犯罪による収益の移転防止に関する法律

# 平成十九年法律第二十二号 #
略称 : 犯罪収益移転防止法  犯収法 

第二章 特定事業者による措置

分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和四年十二月二十九日 ( 2022年 12月29日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第九十七号による改正
最終編集日 : 2023年 01月22日 10時43分


1項

特定事業者(第二条第二項第四十五号に掲げる特定事業者(第十二条において「弁護士等」という。)を除く。以下同じ。)は、顧客等との間で、別表の上欄に掲げる特定事業者の区分に応じそれぞれ同表の中欄に定める業務(以下「特定業務」という。)のうち同表の下欄に定める取引(次項第二号において「特定取引」といい、同項前段に規定する取引に該当するものを除く)を行うに際しては、主務省令で定める方法により、当該顧客等について、次の各号第二条第二項第四十六号から 第四十九号までに掲げる特定事業者にあっては、第一号)に掲げる事項の確認を行わなければならない。

一 号

本人特定事項(自然人にあっては氏名、住居(本邦内に住居を有しない外国人で政令で定めるものにあっては、主務省令で定める事項)及び生年月日をいい、法人にあっては名称 及び本店 又は主たる事務所の所在地をいう。以下同じ。

二 号

取引を行う目的

三 号

当該顧客等が自然人である場合にあっては 職業、当該顧客等が法人である場合にあっては事業の内容

四 号

当該顧客等が法人である場合において、その事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にあるものとして主務省令で定める者があるときにあっては、その者の本人特定事項

2項

特定事業者は、顧客等との間で、特定業務のうち次の各号いずれかに該当する取引を行うに際しては、主務省令で定めるところにより、当該顧客等について、前項各号に掲げる事項 並びに当該取引がその価額が政令で定める額を超える財産の移転を伴う場合にあっては、資産 及び収入の状況(第二条第二項第四十六号から 第四十九号までに掲げる特定事業者にあっては、前項第一号に掲げる事項)の確認を行わなければならない。


この場合において、第一号イ 又はに掲げる取引に際して行う同項第一号に掲げる事項の確認は、第一号イ 又はに規定する関連取引時確認を行った際に採った当該事項の確認の方法とは異なる方法により行うものとし、資産 及び収入の状況の確認は、第八条第一項の規定による届出を行うべき場合に該当するかどうかの判断に必要な限度において行うものとする。

一 号

次のいずれかに該当する取引として政令で定めるもの

取引の相手方が、その取引に関連する他の取引の際に行われた前項 若しくは この項これらの規定を第五項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)又は第四項の規定による確認(において「関連取引時確認」という。)に係る顧客等 又は代表者等(第六項に規定する代表者等をいう。において同じ。)になりすましている疑いがある場合における当該取引

関連取引時確認が行われた際に当該関連取引時確認に係る事項を偽っていた疑いがある顧客等(その代表者等が当該事項を偽っていた疑いがある顧客等を含む。)との取引

二 号

特定取引のうち、犯罪による収益の移転防止に関する制度の整備が十分に行われていないと認められる国 又は地域として政令で定めるもの(以下 この号において「特定国等」という。)に居住し又は所在する顧客等との間におけるものその他特定国等に居住し又は所在する者に対する財産の移転を伴うもの

三 号

前二号に掲げるもののほか、犯罪による収益の移転防止のために厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引として政令で定めるもの

3項

第一項の規定は、当該特定事業者が他の取引の際に既に同項 又は前項これらの規定を第五項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定による確認(当該確認について第六条の規定による確認記録の作成 及び保存をしている場合におけるものに限る)を行っている顧客等との取引(これに準ずるものとして政令で定める取引を含む。)であって政令で定めるものについては、適用しない

4項

特定事業者は、顧客等について第一項 又は第二項の規定による確認を行う場合において、会社の代表者が当該会社のために当該特定事業者との間で第一項 又は第二項前段に規定する取引(以下「特定取引等」という。)を行うときその他の当該特定事業者との間で現に特定取引等の任に当たっている自然人が当該顧客等と異なるとき(次項に規定する場合を除く)は、当該顧客等の当該確認に加え、当該特定取引等の任に当たっている自然人についても、主務省令で定めるところにより、その者の本人特定事項の確認を行わなければならない。

5項

特定事業者との間で現に特定取引等の任に当たっている自然人が顧客等と異なる場合であって、当該顧客等が国、地方公共団体、人格のない社団 又は財団 その他政令で定めるもの(以下 この項において「国等」という。)であるときには、第一項 又は第二項の規定の適用については、次の表の第一欄に掲げる顧客等の区分に応じ、同表の第二欄に掲げる規定中 同表の第三欄に掲げる字句は、それぞれ同表の第四欄に掲げる字句とする。

国等(人格のない社団 又は財団を除く。
第一項
次の各号(第二条第二項第四十六号から 第四十九号までに掲げる特定事業者にあっては、第一号
第一号
第一項第一号
本人特定事項
当該特定事業者との間で現に特定取引等の任に当たっている自然人の本人特定事項
第二項
前項各号に掲げる事項 並びに当該取引が その価額が政令で定める額を超える財産の移転を伴う場合にあっては、資産 及び収入の状況(第二条第二項第四十六号から 第四十九号までに掲げる特定事業者にあっては、前項第一号に掲げる事項
前項第一号に掲げる事項
人格のない社団 又は財団
第一項
次の各号
第一号から 第三号まで
第一項第一号
本人特定事項
当該特定事業者との間で現に特定取引等の任に当たっている自然人の本人特定事項
第一項第三号
当該顧客等が自然人である場合にあっては職業、当該顧客等が 法人である場合にあっては事業の内容
事業の内容
第二項
前項各号に掲げる事項 並びに当該取引が その価額が政令で定める額を超える財産の移転を伴う場合にあっては、資産 及び収入の状況
前項第一号から 第三号までに掲げる事項
6項

顧客等 及び代表者等(前二項に規定する現に特定取引等の任に当たっている自然人をいう。以下同じ。)は、特定事業者が第一項 若しくは第二項これらの規定を前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)又は第四項の規定による確認(以下「取引時確認」という。)を行う場合において、当該特定事業者に対して、当該取引時確認に係る事項を偽ってはならない。

1項

特定事業者は、顧客等 又は代表者等が特定取引等を行う際に取引時確認に応じないときは、当該顧客等 又は代表者等がこれに応ずるまでの間、当該特定取引等に係る義務の履行を拒むことができる。

1項

特定事業者は、取引時確認を行った場合には、直ちに、主務省令で定める方法により、当該取引時確認に係る事項、当該取引時確認のためにとった措置 その他の主務省令で定める事項に関する記録(以下「確認記録」という。)を作成しなければならない。

2項

特定事業者は、確認記録を、特定取引等に係る契約が終了した日 その他の主務省令で定める日から、七年間保存しなければならない

1項

特定事業者(次項に規定する特定事業者を除く)は、特定業務に係る取引を行った場合には、少額の取引 その他の政令で定める取引を除き、直ちに、主務省令で定める方法により、顧客等の確認記録を検索するための事項、当該取引の期日 及び内容 その他の主務省令で定める事項に関する記録を作成しなければならない。

2項

第二条第二項第四十六号から 第四十九号までに掲げる特定事業者は、特定受任行為の代理等(別表第二条第二項第四十六号に掲げる者の項の中欄に規定する特定受任行為の代理等をいう。以下この条において同じ。)を行った場合には、その価額が少額である財産の処分の代理 その他の政令で定める特定受任行為の代理等を除き、直ちに、主務省令で定める方法により、顧客等の確認記録を検索するための事項、 当該特定受任行為の代理等を行った期日 及び内容 その他の主務省令で定める事項に関する記録を作成しなければならない。

3項

特定事業者は、前二項に規定する記録(以下「取引記録等」という。)を、当該取引 又は特定受任行為の代理等の行われた日から七年間保存しなければならない。

1項

特定事業者(第二条第二項第四十六号から 第四十九号までに掲げる特定事業者を除く)は、特定業務に係る取引について、当該取引において収受した財産が犯罪による収益である疑いがあるかどうか、又は顧客等が当該取引に関し組織的犯罪処罰法第十条の罪 若しくは麻薬特例法第六条の罪に当たる行為を行っている疑いがあるかどうかを判断し、これらの疑いがあると認められる場合においては、速やかに、政令で定めるところにより、政令で定める事項を行政庁に届け出なければならない。

2項

前項の規定による判断は、同項の取引に係る取引時確認の結果、 当該取引の態様 その他の事情 及び第三条第三項に規定する犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案し、かつ、主務省令で定める項目に従って当該取引に疑わしい点があるかどうかを確認する方法 その他の主務省令で定める方法により行わなければならない。

3項

特定事業者(その役員 及び使用人を含む。)は、第一項の規定による届出(以下「疑わしい取引の届出」という。)を行おうとすること 又は行ったことを当該疑わしい取引の届出に係る顧客等 又は その者の関係者に漏らしてはならない。

4項

行政庁(都道府県知事 又は都道府県公安委員会に限る)は、疑わしい取引の届出を受けたときは、速やかに、当該疑わしい取引の届出に係る事項を主務大臣に通知するものとする。

5項

行政庁(都道府県知事 及び都道府県公安委員会を除く)又は前項の主務大臣(国家公安委員会を除く)は、疑わしい取引の届出 又は同項の通知を受けたときは、速やかに、当該疑わしい取引の届出 又は通知に係る事項を国家公安委員会に通知するものとする。

1項

特定事業者(第二条第二項第一号から 第十五号まで 及び第三十一号に掲げる特定事業者に限る次条において同じ。)は、外国所在為替取引業者(外国(本邦の域外にある国 又は地域をいう。以下同じ。)に所在して業として為替取引を行う者をいう。以下同じ。)との間で、 為替取引を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約を締結するに際しては、主務省令で定める方法により、当該外国所在為替取引業者について、次に掲げる事項の確認を行わなければならない。

一 号

当該外国所在為替取引業者が、第四条前三条 及び次条の規定による措置に相当する措置(以下 この号において「取引時確認等相当措置」という。)を的確に行うために必要な営業所 その他の施設 並びに取引時確認等相当措置の実施を統括管理する者を当該外国所在為替取引業者の所在する国 又は当該所在する国以外の外国に置き、かつ、取引時確認等相当措置の実施に関し、第十五条から 第十八条までに規定する行政庁の職務に相当する職務を行う当該所在する国 又は当該外国の機関の適切な監督を受けている状態(次号において単に「監督を受けている状態」という。)にあること その他の取引時確認等相当措置を的確に行うために必要な基準として主務省令で定める基準に適合する体制を整備していること。

二 号

当該外国所在為替取引業者が、業として為替取引を行う者であって監督を受けている状態にないものとの間で為替取引を継続的に 又は反復して行うことを内容とする契約を締結していないこと。

1項

特定事業者は、顧客と本邦から外国(政令で定める国 又は地域を除く。以下この条において同じ。)へ向けた支払に係る為替取引(小切手の振出しその他の政令で定める方法によるものを除く)を行う場合において、当該支払を他の特定事業者 又は外国所在為替取引業者(当該政令で定める国 又は地域に所在するものを除く。以下この条において同じ。)に委託するときは、当該顧客に係る本人特定事項 その他の事項で主務省令で定めるものを通知して行わなければならない。

2項

特定事業者は、他の特定事業者から前項 又は この項の規定による通知を受けて本邦から外国へ向けた支払の委託 又は再委託を受けた場合において、当該支払を他の特定事業者 又は外国所在為替取引業者に再委託するときは、当該通知に係る事項を通知して行わなければならない。

3項

特定事業者は、外国所在為替取引業者からこの条の規定に相当する外国の法令の規定による通知を受けて外国から本邦へ向けた支払 又は外国から他の外国へ向けた支払の委託 又は再委託を受けた場合において、当該支払を他の特定事業者 又は外国所在為替取引業者に再委託するときは、当該通知に係る事項(主務省令で定める事項に限る)を通知して行わなければならない。

4項

特定事業者は、他の特定事業者から前項 又は この項の規定による通知を受けて外国から本邦へ向けた支払 又は外国から他の外国へ向けた支払の再委託を受けた場合において、当該支払を他の特定事業者 又は外国所在為替取引業者に再委託するときは、当該通知に係る事項(主務省令で定める事項に限る)を通知して行わなければならない。

1項

特定事業者は、取引時確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置(以下この条において「取引時確認等の措置」という。)を的確に行うため、当該取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容に保つための措置を講ずるものとするほか、次に掲げる措置を講ずるように努めなければならない。

一 号
使用人に対する教育訓練の実施
二 号

取引時確認等の措置の実施に関する規程の作成

三 号

取引時確認等の措置の的確な実施のために必要な監査 その他の業務を統括管理する者の選任

四 号

その他第三条第三項に規定する犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案して講ずべきものとして主務省令で定める措置

1項

弁護士等による顧客等 又は代表者等の本人特定事項の確認、 確認記録の作成 及び保存、取引記録等の作成 及び保存並びにこれらを的確に行うための措置に相当する措置については、第二条第二項第四十六号から 第四十九号までに掲げる特定事業者の例に準じて日本弁護士連合会の会則で定めるところによる。

2項

第五条の規定は、前項の規定により定められた日本弁護士連合会の会則の規定により弁護士等が行う本人特定事項の確認に相当する措置について準用する。

3項

政府 及び日本弁護士連合会は、犯罪による収益の移転防止に関し、相互に協力するものとする。