原子力損害の補完的な補償に関する条約の実施に伴う原子力損害賠償資金の補助等に関する法律

平成二十六年法律第百三十三号
分類 法律
カテゴリ   工業
最終編集日 : 2024年 02月13日 07時22分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 原子力損害賠償資金の補助

  • 第三章 負担金

    • 第一節 一般負担金
    • 第二節 特別負担金
  • 第四章 雑則

第一章 総則

1項

この法律は、原子力損害の補完的な補償に関する条約以下「条約」という。)の実施に伴い、 原子力損害を賠償するために必要な資金(第三条 及び第十一条において「原子力損害賠償資金」という。)の補助 その他必要な事項を定めるものとする。

1項

この法律において「原子力損害」とは、原子力損害の賠償に関する法律昭和三十六年法律第百四十七号。以下この条において「賠償法」という。第二条第二項に規定する原子力損害(賠償法第三条の規定により損害を賠償する責めに任ずべき原子力事業者が工場 又は事業所内に設置した原子力施設(核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号。次項において「規制法」という。)第二条第七項に規定する原子力施設をいう。)において使用される設備について生じた損害を除く)をいう。

2項

この法律において「原子力事業者」とは、規制法第二十三条第一項の許可(船舶に設置する試験研究用等原子炉(同項に規定する試験研究用等原子炉をいう。)に係る許可を除く)を受けた者 及び賠償法第二条第三項第三号から 第八号までに掲げる者(国を除く)並びにこれらの者であった者であって、原子炉の運転等(同条第一項に規定する原子炉の運転等をいう。以下同じ。)をしているもの(原子炉の運転等をしていたものを含む。)をいう。

第二章 原子力損害賠償資金の補助

1項

国は、原子力事業者が原子力損害の賠償請求権に係る債務について弁済をした金額 及び当該賠償請求権を有する者の承諾があった金額の合計額に相当する金額が原子力損害の発生の原因となった事実一について政令で定める金額を超える場合において、当該原子力事業者に対する原子力損害の賠償の請求の訴えについて、条約第十三条1から4までの規定により日本の裁判所が管轄権を有することとされているときは、当該原子力事業者に対し、政令で定めるところにより、予算の範囲内において、当該原子力損害のうち次に掲げるもの(第十条第一項 及び第十一条において「対象原子力損害」という。)に係る原子力損害賠償資金の一部を補助するものとする。

一 号

条約の締約国(次号において単に「締約国」という。)の領域内において生じたもの

二 号

公海(海洋法に関する国際連合条約(において「国連海洋法条約」という。)に規定する排他的経済水域(において単に「排他的経済水域」という。)を含む。)又はその上空において生じたものであって、次のいずれかに該当するもの

締約国、締約国の公共団体 若しくはこれに準ずるもの、締約国の法令に基づいて設立された法人 その他の団体、 締約国の国籍を有する者 又は条約に基づき締約国がその国民とみなす者(において「締約国等」という。)が受けたもの

締約国の国籍を有する船舶 若しくは航空機内で生じたもの 又は当該船舶 若しくは航空機について生じたもの

締約国等が設置する人工島、施設 若しくは構築物において生じたもの 又は当該人工島、施設 若しくは構築物について生じたもの

締約国の排他的経済水域 若しくは その上空 又は国連海洋法条約に規定する大陸棚における天然資源の探査 又は開発のための活動に関し生じたもの

第三章 負担金

第一節 一般負担金

1項

文部科学大臣は、条約第四条1()の規定によりその額が算定される拠出金に要する費用に充てるため、 原子力事業者(原子炉の運転等をしているものに限る。以下 この節において同じ。)から、毎年度、一般負担金を徴収する。

2項

原子力事業者は、一般負担金を納付する義務を負う。

1項

各原子力事業者から徴収する一般負担金の額の算定方法は、条約第四条1()の規定により我が国についてその額が算定される拠出金の額、各原子力事業者が行う原子炉の運転等の行為の種類 その他の事情を考慮して、政令で定める。

1項

文部科学大臣は、前条の政令で定める一般負担金の額の算定方法に従い、各原子力事業者が納付すべき一般負担金の額を決定し、当該各原子力事業者に対し、その者が納付すべき一般負担金の額 及び納付期限 その他必要な事項を通知しなければならない。

2項

文部科学大臣は、一般負担金の額を算定するため必要があるときは、原子力事業者に対し、資料の提出を求めることができる。

1項

文部科学大臣は、前条第一項の規定による通知を受けた原子力事業者がその納付期限までに一般負担金を納付しないときは、督促状によって納付すべき期限を指定して督促しなければならない。

2項

文部科学大臣は、前項の規定による督促をした場合においては、文部科学省令で定めるところにより、延滞金を徴収することができる。


この場合において、延滞金は、年十四・五パーセントの割合で計算した額を超えない範囲内で定めなければならない。

1項

一般負担金 その他 この節の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税 及び地方税に次ぐものとする。

1項

一般負担金 その他 この節の規定による徴収金は、この節に別段の定めがある場合を除き、国税徴収の例により徴収する。

第二節 特別負担金

1項

文部科学大臣は、条約第四条1()の規定によりその額が算定される拠出金に要する費用に充てるため、 原子力事業者であって、その原子力損害(対象原子力損害を含む場合に限る)の賠償請求権に係る債務について弁済をした金額 及び当該賠償請求権を有する者の承諾があった金額の合計額に相当する金額が原子力損害の発生の原因となった事実一について政令で定める金額を超えたものから、特別負担金を徴収する。

2項

前項に規定する原子力事業者は、特別負担金を納付する義務を負う。

1項

前条第一項に規定する原子力事業者から徴収する特別負担金の額の算定方法は、条約第四条1()の規定により我が国についてその額が算定される拠出金の額、当該原子力事業者の対象原子力損害に係る原子力損害賠償資金の額 その他の事情を考慮して、政令で定める。

1項

第六条から第九条までの規定は、第十条第一項に規定する原子力事業者から徴収する特別負担金について準用する。


この場合において、

第六条第一項
前条」とあるのは
第十一条」と、

第八条 及び第九条
この節」とあるのは
次節」と

読み替えるものとする。

第四章 雑則

1項

文部科学大臣は、この法律の施行に必要な限度において、原子力事業者に対し必要な報告を求め、又はその職員に、原子力事業者の事務所 若しくは工場 若しくは事業所に立ち入り、その者の帳簿、書類 その他必要な物件を検査させ、若しくは関係者に質問させることができる。

2項

前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3項

第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

1項

この法律に定めるもののほか、この法律の実施のため必要な事項は、文部科学省令で定める。

1項

第十三条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、若しくは同項の規定による質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者は、三十万円以下の罰金に処する。

2項

法人の代表者 又は法人 若しくは人の代理人、使用人 その他の従業者が、その法人 又は人の業務に関し、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人 又は人に対しても、同項の刑を科する。