陳述のための手続の区分にかかわらず、聴聞を行わなければならない。
第一項 又は第二項の規定による処分に係る聴聞の期日における審理は、公開により行わなければならない。
農林水産大臣は、漁業調整 その他公益上必要があると認めるときは、許可 又は起業の認可を変更し、取り消し、又はその効力の停止を命ずることができる。
前条第三項 及び第四項の規定は、前項の規定による処分について準用する。
水産資源保護法(昭和二十六年法律第三百十三号)第十二条の規定は、第一項の場合について準用する。
この場合において、
同条中
「第十条第五項」とあるのは
「漁業法第五十五条第一項」と、
「同条第四項の告示の日」とあるのは
「その許可の取消しの日」と
読み替えるものとする。
農林水産大臣は、許可をしたときは、農林水産省令で定めるところにより、その者に対し許可証を交付する。
許可証の書換え交付、再交付 及び返納に関し必要な事項は、農林水産省令で定める。