裁判所書記官は、届出があった破産債権について、破産債権者表を作成しなければならない。
破産法
第三節 破産債権の調査及び確定
⤏ 第一款 通則
前項の破産債権者表には、各破産債権について、第百十一条第一項第一号から第四号まで 及び第二項第二号(同条第三項において準用する場合を含む。)に掲げる事項 その他最高裁判所規則で定める事項を記載しなければならない。
破産債権者表の記載に誤りがあるときは、裁判所書記官は、申立てにより又は職権で、いつでも その記載を更正する処分をすることができる。
裁判所による破産債権の調査は、次款の規定により、破産管財人が作成した認否書 並びに破産債権者 及び破産者の書面による異議に基づいてする。
前項の規定にかかわらず、裁判所は、必要があると認めるときは、第三款の規定により、破産債権の調査を、そのための期日における破産管財人の認否 並びに破産債権者 及び破産者の異議に基づいてすることができる。
裁判所は、第百二十一条の規定による一般調査期日における破産債権の調査の後であっても、第百十九条の規定による特別調査期間における書面による破産債権の調査をすることができ、必要があると認めるときは、第百十八条の規定による一般調査期間における書面による破産債権の調査の後であっても、第百二十二条の規定による特別調査期日における破産債権の調査をすることができる。
⤏ 第二款 書面による破産債権の調査
破産管財人は、一般調査期間が定められたときは、債権届出期間内に届出があった破産債権について、次に掲げる事項についての認否を記載した認否書を作成しなければならない。
別除権(第百八条第二項に規定する特別の先取特権、質権 若しくは抵当権 又は破産債権を含む。)の行使によって弁済を受けることができないと見込まれる債権の額
破産管財人は、債権届出期間の経過後に届出があり、又は届出事項の変更(他の破産債権者の利益を害すべき事項の変更に限る。以下 この節において同じ。)があった破産債権についても、前項各号に掲げる事項(当該届出事項の変更があった場合にあっては、変更後の同項各号に掲げる事項。以下 この節において同じ。)についての認否を同項の認否書に記載することができる。
破産管財人は、一般調査期間前の裁判所の定める期限までに、前二項の規定により作成した認否書を裁判所に提出しなければならない。
第一項の規定により同項の認否書に認否を記載すべき事項であって前項の規定により提出された認否書に認否の記載がないものがあるときは、破産管財人において当該事項を認めたものとみなす。
第二項の規定により第一項各号に掲げる事項についての認否を認否書に記載することができる破産債権について、第三項の規定により提出された認否書に当該事項の一部についての認否の記載があるときは、破産管財人において当該事項のうち当該認否書に認否の記載のないものを認めたものとみなす。
届出をした破産債権者は、一般調査期間内に、裁判所に対し、前条第一項 又は第二項に規定する破産債権についての同条第一項各号に掲げる事項について、書面で、異議を述べることができる。
破産者は、一般調査期間内に、裁判所に対し、前項の破産債権の額について、書面で、異議を述べることができる。
裁判所は、一般調査期間を変更する決定をしたときは、その裁判書を破産管財人、破産者 及び届出をした破産債権者(債権届出期間の経過前にあっては、知れている破産債権者)に送達しなければならない。
前項の規定による送達は、書類を通常の取扱いによる郵便に付し、又は民間事業者による信書の送達に関する法律第二条第六項に規定する一般信書便事業者 若しくは同条第九項に規定する特定信書便事業者の提供する同条第二項に規定する信書便の役務を利用して送付する方法によりすることができる。
前項の規定による送達をした場合においては、その郵便物等が通常到達すべきであった時に、送達があったものとみなす。
裁判所は、債権届出期間の経過後、一般調査期間の満了前 又は一般調査期日の終了前にその届出があり、又は届出事項の変更があった破産債権について、その調査をするための期間(以下「特別調査期間」という。)を定めなければならない。
ただし、当該破産債権について、破産管財人が第百十七条第三項の規定により提出された認否書に同条第一項各号に掲げる事項の全部 若しくは一部についての認否を記載している場合 又は一般調査期日において調査をすることについて破産管財人 及び破産債権者の異議がない場合は、この限りでない。
一般調査期間の経過後 又は一般調査期日の終了後に第百十二条第一項 若しくは第三項の規定による届出があり、又は同条第四項において準用する同条第一項の規定による届出事項の変更があった破産債権についても、前項本文と同様とする。
第一項本文 又は前項の場合には、特別調査期間に関する費用は、当該破産債権を有する者の負担とする。
破産管財人は、特別調査期間に係る破産債権については、第百十七条第一項各号に掲げる事項についての認否を記載した認否書を作成し、特別調査期間前の裁判所の定める期限までに、これを裁判所に提出しなければならない。
この場合においては、同条第四項の規定を準用する。
届出をした破産債権者は前項の破産債権についての第百十七条第一項各号に掲げる事項について、破産者は当該破産債権の額について、特別調査期間内に、裁判所に対し、書面で、異議を述べることができる。
前条第三項から第五項までの規定は、特別調査期間を定める決定 又はこれを変更する決定があった場合における裁判書の送達について準用する。
前条第一項本文 又は第二項の場合には、裁判所書記官は、相当の期間を定め、同条第三項の破産債権を有する者に対し、同項の費用の予納を命じなければならない。
前項の規定による処分は、相当と認める方法で告知することによって、その効力を生ずる。
第一項の規定による処分に対しては、その告知を受けた日から一週間の不変期間内に、異議の申立てをすることができる。
前項の異議の申立ては、執行停止の効力を有する。
第一項の場合において、同項の破産債権を有する者が同項の費用の予納をしないときは、裁判所は、決定で、その者がした破産債権の届出 又は届出事項の変更に係る届出を却下しなければならない。
前項の規定による却下の決定に対しては、即時抗告をすることができる。
⤏ 第三款 期日における破産債権の調査
破産管財人は、一般調査期日が定められたときは、当該一般調査期日に出頭し、債権届出期間内に届出があった破産債権について、第百十七条第一項各号に掲げる事項についての認否をしなければならない。
届出をした破産債権者 又はその代理人は、一般調査期日に出頭し、前項の破産債権についての同項に規定する事項について、異議を述べることができる。
破産者は、一般調査期日に出頭しなければならない。
ただし、正当な事由があるときは、代理人を出頭させることができる。
前項本文の規定により出頭した破産者は、第一項の破産債権の額について、異議を述べることができる。
第三項本文の規定により出頭した破産者は、必要な事項に関し意見を述べなければならない。
前二項の規定は、第三項ただし書の代理人について準用する。
前各項の規定は、債権届出期間の経過後に届出があり、又は届出事項の変更があった破産債権について一般調査期日において調査をすることにつき破産管財人 及び破産債権者の異議がない場合について準用する。
一般調査期日における破産債権の調査は、破産管財人が出頭しなければ**、することができない。
裁判所は、一般調査期日を変更する決定をしたときは、その裁判書を破産管財人、破産者 及び届出をした破産債権者(債権届出期間の経過前にあっては、知れている破産債権者)に送達しなければならない。
裁判所は、一般調査期日における破産債権の調査の延期 又は続行の決定をしたときは、当該一般調査期日において言渡しをした場合を除き、その裁判書を破産管財人、破産者 及び届出をした破産債権者に送達しなければならない。
第百十八条第四項 及び第五項の規定は、前二項の規定による送達について準用する。
裁判所は、債権届出期間の経過後、一般調査期間の満了前 又は一般調査期日の終了前に届出があり、又は届出事項の変更があった破産債権について、必要があると認めるときは、その調査をするための期日(以下「特別調査期日」という。)を定めることができる。
ただし、当該破産債権について、破産管財人が第百十七条第三項の規定により提出された認否書に同条第一項各号に掲げる事項の全部 若しくは一部についての認否を記載している場合 又は一般調査期日において調査をすることについて破産管財人 及び破産債権者の異議がない場合は、この限りでない。
第百十九条第二項 及び第三項、同条第六項において準用する第百十八条第三項から第五項まで、第百二十条 並びに前条(第七項 及び第九項を除く。)の規定は、前項本文の場合における特別調査期日について準用する。
破産者がその責めに帰することができない事由によって一般調査期日 又は特別調査期日に出頭することができなかったときは、破産者は、その事由が消滅した後一週間以内に限り、裁判所に対し、当該一般調査期日 又は特別調査期日における調査に係る破産債権の額について、書面で、異議を述べることができる。
前項に規定する一週間の期間は、伸長し、又は短縮することができない。
⤏ 第四款 破産債権の確定
第百十七条第一項各号(第四号を除く。)に掲げる事項は、破産債権の調査において、破産管財人が認め、かつ、届出をした破産債権者が一般調査期間内 若しくは特別調査期間内 又は一般調査期日 若しくは特別調査期日において異議を述べなかったときは、確定する。
裁判所書記官は、破産債権の調査の結果を破産債権者表に記載しなければならない。
第一項の規定により確定した事項についての破産債権者表の記載は、破産債権者の全員に対して確定判決と同一の効力を有する。
破産債権の調査において、破産債権の額 又は優先的破産債権、劣後的破産債権 若しくは約定劣後破産債権であるかどうかの別(以下 この条 及び第百二十七条第一項において「額等」という。)について破産管財人が認めず、又は届出をした破産債権者が異議を述べた場合には、当該破産債権(以下「異議等のある破産債権」という。)を有する破産債権者は、その額等の確定のために、当該破産管財人 及び当該異議を述べた届出をした破産債権者(以下 この款において「異議者等」という。)の全員を相手方として、裁判所に、その額等についての査定の申立て(以下「破産債権査定申立て」という。)をすることができる。
ただし、第百二十七条第一項 並びに第百二十九条第一項 及び第二項の場合は、この限りでない。
破産債権査定申立ては、異議等のある破産債権に係る一般調査期間 若しくは特別調査期間の末日 又は一般調査期日 若しくは特別調査期日から一月の不変期間内にしなければならない。
破産債権査定申立てがあった場合には、裁判所は、これを不適法として却下する場合を除き、決定で、異議等のある破産債権の存否 及び額等を査定する裁判(次項において「破産債権査定決定」という。)をしなければならない。
裁判所は、破産債権査定決定をする場合には、異議者等を審尋しなければならない。
破産債権査定申立てについての決定があった場合には、その裁判書を当事者に送達しなければならない。
この場合においては、第十条第三項本文の規定は、適用しない。
破産債権査定申立てについての決定に不服がある者は、その送達を受けた日から一月の不変期間内に、異議の訴え(以下「破産債権査定異議の訴え」という。)を提起することができる。
破産債権査定異議の訴えが提起された第一審裁判所は、破産裁判所が破産事件を管轄することの根拠となる法令上の規定が第五条第八項 又は第九項の規定のみである場合(破産裁判所が第七条第四号の規定により破産事件の移送を受けた場合において、移送を受けたことの根拠となる規定が同号ロ 又はハの規定のみであるときを含む。)において、著しい損害 又は遅滞を避けるため必要があると認めるときは、前項の規定にかかわらず、職権で、当該破産債権査定異議の訴えに係る訴訟を第五条第一項に規定する地方裁判所(同項に規定する地方裁判所がない場合にあっては、同条第二項に規定する地方裁判所)に移送することができる。
破産債権査定異議の訴えは、これを提起する者が、異議等のある破産債権を有する破産債権者であるときは異議者等の全員を、当該異議者等であるときは当該破産債権者を、それぞれ被告としなければならない。
破産債権査定異議の訴えの口頭弁論は、第一項の期間を経過した後でなければ開始することができない。
同一の破産債権に関し破産債権査定異議の訴えが数個同時に係属するときは、弁論 及び裁判は、併合してしなければならない。
この場合においては、民事訴訟法第四十条第一項から第三項までの規定を準用する。
破産債権査定異議の訴えについての判決においては、訴えを不適法として却下する場合を除き、破産債権査定申立てについての決定を認可し、又は変更する。
異議等のある破産債権に関し破産手続開始当時訴訟が係属する場合において、破産債権者がその額等の確定を求めようとするときは、異議者等の全員を当該訴訟の相手方として、訴訟手続の受継の申立てをしなければならない。
第百二十五条第二項の規定は、前項の申立てについて準用する。
破産債権査定申立てに係る査定の手続 又は破産債権査定異議の訴えの提起 若しくは前条第一項の規定による受継に係る訴訟手続においては、破産債権者は、異議等のある破産債権についての第百十一条第一項第一号から第三号までに掲げる事項について、破産債権者表に記載されている事項のみを主張することができる。
異議等のある破産債権のうち執行力ある債務名義 又は終局判決のあるものについては、異議者等は、破産者がすることのできる訴訟手続によってのみ、異議を主張することができる。
前項に規定する異議等のある破産債権に関し破産手続開始当時訴訟が係属する場合において、同項の異議者等が同項の規定による異議を主張しようとするときは、当該異議者等は、当該破産債権を有する破産債権者を相手方とする訴訟手続を受け継がなければならない。
第百二十五条第二項の規定は第一項の規定による異議の主張 又は前項の規定による受継について、第百二十六条第五項 及び第六項 並びに前条の規定は前二項の場合について準用する。
この場合においては、
第百二十六条第五項中「第一項の期間」とあるのは、
「異議等のある破産債権に係る一般調査期間 若しくは特別調査期間の末日 又は一般調査期日 若しくは特別調査期日から一月の不変期間」と
読み替えるものとする。
前項において準用する第百二十五条第二項に規定する期間内に第一項の規定による異議の主張 又は第二項の規定による受継がされなかった場合には、異議者等が破産債権者であるときは第百十八条第一項、第百十九条第五項 又は第百二十一条第二項(同条第七項 又は第百二十二条第二項において準用する場合を含む。)の異議はなかったものとみなし、異議者等が破産管財人であるときは破産管財人においてその破産債権を認めたものとみなす。
裁判所書記官は、破産管財人 又は破産債権者の申立てにより、破産債権の確定に関する訴訟の結果(破産債権査定申立てについての決定に対する破産債権査定異議の訴えが、第百二十六条第一項に規定する期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときは、当該決定の内容)を破産債権者表に記載しなければならない。
破産債権査定申立てについての決定に対する破産債権査定異議の訴えが、第百二十六条第一項に規定する期間内に提起されなかったとき、又は却下されたときは、当該決定は、破産債権者の全員に対して、確定判決と同一の効力を有する。
破産財団が破産債権の確定に関する訴訟(破産債権査定申立てについての決定を含む。)によって利益を受けたときは、異議を主張した破産債権者は、その利益の限度において財団債権者として訴訟費用の償還を請求することができる。
破産手続が終了した際 現に係属する破産債権査定申立ての手続は、破産手続開始の決定の取消し又は破産手続廃止の決定の確定により破産手続が終了したときは終了するものとし、破産手続終結の決定により破産手続が終了したときは引き続き係属するものとする。
破産手続終結の決定により破産手続が終了した場合において、破産手続終了後に破産債権査定申立てについての決定があったときは、第百二十六条第一項の規定により破産債権査定異議の訴えを提起することができる。
破産手続が終了した際 現に係属する破産債権査定異議の訴えに係る訴訟手続 又は第百二十七条第一項 若しくは第百二十九条第二項の規定による受継があった訴訟手続であって、破産管財人が当事者であるものは、破産手続終結の決定により破産手続が終了したときは、第四十四条第四項の規定にかかわらず、中断しないものとする。
破産手続が終了した際 現に係属する破産債権査定異議の訴えに係る訴訟手続であって、破産管財人が当事者でないものは、破産手続開始の決定の取消し 又は破産手続廃止の決定の確定により破産手続が終了したときは終了するものとし、破産手続終結の決定により破産手続が終了したときは引き続き係属するものとする。
破産手続が終了した際 現に係属する第百二十七条第一項 又は第百二十九条第二項の規定による受継があった訴訟手続であって、破産管財人が当事者でないものは、破産手続開始の決定の取消し 又は破産手続廃止の決定の確定により破産手続が終了したときは中断するものとし、破産手続終結の決定により破産手続が終了したときは引き続き係属するものとする。
前項の規定により訴訟手続が中断する場合においては、第四十四条第五項の規定を準用する。
⤏ 第五款 租税等の請求権等についての特例
租税等の請求権 及び罰金等の請求権については、第一款(第百十五条を除く。)から前款までの規定は、適用しない。
第百十四条の規定による届出があった請求権(罰金、科料 及び刑事訴訟費用の請求権を除く。)の原因(共助対象外国租税の請求権にあっては、共助実施決定)が審査請求、訴訟(刑事訴訟を除く。次項において同じ。)その他の不服の申立てをすることができる処分である場合には、破産管財人は、当該届出があった請求権について、当該不服の申立てをする方法で、異議を主張することができる。
前項の場合において、当該届出があった請求権に関し破産手続開始当時訴訟が係属するときは、同項に規定する異議を主張しようとする破産管財人は、当該届出があった請求権を有する破産債権者を相手方とする訴訟手続を受け継がなければならない。
当該届出があった請求権に関し破産手続開始当時破産財団に関する事件が行政庁に係属するときも、同様とする。
第二項の規定による異議の主張 又は前項の規定による受継は、破産管財人が第二項に規定する届出があったことを知った日から一月の不変期間内にしなければならない。
第百二十四条第二項の規定は第百十四条の規定による届出があった請求権について、第百二十八条、第百三十条、第百三十一条第一項 及び前条第三項の規定は第二項の規定による異議 又は第三項の規定による受継があった場合について準用する。