都道府県知事、市長 及び社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)を管理する町村長は、次に掲げる者に対して、この法律の定めるところにより、保護を決定し、かつ、実施しなければならない。
生活保護法
第四章 保護の機関及び実施
その管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する要保護者
居住地がないか、又は明らかでない要保護者であつて、その管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有するもの
居住地が明らかである要保護者であつても、その者が急迫した状況にあるときは、その急迫した事由が止むまでは、その者に対する保護は、前項の規定にかかわらず、その者の現在地を所管する福祉事務所を管理する都道府県知事 又は市町村長が行うものとする。
第三十条第一項ただし書の規定により被保護者を救護施設、更生施設 若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、若しくは私人の家庭に養護を委託した場合 又は第三十四条の二第二項の規定により被保護者に対する次の各号に掲げる介護扶助を当該各号に定める者 若しくは施設に委託して行う場合においては、当該入所 又は委託の継続中、その者に対して保護を行うべき者は、その者に係る入所 又は委託前の居住地 又は現在地によつて定めるものとする。
居宅介護(第十五条の二第二項に規定する居宅介護をいう。以下同じ。)(特定施設入居者生活介護(同項に規定する特定施設入居者生活介護をいう。)に限る。)
居宅介護を行う者
施設介護(第十五条の二第四項に規定する施設介護をいう。以下同じ。)
介護老人福祉施設(介護保険法第八条第二十七項に規定する介護老人福祉施設をいう。以下同じ。)
介護予防(第十五条の二第五項に規定する介護予防をいう。以下同じ。)(介護予防特定施設入居者生活介護(同項に規定する介護予防特定施設入居者生活介護をいう。)に限る。)
介護予防を行う者
前三項の規定により保護を行うべき者(以下「保護の実施機関」という。)は、保護の決定 及び実施に関する事務の全部 又は一部を、その管理に属する行政庁に限り、委任することができる。
保護の実施機関は、保護の決定 及び実施に関する事務の一部を、政令の定めるところにより、他の保護の実施機関に委託して行うことを妨げない。
福祉事務所を設置しない町村の長(以下「町村長」という。)は、その町村の区域内において特に急迫した事由により放置することができない状況にある要保護者に対して、応急的処置として、必要な保護を行うものとする。
町村長は、保護の実施機関 又は福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)が行う保護事務の執行を適切ならしめるため、次に掲げる事項を行うものとする。
要保護者を発見し、又は被保護者の生計 その他の状況の変動を発見した場合において、速やかに、保護の実施機関 又は福祉事務所長にその旨を通報すること。
第二十四条第十項の規定により保護の開始 又は変更の申請を受け取つた場合において、これを保護の実施機関に送付すること。
保護の実施機関 又は福祉事務所長から求められた場合において、被保護者等に対して、保護金品を交付すること。
保護の実施機関 又は福祉事務所長から求められた場合において、要保護者に関する調査を行うこと。
都道府県知事は、この法律に定めるその職権の一部を、その管理に属する行政庁に委任することができる。
社会福祉法に定める社会福祉主事は、この法律の施行について、都道府県知事 又は市町村長の事務の執行を補助するものとする。
民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員は、この法律の施行について、市町村長、福祉事務所長 又は社会福祉主事の事務の執行に協力するものとする。
厚生労働大臣は都道府県知事 及び市町村長の行うこの法律の施行に関する事務について、都道府県知事は市町村長の行うこの法律の施行に関する事務について、その指定する職員に、その監査を行わせなければならない。
前項の規定により指定された職員は、都道府県知事 又は市町村長に対し、必要と認める資料の提出 若しくは説明を求め、又は必要と認める指示をすることができる。
第一項の規定により指定すべき職員の資格については、政令で定める。
保護の開始を申請する者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を保護の実施機関に提出しなければならない。
ただし、当該申請書を作成することができない特別の事情があるときは、この限りでない。
申請者が要保護者と異なるときは、申請者の氏名 及び住所 又は居所 並びに要保護者との関係
要保護者の資産 及び収入の状況(生業 若しくは就労 又は求職活動の状況、扶養義務者の扶養の状況 及び他の法律に定める扶助の状況を含む。以下同じ。)
その他要保護者の保護の要否、種類、程度 及び方法を決定するために必要な事項として厚生労働省令で定める事項
前項の申請書には、要保護者の保護の要否、種類、程度 及び方法を決定するために必要な書類として厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。
ただし、当該書類を添付することができない特別の事情があるときは、この限りでない。
保護の実施機関は、保護の開始の申請があつたときは、保護の要否、種類、程度 及び方法を決定し、申請者に対して書面をもつて、これを通知しなければならない。
前項の書面には決定の理由を付さなければならない。
第三項の通知は、申請のあつた日から十四日以内にしなければならない。
ただし、扶養義務者の資産 及び収入の状況の調査に日時を要する場合 その他特別な理由がある場合には、これを三十日まで延ばすことができる。
保護の実施機関は、前項ただし書の規定により同項本文に規定する期間内に第三項の通知をしなかつたときは、同項の書面にその理由を明示しなければならない。
保護の申請をしてから三十日以内に 第三項の通知がないときは、申請者は、保護の実施機関が申請を却下したものとみなすことができる。
保護の実施機関は、知れたる扶養義務者が民法の規定による扶養義務を履行していないと認められる場合において、保護の開始の決定をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、当該扶養義務者に対して書面をもつて厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない。
ただし、あらかじめ通知することが適当でない場合として厚生労働省令で定める場合は、この限りでない。
第一項から第七項までの規定は、第七条に規定する者からの保護の変更の申請について準用する。
保護の開始 又は変更の申請は、町村長を経由してすることもできる。
町村長は、申請を受け取つたときは、五日以内に、その申請に、要保護者に対する扶養義務者の有無、資産 及び収入の状況 その他保護に関する決定をするについて参考となるべき事項を記載した書面を添えて、これを保護の実施機関に送付しなければならない。
保護の実施機関は、要保護者が急迫した状況にあるときは、すみやかに、職権をもつて保護の種類、程度 及び方法を決定し、保護を開始しなければならない。
保護の実施機関は、常に、被保護者の生活状態を調査し、保護の変更を必要とすると認めるときは、速やかに、職権をもつてその決定を行い、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。
前条第四項の規定は、この場合に準用する。
町村長は、要保護者が特に急迫した事由により放置することができない状況にあるときは、すみやかに、職権をもつて第十九条第六項に規定する保護を行わなければならない。
保護の実施機関は、被保護者が保護を必要としなくなつたときは、速やかに、保護の停止 又は廃止を決定し、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。
第二十八条第五項 又は第六十二条第三項の規定により保護の停止 又は廃止をするときも、同様とする。
保護の実施機関は、被保護者に対して、生活の維持、向上 その他保護の目的達成に必要な指導 又は指示をすることができる。
前項の指導 又は指示は、被保護者の自由を尊重し、必要の最少限度に止めなければならない。
第一項の規定は、被保護者の意に反して、指導 又は指示を強制し得るものと解釈してはならない。
保護の実施機関は、第五十五条の七第一項に規定する被保護者就労支援事業 及び第五十五条の八第一項に規定する被保護者健康管理支援事業を行うほか、要保護者から求めがあつたときは、要保護者の自立を助長するために、要保護者からの相談に応じ、必要な助言をすることができる。
保護の実施機関は、保護の決定 若しくは実施 又は第七十七条 若しくは第七十八条(第三項を除く。次項 及び次条第一項において同じ。)の規定の施行のため必要があると認めるときは、要保護者の資産 及び収入の状況、健康状態 その他の事項を調査するために、厚生労働省令で定めるところにより、当該要保護者に対して、報告を求め、若しくは当該職員に、当該要保護者の居住の場所に立ち入り、これらの事項を調査させ、又は当該要保護者に対して、保護の実施機関の指定する医師 若しくは歯科医師の検診を受けるべき旨を命ずることができる。
保護の実施機関は、保護の決定 若しくは実施 又は第七十七条 若しくは第七十八条の規定の施行のため必要があると認めるときは、保護の開始 又は変更の申請書 及びその添付書類の内容を調査するために、厚生労働省令で定めるところにより、要保護者の扶養義務者 若しくはその他の同居の親族 又は保護の開始 若しくは変更の申請の当時要保護者 若しくはこれらの者であつた者に対して、報告を求めることができる。
第一項の規定によつて立入調査を行う当該職員は、厚生労働省令の定めるところにより、その身分を示す証票を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
第一項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。
保護の実施機関は、要保護者が第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、若しくは立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は医師 若しくは歯科医師の検診を受けるべき旨の命令に従わないときは、保護の開始 若しくは変更の申請を却下し、又は保護の変更、停止 若しくは廃止をすることができる。
保護の実施機関 及び福祉事務所長は、保護の決定 若しくは実施 又は第七十七条 若しくは第七十八条の規定の施行のために必要があると認めるときは、次の各号に掲げる者の当該各号に定める事項につき、官公署、日本年金機構 若しくは国民年金法(昭和三十四年法律第百四十一号)第三条第二項に規定する共済組合等(次項において「共済組合等」という。)に対し、必要な書類の閲覧 若しくは資料の提供を求め、又は銀行、信託会社、次の各号に掲げる者の雇主 その他の関係人に、報告を求めることができる。
要保護者 又は被保護者であつた者
氏名 及び住所 又は居所、資産 及び収入の状況、健康状態、他の保護の実施機関における保護の決定 及び実施の状況 その他政令で定める事項(被保護者であつた者にあつては、氏名 及び住所 又は居所、健康状態 並びに他の保護の実施機関における保護の決定 及び実施の状況を除き、保護を受けていた期間における事項に限る。)
前号に掲げる者の扶養義務者
氏名 及び住所 又は居所、資産 及び収入の状況 その他政令で定める事項(被保護者であつた者の扶養義務者にあつては、氏名 及び住所 又は居所を除き、当該被保護者であつた者が保護を受けていた期間における事項に限る。)
別表第一の上欄に掲げる官公署の長、日本年金機構 又は共済組合等は、それぞれ同表の下欄に掲げる情報につき、保護の実施機関 又は福祉事務所長から前項の規定による求めがあつたときは、速やかに、当該情報を記載し、若しくは記録した書類を閲覧させ、又は資料の提供を行うものとする。
この章の規定による処分については、行政手続法(平成五年法律第八十八号)第三章(第十二条 及び第十四条を除く。)の規定は、適用しない。