裁判員の参加する刑事裁判に関する法律

# 平成十六年法律第六十三号 #
略称 : 裁判員法 

第三章 裁判員の参加する裁判の手続

分類 法律
カテゴリ   司法
@ 施行日 : 令和六年二月十五日 ( 2024年 2月15日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第二十八号による改正
最終編集日 : 2024年 04月01日 20時59分


第一節 公判準備及び公判手続

1項

裁判所は、対象事件については、第一回の公判期日前に、これを公判前整理手続に付さなければならない。

1項

裁判所は、第二条第一項合議体で取り扱うべき事件につき、公判前整理手続において鑑定を行うことを決定した場合において、当該鑑定の結果の報告がなされるまでに相当の期間を要すると認めるときは、検察官被告人 若しくは弁護人の請求により 又は職権で、公判前整理手続において鑑定の手続鑑定の経過 及び結果の報告を除く)を行う旨の決定(以下この条において「鑑定手続実施決定」という。)をすることができる。

2項

鑑定手続実施決定をし、又は前項の請求を却下する決定をするには、最高裁判所規則で定めるところにより、あらかじめ検察官 及び被告人 又は弁護人の意見を聴かなければならない。

3項

鑑定手続実施決定があった場合には、公判前整理手続において、鑑定の手続のうち、鑑定の経過 及び結果の報告以外のものを行うことができる。

1項

裁判官検察官 及び弁護人は、裁判員の負担が過重なものとならないようにしつつ、裁判員がその職責を十分に果たすことができるよう、審理を迅速で分かりやすいものとすることに努めなければならない。

1項

裁判員 及び補充裁判員は、裁判員の関与する判断をするための審理をすべき公判期日 並びに公判準備において裁判所がする証人その他の者の尋問 及び検証の日時 及び場所に出頭しなければならない。

1項

前条の規定により裁判員 及び補充裁判員が出頭しなければならない公判期日 並びに公判準備において裁判所がする証人その他の者の尋問 及び検証の日時 及び場所は、あらかじめ裁判員 及び補充裁判員通知しなければならない。

1項

裁判員の関与する判断をするための審理をすべき公判期日においては、公判廷は、裁判官裁判員 及び裁判所書記官が列席し、かつ、検察官が出席して開く。

2項

前項の場合を除き公判廷は、裁判官 及び裁判所書記官が列席し、かつ、検察官が出席して開く。

1項

検察官刑事訴訟法第二百九十六条の規定により証拠により証明すべき事実を明らかにするに当たっては、公判前整理手続における争点 及び証拠の整理の結果に基づき、証拠との関係を具体的に明示しなければならない。


被告人 又は弁護人同法第三百十六条の三十の規定により証拠により証明すべき事実を明らかにする場合も、同様とする。

1項

裁判所証人その他の者を尋問する場合には、裁判員は、裁判長に告げて、裁判員の関与する判断に必要な事項について尋問することができる。

1項

裁判員の関与する判断に必要な事項について裁判所外証人その他の者を尋問すべき場合において、構成裁判官にこれをさせるときは、裁判員 及び補充裁判員はこれに立ち会うことができる。


この尋問に立ち会った裁判員は、構成裁判官に告げて、証人その他の者を尋問することができる。

2項

裁判員の関与する判断に必要な事項について公判廷外において検証をすべき場合において、構成裁判官にこれをさせるときも、前項前段と同様とする。

1項

刑事訴訟法第二百九十二条の二第一項の規定により被害者等被害者 又は被害者が死亡した場合 若しくはその心身に重大な故障がある場合におけるその配偶者、直系の親族 若しくは兄弟姉妹をいう。)又は当該被害者法定代理人が意見を陳述したときは、裁判員は、その陳述の後に、その趣旨を明確にするため、これらの者に質問することができる。

1項

刑事訴訟法第三百十一条の規定により被告人が任意に供述をする場合には、裁判員は、裁判長に告げて、いつでも、裁判員の関与する判断に必要な事項について被告人の供述を求めることができる。

1項

裁判所は、裁判員の関与する判断をするための審理以外の審理についても、裁判員 及び補充裁判員立会いを許すことができる。

1項

公判手続が開始された後新たに第二条第一項合議体に加わった裁判員があるときは、公判手続を更新しなければならない。

2項

前項の更新の手続は、新たに加わった裁判員が、争点 及び取り調べた証拠を理解することができ、かつ、その負担が過重にならないようなものとしなければならない。

1項

裁判員の関与する判断に関しては、証拠の証明力は、それぞれの裁判官 及び裁判員の自由な判断にゆだねる。

1項

刑事訴訟法第三百三十三条の規定による刑の言渡しの判決、同法第三百三十四条の規定による刑の免除の判決 及び同法第三百三十六条の規定による無罪の判決 並びに少年法第五十五条の規定による家庭裁判所への移送の決定の宣告をする場合には、裁判員は公判期日に出頭しなければならない。


ただし裁判員が出頭しないことは、当該判決 又は決定の宣告を妨げるものではない。

2項

前項に規定する場合には、あらかじめ裁判員に公判期日を通知しなければならない。

第二節 刑事訴訟法等の適用に関する特例等

1項

第二条第一項合議体で事件が取り扱われる場合における刑事訴訟法の規定の適用については、次の表の上欄に掲げる同法の規定中同表の中欄に掲げる字句は、それぞれ同表の下欄に掲げる字句とする。

第四十三条第四項、第六十九条、第七十六条第三項、第八十五条、第百八条第三項、第百二十五条第一項、第百六十三条第一項、第百六十九条、第二百七十一条の八第一項 及び第四項、第二百七十八条の三第二項、第二百九十七条第二項、第三百十六条の十一
合議体の構成員
合議体の構成員である裁判官
第八十一条
逃亡し 又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由
逃亡し 若しくは罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由 又は裁判員、補充裁判員 若しくは選任予定裁判員に、面会、文書の送付 その他の方法により接触すると疑うに足りる相当な理由
第八十九条第五号
被害者 その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者 若しくはその親族の身体 若しくは財産に害を加え 又はこれらの者を怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
被害者 その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者 若しくはその親族の身体 若しくは財産に害を加え 若しくはこれらの者を怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき、又は裁判員、補充裁判員 若しくは選任予定裁判員に、面会、文書の送付 その他の方法により接触すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
第九十六条第一項第四号
被害者 その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者 若しくはその親族の身体 若しくは財産に害を加え 若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
被害者 その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者 若しくはその親族の身体 若しくは財産に害を加え 若しくは加えようとし、若しくはこれらの者を畏怖させる行為をしたとき、又は裁判員、補充裁判員 若しくは選任予定裁判員に、面会、文書の送付 その他の方法により接触したとき。
第百五十七条の四、第百五十七条の六第一項、第三百十六条の三十九第一項から 第三項まで、第四百三十五条第七号ただし書
裁判官
裁判官、裁判員
第二百五十六条第六項
裁判官
裁判官 又は裁判員
第三百四条第一項
裁判長 又は陪席の裁判官
裁判長、陪席の裁判官 又は裁判員
第三百十六条の十五第一項第二号
裁判所 又は裁判官
裁判所、裁判官 又は裁判官 及び裁判員
第三百二十一条第二項
裁判所 若しくは裁判官
裁判所、裁判官 若しくは裁判官 及び裁判員
第三百七十七条第一号
法律に従つて判決裁判所を構成しなかつたこと。
法律に従つて判決裁判所を構成しなかつたこと。
ただし、裁判員の構成にのみ違法がある場合であつて、判決が裁判員の参加する刑事裁判に関する法律(平成十六年法律第六十三号)第六条第一項に規定する裁判員の関与する判断を含まないものであるとき、又はその違法が裁判員が同法第十五条第一項各号 若しくは第二項各号に掲げる者に該当することであるときは、この限りでない。
第四百三十五条第七号本文
原判決に関与した裁判官
原判決に関与した裁判官 若しくは裁判員
2項

第二条第一項合議体で事件が取り扱われる場合における組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律平成十一年法律第百三十六号第二十二条第四項の規定の適用については、

同項
合議体の構成員」とあるのは、
「合議体の構成員である裁判官」と

する。

1項

裁判所は、対象事件(第五条本文の規定により第二条第一項の合議体で取り扱うものとされた事件を含む。)及び第四条第一項の決定に係る事件の審理における裁判官、裁判員 又は訴訟関係人の尋問 及び証人、鑑定人、通訳人 又は翻訳人の供述、刑事訴訟法第二百九十二条の二第一項の規定による意見の陳述 並びに裁判官、裁判員 又は訴訟関係人による被告人の供述を求める行為 及び被告人の供述 並びにこれらの状況(以下「訴訟関係人の尋問 及び供述等」という。)について、審理 又は評議における裁判員の職務の的確な遂行を確保するため必要があると認めるときは、検察官 及び被告人 又は弁護人の意見を聴き、これを記録媒体(映像 及び音声を同時に記録することができる物をいう。以下同じ。)に記録することができる


ただし、事案の内容、審理の状況、供述 又は陳述をする者に与える心理的な負担 その他の事情を考慮し、記録媒体に記録することが相当でないと認めるときは、この限りでない。

2項

前項の規定による訴訟関係人の尋問 及び供述等の記録は、刑事訴訟法第百五十七条の六第一項 及び第二項に規定する方法により証人を尋問する場合(同項第四号の規定による場合を除く)においては、その証人の同意がなければ、これをすることができない。

3項

前項の場合において、その訴訟関係人の尋問 及び供述等を記録した記録媒体は、訴訟記録に添付して調書の一部とするものとする。


ただし、その証人が後の刑事手続において同一の事実につき再び証人として供述を求められることがないと明らかに認められるときは、この限りでない。

4項

刑事訴訟法第四十条第二項第百八十条第二項 及び第二百七十条第二項の規定は前項の規定により訴訟記録に添付して調書の一部とした記録媒体の謄写について、同法第三百五条第五項 及び第六項の規定は当該記録媒体がその一部とされた調書の取調べについて、それぞれ準用する。