借地借家法

# 平成三年法律第九十号 #

第三章 借家

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和五年六月十四日 ( 2023年 6月14日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第五十三号による改正
最終編集日 : 2024年 04月16日 21時32分


第一節 建物賃貸借契約の更新等

1項

建物の賃貸借について期間の定めがある場合において、当事者が期間の満了の一年前から六月前までの間に相手方に対して更新をしない旨の通知 又は条件を変更しなければ更新をしない旨の通知をしなかったときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなす。


ただし、その期間は、定めがないものとする。

2項

前項の通知をした場合であっても、建物の賃貸借の期間が満了した後建物の賃借人が使用を継続する場合において、建物の賃貸人が遅滞なく異議を述べなかったときも、同項と同様とする。

3項

建物の転貸借がされている場合においては、建物の転借人がする建物の使用の継続を建物の賃借人がする建物の使用の継続とみなして、建物の賃借人と賃貸人との間について前項の規定を適用する。

1項

建物の賃貸人が賃貸借の解約の申入れをした場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から六月を経過することによって終了する。

2項

前条第二項 及び第三項の規定は、建物の賃貸借が解約の申入れによって終了した場合に準用する。

1項

建物の賃貸人による第二十六条第一項の通知 又は建物の賃貸借の解約の申入れは、建物の賃貸人 及び賃借人(転借人を含む。以下この条において同じ。)が建物の使用を必要とする事情のほか、建物の賃貸借に関する従前の経過、建物の利用状況 及び建物の現況 並びに建物の賃貸人が建物の明渡しの条件として 又は建物の明渡しと引換えに建物の賃借人に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

1項

期間を一年未満とする建物の賃貸借は、期間の定めがない建物の賃貸借とみなす。

2項

民法明治二十九年法律第八十九号第六百四条の規定は、建物の賃貸借については、適用しない

1項

この節の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。

第二節 建物賃貸借の効力

1項

建物の賃貸借は、その登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物について物権を取得した者に対し、その効力を生ずる。

1項

建物の借賃が、土地 若しくは建物に対する租税 その他の負担の増減により、土地 若しくは建物の価格の上昇 若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍同種の建物の借賃に比較して不相当となったときは、契約の条件にかかわらず、当事者は、将来に向かって建物の借賃の額の増減を請求することができる。


ただし、一定の期間建物の借賃を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。

2項

建物の借賃の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃を支払うことをもって足りる。


ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。

3項

建物の借賃の減額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、減額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の建物の借賃の支払を請求することができる。


ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない。

1項

建物の賃貸人の同意を得て建物に付加した畳、建具 その他の造作がある場合には、建物の賃借人は、建物の賃貸借が期間の満了 又は解約の申入れによって終了するときに、建物の賃貸人に対し、その造作を時価で買い取るべきことを請求することができる。


建物の賃貸人から買い受けた造作についても、同様とする。

2項

前項の規定は、建物の賃貸借が期間の満了 又は解約の申入れによって終了する場合における建物の転借人と賃貸人との間について準用する。

1項

建物の転貸借がされている場合において、建物の賃貸借が期間の満了 又は解約の申入れによって終了するときは、建物の賃貸人は、建物の転借人にその旨の通知をしなければ、その終了を建物の転借人に対抗することができない

2項

建物の賃貸人が前項の通知をしたときは、建物の転貸借は、その通知がされた日から六月を経過することによって終了する。

1項

借地権の目的である土地の上の建物につき賃貸借がされている場合において、借地権の存続期間の満了によって建物の賃借人が土地を明け渡すべきときは、建物の賃借人が借地権の存続期間が満了することをその一年前までに知らなかった場合に限り、裁判所は、建物の賃借人の請求により、建物の賃借人がこれを知った日から一年を超えない範囲内において、土地の明渡しにつき相当の期限を許与することができる。

2項

前項の規定により裁判所が期限の許与をしたときは、建物の賃貸借は、その期限が到来することによって終了する。

1項

居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻 又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦 又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。


ただし、相続人なしに死亡したことを知った後一月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。

2項

前項本文の場合においては、建物の賃貸借関係に基づき生じた債権 又は債務は、同項の規定により建物の賃借人の権利義務を承継した者に帰属する。

1項

第三十一条第三十四条 及び第三十五条の規定に反する特約で建物の賃借人 又は転借人に不利なものは、無効とする。

第三節 定期建物賃貸借等

1項

期間の定めがある建物の賃貸借をする場合においては、公正証書による等書面によって契約をするときに限り、第三十条の規定にかかわらず、契約の更新がないこととする旨を定めることができる。


この場合には、第二十九条第一項の規定を適用しない

2項

前項の規定による建物の賃貸借の契約がその内容を記録した電磁的記録によってされたときは、その契約は、書面によってされたものとみなして、同項の規定を適用する。

3項

第一項の規定による建物の賃貸借をしようとするときは、建物の賃貸人は、あらかじめ、建物の賃借人に対し、同項の規定による建物の賃貸借は契約の更新がなく、期間の満了により当該建物の賃貸借は終了することについて、その旨を記載した書面を交付して説明しなければならない。

4項

建物の賃貸人は、前項の規定による書面の交付に代えて、政令で定めるところにより、建物の賃借人の承諾を得て、当該書面に記載すべき事項を電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。)により提供することができる。この場合において、当該建物の賃貸人は、当該書面を交付したものとみなす。

5項

建物の賃貸人が第三項の規定による説明をしなかったときは、契約の更新がないこととする旨の定めは、無効とする。

6項

第一項の規定による建物の賃貸借において、期間が一年以上である場合には、建物の賃貸人は、期間の満了の一年前から六月前までの間(以下この項において「通知期間」という。)に建物の賃借人に対し期間の満了により建物の賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない


ただし、建物の賃貸人が通知期間の経過後建物の賃借人に対し その旨の通知をした場合においては、その通知の日から六月を経過した後は、この限りでない。

7項

第一項の規定による居住の用に供する建物の賃貸借(床面積(建物の一部分を賃貸借の目的とする場合にあっては、当該一部分の床面積)が二百平方メートル未満の建物に係るものに限る)において、転勤、療養、親族の介護 その他のやむを得ない事情により、建物の賃借人が建物を自己の生活の本拠として使用することが困難となったときは、建物の賃借人は、建物の賃貸借の解約の申入れをすることができる。


この場合においては、建物の賃貸借は、解約の申入れの日から一月を経過することによって終了する。

8項

前二項の規定に反する特約で建物の賃借人に不利なものは、無効とする。

9項

第三十二条の規定は、第一項の規定による建物の賃貸借において、借賃の改定に係る特約がある場合には、適用しない

1項

法令 又は契約により一定の期間を経過した後に建物を取り壊すべきことが明らかな場合において、建物の賃貸借をするときは、第三十条の規定にかかわらず、建物を取り壊すこととなる時に賃貸借が終了する旨を定めることができる。

2項

前項の特約は、同項の建物を取り壊すべき事由を記載した書面によってしなければならない。

3項

第一項の特約がその内容 及び前項に規定する事由を記録した電磁的記録によってされたときは、その特約は、同項の書面によってされたものとみなして、同項の規定を適用する。

1項

この章の規定は、一時使用のために建物の賃貸借をしたことが明らかな場合には、適用しない