特別会計に関する法律
第一章 総則
第一節 通則
特別会計の設置、管理 及び経理は、我が国の財政の効率化 及び透明化の取組を不断に図るため、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。
各特別会計において経理される事務 及び事業は、国が自ら実施することが必要不可欠であるものを除き、独立行政法人 その他の国以外の者に移管されるとともに、経済社会情勢の変化に的確に対応しつつ、最も効果的かつ効率的に実施されること。
各特別会計について一般会計と区分して経理する必要性につき不断の見直しが行われ、その結果、存続の必要性がないと認められる場合には、一般会計への統合が行われるとともに、租税収入が特別会計の歳出の財源とされる場合においても、当該租税収入が一般会計の歳入とされた上で当該特別会計が必要とする金額が一般会計から繰り入れられることにより、国全体の財政状況を一般会計において総覧することが可能とされること。
前項各号に掲げる特別会計の目的、管理 及び経理については、次章に定めるとおりとする。
第二節 予算
所管大臣(特別会計を管理する各省各庁の長(財政法(昭和二十二年法律第三十四号)第二十条第二項に規定する各省各庁の長をいう。)をいう。以下同じ。)は、毎会計年度、その管理する特別会計の歳入歳出予定計算書、繰越明許費要求書 及び国庫債務負担行為要求書(以下「歳入歳出予定計算書等」という。)を作成し、財務大臣に送付しなければならない。
歳入歳出予定計算書等には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
当該年度に借入れを予定する借入金についての借入れ 及び償還の計画表
前各号に掲げる書類のほか、次章において歳入歳出予定計算書等に添付しなければならないとされている書類
各特別会計(勘定に区分する特別会計にあっては、勘定とする。次条第一項、第九条第一項 並びに第十条第一項 及び第三項を除き、以下この章において同じ。)の歳入歳出予算は、歳入にあってはその性質に従って款 及び項に、歳出にあってはその目的に従って項に、それぞれ区分するものとする。
内閣は、毎会計年度、各特別会計の予算を作成し、一般会計の予算とともに、国会に提出しなければならない。
各特別会計の予算には、歳入歳出予定計算書等 及び第三条第二項各号に掲げる書類を添付しなければならない。
各特別会計において経理されている事務 及び事業に係る経費のうち、一般会計からの繰入れの対象となるべき経費(以下「一般会計からの繰入対象経費」という。)が次章に定められている場合において、一般会計からの繰入対象経費の財源に充てるために必要があるときに限り、予算で定めるところにより、一般会計から当該特別会計に繰入れをすることができる。
前項の規定による経費の増額については、財政法第三十五条第二項から第四項まで 及び第三十六条の規定を準用する。
この場合において、
同法第三十五条第二項中
「各省各庁の長は、予備費の使用」とあるのは
「所管大臣(特別会計を管理する各省各庁の長をいう。次条第一項において同じ。)は、特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)第七条第一項の規定による経費の増額」と、
同条第三項中
「予備費使用書」とあるのは
「経費増額書」と、
同条第四項中
「予備費使用書」とあるのは
「経費増額書」と、
「当該使用書」とあるのは
「当該増額書」と、
同法第三十六条第一項中
「予備費を以て支弁した金額」とあるのは
「特別会計に関する法律第七条第一項の規定による経費の増額」と、
「各省各庁の長」とあるのは
「所管大臣」と、
同条第二項中
「予備費を以て支弁した金額」とあるのは
「特別会計に関する法律第七条第一項の規定による経費の増額」と、
同条第三項中
「予備費を以て支弁した」とあるのは
「前項の」と、
「各省各庁」とあるのは
「各特別会計」と
読み替えるものとする。
第三節 決算
各特別会計における毎会計年度の歳入歳出の決算上剰余金を生じた場合において、当該剰余金から次章に定めるところにより当該特別会計の積立金として積み立てる金額 及び資金に組み入れる金額を控除してなお残余があるときは、これを当該特別会計の翌年度の歳入に繰り入れるものとする。
前項の規定にかかわらず、同項の翌年度の歳入に繰り入れるものとされる金額の全部 又は一部に相当する金額は、予算で定めるところにより、一般会計の歳入に繰り入れることができる。
所管大臣は、毎会計年度、その管理する特別会計について、歳入歳出予定計算書と同一の区分による歳入歳出決定計算書を作成し、財務大臣に送付しなければならない。
歳入歳出決定計算書には、次に掲げる書類を添付しなければならない。
前三号に掲げる書類のほか、次章において歳入歳出決定計算書に添付しなければならないとされている書類
内閣は、毎会計年度、歳入歳出決定計算書に基づいて、各特別会計の歳入歳出決算を作成し、一般会計の歳入歳出決算とともに、国会に提出しなければならない。
各特別会計の歳入歳出決算には、歳入歳出決定計算書 及び前条第二項各号に掲げる書類を添付しなければならない。
各特別会計の歳入歳出決算についての財政法第三十八条第二項の規定の適用については、
同項中
「二 前年度繰越額」とあるのは、
「/二 前年度繰越額/二の二 特別会計に関する法律(平成十九年法律第二十三号)第七条第一項の規定による経費の増額の金額/」と
する。
第四節 余裕金等の預託
第五節 借入金等
各特別会計においては、借入金の対象となるべき経費(以下「借入金対象経費」という。)が次章に定められている場合において、借入金対象経費を支弁する必要があるときに限り、当該特別会計の負担において、借入金をすることができる。
各特別会計において、借入金の限度額について国会の議決を経た金額のうち、当該年度において借入金の借入れをしなかった金額がある場合には、当該金額を限度として、かつ、歳出予算の繰越額(借入金対象経費に係るものに限る。)の財源として必要な金額の範囲内で、翌年度において、前条第一項の規定により、借入金をすることができる。
各特別会計において、支払上現金に不足がある場合には、当該特別会計の負担において、一時借入金をし、融通証券を発行し、又は国庫余裕金を繰り替えて使用することができる。
ただし、融通証券の発行は、次章に当該発行をすることができる旨の定めがある場合に限り、行うことができる。
前項の規定による一時借入金、融通証券 及び繰替金の限度額については、予算をもって、国会の議決を経なければならない。
第一項の規定により、一時借入金をし、又は融通証券を発行している場合においては、国庫余裕金を繰り替えて使用して、支払期限の到来していない一時借入金 又は融通証券を償還することができる。
第一項の規定による一時借入金、融通証券 及び繰替金 並びに前項の規定による繰替金は、当該年度の歳入をもって償還し、又は返還しなければならない。
第一項の規定によるほか、各特別会計において、支払上現金に不足がある場合には、次章に当該特別会計の積立金 又は資金に属する現金 その他の現金を繰り替えて使用することができる旨の定めがあるときに限り、当該現金を繰り替えて使用することができる。
この場合において、所管大臣は、あらかじめ財務大臣の承認を経なければならない。
前項の規定による繰替金は、当該年度の出納の完結までに返還しなければならない。
各特別会計の負担に属する借入金 及び一時借入金の借入れ 及び償還 並びに融通証券の発行 及び償還に関する事務は、財務大臣が行う。
各特別会計の負担に属する借入金の償還金 及び利子、一時借入金 及び融通証券の利子 並びに融通証券の発行 及び償還に関する諸費の支出に必要な金額(事務取扱費の額に相当する金額を除く。)は、毎会計年度、当該特別会計から国債整理基金特別会計に繰り入れなければならない。
前項に規定する事務取扱費の額に相当する金額は、毎会計年度、各特別会計から一般会計に繰り入れなければならない。
第六節 繰越し
各特別会計において、毎会計年度の歳出予算における支出残額 又は支払義務の生じた歳出金で当該年度の出納の期限までに支出済みとならなかったものに係る歳出予算は、次章において翌年度以降に繰り越して使用することができる旨の定めがある場合に限り、繰り越して使用することができる。
所管大臣は、前項の繰越しをした場合には、財務大臣 及び会計検査院に通知しなければならない。
所管大臣が第一項の繰越しをした場合には、当該繰越しに係る経費については、財政法第三十一条第一項の規定による予算の配賦があったものとみなす。
この場合においては、同条第三項の規定による通知は、必要としない。
第七節 財務情報の開示
所管大臣は、毎会計年度、その管理する特別会計について、資産 及び負債の状況 その他の決算に関する財務情報を開示するための書類を企業会計の慣行を参考として作成し、財務大臣に送付しなければならない。
内閣は、前項の書類を会計検査院の検査を経て国会に提出しなければならない。
第一項の書類の作成方法 その他同項の書類に関し必要な事項は、政令で定める。
所管大臣は、その管理する特別会計について、前条第一項の書類に記載された情報 その他特別会計の財務に関する状況を適切に示す情報として政令で定めるものを、インターネットの利用 その他適切な方法により開示しなければならない。