男女共同参画社会基本法

# 平成十一年法律第七十八号 #

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   憲法
最終編集日 : 2022年 12月24日 09時54分


1項

この法律は、男女の人権が尊重され、かつ、社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現することの緊要性にかんがみ、男女共同参画社会の形成に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共団体 及び国民の責務を明らかにするとともに、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の基本となる事項を定めることにより、男女共同参画社会の形成を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

1項

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

一 号

男女共同参画社会の形成

男女が、社会の対等な構成員として、 自らの意思によって社会のあらゆる分野における活動に参画する機会が確保され、もって男女が均等に政治的、経済的、社会的 及び文化的利益を享受することができ、かつ、共に責任を担うべき社会を形成することをいう。

二 号

積極的改善措置

前号に規定する機会に係る男女間の格差を改善するため必要な範囲内において、 男女のいずれか一方に対し、当該機会を積極的に提供することをいう。

1項

男女共同参画社会の形成は、男女の個人としての尊厳が重んぜられること、男女が性別による差別的取扱いを受けないこと、男女が個人として能力を発揮する機会が確保されることその他の男女の人権が尊重されることを旨として、行われなければならない。

1項

男女共同参画社会の形成に当たっては、社会における制度 又は慣行が、性別による固定的な役割分担等を反映して、男女の社会における活動の選択に対して中立でない影響を及ぼすことにより、男女共同参画社会の形成を阻害する要因となるおそれがあることにかんがみ、社会における制度 又は慣行が男女の社会における活動の選択に対して及ぼす影響をできる限り中立なものとするように配慮されなければならない。

1項

男女共同参画社会の形成は、男女が、社会の対等な構成員として、国 若しくは地方公共団体における政策 又は民間の団体における方針の立案 及び決定に共同して参画する機会が確保されることを旨として、行われなければならない。

1項

男女共同参画社会の形成は、家族を構成する男女が、相互の協力と社会の支援の下に、子の養育、家族の介護 その他の家庭生活における活動について家族の一員としての役割を円滑に果たし、かつ、当該活動以外の活動を行うことができるようにすることを旨として、行われなければならない。

1項

男女共同参画社会の形成の促進が国際社会における取組と 密接な関係を有していることにかんがみ、男女共同参画社会の形成は、国際的協調の下に行われなければならない。

1項

国は、第三条から 前条までに定める男女共同参画社会の形成についての基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策(積極的改善措置を含む。以下同じ。)を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

1項

地方公共団体は、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成の促進に関し、国の施策に準じた施策及び その他のその地方公共団体の区域の特性に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。

1項

国民は、職域、学校、地域、家庭 その他の社会のあらゆる分野において、基本理念にのっとり、男女共同参画社会の形成に寄与するように努めなければならない。

1項

政府は、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を実施するため必要な法制上 又は財政上の措置その他の措置を講じなければならない。

1項

政府は、毎年、国会に、男女共同参画社会の形成の状況 及び政府が講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策についての報告を提出しなければならない。

2項

政府は、毎年前項の報告に係る男女共同参画社会の形成の状況を考慮して講じようとする男女共同参画社会の形成の促進に関する施策を明らかにした文書を作成し、これを国会に提出しなければならない。