自衛隊法

# 昭和二十九年法律第百六十五号 #

第五節 退職管理

分類 法律
カテゴリ   防衛
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第三十四号による改正
最終編集日 : 2024年 04月22日 07時49分


第一款 離職後の就職に関する規制

1項

隊員は、営利企業等(営利企業 及び営利企業以外の法人(国、国際機関、地方公共団体、行政執行法人 及び地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人を除く)をいう。以下同じ。)に対し、他の隊員をその離職後に、若しくは隊員であつた者を、当該営利企業等 若しくはその子法人(当該営利企業等に財務 及び営業 又は事業の方針を決定する機関(株主総会 その他これに準ずる機関をいう。)を支配されている法人として政令で定めるものをいう。以下同じ。)の地位に就かせることを目的として、当該隊員 若しくは隊員であつた者に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該隊員をその離職後に、若しくは隊員であつた者を、当該営利企業等 若しくはその子法人の地位に就かせることを要求し、若しくは依頼してはならない

2項

前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない

一 号

陸上幕僚監部、海上幕僚監部 若しくは航空幕僚監部 又は陸上自衛隊、海上自衛隊 若しくは航空自衛隊の部隊 若しくは機関に置かれる組織であつて第六十五条の十第一項に規定する就職の援助に関する事務を処理するものに属する隊員のうちから防衛大臣が指定する者が若年定年等隊員(次のイからハまでいずれかに該当する隊員をいう。以下同じ。)に係る当該就職の援助を目的として行う場合

定年が年齢六十五年に満たないとされている自衛官(防衛省職員給与法別表第二の陸将、海将 及び空将の欄 並びに陸将補、海将補 及び空将補の(一)欄又は(二)欄の適用を受ける自衛官を除く

第三十六条の規定により任用期間を定めて任用された自衛官

第四十五条の二第一項の規定により採用された自衛官で、同項の任期又は同条第二項の規定により更新された任期の末日の年齢が六十五年に達していないもの(定年に達した日の翌日に防衛省職員給与法別表第二の陸将、海将 及び空将の欄 並びに陸将補、海将補及び空将補の(一)欄又は(二)欄の適用を受ける自衛官を除く

二 号

退職手当通算予定隊員を退職手当通算法人の地位に就かせることを目的として行う場合

3項

前項第二号の「退職手当通算法人」とは、独立行政法人(独立行政法人通則法第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。以下同じ。)その他特別の法律により設立された法人でその業務が国の事務 又は事業と密接な関連を有するもののうち政令で定めるもの(退職手当(これに相当する給付を含む。)に関する規程において、隊員が任命権者の要請に応じ、引き続いて当該法人の役員 又は当該法人に使用される者となつた場合に、隊員としての勤続期間を当該法人の役員 又は当該法人に使用される者としての勤続期間に通算することと定めている法人に限る)をいう。

4項

第二項第二号の「退職手当通算予定隊員」とは、任命権者の要請に応じ、引き続いて退職手当通算法人(前項に規定する退職手当通算法人をいう。以下同じ。)の役員 又は退職手当通算法人に使用される者となるため退職することとなる隊員であつて、当該退職手当通算法人に在職した後、特別の事情がない限り引き続いて選考による採用が予定されている者のうち政令で定めるものをいう。

1項

隊員は、利害関係企業等(営利企業等のうち隊員の職務に利害関係を有するものとして政令で定めるものをいう。以下同じ。)に対し、離職後に当該利害関係企業等 若しくはその子法人の地位に就くことを目的として、自己に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該地位に就くことを要求し、若しくは約束してはならない。

2項

前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない

一 号

退職手当通算予定隊員(前条第四項に規定する退職手当通算予定隊員をいう。以下同じ。)が退職手当通算法人に対して行う場合

二 号

在職する局等組織(防衛省本省に置かれる官房 又は局、施設等機関 その他これらに準ずる部局 又は機関として政令で定めるものをいう。以下同じ。)の意思決定の権限を実質的に有しない官職 又は階級として政令で定めるものにある隊員が行う場合

三 号

若年定年等隊員が第六十五条の十第一項に規定する就職の援助を受けて、利害関係企業等との間で、当該利害関係企業等 又はその子法人の地位に就くことに関して行う場合

四 号

一般定年等隊員(若年定年等隊員以外の隊員をいう。以下同じ。)が官民人材交流センターから紹介された利害関係企業等との間で、当該利害関係企業等 又はその子法人の地位に就くことに関して行う場合

五 号

隊員が利害関係企業等に対し、当該利害関係企業等 若しくはその子法人の地位に就くことを目的として、自己に関する情報を提供し、若しくは当該地位に関する情報の提供を依頼し、又は当該地位に就くことを要求し、若しくは約束することにより公務の公正性の確保に支障が生じないと認められる場合として政令で定める場合において、政令で定める手続により若年定年等隊員にあつては防衛大臣の、一般定年等隊員にあつては内閣総理大臣の承認を得て、当該承認に係る利害関係企業等に対して行う場合

3項

防衛大臣は、前項第五号に規定する承認を行い、又は行わないこととする場合には、防衛省令で定めるところにより、政令で定める審議会等(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。

4項

防衛大臣が行う第二項第五号に規定する承認についての審査請求は、防衛大臣に対して行うことができる。

5項

防衛大臣は、前項に規定する審査請求を受けてこれに対する裁決を行う場合には、審議会に付議し、その議決に基づいて行わなければならない。

6項

国家公務員法第百六条の三第三項から第五項までの規定は、内閣総理大臣が行う第二項第五号に規定する承認について準用する。

1項

隊員であつた者であつて離職後に営利企業等の地位に就いている者(退職手当通算予定隊員であつた者であつて引き続いて退職手当通算法人の地位に就いている者(以下「退職手当通算離職者」という。)を除く。以下「再就職者」という。)は、離職前五年間に在職していた局等組織に属する隊員 又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、防衛省と当該営利企業等 若しくはその子法人との間で締結される売買、貸借、請負 その他の契約 又は当該営利企業等 若しくはその子法人に対して行われる行政手続法平成五年法律第八十八号第二条第二号に規定する処分に関する事務(以下「契約等事務」という。)であつて離職前五年間の職務に属するものに関し、離職後二年間、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならない。

2項

前項の規定によるもののほか、再就職者のうち、防衛省本省 若しくは防衛装備庁の内部部局に置かれる部の部長 若しくは課の課長の職 又はこれらに準ずる職であつて政令で定めるものに、離職した日の五年前の日より前に就いていた者は、当該職に就いていた時に在職していた局等組織に属する隊員 又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、契約等事務であつて離職した日の五年前の日より前の職務(当該職に就いていたときの職務に限る)に属するものに関し、離職後二年間、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならない。

3項

前二項の規定によるもののほか、再就職者のうち、防衛省の事務次官、防衛省本省の内部部局に置かれる局の局長 若しくは防衛装備庁長官の職 又はこれらに準ずる職であつて政令で定めるものに就いていた者は、隊員 又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、契約等事務であつて防衛省の所掌に属するものに関し、離職後二年間、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならない。

4項

前三項の規定によるもののほか、再就職者は、隊員 又はこれに類する者として政令で定めるものに対し、防衛省と営利企業等(当該再就職者が現にその地位に就いているものに限る)若しくはその子法人との間の契約であつて防衛省においてその締結について自らが決定したもの 又は防衛省による当該営利企業等 若しくはその子法人に対する行政手続法第二条第二号に規定する処分であつて自らが決定したものに関し、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼してはならない。

5項

前各項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない

一 号

防衛省から委託を受けた者が行う当該委託に係るものを遂行するために必要な場合、又は国の事務 若しくは事業と密接な関連を有する業務として政令で定めるものを行うために必要な場合

二 号

防衛省 若しくは防衛装備庁に対する権利 若しくは義務を定めている法令の規定 若しくは防衛省との間で締結された契約に基づき、権利を行使し、若しくは義務を履行する場合、防衛省の処分により課された義務を履行する場合 又はこれらに類する場合として政令で定める場合

三 号

行政手続法第二条第三号に規定する申請 又は同条第七号に規定する届出を行う場合

四 号

会計法昭和二十二年法律第三十五号第二十九条の三第一項に規定する競争の手続に従い、売買、貸借、請負 その他の契約を締結するために必要な場合

五 号

法令の規定により又は慣行として公にされ、又は公にすることが予定されている情報の提供を求める場合(一定の日以降に公にすることが予定されている情報を同日前に開示するよう求める場合を除く

六 号

再就職者が隊員(これに類する者を含む。以下 この号において同じ。)に対し、契約等事務に関し、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼することにより公務の公正性の確保に支障が生じないと認められる場合として政令で定める場合において、政令で定める手続により離職の際に若年定年等隊員であつた再就職者にあつては防衛大臣の、離職の際に一般定年等隊員であつた再就職者にあつては内閣総理大臣の承認を得て、再就職者が当該承認に係る隊員に対し、当該承認に係る契約等事務に関し、職務上の行為をするように、又はしないように要求し、又は依頼する場合

6項

防衛大臣は、前項第六号に規定する承認を行い、又は行わないこととする場合には、防衛省令で定めるところにより、審議会の意見を聴かなければならない。

7項

防衛大臣が行う第五項第六号に規定する承認についての審査請求は、防衛大臣に対して行うことができる。

8項

防衛大臣は、前項に規定する審査請求を受けてこれに対する裁決を行う場合には、審議会に付議し、その議決に基づいて行わなければならない。

9項

国家公務員法第百六条の四第六項から第八項までの規定は、内閣総理大臣が行う第五項第六号に規定する承認について準用する。

10項

隊員は、第五項各号に掲げる場合を除き、再就職者から第一項から第四項までの規定により禁止される要求 又は依頼を受けたときは、政令で定めるところにより、当該再就職者が離職の際に若年定年等隊員であつた場合にあつては防衛大臣に、当該再就職者が離職の際に一般定年等隊員であつた場合にあつては再就職等監察官に、その旨を届け出なければならない。

第二款 違反行為に関する調査等

1項

防衛大臣は、若年定年等隊員 又は離職の際に若年定年等隊員であつた者に違反行為前款の規定に違反する行為をいう。以下 この款において同じ。)を行つた疑いがあると思料するときは、当該違反行為に関し調査を行うことができる。

2項

防衛大臣は、前項の調査に関し必要があるときは、証人を喚問し、又は調査すべき事項に関係があると認められる書類 若しくはその写しの提出を求めることができる。

3項

防衛大臣は、第一項の調査に関し必要があると認めるときは、隊員に、当該調査の対象である若年定年等隊員 若しくは離職の際に若年定年等隊員であつた者に出頭を求めて質問させ、又は当該若年定年等隊員の勤務する場所 若しくは当該若年定年等隊員 若しくは離職の際に若年定年等隊員であつた者が隊員として勤務していた場所に立ち入らせ、帳簿書類 その他必要な物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

4項

前項の規定により立入検査をする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があつたときは、これを提示しなければならない。

5項

第三項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解してはならない。

1項

防衛大臣は、前条の規定による権限を審議会に委任する。

1項

防衛大臣は、若年定年等隊員 又は離職の際に若年定年等隊員であつた者の違反行為に関して懲戒 その他の処分を行おうとするときは、審議会の意見を聴かなければならない。

2項

審議会は、防衛大臣に対し、この節の若年定年等隊員 又は離職の際に若年定年等隊員であつた者に係る規定の適切な運用を確保するために必要と認められる措置に関し、意見を述べることができる。

1項

国家公務員法第十八条の三第一項第十八条の四同項に係る部分に限る)、第百六条の十六から第百六条の二十まで第百六条の二十一第一項 及び第二項 並びに第百六条の二十二の規定は、一般定年等隊員 又は離職の際に一般定年等隊員であつた者に係る違反行為に関する調査について準用する。


この場合において、

同法第百六条の十六第百六条の十七第百六条の十八第一項第百六条の十九第百六条の二十第二項 及び第三項 並びに第百六条の二十一第二項の規定中
任命権者」とあるのは
「防衛大臣」と、

同法第百六条の十八第一項 及び第百六条の二十第一項
第百六条の四第九項」とあるのは
自衛隊法第六十五条の四第十項」と、

同法第百六条の二十一第一項
任命権者において」とあるのは
「防衛大臣(防衛装備庁の職員(自衛隊法第三十条の二第一項第六号に規定する幹部隊員 及び自衛官を除く)にあつては、防衛装備庁長官)において」と、

任命権者に対し」とあるのは
「防衛大臣に対し」と

読み替えるものとする。

2項

第六十五条の五第二項から第五項までの規定は、前項において準用する国家公務員法第十八条の三第一項の規定による調査について準用する。


この場合において、

第六十五条の五第二項 及び第三項
防衛大臣」とあるのは
「内閣総理大臣」と、

同項
隊員に、当該調査」とあるのは
「当該調査」と、

若年定年等隊員」とあるのは
「一般定年等隊員」と、

質問させ、」とあるのは
「質問し、」と、

立ち入らせ」とあるのは
「立ち入り」と、

検査させ」とあるのは
「検査し」と、

質問させる」とあるのは
「質問する」と

読み替えるものとする。

1項

再就職等監視委員会は、一般定年等隊員 又は離職の際に一般定年等隊員であつた者に係るこの節第六十五条の三第三項から第五項まで第六十五条の四第六項から第八項まで第六十五条の五から第六十五条の七まで前条第二項 及び次款の規定を除く)の規定の適切な運用を確保するために必要と認められる措置について、内閣総理大臣に勧告することができる。

第三款 雑則

1項

防衛大臣は、若年定年等隊員の離職に際しての離職後の就職の援助を行う。

2項

国家公務員法第十八条の五第一項 及び第十八条の六同項に係る部分に限る)の規定は、一般定年等隊員の離職に際しての離職後の就職の援助について準用する。

1項

隊員(退職手当通算予定隊員を除く)は、離職後に営利企業等の地位に就くことを約束した場合には、速やかに、防衛省令で定めるところにより、任命権者が防衛大臣であるときは防衛大臣に、任命権者が防衛大臣以外の者であるときは当該任命権者を通じて防衛大臣に、政令で定める事項を届け出なければならない。

2項

任命権者は、前項の規定による届出があつたときは、第六十五条の三第一項の規定の趣旨を踏まえ、当該届出をした隊員の任用 及び補職を行うものとする。

3項

管理 又は監督の地位にある隊員の官職として政令で定めるものに就いている隊員(以下「管理職隊員」という。)であつた者(退職手当通算離職者を除く次項において同じ。)は、離職後二年間、次に掲げる法人の役員 その他の地位であつて政令で定めるものに就こうとする場合(第一項の規定による届出をした場合を除く)には、あらかじめ、防衛省令で定めるところにより、防衛大臣に政令で定める事項を届け出なければならない。

一 号

行政執行法人以外の独立行政法人

二 号

特殊法人(法律により直接に設立された法人 及び特別の法律により特別の設立行為をもつて設立された法人(独立行政法人に該当するものを除く)のうち政令で定めるものをいう。

三 号

認可法人(特別の法律により設立され、かつ、その設立に関し行政庁の認可を要する法人のうち政令で定めるものをいう。

四 号

公益社団法人 又は公益財団法人(国と特に密接な関係があるものとして政令で定めるものに限る

4項

管理職隊員であつた者は、離職後二年間、営利企業以外の事業の団体の地位に就き、若しくは事業に従事し、若しくは事務を行うこととなつた場合(報酬を得る場合に限る)又は営利企業(前項第二号 及び第三号に掲げる法人を除く)の地位に就いた場合は、第一項 又は前項の規定による届出を行つた場合、日々雇い入れられる者となつた場合 その他政令で定める場合を除き、防衛省令で定めるところにより、速やかに、防衛大臣に政令で定める事項を届け出なければならない。

5項

防衛大臣は、第一項 及び前二項の規定による届出(第一項の規定による届出にあつては、管理職隊員がしたものに限る)を受けた事項について、遅滞なく、政令で定めるところにより、内閣に報告しなければならない。

6項

内閣は、毎年度、前項の報告を取りまとめ、政令で定める事項を公表するものとする。

1項

在職中に第六十五条の三第二項第五号の承認を得た管理職隊員が離職後に当該承認に係る営利企業等の地位に就いた場合には、防衛大臣は、防衛省令で定めるところにより、その者の離職後二年間その者が当該営利企業等の地位に就いている間に限る)、次に掲げる事項を公表しなければならない。

一 号
その者の氏名
二 号

防衛省が当該営利企業等に対して交付した補助金等(補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律昭和三十年法律第百七十九号第二条第一項に規定する補助金等をいう。)の総額

三 号

防衛省と当該営利企業等との間の売買、貸借、請負 その他の契約に係る金額の総額

四 号

その他政令で定める事項

1項

防衛大臣は、毎年度、防衛省令で定めるところにより、第六十五条の十第一項に規定する就職の援助の実施結果について公表するものとする。