国家公務員災害補償法

# 昭和二十六年法律第百九十一号 #

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   国家公務員
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時25分


1項

この法律は、国家公務員法昭和二十二年法律第百二十号第二条に規定する一般職に属する職員(未帰還者留守家族等援護法(昭和二十八年法律第百六十一号)第十七条第一項に規定する未帰還者である職員を除く。以下「職員」という。)の公務上の災害(負傷、疾病、障害 又は死亡をいう。以下同じ。)又は通勤による災害に対する補償(以下「補償」という。)を迅速かつ公正に行い、あわせて公務上の災害 又は通勤による災害を受けた職員(以下「被災職員」という。)の社会復帰の促進 並びに被災職員 及び その遺族の援護を図るために必要な事業を行い、もつて被災職員 及び その遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。

2項

この法律の規定が国家公務員法の規定とてい触する場合には、国家公務員法の規定が優先する。

1項

この法律において「通勤」とは、職員が、勤務のため、次に掲げる移動を、合理的な経路 及び方法により行うことをいい、公務の性質を有するものを除くものとする。

一 号
住居と勤務場所との間の往復
二 号

一の勤務場所から 他の勤務場所への移動 その他の人事院規則で定める就業の場所から 勤務場所への移動(国家公務員法第百三条第一項の規定に違反して同項に規定する営利企業を営むことを目的とする団体の役員、顧問 又は評議員の職を兼ねている場合 その他の人事院規則で定める職員に関する法令の規定に違反して就業している場合における当該就業の場所から 勤務場所への移動を除く

三 号

第一号に掲げる往復に先行し、又は後続する住居間の移動(人事院規則で定める要件に該当するものに限る

2項

職員が、前項各号に掲げる移動の経路を逸脱し、又は同項各号に掲げる移動を中断した場合においては、当該逸脱 又は中断の間 及び その後の同項各号に掲げる移動は、同項の通勤としない。


ただし、当該逸脱 又は中断が、日常生活上必要な行為であつて人事院規則で定めるものをやむを得ない事由により行うための最小限度のものである場合は、当該逸脱 又は中断の間を除き、この限りでない。

1項

人事院は、 この法律の実施に関し、次に掲げる 権限 及び責務を有する。

一 号

この法律の完全な実施の責に任ずること。

二 号

この法律の実施 及び解釈に関し必要な人事院規則を制定し、及び人事院指令を発すること。

三 号

次条の実施機関が行う 補償の実施についての総合調整を行うこと。

四 号

次条の実施機関が行う 補償の実施について調査し、並びに資料の収集作成 及び報告の提出を求めること。

五 号

第二十二条第一項に規定する福祉事業の実施について調査し、報告を求め、 及び総合調整を行うこと。

六 号

第二十四条の規定による審査の申立てを受理し、審査し、 及び判定を行うこと。

七 号

第二十五条の規定による措置の申立てを受理し、審査し、 及び判定を行うこと。

八 号

その他 この法律に定める 権限 及び責務

1項

人事院 及び実施機関(人事院が指定する国の機関 及び独立行政法人通則法平成十一年法律第百三号第二条第四項に規定する行政執行法人(以下「行政執行法人」という。)をいう。以下同じ。)は、この法律 及び人事院規則で定めるところにより、この法律に定める補償の実施の責めに任ずる。

2項

前項の規定は、人事院にこの法律の実施に関する責任を免かれさせるものではない。

3項

実施機関は、この法律 及び人事院が定める方針、基準、手続、規則 及び計画に従つて補償の実施を行わなければならない。

4項

実施機関が第一項の規定により行うべき責務を怠り、又は この法律、人事院規則 及び人事院指令に違反して補償の実施を行つた場合には、人事院は、その是正のため必要な指示を行うことができる。

1項

この法律で「平均給与額」とは、負傷 若しくは死亡の原因である事故の発生の日 又は診断によつて疾病の発生が確定した日(第四項において単に「事故発生日」という。)の属する月の前月の末日から起算して過去三月間その期間内に採用された職員については、その採用された日までの間)にその職員に対して支払われた給与の総額を、その期間の総日数で除して得た金額をいう。


ただし、その金額は、次の各号いずれかによつて計算した金額を下らないものとする。

一 号

給与の全部が、勤務した日 若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制によつて 定められた場合においては、その期間中に支払われた給与の総額をその勤務した日数で 除して得た金額の百分の六十

二 号

給与の一部が、勤務した日 若しくは時間によつて算定され、又は出来高払制によつて 定められた場合においては、その部分の給与の総額について前号の方法により計算した金額と、その他の部分の給与の総額をその期間の総日数で除して得た 金額との合算額

2項

前項の給与は、一般職の職員の給与に関する法律昭和二十五年法律第九十五号)の適用を受ける職員(同法第二十二条第一項 及び第二項の職員を除く)にあつては、俸給、俸給の特別調整額、本府省業務調整手当、初任給調整手当、専門スタッフ職調整手当、扶養手当、地域手当、広域異動手当、研究員調整手当、住居手当、通勤手当、単身赴任手当、特殊勤務手当(人事院規則で定めるものを除く)、特地勤務手当(同法第十四条の規定による手当を含む。)、超過勤務手当、休日給、夜勤手当、宿日直手当 及び管理職員特別勤務手当とし(ただし、人事院規則で定めるところにより、寒冷地手当 及び国際平和協力手当を加えることができる。)、その他の職員にあつては、人事院規則で定める給与とする。

3項

第一項に規定する期間中に、次の各号いずれかに該当する日がある場合においては、その日数 及び その間の給与は、同項の期間 及び給与の総額から控除して計算する。


ただし、控除しないで計算した平均給与額が控除して計算した平均給与額より多い場合は、この限りでない。

一 号

負傷し、又は疾病にかかり療養のために勤務することができなかつた日

二 号

産前産後の職員が、出産の予定日の六週間多胎妊娠の場合にあつては、十四週間)前から 出産後八週間以内において勤務しなかつた日

三 号

育児休業の承認を受けて勤務しなかつた日、承認を受けて育児短時間勤務をした日 及び育児時間の承認を受けて育児のため一日の勤務時間の一部について勤務しなかつた日

四 号

介護休暇の承認を受けて勤務しなかつた日 及び介護時間の承認を受けて介護のため一日の勤務時間の一部について勤務しなかつた日

五 号

国(職員が行政執行法人に在職していた期間にあつては、当該行政執行法人)の責めに帰すべき事由によつて勤務することができなかつた日

六 号

職員団体の業務に専ら従事するための許可を受けて勤務しなかつた日

4項

前三項の規定により平均給与額を計算することができない場合 及び事故発生日から 補償を支給すべき事由が生じた日(以下「補償事由発生日」という。)までの間に職員の給与の改定が行われた場合 その他の前三項の規定によつて計算した平均給与額が公正を欠くと認められる場合における平均給与額の計算については、人事院規則で定める。

5項

前四項の規定によつて計算した平均給与額に一円未満の端数を生じたときは、これを一円に切り上げた額を平均給与額とする。

1項

傷病補償年金、障害補償年金 又は遺族補償年金(以下「年金たる補償」という。)で、その補償事由発生日の属する年度(四月一日から 翌年三月三十一日までをいう。以下同じ。)の翌々年度以後の分として支給するものの額の算定の基礎として用いる平均給与額は、前条の規定により平均給与額として計算した額に、当該年金たる補償を支給すべき月の属する年度の前年度の四月一日における職員の給与水準を当該年金たる補償の補償事由発生日の属する年度の四月一日における職員の給与水準で除して得た率を基準として人事院が定める率を乗じて得た額とする。

2項

前条第五項の規定は、前項の平均給与額について準用する。

1項

休業補償の補償事由発生日が当該休業補償に係る療養の開始後一年六月を経過した日以後の日である場合における休業補償(以下 この項において「長期療養者の休業補償」という。)について第四条の規定により平均給与額として計算した額が、長期療養者の休業補償を受けるべき職員の休業補償の補償事由発生日の属する年度の四月一日における年齢に応じ人事院が最低限度額として定める額に満たないとき 又は最高限度額として定める額を超えるときは、同条の規定にかかわらず、それぞれ その定める額を長期療養者の休業補償に係る平均給与額とする。

2項

前項の人事院が定める額は、労働者災害補償保険法昭和二十二年法律第五十号) 第八条の二第二項各号の規定により厚生労働大臣が年齢階層ごとに定める額を考慮して定めるものとする。

1項

年金たる補償について第四条 又は第四条の二の規定により平均給与額として計算した額が、年金たる補償を受けるべき職員の年金たる補償を支給すべき月の属する年度の四月一日(以下 この項において「基準日」という。)における年齢(遺族補償年金を支給すべき場合にあつては、職員の死亡がなかつたものとして計算した場合に得られる当該職員の基準日における年齢)に応じ人事院が最低限度額として定める額に満たないとき 又は最高限度額として定める額を超えるときは第四条 又は第四条の二の規定にかかわらず、それぞれ その定める額を年金たる補償に係る平均給与額とする。

2項

前項の人事院が定める額は、労働者災害補償保険法第八条の三第二項において準用する同法第八条の二第二項各号の規定により厚生労働大臣が年齢階層ごとに定める額を考慮して定めるものとする。

1項

国(職員が行政執行法人に在職中に公務上の災害 又は通勤による災害を受けた場合にあつては、当該行政執行法人。以下同じ。)が国家賠償法昭和二十二年法律第百二十五号)、民法明治二十九年法律第八十九号)その他の法律による損害賠償の責めに任ずる場合において、この法律による補償を行つたときは、同一の事由については、国は、その価額の限度においてその損害賠償の責めを免れる。

2項

前項の場合において、補償を受けるべき者が、同一の事由につき国家賠償法民法 その他の法律による損害賠償を受けたときは、国は、その価額の限度において補償の義務を免れる。

1項

国は、補償の原因である災害が第三者の行為によつて生じた場合に補償を行つたときは、その価額の限度において、補償を受けた者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。

2項

前項の場合において、 補償を受けるべき者が、当該第三者から 同一の事由につき損害賠償を受けたときは、国は、その価額の限度において補償の義務を免かれる。

1項

職員が離職した場合においても、補償を受ける権利は、影響を受けない。

2項
補償を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることはできない。
1項

職員が公務上の災害 又は通勤による災害を受けた場合においては、実施機関は、 補償を受けるべき者に対して、その者がこの法律によつて 権利を有する旨をすみやかに通知しなければならない。