犯罪による収益の移転防止に関する法律

平成十九年法律第二十二号
略称 : 犯罪収益移転防止法  犯収法 
分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和四年十二月二十九日 ( 2022年 12月29日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第九十七号による改正
最終編集日 : 2023年 01月22日 10時43分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 特定事業者による措置

  • 第三章 疑わしい取引に関する情報の提供等

  • 第四章 監督

  • 第五章 雑則

  • 第六章 罰則

第一章 総則

1項

この法律は、犯罪による収益が組織的な犯罪を助長するために使用されるとともに、これが移転して事業活動に用いられることにより健全な経済活動に重大な悪影響を与えるものであること、及び犯罪による収益の移転が没収、追徴 その他の手続によりこれを剝奪し、又は犯罪による被害の回復に充てることを困難にするものであることから、犯罪による収益の移転を防止すること(以下「犯罪による収益の移転防止」という。)が極めて重要であることに鑑み、特定事業者による顧客等の本人特定事項(第四条第一項第一号に規定する本人特定事項をいう。第三条第一項において同じ。)等の確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置を講ずることにより、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律平成十一年法律第百三十六号。以下「組織的犯罪処罰法」という。)及び国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律平成三年法律第九十四号。以下「麻薬特例法」という。)による措置と相まって、犯罪による収益の移転防止を図り、併せてテロリズムに対する資金供与の防止に関する国際条約等の的確な実施を確保し、もって国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的とする。

1項

この法律において「犯罪による収益」とは、組織的犯罪処罰法第二条第四項に規定する犯罪収益等 又は麻薬特例法第二条第五項に規定する薬物犯罪収益等をいう。

2項

この法律において「特定事業者」とは、次に掲げる者をいう。

一 号
銀行
二 号
信用金庫
三 号
信用金庫連合会
四 号
労働金庫
五 号
労働金庫連合会
六 号
信用協同組合
七 号
信用協同組合連合会
八 号
農業協同組合
九 号
農業協同組合連合会
十 号
漁業協同組合
十一 号
漁業協同組合連合会
十二 号
水産加工業協同組合
十三 号
水産加工業協同組合連合会
十四 号
農林中央金庫
十五 号
株式会社商工組合中央金庫
十六 号
株式会社日本政策投資銀行
十七 号
保険会社
十八 号

保険業法平成七年法律第百五号)第二条第七項に規定する外国保険会社等

十九 号

保険業法第二条第十八項に規定する少額短期保険業者

二十 号
共済水産業協同組合連合会
二十一 号

金融商品取引法昭和二十三年法律第二十五号) 第二条第九項に規定する金融商品取引業者

二十二 号

金融商品取引法第二条第三十項に規定する証券金融会社

二十三 号

金融商品取引法第六十三条第五項に規定する特例業務届出者

二十四 号

金融商品取引法第六十三条の九第四項に規定する海外投資家等特例業務届出者

二十五 号
信託会社
二十六 号

信託業法(平成十六年法律第百五十四号)第五十条の二第一項の登録を受けた者

二十七 号

不動産特定共同事業法平成六年法律第七十七号)第二条第五項に規定する不動産特定共同事業者(信託会社 又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関であって、不動産特定共同事業法第二条第四項に規定する不動産特定共同事業を営むものを含む。)、同条第七項に規定する小規模不動産特定共同事業者、同条第九項に規定する特例事業者 又は同条第十一項に規定する適格特例投資家限定事業者

二十八 号
無尽会社
二十九 号

貸金業法昭和五十八年法律第三十二号)第二条第二項に規定する貸金業者

三十 号
貸金業法第二条第一項第五号に規定する者のうち政令で定める者
三十一 号

資金決済に関する法律平成二十一年法律第五十九号)第二条第三項に規定する資金移動業者

三十二 号
資金決済に関する法律第二条第八項に規定する暗号資産交換業者
三十三 号

商品先物取引法昭和二十五年法律第二百三十九号)第二条第二十三項に規定する商品先物取引業者

三十四 号

社債、株式等の振替に関する法律平成十三年法律第七十五号)第二条第二項に規定する振替機関(同法第四十八条の規定により振替機関とみなされる日本銀行を含む。

三十五 号

社債、株式等の振替に関する法律第二条第四項に規定する口座管理機関

三十六 号

電子記録債権法平成十九年法律第百二号)第二条第二項に規定する電子債権記録機関

三十七 号
独立行政法人郵便貯金簡易生命保険管理・郵便局ネットワーク支援機構
三十八 号

本邦において両替業務(業として外国通貨(本邦通貨以外の通貨をいう。)又は旅行小切手の売買を行うことをいう。)を行う者

三十九 号

顧客に対し、その指定する機械類 その他の物品を購入してその賃貸(政令で定めるものに限る)をする業務を行う者

四十 号

それを提示し又は通知して、特定の販売業者から商品 若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者(役務の提供の事業を営む者をいう。以下 この号において同じ。)から有償で役務の提供を受けることができるカード その他の物 又は番号、記号 その他の符号(以下「クレジットカード等」という。)をこれにより商品 若しくは権利を購入しようとする者 又は役務の提供を受けようとする者(以下「利用者たる顧客」という。)に交付し又は付与し、当該利用者たる顧客が当該クレジットカード等を提示し 又は通知して特定の販売業者から商品 若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から有償で役務の提供を受けたときは、当該販売業者 又は役務提供事業者に当該商品 若しくは権利の代金 又は当該役務の対価に相当する額の金銭を直接に又は第三者を経由して交付するとともに、当該利用者たる顧客から、あらかじめ定められた時期までに当該代金 若しくは当該対価の合計額の金銭を受領し、又は あらかじめ定められた時期ごとに当該合計額を基礎としてあらかじめ定められた方法により算定して得た額の金銭を受領する業務を行う者

四十一 号

それを提示し又は通知して、特定の販売業者から商品 若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者(役務の提供の事業を営む者をいう。以下 この号において同じ。)から有償で役務の提供を受けることができるカード その他の物 又は番号、記号 その他の符号(以下「クレジットカード等」という。)をこれにより商品 若しくは権利を購入しようとする者 又は役務の提供を受けようとする者(以下「利用者たる顧客」という。)に交付し 又は付与し、当該利用者たる顧客が当該クレジットカード等を提示し又は通知して特定の販売業者から商品 若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から有償で役務の提供を受けたときは、当該販売業者 又は役務提供事業者に当該商品 若しくは権利の代金 又は当該役務の対価に相当する額の金銭を直接に又は第三者を経由して交付するとともに、当該利用者たる顧客から、あらかじめ定められた時期までに当該代金 若しくは当該対価の合計額の金銭を受領し、又はあらかじめ定められた時期ごとに当該合計額を基礎としてあらかじめ定められた方法により算定して得た額の金銭を受領する業務を行う者

四十二 号

宅地建物取引業法(昭和二十七年法律第百七十六号第二条第三号に規定する宅地建物取引業者(信託会社 又は金融機関の信託業務の兼営等に関する法律第一条第一項の認可を受けた金融機関であって、宅地建物取引業法第二条第二号に規定する宅地建物取引業(別表において単に「宅地建物取引業」という。)を営むもの(第二十二条第一項第十六号において「みなし宅地建物取引業者」という。)を含む。

四十三 号

金、白金 その他の政令で定める貴金属 若しくはダイヤモンド その他の政令で定める宝石 又は これらの製品(以下「貴金属等」という。)の売買を業として行う者

四十四 号

顧客に対し、自己の居所 若しくは事務所の所在地を当該顧客が郵便物(民間事業者による信書の送達に関する法律平成十四年法律第九十九号第二条第三項に規定する信書便物 並びに大きさ 及び重量が郵便物に類似する貨物を含む。以下同じ。)を受け取る場所として用い、又は自己の電話番号を当該顧客が連絡先の電話番号として用いることを許諾し、当該自己の居所 若しくは事務所において当該顧客宛ての郵便物を受け取ってこれを当該顧客に引き渡し、又は当該顧客宛ての当該電話番号に係る電話(ファクシミリ装置による通信を含む。以下同じ。)を受けてその内容を当該顧客に連絡し、若しくは当該顧客宛ての若しくは当該顧客からの当該電話番号に係る電話を当該顧客が指定する電話番号に自動的に転送する役務を提供する業務を行う者

四十五 号

弁護士(外国法事務弁護士を含む。)又は弁護士法人(外国法事務弁護士法人 及び弁護士・外国法事務弁護士共同法人を含む。

四十六 号
司法書士 又は司法書士法人
四十七 号
行政書士 又は行政書士法人
四十八 号

公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。)又は監査法人

四十九 号
税理士 又は税理士法人
3項

この法律において「顧客等」とは、顧客(前項第四十号に掲げる特定事業者にあっては、利用者たる顧客)又はこれに準ずる者として政令で定める者をいう。

1項

国家公安委員会は、特定事業者による顧客等の本人特定事項等の確認、取引記録等の保存、 疑わしい取引の届出等の措置が的確に行われることを確保するため、特定事業者に対し犯罪による収益の移転に係る手口に関する情報の提供 その他の援助を行うとともに、犯罪による収益の移転防止の重要性について国民の理解を深めるよう努めるものとする。

2項

国家公安委員会は、特定事業者により届け出られた疑わしい取引に関する情報 その他の犯罪による収益に関する情報が、刑事事件の捜査 及び犯則事件の調査 並びに犯罪による収益の移転防止に関する国際的な情報交換 その他の協力に有効に活用されるよう、迅速かつ的確にその集約、整理 及び分析を行うものとする。

3項

国家公安委員会は、毎年、犯罪による収益の移転に係る手口 その他の犯罪による収益の移転の状況に関する調査 及び分析を行った上で、特定事業者 その他の事業者が行う取引の種別ごとに、当該取引による犯罪による収益の移転の危険性の程度 その他の当該調査 及び分析の結果を記載した犯罪収益移転危険度調査書を作成し、これを公表するものとする。

4項

国家公安委員会は、第二項の規定による情報の集約、整理 及び分析 並びに前項の規定による調査 及び分析を行うため必要があると認めるときは、関係行政機関、特定事業者 その他の関係者に対し、資料の提出、意見の表明、説明 その他必要な協力を求めることができる。

5項

前項に定めるもののほか、 国家公安委員会 その他の関係行政機関 及び地方公共団体の関係機関は、犯罪による収益の移転防止について相互に協力するものとする。

第二章 特定事業者による措置

1項

特定事業者(第二条第二項第四十五号に掲げる特定事業者(第十二条において「弁護士等」という。)を除く。以下同じ。)は、顧客等との間で、別表の上欄に掲げる特定事業者の区分に応じそれぞれ同表の中欄に定める業務(以下「特定業務」という。)のうち同表の下欄に定める取引(次項第二号において「特定取引」といい、同項前段に規定する取引に該当するものを除く)を行うに際しては、主務省令で定める方法により、当該顧客等について、次の各号第二条第二項第四十六号から 第四十九号までに掲げる特定事業者にあっては、第一号)に掲げる事項の確認を行わなければならない。

一 号

本人特定事項(自然人にあっては氏名、住居(本邦内に住居を有しない外国人で政令で定めるものにあっては、主務省令で定める事項)及び生年月日をいい、法人にあっては名称 及び本店 又は主たる事務所の所在地をいう。以下同じ。

二 号

取引を行う目的

三 号

当該顧客等が自然人である場合にあっては 職業、当該顧客等が法人である場合にあっては事業の内容

四 号

当該顧客等が法人である場合において、その事業経営を実質的に支配することが可能となる関係にあるものとして主務省令で定める者があるときにあっては、その者の本人特定事項

2項

特定事業者は、顧客等との間で、特定業務のうち次の各号いずれかに該当する取引を行うに際しては、主務省令で定めるところにより、当該顧客等について、前項各号に掲げる事項 並びに当該取引がその価額が政令で定める額を超える財産の移転を伴う場合にあっては、資産 及び収入の状況(第二条第二項第四十六号から 第四十九号までに掲げる特定事業者にあっては、前項第一号に掲げる事項)の確認を行わなければならない。


この場合において、第一号イ 又はに掲げる取引に際して行う同項第一号に掲げる事項の確認は、第一号イ 又はに規定する関連取引時確認を行った際に採った当該事項の確認の方法とは異なる方法により行うものとし、資産 及び収入の状況の確認は、第八条第一項の規定による届出を行うべき場合に該当するかどうかの判断に必要な限度において行うものとする。

一 号

次のいずれかに該当する取引として政令で定めるもの

取引の相手方が、その取引に関連する他の取引の際に行われた前項 若しくは この項これらの規定を第五項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)又は第四項の規定による確認(において「関連取引時確認」という。)に係る顧客等 又は代表者等(第六項に規定する代表者等をいう。において同じ。)になりすましている疑いがある場合における当該取引

関連取引時確認が行われた際に当該関連取引時確認に係る事項を偽っていた疑いがある顧客等(その代表者等が当該事項を偽っていた疑いがある顧客等を含む。)との取引

二 号

特定取引のうち、犯罪による収益の移転防止に関する制度の整備が十分に行われていないと認められる国 又は地域として政令で定めるもの(以下 この号において「特定国等」という。)に居住し又は所在する顧客等との間におけるものその他特定国等に居住し又は所在する者に対する財産の移転を伴うもの

三 号

前二号に掲げるもののほか、犯罪による収益の移転防止のために厳格な顧客管理を行う必要性が特に高いと認められる取引として政令で定めるもの

3項

第一項の規定は、当該特定事業者が他の取引の際に既に同項 又は前項これらの規定を第五項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)の規定による確認(当該確認について第六条の規定による確認記録の作成 及び保存をしている場合におけるものに限る)を行っている顧客等との取引(これに準ずるものとして政令で定める取引を含む。)であって政令で定めるものについては、適用しない

4項

特定事業者は、顧客等について第一項 又は第二項の規定による確認を行う場合において、会社の代表者が当該会社のために当該特定事業者との間で第一項 又は第二項前段に規定する取引(以下「特定取引等」という。)を行うときその他の当該特定事業者との間で現に特定取引等の任に当たっている自然人が当該顧客等と異なるとき(次項に規定する場合を除く)は、当該顧客等の当該確認に加え、当該特定取引等の任に当たっている自然人についても、主務省令で定めるところにより、その者の本人特定事項の確認を行わなければならない。

5項

特定事業者との間で現に特定取引等の任に当たっている自然人が顧客等と異なる場合であって、当該顧客等が国、地方公共団体、人格のない社団 又は財団 その他政令で定めるもの(以下 この項において「国等」という。)であるときには、第一項 又は第二項の規定の適用については、次の表の第一欄に掲げる顧客等の区分に応じ、同表の第二欄に掲げる規定中 同表の第三欄に掲げる字句は、それぞれ同表の第四欄に掲げる字句とする。

国等(人格のない社団 又は財団を除く。
第一項
次の各号(第二条第二項第四十六号から 第四十九号までに掲げる特定事業者にあっては、第一号
第一号
第一項第一号
本人特定事項
当該特定事業者との間で現に特定取引等の任に当たっている自然人の本人特定事項
第二項
前項各号に掲げる事項 並びに当該取引が その価額が政令で定める額を超える財産の移転を伴う場合にあっては、資産 及び収入の状況(第二条第二項第四十六号から 第四十九号までに掲げる特定事業者にあっては、前項第一号に掲げる事項
前項第一号に掲げる事項
人格のない社団 又は財団
第一項
次の各号
第一号から 第三号まで
第一項第一号
本人特定事項
当該特定事業者との間で現に特定取引等の任に当たっている自然人の本人特定事項
第一項第三号
当該顧客等が自然人である場合にあっては職業、当該顧客等が 法人である場合にあっては事業の内容
事業の内容
第二項
前項各号に掲げる事項 並びに当該取引が その価額が政令で定める額を超える財産の移転を伴う場合にあっては、資産 及び収入の状況
前項第一号から 第三号までに掲げる事項
6項

顧客等 及び代表者等(前二項に規定する現に特定取引等の任に当たっている自然人をいう。以下同じ。)は、特定事業者が第一項 若しくは第二項これらの規定を前項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)又は第四項の規定による確認(以下「取引時確認」という。)を行う場合において、当該特定事業者に対して、当該取引時確認に係る事項を偽ってはならない。

1項

特定事業者は、顧客等 又は代表者等が特定取引等を行う際に取引時確認に応じないときは、当該顧客等 又は代表者等がこれに応ずるまでの間、当該特定取引等に係る義務の履行を拒むことができる。

1項

特定事業者は、取引時確認を行った場合には、直ちに、主務省令で定める方法により、当該取引時確認に係る事項、当該取引時確認のためにとった措置 その他の主務省令で定める事項に関する記録(以下「確認記録」という。)を作成しなければならない。

2項

特定事業者は、確認記録を、特定取引等に係る契約が終了した日 その他の主務省令で定める日から、七年間保存しなければならない

1項

特定事業者(次項に規定する特定事業者を除く)は、特定業務に係る取引を行った場合には、少額の取引 その他の政令で定める取引を除き、直ちに、主務省令で定める方法により、顧客等の確認記録を検索するための事項、当該取引の期日 及び内容 その他の主務省令で定める事項に関する記録を作成しなければならない。

2項

第二条第二項第四十六号から 第四十九号までに掲げる特定事業者は、特定受任行為の代理等(別表第二条第二項第四十六号に掲げる者の項の中欄に規定する特定受任行為の代理等をいう。以下この条において同じ。)を行った場合には、その価額が少額である財産の処分の代理 その他の政令で定める特定受任行為の代理等を除き、直ちに、主務省令で定める方法により、顧客等の確認記録を検索するための事項、 当該特定受任行為の代理等を行った期日 及び内容 その他の主務省令で定める事項に関する記録を作成しなければならない。

3項

特定事業者は、前二項に規定する記録(以下「取引記録等」という。)を、当該取引 又は特定受任行為の代理等の行われた日から七年間保存しなければならない。

1項

特定事業者(第二条第二項第四十六号から 第四十九号までに掲げる特定事業者を除く)は、特定業務に係る取引について、当該取引において収受した財産が犯罪による収益である疑いがあるかどうか、又は顧客等が当該取引に関し組織的犯罪処罰法第十条の罪 若しくは麻薬特例法第六条の罪に当たる行為を行っている疑いがあるかどうかを判断し、これらの疑いがあると認められる場合においては、速やかに、政令で定めるところにより、政令で定める事項を行政庁に届け出なければならない。

2項

前項の規定による判断は、同項の取引に係る取引時確認の結果、 当該取引の態様 その他の事情 及び第三条第三項に規定する犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案し、かつ、主務省令で定める項目に従って当該取引に疑わしい点があるかどうかを確認する方法 その他の主務省令で定める方法により行わなければならない。

3項

特定事業者(その役員 及び使用人を含む。)は、第一項の規定による届出(以下「疑わしい取引の届出」という。)を行おうとすること 又は行ったことを当該疑わしい取引の届出に係る顧客等 又は その者の関係者に漏らしてはならない。

4項

行政庁(都道府県知事 又は都道府県公安委員会に限る)は、疑わしい取引の届出を受けたときは、速やかに、当該疑わしい取引の届出に係る事項を主務大臣に通知するものとする。

5項

行政庁(都道府県知事 及び都道府県公安委員会を除く)又は前項の主務大臣(国家公安委員会を除く)は、疑わしい取引の届出 又は同項の通知を受けたときは、速やかに、当該疑わしい取引の届出 又は通知に係る事項を国家公安委員会に通知するものとする。

1項

特定事業者(第二条第二項第一号から 第十五号まで 及び第三十一号に掲げる特定事業者に限る次条において同じ。)は、外国所在為替取引業者(外国(本邦の域外にある国 又は地域をいう。以下同じ。)に所在して業として為替取引を行う者をいう。以下同じ。)との間で、 為替取引を継続的に又は反復して行うことを内容とする契約を締結するに際しては、主務省令で定める方法により、当該外国所在為替取引業者について、次に掲げる事項の確認を行わなければならない。

一 号

当該外国所在為替取引業者が、第四条前三条 及び次条の規定による措置に相当する措置(以下 この号において「取引時確認等相当措置」という。)を的確に行うために必要な営業所 その他の施設 並びに取引時確認等相当措置の実施を統括管理する者を当該外国所在為替取引業者の所在する国 又は当該所在する国以外の外国に置き、かつ、取引時確認等相当措置の実施に関し、第十五条から 第十八条までに規定する行政庁の職務に相当する職務を行う当該所在する国 又は当該外国の機関の適切な監督を受けている状態(次号において単に「監督を受けている状態」という。)にあること その他の取引時確認等相当措置を的確に行うために必要な基準として主務省令で定める基準に適合する体制を整備していること。

二 号

当該外国所在為替取引業者が、業として為替取引を行う者であって監督を受けている状態にないものとの間で為替取引を継続的に 又は反復して行うことを内容とする契約を締結していないこと。

1項

特定事業者は、顧客と本邦から外国(政令で定める国 又は地域を除く。以下この条において同じ。)へ向けた支払に係る為替取引(小切手の振出しその他の政令で定める方法によるものを除く)を行う場合において、当該支払を他の特定事業者 又は外国所在為替取引業者(当該政令で定める国 又は地域に所在するものを除く。以下この条において同じ。)に委託するときは、当該顧客に係る本人特定事項 その他の事項で主務省令で定めるものを通知して行わなければならない。

2項

特定事業者は、他の特定事業者から前項 又は この項の規定による通知を受けて本邦から外国へ向けた支払の委託 又は再委託を受けた場合において、当該支払を他の特定事業者 又は外国所在為替取引業者に再委託するときは、当該通知に係る事項を通知して行わなければならない。

3項

特定事業者は、外国所在為替取引業者からこの条の規定に相当する外国の法令の規定による通知を受けて外国から本邦へ向けた支払 又は外国から他の外国へ向けた支払の委託 又は再委託を受けた場合において、当該支払を他の特定事業者 又は外国所在為替取引業者に再委託するときは、当該通知に係る事項(主務省令で定める事項に限る)を通知して行わなければならない。

4項

特定事業者は、他の特定事業者から前項 又は この項の規定による通知を受けて外国から本邦へ向けた支払 又は外国から他の外国へ向けた支払の再委託を受けた場合において、当該支払を他の特定事業者 又は外国所在為替取引業者に再委託するときは、当該通知に係る事項(主務省令で定める事項に限る)を通知して行わなければならない。

1項

特定事業者は、取引時確認、取引記録等の保存、疑わしい取引の届出等の措置(以下この条において「取引時確認等の措置」という。)を的確に行うため、当該取引時確認をした事項に係る情報を最新の内容に保つための措置を講ずるものとするほか、次に掲げる措置を講ずるように努めなければならない。

一 号
使用人に対する教育訓練の実施
二 号

取引時確認等の措置の実施に関する規程の作成

三 号

取引時確認等の措置の的確な実施のために必要な監査 その他の業務を統括管理する者の選任

四 号

その他第三条第三項に規定する犯罪収益移転危険度調査書の内容を勘案して講ずべきものとして主務省令で定める措置

1項

弁護士等による顧客等 又は代表者等の本人特定事項の確認、 確認記録の作成 及び保存、取引記録等の作成 及び保存並びにこれらを的確に行うための措置に相当する措置については、第二条第二項第四十六号から 第四十九号までに掲げる特定事業者の例に準じて日本弁護士連合会の会則で定めるところによる。

2項

第五条の規定は、前項の規定により定められた日本弁護士連合会の会則の規定により弁護士等が行う本人特定事項の確認に相当する措置について準用する。

3項

政府 及び日本弁護士連合会は、犯罪による収益の移転防止に関し、相互に協力するものとする。

第三章 疑わしい取引に関する情報の提供等

1項

国家公安委員会は、疑わしい取引の届出に係る事項、特定複合観光施設区域整備法第百九条第一項の規定による届出に係る事項、第八条、この条 及び次条に規定する国家公安委員会の職務に相当する職務を行う外国の機関から提供された情報 並びにこれらを整理し又は分析した結果(以下「疑わしい取引に関する情報」という。)が検察官、検察事務官 若しくは司法警察職員 又は国税庁、国税局 若しくは税務署の当該職員、税関職員、徴税吏員、公正取引委員会の職員(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律昭和二十二年法律第五十四号第百一条第一項の指定を受けた者に限る)若しくは証券取引等監視委員会の職員(以下この条において「検察官等」という。)による組織的犯罪処罰法第二条第二項第一号イ 若しくは 若しくは同項第二号ニに掲げる罪、組織的犯罪処罰法第十条第三項の罪、麻薬特例法第二条第二項各号に掲げる罪 又は麻薬特例法第六条第三項の罪に係る刑事事件の捜査 又は犯則事件の調査に資すると認めるときは、これを検察官等に提供するものとする。

2項

検察官等は、前項に規定する罪に係る刑事事件の捜査 又は犯則事件の調査のため必要があると認めるときは、国家公安委員会に対し、疑わしい取引に関する情報の記録の閲覧 若しくは謄写 又は その写しの送付を求めることができる。

1項

国家公安委員会は、前条第一項に規定する外国の機関に対し、その職務(第八条前条 及び この条に規定する国家公安委員会の職務に相当するものに限る次項において同じ。)の遂行に資すると認める疑わしい取引に関する情報を提供することができる。

2項

前項の規定による疑わしい取引に関する情報の提供については、当該疑わしい取引に関する情報が前条第一項に規定する外国の機関の職務の遂行以外に使用されず、かつ、次項の規定による同意がなければ外国の刑事事件の捜査(その対象たる犯罪事実が特定された後のものに限る)又は審判(以下この条において「捜査等」という。)に使用されないよう適切な措置がとられなければならない。

3項

国家公安委員会は、外国からの要請があったときは、次の各号いずれかに該当する場合を除き第一項の規定により提供した疑わしい取引に関する情報を当該要請に係る刑事事件の捜査等に使用することについて同意をすることができる。

一 号

当該要請に係る刑事事件の捜査等の対象とされている犯罪が政治犯罪であるとき、又は当該要請が政治犯罪について捜査等を行う目的で行われたものと認められるとき。

二 号

国際約束(第一項の規定による疑わしい取引に関する情報の提供に関する国際約束をいう。第五項において同じ。)に別段の定めがある場合を除き、当該要請に係る刑事事件の捜査等の対象とされている犯罪に係る行為が日本国内において行われたとした場合において、その行為が日本国の法令によれば罪に当たるものでないとき

三 号

日本国が行う同種の要請に応ずる旨の要請国の保証がないとき。

4項

国家公安委員会は、前項の同意をする場合においては、あらかじめ同項第一号 及び第二号に該当しないことについて法務大臣の確認を、同項第三号に該当しないことについて外務大臣の確認を、それぞれ受けなければならない。

5項

第一項の規定による疑わしい取引に関する情報の提供が、疑わしい取引に関する情報を使用することができる外国の刑事事件の捜査等(政治犯罪についての捜査等以外の捜査等に限る)の範囲を定めた国際約束に基づいて行われたときは、その範囲内における当該疑わしい取引に関する情報の使用については、第三項の同意があるものとみなす。

第四章 監督

1項

行政庁は、この法律の施行に必要な限度において、特定事業者に対しその業務に関して報告 又は資料の提出を求めることができる。

1項

行政庁は、この法律の施行に必要な限度において、当該職員に特定事業者の営業所 その他の施設に立ち入らせ、帳簿書類 その他の物件を検査させ、 又は その業務に関し関係人に質問させることができる。

2項

前項の規定により立入検査をする当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があったときは、これを提示しなければならない。

3項

第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

4項

第一項の規定は、特定事業者である日本銀行については、適用しない

1項

行政庁は、この法律に定める特定事業者による措置の適正かつ円滑な実施を確保するため必要があると認めるときは、特定事業者に対し、必要な指導、助言 及び勧告をすることができる。

1項

行政庁は、特定事業者がその業務に関して第四条第一項 若しくは第二項これらの規定を同条第五項の規定により読み替えて適用する場合を含む。) 若しくは第四項第六条第七条第八条第一項から 第三項まで第九条 又は第十条の規定に違反していると認めるときは、当該特定事業者に対し、当該違反を是正するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

1項

国家公安委員会は、特定事業者がその業務に関して前条に規定する規定に違反していると認めるときは、行政庁(都道府県公安委員会を除く。以下この条において同じ。)に対し、当該特定事業者に対し前条の規定による命令を行うべき旨 又は他の法令の規定により当該違反を理由として業務の停止 その他の処分を行うことができる場合にあっては、当該特定事業者に対し当該処分を行うべき旨の意見を述べることができる。

2項

国家公安委員会は、前項の規定により意見を述べるため必要な限度において、特定事業者に対しその業務に関して報告 若しくは資料の提出を求め、又は相当と認める都道府県警察に必要な調査を行うことを指示することができる。

3項

前項の指示を受けた都道府県警察の警視総監 又は道府県警察本部長は、同項の調査を行うため特に必要があると認められるときは、あらかじめ国家公安委員会の承認を得て、当該職員に、特定事業者の営業所 その他の施設に立ち入らせ、帳簿書類 その他の物件を検査させ、又は その業務に関し関係人に質問させることができる。


この場合においては、第十六条第二項から 第四項までの規定を準用する。

4項

国家公安委員会は、前項の承認をしようとするときは、あらかじめ、行政庁(行政庁が都道府県知事である場合にあっては、主務大臣を経由して当該都道府県知事)にその旨を通知しなければならない。

5項

前項の通知を受けた行政庁は、政令で定めるところにより、国家公安委員会に対し、第十六条第一項の規定による権限の行使と第三項の規定による都道府県警察の権限の行使との調整を図るため必要な協議を求めることができる。


この場合において、国家公安委員会は、その求めに応じなければならない。

第五章 雑則

1項

この法律に定めるもののほか、 この法律を実施するため必要な事項は、主務省令で定める。

1項

この法律の規定に基づき政令 又は主務省令を制定し、又は改廃する場合においては、その政令 又は主務省令で、その制定 又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

1項

この法律における行政庁は、次の各号に掲げる特定事業者の区分に応じ、当該特定事業者に係る事項に関して、それぞれ当該各号に定める者とする。

一 号

第二条第二項第一号から 第三号まで第六号第七号第十七号から 第十九号まで第二十一号から第二十六号まで第二十八号から第三十二号まで及び第四十八号に掲げる特定事業者

内閣総理大臣

二 号

第二条第二項第四号 及び第五号に掲げる特定事業者

内閣総理大臣 及び厚生労働大臣

三 号

第二条第二項第八号 及び第九号に掲げる特定事業者

農業協同組合法昭和二十二年法律第百三十二号)第九十八条第一項に規定する行政庁

四 号

第二条第二項第十号から 第十三号まで 及び第二十号に掲げる特定事業者

水産業協同組合法(昭和二十三年法律第二百四十二号)第百二十七条第一項に規定する行政庁

五 号

第二条第二項第十四号に掲げる特定事業者

農林水産大臣 及び内閣総理大臣

六 号

第二条第二項第十五号に掲げる特定事業者

株式会社商工組合中央金庫法平成十九年法律第七十四号)第五十六条第二項に規定する主務大臣

七 号

第二条第二項第十六号に掲げる特定事業者

株式会社日本政策投資銀行法平成十九年法律第八十五号)第二十九条第一項に規定する主務大臣

八 号

第二条第二項第二十七号に掲げる特定事業者

不動産特定共同事業法第七十三条第一項に規定する主務大臣

九 号

第二条第二項第三十三号に掲げる特定事業者

商品先物取引法第三百五十四条第一項に規定する主務大臣

十 号

第二条第二項第三十四号から 第三十六号までに掲げる特定事業者(次号に掲げる者を除く

内閣総理大臣 及び法務大臣

十一 号

第二条第二項第三十四号 及び第三十五号に掲げる特定事業者のうち国債を取り扱う者

内閣総理大臣、法務大臣 及び財務大臣

十二 号

第二条第二項第三十七号に掲げる特定事業者 及び同項第四十四号に掲げる特定事業者のうち顧客宛ての電話を受けてその内容を当該顧客に連絡し、又は顧客宛ての若しくは顧客からの電話を当該顧客が指定する電話番号に自動的に転送する役務を提供する業務を行う者

総務大臣

十三 号

第二条第二項第三十八号 及び第四十九号に掲げる特定事業者

財務大臣

十四 号

第二条第二項第三十九号第四十号 及び第四十三号に掲げる特定事業者 並びに同項第四十四号に掲げる特定事業者のうち顧客宛ての郵便物を受け取ってこれを当該顧客に引き渡す役務を提供する業務を行う者

経済産業大臣

十五 号

第二条第二項第四十一号に掲げる特定事業者

カジノ管理委員会

十六 号

第二条第二項第四十二号に掲げる特定事業者

宅地建物取引業法第三条第一項の免許をした国土交通大臣 又は都道府県知事(みなし宅地建物取引業者である特定事業者にあっては、国土交通大臣

十七 号

第二条第二項第四十六号に掲げる特定事業者

法務大臣

十八 号

第二条第二項第四十七号に掲げる特定事業者

都道府県知事

2項

前項の規定にかかわらず第九条に規定する特定事業者(第二条第二項第十五号に掲げる特定事業者を除く)に係る第九条 及び第十条に定める事項に関する行政庁は、前項に定める行政庁 及び財務大臣とする。

3項

第一項の規定にかかわらず、特定事業者のうち金融商品取引法第三十三条の二に規定する登録を受けた者が登録金融機関業務(同法第三十三条の三第一項第六号イに規定する登録金融機関業務をいう。第六項第二号において同じ。)を行う場合には、当該登録金融機関業務に係る事項に関する行政庁は、内閣総理大臣とする。

4項

第一項の規定にかかわらず第二条第二項第四十三号に掲げる特定事業者のうち古物営業法昭和二十四年法律第百八号第三条の許可(同法第二条第二項第一号に係るものに限る)を受けた者が同法第二条第一項の古物である貴金属等の売買の業務を行う場合 及び第二条第二項第四十三号に掲げる特定事業者のうち質屋営業法昭和二十五年法律第百五十八号第二条第一項の許可を受けた者が同法第十八条第一項の流質物である貴金属等の売却の業務を行う場合には、これらの業務に係る事項に関する行政庁は、都道府県公安委員会とする。


この場合において、道公安委員会の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、方面公安委員会に行わせることができる。

5項

内閣総理大臣は、この法律による権限(金融庁の所掌に係るものに限り、政令で定めるものを除く)を金融庁長官に委任する。

6項

金融庁長官は、前項の規定により委任された権限(第八条第十七条 及び第十八条に関するものを除く次項において「金融庁長官権限」という。)のうち、次に掲げる行為に係るものを証券取引等監視委員会に委任する。


ただし、報告 又は資料の提出を命ずる権限は、金融庁長官が自ら行うことを妨げない。

一 号

第二条第二項第二十一号第二十三号 及び第二十四号に掲げる特定事業者による行為

二 号
登録金融機関業務に係る行為
7項

金融庁長官は、政令で定めるところにより、金融庁長官権限のうち、第二条第二項第二十二号第三十四号 及び第三十五号に掲げる特定事業者による行為(前項各号に掲げる行為を除く)に係るものを証券取引等監視委員会に委任することができる。

8項

前二項の場合において、証券取引等監視委員会が行う報告 又は資料の提出の命令についての審査請求は、証券取引等監視委員会に対してのみ行うことができる。

9項

この法律に規定する行政庁の権限に属する事務(この法律の規定により都道府県知事 又は都道府県公安委員会の権限に属することとされている事務を除く)の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。

10項

前各項に規定するもののほか第八条 及び第十五条から 第十九条までの規定による行政庁の権限の行使に関して必要な事項は、政令で定める。

1項
この法律における主務大臣は、次のとおりとする。
一 号

次のイから ホまでに掲げる特定事業者の区分に応じ、当該特定事業者に係る事項(次号から 第四号までに掲げる事項を除く)に関して、それぞれ当該イから ホまでに定める大臣 又は委員会

ロから ホまでに掲げる特定事業者以外の特定事業者

前条第一項に定める行政庁である大臣 又は委員会

第二条第二項第八号 及び第九号に掲げる特定事業者

農業協同組合法第九十八条第二項に規定する主務大臣 又は委員会

第二条第二項第十号から 第十三号まで 及び第二十号に掲げる特定事業者

水産業協同組合法第百二十七条第二項に規定する主務大臣

第二条第二項第四十二号に掲げる特定事業者

国土交通大臣

第二条第二項第四十七号に掲げる特定事業者総務大臣

二 号

前条第二項に規定する特定事業者に係る同項に規定する事項

前号イから ハまでに定める大臣 及び財務大臣

三 号

前条第三項に規定する特定事業者に係る同項に規定する事項

内閣総理大臣

四 号

前条第四項に規定する特定事業者に係る同項に規定する事項

国家公安委員会

2項

この法律における主務省令は、内閣総理大臣、総務大臣、法務大臣、財務大臣、厚生労働大臣、農林水産大臣、経済産業大臣 及び国土交通大臣が共同で発する命令とする。

1項

この法律の規定により都道府県が処理することとされている事務のうち次に掲げる者に係るものは、地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。

一 号

農業協同組合法第十条第一項第三号の事業を行う農業協同組合 及び農業協同組合連合会

二 号

水産業協同組合法第十一条第一項第四号の事業を行う漁業協同組合

三 号

水産業協同組合法第八十七条第一項第四号の事業を行う漁業協同組合連合会

四 号

水産業協同組合法第九十三条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合

五 号

水産業協同組合法第九十七条第一項第二号の事業を行う水産加工業協同組合連合会

第六章 罰則

1項

第十八条の規定による命令に違反した者は、二年以下の懲役 若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

1項

次の各号いずれかに該当する者は、一年以下の懲役 若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

一 号

第十五条 若しくは第十九条第二項の規定による報告 若しくは資料の提出をせず、又は虚偽の報告 若しくは資料の提出をした者

二 号

第十六条第一項 若しくは第十九条第三項の規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をし、又は これらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者

1項

顧客等 又は代表者等の本人特定事項を隠蔽する目的で、第四条第六項の規定に違反する行為(当該顧客等 又は代表者等の本人特定事項に係るものに限る)をした者は、一年以下の懲役 若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

1項

他人になりすまして特定事業者(第二条第二項第一号から 第十五号まで 及び第三十七号に掲げる特定事業者に限る。以下この条において同じ。)との間における預貯金契約(別表第二条第二項第一号から 第三十八号までに掲げる者の項の下欄に規定する預貯金契約をいう。以下 この項において同じ。)に係る役務の提供を受けること 又はこれを第三者にさせることを目的として、当該預貯金契約に係る預貯金通帳、預貯金の引出用のカード、預貯金の引出し又は振込みに必要な情報 その他特定事業者との間における預貯金契約に係る役務の提供を受けるために必要なものとして政令で定めるもの(以下この条において「預貯金通帳等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又は その提供を受けた者は、一年以下の懲役 若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


通常の商取引 又は金融取引として行われるものであること その他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り受け、その交付を受け、又は その提供を受けた者も、同様とする。

2項

相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。


通常の商取引 又は金融取引として行われるものであること その他の正当な理由がないのに、有償で、預貯金通帳等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。

3項

業として前二項の罪に当たる行為をした者は、三年以下の懲役 若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

4項

第一項 又は第二項の罪に当たる行為をするよう、人を勧誘し、又は広告 その他これに類似する方法により人を誘引した者も、第一項と同様とする。

1項

他人になりすまして第二条第二項第三十一号に掲げる特定事業者(以下 この項において「資金移動業者」という。)との間における為替取引により送金をし若しくは送金を受け取ること 又はこれらを第三者にさせることを目的として、当該為替取引に係る送金の受取用のカード、送金 又は その受取に必要な情報 その他資金移動業者との間における為替取引による送金 又は その受取に必要なものとして政令で定めるもの(以下「為替取引カード等」という。)を譲り受け、その交付を受け、又は その提供を受けた者は、一年以下の懲役 若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


通常の商取引として行われるものであること その他の正当な理由がないのに、有償で、為替取引カード等を譲り受け、その交付を受け、又は その提供を受けた者も、同様とする。

2項

相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に為替取引カード等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同項と同様とする。


通常の商取引として行われるものであること その他の正当な理由がないのに、有償で、為替取引カード等を譲り渡し、交付し、又は提供した者も、同様とする。

3項

業として前二項の罪に当たる行為をした者は、三年以下の懲役 若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

4項

第一項 又は第二項の罪に当たる行為をするよう、人を勧誘し、又は広告 その他これに類似する方法により人を誘引した者も、第一項と同様とする。

1項

他人になりすまして第二条第二項第三十二号に掲げる特定事業者(以下 この項において「暗号資産交換業者」という。)との間における暗号資産交換契約(資金決済に関する法律第二条第七項各号に掲げる行為を行うことを内容とする契約をいう。以下 この項において同じ。)に係る役務の提供を受けること 又はこれを第三者にさせることを目的として、暗号資産交換業者において暗号資産交換契約に係る役務の提供を受ける者を他の者と区別して識別することができるように付される符号 その他の当該役務の提供を受けるために必要な情報(以下この条において「暗号資産交換用情報」という。)の提供を受けた者は、一年以下の懲役 若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。


通常の商取引として行われるものであること その他の正当な理由がないのに、有償で、暗号資産交換用情報の提供を受けた者も、同様とする。

2項

相手方に前項前段の目的があることの情を知って、その者に暗号資産交換用情報を提供した者も、同項と同様とする。


通常の商取引として行われるものであること その他の正当な理由がないのに、有償で、暗号資産交換用情報を提供した者も、同様とする。

3項

業として前二項の罪に当たる行為をした者は、三年以下の懲役 若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

4項

第一項 又は第二項の罪に当たる行為をするよう、人を勧誘し、又は広告 その他これに類似する方法により人を誘引した者も、第一項と同様とする。

1項

法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関して次の各号に掲げる規定の違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人に対して当該各号に定める罰金刑を、その人に対して各本条の罰金刑を科する。

一 号

第二十五条

三億円以下の罰金刑

二 号

第二十六条

二億円以下の罰金刑

三 号

第二十七条

同条の罰金刑

1項

金融商品取引法第九章の規定は、第二十二条第六項各号に掲げる行為に係る第二十七条 及び前条第三号に規定する罪の事件について準用する。