不動産登記法

# 平成十六年法律第百二十三号 #
略称 : 新不動産登記法  不登法 

第二節 筆界特定の手続

分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第六十三号による改正
最終編集日 : 2024年 04月19日 04時01分


第一款 筆界特定の申請

1項

土地の所有権登記名義人等は、筆界特定登記官に対し、当該土地とこれに隣接する他の土地との筆界について、筆界特定の申請をすることができる。

2項

地方公共団体は、その区域内の対象土地の所有権登記名義人等のうちいずれかの者の同意を得たときは、筆界特定登記官に対し、当該対象土地の筆界(第十四条第一項の地図に表示されないものに限る)について、筆界特定の申請をすることができる。

3項

筆界特定の申請は、次に掲げる事項を明らかにしてしなければならない。

一 号

申請の趣旨

二 号

筆界特定の申請人の氏名 又は名称 及び住所

三 号

対象土地に係る第三十四条第一項第一号 及び第二号に掲げる事項(表題登記がない土地にあっては、同項第一号に掲げる事項

四 号

対象土地について筆界特定を必要とする理由

五 号

前各号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

4項

筆界特定の申請人は、政令で定めるところにより、手数料を納付しなければならない。

5項

第十八条の規定は、筆界特定の申請について準用する。


この場合において、

同条
不動産を識別するために必要な事項、申請人の氏名 又は名称、登記の目的 その他の登記の申請に必要な事項として政令で定める情報(以下「申請情報」という。)」とあるのは
第百三十一条第三項各号に掲げる事項に係る情報(第二号第百三十二条第一項第四号 及び第百五十条において「筆界特定申請情報」という。)」と、

登記所」とあるのは
「法務局 又は地方法務局」と、

同条第二号
申請情報」とあるのは
「筆界特定申請情報」と

読み替えるものとする。

1項

筆界特定登記官は、次に掲げる場合には、理由を付した決定で、筆界特定の申請を却下しなければならない。


ただし、当該申請の不備が補正することができるものである場合において、筆界特定登記官が定めた相当の期間内に、筆界特定の申請人がこれを補正したときは、この限りでない。

一 号

対象土地の所在地が当該申請を受けた法務局 又は地方法務局の管轄に属しないとき。

二 号

申請の権限を有しない者の申請によるとき。

三 号

申請が前条第三項の規定に違反するとき。

四 号

筆界特定申請情報の提供の方法がこの法律に基づく命令の規定により定められた方式に適合しないとき。

五 号

申請が対象土地の所有権の境界の特定 その他筆界特定以外の事項を目的とするものと認められるとき。

六 号

対象土地の筆界について、既に民事訴訟の手続により筆界の確定を求める訴えに係る判決(訴えを不適法として却下したものを除く第百四十八条において同じ。)が確定しているとき。

七 号

対象土地の筆界について、既に筆界特定登記官による筆界特定がされているとき。


ただし、対象土地について更に筆界特定をする特段の必要があると認められる場合を除く

八 号
手数料を納付しないとき。
九 号

第百四十六条第五項の規定により予納を命じた場合においてその予納がないとき。

2項

前項の規定による筆界特定の申請の却下は、登記官の処分とみなす。

1項

筆界特定の申請があったときは、筆界特定登記官は、遅滞なく、法務省令で定めるところにより、その旨を公告し、かつ、その旨を次に掲げる者(以下「関係人」という。)に通知しなければならない。


ただし前条第一項の規定により当該申請を却下すべき場合は、この限りでない。

一 号

対象土地の所有権登記名義人等であって筆界特定の申請人以外のもの

二 号

関係土地の所有権登記名義人等

2項

前項本文の場合において、関係人の所在が判明しないときは、同項本文の規定による通知を、関係人の氏名 又は名称、通知をすべき事項 及び当該事項を記載した書面をいつでも関係人に交付する旨を対象土地の所在地を管轄する法務局 又は地方法務局の掲示場に掲示することによって行うことができる。


この場合においては、掲示を始めた日から二週間を経過したときに、当該通知が関係人に到達したものとみなす。

第二款 筆界の調査等

1項

法務局 又は地方法務局の長は、前条第一項本文の規定による公告 及び通知がされたときは、対象土地の筆界特定のために必要な事実の調査を行うべき筆界調査委員を指定しなければならない。

2項

次の各号いずれかに該当する者は、前項の筆界調査委員に指定することができない

一 号

対象土地 又は関係土地のうちいずれかの土地の所有権の登記名義人(仮登記の登記名義人を含む。以下この号において同じ。)、表題部所有者 若しくは所有者 又は所有権以外の権利の登記名義人 若しくは当該権利を有する者

二 号

前号に掲げる者の配偶者 又は四親等内の親族(配偶者 又は四親等内の親族であった者を含む。次号において同じ。

三 号

第一号に掲げる者の代理人 若しくは代表者(代理人 又は代表者であった者を含む。)又はその配偶者 若しくは四親等内の親族

3項

第一項の規定による指定を受けた筆界調査委員が数人あるときは、共同してその職務を行う。


ただし、筆界特定登記官の許可を得て、それぞれ単独にその職務を行い、又は職務を分掌することができる。

4項

法務局 又は地方法務局の長は、その職員に、筆界調査委員による事実の調査を補助させることができる。

1項

筆界調査委員は、前条第一項の規定による指定を受けたときは、対象土地 又は関係土地 その他の土地の測量 又は実地調査をすること、筆界特定の申請人 若しくは関係人 又はその他の者からその知っている事実を聴取し 又は資料の提出を求めること その他対象土地の筆界特定のために必要な事実の調査をすることができる。

2項

筆界調査委員は、前項の事実の調査に当たっては、筆界特定が対象土地の所有権の境界の特定を目的とするものでないことに留意しなければならない。

1項

筆界調査委員は、対象土地の測量 又は実地調査を行うときは、あらかじめ、その旨 並びにその日時 及び場所を筆界特定の申請人 及び関係人に通知して、これに立ち会う機会を与えなければならない。

2項

第百三十三条第二項の規定は、前項の規定による通知について準用する。

1項

法務局 又は地方法務局の長は、筆界調査委員が対象土地 又は関係土地 その他の土地の測量 又は実地調査を行う場合において、必要があると認めるときは、その必要の限度において、筆界調査委員 又は第百三十四条第四項の職員(以下この条において「筆界調査委員等」という。)に、他人の土地に立ち入らせることができる。

2項

法務局 又は地方法務局の長は、前項の規定により筆界調査委員等を他人の土地に立ち入らせようとするときは、あらかじめ、その旨 並びにその日時 及び場所を当該土地の占有者に通知しなければならない。

3項

第一項の規定により宅地 又は垣、さく等で囲まれた他人の占有する土地に立ち入ろうとする場合には、その立ち入ろうとする者は、立入りの際、あらかじめ、その旨を当該土地の占有者に告げなければならない

4項

日出前 及び日没後においては、土地の占有者の承諾があった場合を除き前項に規定する土地に立ち入ってはならない。

5項

土地の占有者は、正当な理由がない限り、第一項の規定による立入りを拒み、又は妨げてはならない。

6項

第一項の規定による立入りをする場合には、筆界調査委員等は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

7項

国は、第一項の規定による立入りによって損失を受けた者があるときは、その損失を受けた者に対して、通常生ずべき損失を補償しなければならない。

1項

法務局 又は地方法務局の長は、筆界特定のため必要があると認めるときは、関係行政機関の長、関係地方公共団体の長 又は関係のある公私の団体に対し、資料の提出 その他必要な協力を求めることができる。

1項

筆界特定の申請があったときは、筆界特定の申請人 及び関係人は、筆界特定登記官に対し、対象土地の筆界について、意見 又は資料を提出することができる。


この場合において、筆界特定登記官が意見 又は資料を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

2項

前項の規定による意見 又は資料の提出は、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるものをいう。)により行うことができる。

1項

筆界特定の申請があったときは、筆界特定登記官は、第百三十三条第一項本文の規定による公告をした時から筆界特定をするまでの間に、筆界特定の申請人 及び関係人に対し、あらかじめ期日 及び場所を通知して、対象土地の筆界について、意見を述べ、又は資料(電磁的記録を含む。)を提出する機会を与えなければならない。

2項

筆界特定登記官は、前項の期日において、適当と認める者に、参考人としてその知っている事実を陳述させることができる。

3項

筆界調査委員は、第一項の期日に立ち会うものとする。


この場合において、筆界調査委員は、筆界特定登記官の許可を得て、筆界特定の申請人 若しくは関係人 又は参考人に対し質問を発することができる。

4項

筆界特定登記官は、第一項の期日の経過を記載した調書を作成し、当該調書において当該期日における筆界特定の申請人 若しくは関係人 又は参考人の陳述の要旨を明らかにしておかなければならない。

5項

前項の調書は、電磁的記録をもって作成することができる。

6項

第百三十三条第二項の規定は、第一項の規定による通知について準用する。

1項

筆界特定の申請人 及び関係人は、第百三十三条第一項本文の規定による公告があった時から第百四十四条第一項の規定により筆界特定の申請人に対する通知がされるまでの間、筆界特定登記官に対し、当該筆界特定の手続において作成された調書 及び提出された資料(電磁的記録にあっては、記録された情報の内容を法務省令で定める方法により表示したもの)の閲覧を請求することができる。


この場合において、筆界特定登記官は、第三者の利益を害するおそれがあるときその他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない

2項

筆界特定登記官は、前項の閲覧について、日時 及び場所を指定することができる。