知的財産基本法

# 平成十四年法律第百二十二号 #
略称 : 知財法 

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   産業通則
@ 施行日 : 令和三年九月一日 ( 2021年 9月1日 )
@ 最終更新 : 令和三年法律第三十六号による改正
最終編集日 : 2024年 05月15日 11時19分


1項

この法律は、内外の社会経済情勢の変化に伴い、我が国 産業の国際競争力の強化を図ることの必要性が増大している状況にかんがみ、新たな知的財産の創造 及びその効果的な活用による付加価値の創出を基軸とする活力ある経済社会を実現するため、知的財産の創造、保護 及び活用に関し、基本理念 及びその実現を図るために基本となる事項を定め、国、地方公共団体、大学等 及び事業者の責務を明らかにし、並びに知的財産の創造、保護 及び活用に関する推進計画の作成について定めるとともに、知的財産戦略本部を設置することにより、知的財産の創造、保護 及び活用に関する施策を集中的かつ計画的に推進することを目的とする。

1項

この法律で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物 その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見 又は解明がされた自然の法則 又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号 その他事業活動に用いられる商品 又は役務を表示するもの 及び営業秘密 その他の事業活動に有用な技術上 又は営業上の情報をいう。

2項

この法律で「知的財産権」とは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権 その他の知的財産に関して法令により定められた権利 又は法律上保護される利益に係る権利をいう。

3項

この法律で「大学等」とは、大学 及び高等専門学校(学校教育法昭和二十二年法律第二十六号第一条に規定する大学 及び高等専門学校をいう。第七条第三項において同じ。)、大学共同利用機関(国立大学法人法平成十五年法律第百十二号第二条第四項に規定する大学共同利用機関をいう。第七条第三項において同じ。)、独立行政法人(独立行政法人通則法平成十一年法律第百三号第二条第一項に規定する独立行政法人をいう。第三十条第一項において同じ。)及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法平成十五年法律第百十八号第二条第一項に規定する地方独立行政法人をいう。第三十条第一項において同じ。)であって試験研究に関する業務を行うもの、特殊法人(法律により直接に設立された法人 又は特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人であって、総務省設置法平成十一年法律第九十一号第四条第一項第八号の規定の適用を受けるものをいう。第三十条第一項において同じ。)であって研究開発を目的とするもの 並びに国 及び地方公共団体の試験研究機関をいう。

1項

知的財産の創造、保護 及び活用に関する施策の推進は、創造力の豊かな人材が育成され、その創造力が十分に発揮され、技術革新の進展にも対応した知的財産の国内 及び国外における迅速かつ適正な保護が図られ、 並びに経済社会において知的財産が積極的に活用されつつ、その価値が最大限に発揮されるために必要な環境の整備を行うことにより、広く国民が知的財産の恵沢を享受できる社会を実現するとともに、将来にわたり新たな知的財産の創造がなされる基盤を確立し、もって国民経済の健全な発展 及び豊かな文化の創造に寄与するものとなることを旨として、行われなければならない。

1項

知的財産の創造、保護 及び活用に関する施策の推進は、創造性のある研究 及び開発の成果の円滑な企業化を図り、知的財産を基軸とする新たな事業分野の開拓 並びに経営の革新 及び創業を促進することにより、我が国産業の技術力の強化 及び活力の再生、地域における経済の活性化、並びに就業機会の増大をもたらし、 もって我が国産業の国際競争力の強化 及び内外の経済的環境の変化に的確に対応した我が国産業の持続的な発展に寄与するものとなることを旨として、行われなければならない。

1項

国は、前二条に規定する知的財産の創造、保護 及び活用に関する基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、知的財産の創造、保護 及び活用に関する施策を策定し、及び実施する責務を有する。

1項

地方公共団体は、基本理念にのっとり、知的財産の創造、保護 及び活用に関し、国との適切な役割分担を踏まえて、 その地方公共団体の区域の特性を生かした自主的な施策を策定し、及び実施する責務を有する。

1項

大学等は、その活動が社会全体における知的財産の創造に資するものであることにかんがみ、人材の育成 並びに研究 及びその成果の普及に自主的かつ積極的に努めるものとする。

2項

大学等は、研究者 及び技術者の職務 及び職場環境がその重要性にふさわしい魅力あるものとなるよう、 研究者 及び技術者の適切な処遇の確保 並びに研究施設の整備 及び充実に努めるものとする。

3項

国 及び地方公共団体は、知的財産の創造、保護 及び活用に関する施策であって、大学 及び高等専門学校 並びに大学共同利用機関に係るものを策定し、並びにこれを実施するに当たっては、研究者の自主性の尊重 その他大学 及び高等専門学校 並びに大学共同利用機関における研究の特性に配慮しなければならない。

1項

事業者は、我が国産業の発展において知的財産が果たす役割の重要性にかんがみ、基本理念にのっとり、活力ある事業活動を通じた生産性の向上、事業基盤の強化等を図ることができるよう、 当該事業者 若しくは 他の事業者が創造した知的財産 又は大学等で創造された知的財産の積極的な活用を図るとともに、当該事業者が有する知的財産の適切な管理に努めるものとする。

2項

事業者は、発明者 その他の創造的活動を行う者の職務がその重要性にふさわしい魅力あるものとなるよう、 発明者 その他の創造的活動を行う者の適切な処遇の確保に努めるものとする。

1項

国は、国、地方公共団体、大学等 及び事業者が相互に連携を図りながら協力することにより、知的財産の創造、保護 及び活用の効果的な実施が図られることにかんがみ、 これらの者の間の連携の強化に必要な施策を講ずるものとする。

1項

知的財産の保護 及び活用に関する施策を推進するに当たっては、 その公正な利用 及び公共の利益の確保に留意するとともに、公正かつ自由な競争の促進が図られるよう配慮するものとする。

1項

政府は、知的財産の創造、保護 及び活用に関する施策を実施するため必要な法制上 又は財政上の措置 その他の措置を講じなければならない。