公文書等の管理に関する法律

# 平成二十一年法律第六十六号 #
略称 : 公文書管理法 

第四章 歴史公文書等の保存、利用等

分類 法律
カテゴリ   行政手続
@ 施行日 : 令和六年二月十六日 ( 2024年 2月16日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第三十二号による改正
最終編集日 : 2024年 02月26日 12時42分


1項

国の機関(行政機関を除く。以下この条において同じ。)は、内閣総理大臣と協議して定めるところにより、当該国の機関が保有する歴史公文書等の適切な保存のために必要な措置を講ずるものとする。

2項

内閣総理大臣は、前項の協議による定めに基づき、歴史公文書等について、国立公文書館において保存する必要があると認める場合には、当該歴史公文書等を保有する国の機関との合意により、その移管を受けることができる。

3項

前項の場合において、必要があると認めるときは、内閣総理大臣は、あらかじめ、国立公文書館の意見を聴くことができる。

4項

内閣総理大臣は、第二項の規定により移管を受けた歴史公文書等を国立公文書館の設置する公文書館に移管するものとする。

1項

国立公文書館等の長(国立公文書館等が行政機関の施設である場合にあってはその属する行政機関の長、国立公文書館等が独立行政法人等の施設である場合にあってはその施設を設置した独立行政法人等をいう。以下同じ。)は、特定歴史公文書等について、第二十五条の規定により廃棄されるに至る場合を除き永久に保存しなければならない。

2項

国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等について、その内容、保存状態、時の経過、利用の状況等に応じ、適切な保存 及び利用を確保するために必要な場所において、適切な記録媒体により、識別を容易にするための措置を講じた上で保存しなければならない。

3項

国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等に個人情報(生存する個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日 その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。)が記録されている場合には、当該個人情報の漏えいの防止のために必要な措置を講じなければならない。

4項

国立公文書館等の長は、政令で定めるところにより、特定歴史公文書等の分類、名称、移管 又は寄贈 若しくは寄託をした者の名称 又は氏名、移管 又は寄贈 若しくは寄託を受けた時期 及び保存場所 その他の特定歴史公文書等の適切な保存を行い、及び適切な利用に資するために必要な事項を記載した目録を作成し、公表しなければならない。

1項

国立公文書館等の長は、当該国立公文書館等において保存されている特定歴史公文書等について前条第四項の目録の記載に従い利用の請求があった場合には、次に掲げる場合を除き、これを利用させなければならない。

一 号

当該特定歴史公文書等が行政機関の長から移管されたものであって、当該特定歴史公文書等に次に掲げる情報が記録されている場合

行政機関情報公開法第五条第一号に掲げる情報

行政機関情報公開法第五条第二号 又は第六号イ 若しくはに掲げる情報

公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国 若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ 又は他国 若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると当該特定歴史公文書等を移管した行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報

公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧 又は捜査、公訴の維持、刑の執行 その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると当該特定歴史公文書等を移管した行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報

二 号

当該特定歴史公文書等が独立行政法人等から移管されたものであって、当該特定歴史公文書等に次に掲げる情報が記録されている場合

独立行政法人等情報公開法第五条第一号に掲げる情報

独立行政法人等情報公開法第五条第二号 又は第四号イからハまで 若しくはに掲げる情報

三 号

当該特定歴史公文書等が国の機関(行政機関を除く)から移管されたものであって、当該国の機関との合意において利用の制限を行うこととされている場合

四 号

当該特定歴史公文書等がその全部 又は一部を一定の期間公にしないことを条件に法人等 又は個人から寄贈され、又は寄託されたものであって、当該期間が経過していない場合

五 号

当該特定歴史公文書等の原本を利用に供することにより当該原本の破損 若しくはその汚損を生ずるおそれがある場合 又は当該特定歴史公文書等を保存する国立公文書館等において当該原本が現に使用されている場合

2項

国立公文書館等の長は、前項に規定す 利用の請求(以下「利用請求」という。)に係る特定歴史公文書等が同項第一号 又は第二号に該当するか否かについて判断するに当たっては、当該特定歴史公文書等が行政文書 又は法人文書として作成 又は取得されてからの時の経過を考慮するとともに、当該特定歴史公文書等に第八条第三項 又は第十一条第五項の規定による意見が付されている場合には、当該意見を参酌しなければならない。

3項

国立公文書館等の長は、第一項第一号から第四号までに掲げる場合であっても、同項第一号イからニまで 若しくは第二号イ 若しくはに掲げる情報 又は同項第三号の制限 若しくは同項第四号の条件に係る情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、利用請求をした者に対し、当該部分を除いた部分を利用させなければならない。


ただし、当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときは、この限りでない。

1項

国立公文書館等の長は、前条第一項第一号イ 及び第二号イの規定にかかわらず、これらの規定に掲げる情報により識別される特定の個人(以下この条において「本人」という。)から、当該情報が記録されている特定歴史公文書等について利用請求があった場合において、政令で定めるところにより本人であることを示す書類の提示 又は提出があったときは、本人の生命、健康、生活 又は財産を害するおそれがある情報が記録されている場合を除き、当該特定歴史公文書等につきこれらの規定に掲げる情報が記録されている部分についても、利用させなければならない。

1項

利用請求に係る特定歴史公文書等に国、独立行政法人等、地方公共団体、地方独立行政法人 及び利用請求をした者以外の者(以下この条において「第三者」という。)に関する情報が記録されている場合には、国立公文書館等の長は、当該特定歴史公文書等を利用させるか否かについての決定をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、利用請求に係る特定歴史公文書等の名称 その他政令で定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。

2項

国立公文書館等の長は、第三者に関する情報が記録されている特定歴史公文書等の利用をさせようとする場合であって、当該情報が行政機関情報公開法第五条第一号ロ 若しくは第二号ただし書に規定する情報 又は独立行政法人等情報公開法第五条第一号ロ 若しくは第二号ただし書に規定する情報に該当すると認めるときは、利用させる旨の決定に先立ち、当該第三者に対し、利用請求に係る特定歴史公文書等の名称 その他政令で定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。


ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。

3項

国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等であって第十六条第一項第一号ハ 又はに該当するものとして第八条第三項の規定により意見を付されたものを利用させる旨の決定をする場合には、あらかじめ、当該特定歴史公文書等を移管した行政機関の長に対し、利用請求に係る特定歴史公文書等の名称 その他政令で定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。

4項

国立公文書館等の長は、第一項 又は第二項の規定により意見書を提出する機会を与えられた第三者が当該特定歴史公文書等を利用させることに反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、当該特定歴史公文書等を利用させる旨の決定をするときは、その決定の日と利用させる日との間に少なくとも二週間を置かなければならない。


この場合において、国立公文書館等の長は、その決定後直ちに、当該意見書(第二十一条第四項第二号において「反対意見書」という。)を提出した第三者に対し、利用させる旨の決定をした旨 及びその理由 並びに利用させる日を書面により通知しなければならない。

1項

国立公文書館等の長が特定歴史公文書等を利用させる場合には、文書 又は図画については閲覧 又は写しの交付の方法により、電磁的記録についてはその種別、情報化の進展状況等を勘案して政令で定める方法により行う。


ただし、閲覧の方法により特定歴史公文書等を利用させる場合にあっては、当該特定歴史公文書等の保存に支障を生ずるおそれがあると認めるとき その他正当な理由があるときに限り、その写しを閲覧させる方法により、これを利用させることができる。

1項

写しの交付により特定歴史公文書等を利用する者は、政令で定めるところにより、手数料を納めなければならない。

2項

前項の手数料の額は、実費の範囲内において、できる限り利用しやすい額とするよう配慮して、国立公文書館等の長が定めるものとする。

1項

利用請求に対する処分 又は利用請求に係る不作為について不服がある者は、国立公文書館等の長に対し、審査請求をすることができる。

2項

利用請求に対する処分 又は利用請求に係る不作為に係る審査請求については、行政不服審査法平成二十六年法律第六十八号第九条第十七条第二十四条第二章第三節 及び第四節 並びに第五十条第二項の規定は、適用しない

3項

利用請求に対する処分 又は利用請求に係る不作為に係る審査請求についての行政不服審査法第二章の規定の適用については、

同法第十一条第二項
第九条第一項の規定により指名された者(以下「審理員」という。)」とあるのは
第四条の規定により審査請求がされた行政庁(第十四条の規定により引継ぎを受けた行政庁を含む。以下「審査庁」という。)」と、

同法第十三条第一項 及び第二項
審理員」とあるのは
「審査庁」と、

同法第二十五条第七項
あったとき、又は審理員から第四十条に規定する執行停止をすべき旨の意見書が提出されたとき」とあるのは
「あったとき」と、

同法第四十四条
行政不服審査会等」とあるのは
「公文書管理委員会」と、

受けたとき(前条第一項の規定による諮問を要しない場合(同項第二号 又は第三号に該当する場合を除く。)にあっては審理員意見書が提出されたとき、同項第二号 又は第三号に該当する場合にあっては同項第二号 又は第三号に規定する議を経たとき)」とあるのは
「受けたとき」と、

同法第五十条第一項第四号
審理員意見書 又は行政不服審査会等 若しくは審議会等」とあるのは
「公文書管理委員会」と

する

4項

利用請求に対する処分 又は利用請求に係る不作為に係る審査請求があったときは、国立公文書館等の長は、次の各号いずれかに該当する場合を除き、公文書管理委員会に諮問しなければならない。

一 号

審査請求が不適法であり、却下する場合

二 号

裁決で、審査請求の全部を認容し、当該審査請求に係る特定歴史公文書等の全部を利用させることとする場合(当該特定歴史公文書等の利用について反対意見書が提出されている場合を除く

1項

独立行政法人等情報公開法第十九条第二項 及び第二十条 並びに情報公開・個人情報保護審査会設置法平成十五年法律第六十号)第九条から第十六条までの規定は、前条第一項の規定による審査請求について準用する。


この場合において、

独立行政法人等情報公開法第十九条第二項
前項」とあるのは
公文書等の管理に関する法律(以下「公文書管理法」という。)第二十一条第四項」と、

独立行政法人等」とあるのは
公文書管理法第十五条第一項に規定する国立公文書館等の長」と、

同項第二号
開示請求者(開示請求者が」とあるのは
「利用請求(公文書管理法第十六条第二項に規定する利用請求をいう。以下同じ。)をした者(利用請求をした者が」と、

同項第三号
法人文書の開示について反対意見書」とあるのは
「特定歴史公文書等(公文書管理法第二条第七項に規定する特定歴史公文書等をいう。以下同じ。)の利用について公文書管理法第十八条第四項に規定する反対意見書」と、

独立行政法人等情報公開法第二十条
第十四条第三項」とあるのは
公文書管理法第十八条第四項」と、

同条第一号
開示決定」とあるのは
「利用させる旨の決定」と、

同条第二号
開示決定等」とあるのは
「利用請求に対する処分」と、

開示請求」とあるのは
「利用請求」と、

法人文書」とあるのは
「特定歴史公文書等」と、

開示する旨」とあるのは
「利用させる旨」と、

の開示」とあるのは
「を利用させること」と、

情報公開・個人情報保護審査会設置法第九条から第十六条までの規定中
審査会」とあるのは
「公文書管理委員会」と、

同法第九条第一項中
諮問庁」とあるのは
「諮問庁(公文書等の管理に関する法律以下「公文書管理法」という。第二十一条第四項の規定により諮問をした公文書管理法第十五条第一項に規定する国立公文書館等の長をいう。以下この条において同じ。)」と、

行政文書等 又は保有個人情報の提示」とあるのは
「特定歴史公文書等(公文書管理法第二条第七項に規定する特定歴史公文書等をいう。以下同じ。)の提示」と、

行政文書等 又は保有個人情報の開示」とあるのは
「特定歴史公文書等の開示」と、

同条第三項中
行政文書等に記録されている情報 又は保有個人情報に含まれている情報」とあるのは
「特定歴史公文書等に記録されている情報」と、

同法第十二条中
行政文書等 若しくは保有個人情報」とあるのは
「特定歴史公文書等」と

読み替えるものとする。

1項

国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等(第十六条の規定により利用させることができるものに限る)について、展示 その他の方法により積極的に一般の利用に供するよう努めなければならない。

1項

特定歴史公文書等を移管した行政機関の長 又は独立行政法人等が国立公文書館等の長に対してそれぞれ その所掌事務 又は業務を遂行するために必要であるとして当該特定歴史公文書等について利用請求をした場合には、第十六条第一項第一号 又は第二号の規定は、適用しない

1項

国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等として保存されている文書が歴史資料として重要でなくなったと認める場合には、内閣総理大臣に協議し、その同意を得て、当該文書を廃棄することができる。

1項

国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等の保存 及び利用の状況について、毎年度、内閣総理大臣に報告しなければならない。

2項

内閣総理大臣は、毎年度前項の報告を取りまとめ、その概要を公表しなければならない。

1項

国立公文書館等の長は、特定歴史公文書等の保存、利用 及び廃棄が第十五条から第二十条まで 及び第二十三条から前条までの規定に基づき適切に行われることを確保するため、特定歴史公文書等の保存、利用 及び廃棄に関する定め(以下「利用等規則」という。)を設けなければならない。

2項

利用等規則には、特定歴史公文書等に関する次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号

保存に関する事項

二 号

第二十条に規定する手数料 その他一般の利用に関する事項

三 号

特定歴史公文書等を移管した行政機関の長 又は独立行政法人等による当該特定歴史公文書等の利用に関する事項

四 号

廃棄に関する事項

五 号

保存 及び利用の状況の報告に関する事項

3項

国立公文書館等の長は、利用等規則を設けようとするときは、あらかじめ、内閣総理大臣に協議し、その同意を得なければならない。


これを変更しようとするときも、同様とする。

4項

国立公文書館等の長は、利用等規則を設けたときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。


これを変更したときも、同様とする。