じん肺法

# 昭和三十五年法律第三十号 #

第二章 健康管理

分類 法律
カテゴリ   労働
@ 施行日 : 令和二年四月一日 ( 2020年 4月1日 )
@ 最終更新 : 平成二十九年法律第四十五号による改正
最終編集日 : 2023年 05月19日 14時12分


第一節 じん肺健康診断の実施

1項

事業者は、新たに常時粉じん作業に従事することとなつた労働者(当該作業に従事することとなつた日前一年以内にじん肺健康診断を受けて、じん肺管理区分が管理二 又は管理三イと決定された労働者 その他厚生労働省令で定める労働者を除く)に対して、その就業の際、じん肺健康診断を行わなければならない。


この場合において、当該じん肺健康診断は、厚生労働省令で定めるところにより、その一部を省略することができる。

1項

事業者は、次の各号に掲げる労働者に対して、それぞれ当該各号に掲げる期間以内ごとに一回、定期的に、じん肺健康診断を行わなければならない。

一 号

常時粉じん作業に従事する労働者(次号に掲げる者を除く

三年

二 号

常時粉じん作業に従事する労働者でじん肺管理区分管理二 又は管理三であるもの

一年

三 号

常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理二である労働者(厚生労働省令で定める労働者を除く

三年

四 号

常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理三である労働者(厚生労働省令で定める労働者を除く

一年

2項

前条後段の規定は、前項の規定によるじん肺健康診断を行う場合に準用する。

1項

事業者は、次の各号の場合には、当該労働者に対して、遅滞なく、じん肺健康診断を行わなければならない。

一 号

常時粉じん作業に従事する労働者(じん肺管理区分が管理二管理三 又は管理四と決定された労働者を除く)が、労働安全衛生法第六十六条第一項 又は第二項の健康診断において、じん肺の所見があり、又はじん肺にかかつている疑いがあると診断されたとき。

二 号

合併症により一年を超えて療養のため休業した労働者が、医師により療養のため休業を要しなくなつたと診断されたとき。

三 号

前二号に掲げる場合のほか、厚生労働省令で定めるとき。

2項

第七条後段の規定は、前項の規定によるじん肺健康診断を行う場合に準用する。

1項

事業者は、次の各号に掲げる労働者で、離職の日まで引き続き厚生労働省令で定める期間を超えて使用していたものが、当該離職の際にじん肺健康診断を行うように求めたときは、当該労働者に対して、じん肺健康診断を行わなければならない。


ただし、当該労働者が直前にじん肺健康診断を受けた日から当該離職の日までの期間が、次の各号に掲げる労働者ごとに、それぞれ当該各号に掲げる期間に満たないときは、この限りでない。

一 号

常時粉じん作業に従事する労働者(次号に掲げる者を除く

一年六月

二 号

常時粉じん作業に従事する労働者でじん肺管理区分が管理二 又は管理三であるもの

六月

三 号

常時粉じん作業に従事させたことのある労働者で、現に粉じん作業以外の作業に常時従事しているもののうち、じん肺管理区分が管理二 又は管理三である労働者(厚生労働省令で定める労働者を除く

六月

2項

第七条後段の規定は、前項の規定によるじん肺健康診断を行う場合に準用する。

1項

事業者は、じん肺健康診断を行つた場合においては、その限度において、労働安全衛生法第六十六条第一項 又は第二項の健康診断を行わなくてもよい。

1項

関係労働者は、正当な理由がある場合を除き第七条から第九条までの規定により事業者が行うじん肺健康診断を受けなければならない。


ただし、事業者が指定した医師の行うじん肺健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師の行うじん肺健康診断を受け、当該エックス線写真 及びじん肺健康診断の結果を証明する書面 その他厚生労働省令で定める書面を事業者に提出したときは、この限りでない。

第二節 じん肺管理区分の決定等

1項

事業者は、第七条から第九条の二までの規定によりじん肺健康診断を行つたとき、又は前条ただし書の規定によりエックス線写真 及びじん肺健康診断の結果を証明する書面 その他の書面が提出されたときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、じん肺の所見があると診断された労働者について、当該エックス線写真 及びじん肺健康診断の結果を証明する書面 その他厚生労働省令で定める書面を都道府県労働局長に提出しなければならない。

1項

第七条から第九条の二まで 又は第十一条ただし書の規定によるじん肺健康診断の結果、じん肺の所見がないと診断された者のじん肺管理区分は、管理一とする。

2項

都道府県労働局長は、前条の規定により、エックス線写真 及びじん肺健康診断の結果を証明する書面 その他厚生労働省令で定める書面が提出されたときは、これらを基礎として、地方じん肺診査医の診断 又は審査により、当該労働者についてじん肺管理区分の決定をするものとする。

3項

都道府県労働局長は、地方じん肺診査医の意見により、前項の決定を行うため必要があると認めるときは、事業者に対し、期日 若しくは方法を指定してエックス線写真の撮影 若しくは厚生労働省令で定める範囲内の検査を行うべきこと 又はその指定する物件を提出すべきことを命ずることができる。

4項

事業者は、前項の規定による命令を受けてエックス線写真の撮影 又は検査を行つたときは、遅滞なく、都道府県労働局長に、当該エックス線写真 又は検査の結果を証明する書面 その他その指定する当該検査に係る物件を提出しなければならない。

5項

第十一条本文の規定は、第三項の規定による命令を受けてエックス線写真の撮影 又は検査を行なう場合に準用する。

1項

都道府県労働局長は、前条第二項の決定をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を当該事業者に通知するとともに、遅滞なく、第十二条 又は前条第三項 若しくは第四項の規定により提出されたエックス線写真 その他の物件を返還しなければならない。

2項

事業者は、前項の規定による通知を受けたときは、遅滞なく、厚生労働省令で定めるところにより、当該労働者(厚生労働省令で定める労働者であつた者を含む。)に対して、その者について決定されたじん肺管理区分 及び その者が留意すべき事項を通知しなければならない。

3項

事業者は、前項の規定による通知をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を記載した書面を作成し、これを三年間保存しなければならない。

1項

常時粉じん作業に従事する労働者 又は常時粉じん作業に従事する労働者であつた者は、いつでも、じん肺健康診断を受けて、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県労働局長にじん肺管理区分を決定すべきことを申請することができる。

2項

前項の規定による申請は、エックス線写真 及びじん肺健康診断の結果を証明する書面 その他厚生労働省令で定める書面を添えてしなければならない。

3項

第十三条第二項から第四項まで 及び前条第一項の規定は、第一項の規定による申請があつた場合に準用する。


この場合において、

第十三条第二項
前条」とあるのは
第十五条第二項」と、

同条第三項 及び第四項
事業者」とあるのは
「申請者」と、

前条第一項
当該事業者」とあるのは
「申請者 及び申請者を使用する事業者」と、

第十二条 又は前条第三項 若しくは第四項」とあるのは
前条第三項 若しくは第四項 又は次条第二項」と

読み替えるものとする。

1項

事業者は、いつでも、常時粉じん作業に従事する労働者 又は常時粉じん作業に従事する労働者であつた者について、じん肺健康診断を行い、厚生労働省令で定めるところにより、都道府県労働局長にじん肺管理区分を決定すべきことを申請することができる。

2項

前条第二項の規定は前項の規定による申請に、第十三条第二項から第四項まで 及び第十四条の規定は前項の規定による申請があつた場合に準用する。


この場合において、

第十三条第二項
前条」とあるのは
第十六条第二項の規定により準用する第十五条第二項」と、

第十四条第一項
第十二条 又は前条第三項 若しくは第四項」とあるのは
前条第三項 若しくは第四項 又は第十六条第二項の規定により準用する次条第二項」と

読み替えるものとする。

1項

都道府県労働局長は、常時粉じん作業に従事する労働者 又は常時粉じん作業に従事する労働者であつた者について、適正なじん肺管理区分を決定するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対して、エックス線写真 及びじん肺健康診断の結果を証明する書面 その他厚生労働省令で定める書面(次項において「エックス線写真等」という。)を提出すべきことを命ずることができる。

2項

第十三条第二項から第四項まで 及び第十四条の規定は、前項の規定によりエックス線写真等の提出があつた場合に準用する。


この場合において、

第十四条第一項
第十二条 又は前条第三項 若しくは第四項」とあるのは
前条第三項 若しくは第四項 又は第十六条の二第一項」と

読み替えるものとする。

1項

事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、その行つたじん肺健康診断 及び第十一条ただし書の規定によるじん肺健康診断に関する記録を作成しなければならない。

2項

事業者は、厚生労働省令で定めるところにより、前項の記録 及びじん肺健康診断に係るエックス線写真を七年間保存しなければならない。

1項

第十三条第二項第十五条第三項第十六条第二項 及び第十六条の二第二項において準用する場合を含む。次条第一項 及び第二項において同じ。)の決定 又はその不作為についての審査請求における審査請求書には、行政不服審査法平成二十六年法律第六十八号第十九条第二項から第四項まで 及び第五項第三号に係る部分に限る)に規定する事項のほか、厚生労働省令で定める事項を記載しなければならない。

2項

前項の審査請求書には、厚生労働省令で定めるところにより、当該決定に係るエツクス線写真 その他の物件 及び証拠となる物件を添附しなければならない。

1項

第十三条第二項の決定についての審査請求の裁決は、中央じん肺診査医の診断 又は審査に基づいてするものとする。

2項

第十三条第二項の決定の不作為についての審査請求の裁決は、地方じん肺診査医の診断 又は審査に基づいてするものとする。

3項

厚生労働大臣は、第一項の審査請求について、当該決定を取り消す旨の裁決をするときは、裁決で、労働者 又は労働者であつた者についてじん肺管理区分を決定するものとする。

4項

第十三条第三項 及び第四項の規定は、第一項の審査請求があつた場合に準用する。


この場合において、

これらの規定中
都道府県労働局長」とあるのは
「厚生労働大臣」と、

地方じん肺診査医」とあるのは
「中央じん肺診査医」と、

前項の決定」とあるのは
「裁決」と、

事業者」とあるのは
「審査請求人」と

読み替えるものとする。

5項

第十三条第三項 及び第四項の規定は、第二項の審査請求があつた場合に準用する。


この場合において、

これらの規定中
都道府県労働局長」とあるのは
「厚生労働大臣」と、

前項の決定」とあるのは
「裁決」と、

事業者」とあるのは
「審査請求人」と

読み替えるものとする。

6項

厚生労働大臣は、裁決をしたときは、前条第二項の規定 又は前二項において準用する第十三条第三項 若しくは第四項の規定により提出されたエツクス線写真 その他の物件をその提出者に返還しなければならない。

7項

厚生労働大臣は、裁決をしたときは、行政不服審査法第五十一条第四項の規定によるほか、裁決書の謄本を厚生労働省令で定める利害関係者に送付するものとする。

8項

行政不服審査法第四十三条第一項の規定は、前条第一項の審査請求については、適用しない


この場合において、当該審査請求についての同法第四十四条の規定の適用については、

同条
行政不服審査会等から諮問に対する答申を受けたとき(前条第一項の規定による諮問を要しない場合(同項第二号 又は第三号に該当する場合を除く。)にあっては審理員意見書が提出されたとき、同項第二号 又は第三号に該当する場合にあっては同項第二号 又は第三号に規定する議を経たとき)」とあるのは、
じん肺法昭和三十五年法律第三十号第十九条第一項の中央じん肺診査医の診断 若しくは審査 又は同条第二項の地方じん肺診査医の診断 若しくは審査を経たとき」と

する。

1項

第十八条第一項に規定する処分の取消しの訴えは、当該処分についての審査請求に対する裁決を経た後でなければ、提起することができない

第三節 健康管理のための措置

1項
事業者は、じん肺健康診断の結果、労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業上適切な措置を講ずるように努めるとともに、適切な保健指導を受けることができるための配慮をするように努めなければならない。
1項

事業者は、じん肺管理区分が管理二 又は管理三イである労働者について、粉じんにさらされる程度を低減させるため、就業場所の変更、粉じん作業に従事する作業時間の短縮 その他の適切な措置を講ずるように努めなければならない。

1項

都道府県労働局長は、じん肺管理区分が管理三イである労働者が現に常時粉じん作業に従事しているときは、事業者に対して、その者を粉じん作業以外の作業に常時従事させるべきことを勧奨することができる。

2項

事業者は、前項の規定による勧奨を受けたとき、又はじん肺管理区分管理三ロである労働者が現に常時粉じん作業に従事しているときは、当該労働者を粉じん作業以外の作業に常時従事させることとするように努めなければならない。

3項

事業者は、前項の規定により、労働者を粉じん作業以外の作業に常時従事させることとなつたときは、厚生労働省令で定めるところにより、その旨を都道府県労働局長に通知しなければならない。

4項

都道府県労働局長は、じん肺管理区分が管理三ロである労働者が現に常時粉じん作業に従事している場合において、地方じん肺診査医の意見により、当該労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは、厚生労働省令で定めるところにより、事業者に対して、その者を粉じん作業以外の作業に常時従事させるべきことを指示することができる。

1項

事業者は、次の各号に掲げる労働者が常時粉じん作業に従事しなくなつたとき(労働契約の期間が満了したことにより離職したときその他厚生労働省令で定める場合を除く)は、その日から七日以内に、その者に対して、次の各号に掲げる労働者ごとに、それぞれ労働基準法第十二条に規定する平均賃金の当該各号に掲げる日数分に相当する額の転換手当を支払わなければならない。


ただし、厚生労働大臣が必要があると認めるときは、転換手当の額について、厚生労働省令で別段の定めをすることができる。

一 号

前条第一項の規定による勧奨を受けた労働者 又はじん肺管理区分管理三ロである労働者(次号に掲げる労働者を除く

三十日分

二 号

前条第四項の規定による指示を受けた労働者

六十日分

1項

事業者は、じん肺管理区分が管理三である労働者を粉じん作業以外の作業に常時従事させるために必要があるときは、その者に対して、作業の転換のための教育訓練を行うように努めなければならない。

1項

じん肺管理区分が管理四と決定された者 及び合併症にかかつていると認められる者は、療養を要するものとする。