外国等は、次に掲げるいずれかの方法により、特定の事項 又は事件に関して裁判権に服することについての同意を明示的にした場合には、訴訟手続 その他の裁判所における手続(外国等の有する財産に対する保全処分 及び民事執行の手続を除く。以下 この節において「裁判手続」という。)のうち、当該特定の事項 又は事件に関するものについて、裁判権から免除されない。
外国等に対する我が国の民事裁判権に関する法律
第二節 裁判手続について免除されない場合
当該裁判手続における陳述 又は裁判所 若しくは相手方に対する書面による通知
外国等が特定の事項 又は事件に関して日本国の法令を適用することについて同意したことは、前項の同意と解してはならない。
外国等が次に掲げる行為をした場合には、前条第一項の同意があったものとみなす。
訴えの提起 その他の裁判手続の開始の申立て
裁判手続への参加(裁判権からの免除を主張することを目的とするものを除く。)
裁判手続において異議を述べないで本案についてした弁論 又は申述
前項第二号 及び第三号の規定は、当該外国等がこれらの行為をする前に裁判権から免除される根拠となる事実があることを知ることができなかったやむを得ない事情がある場合であって、当該事実を知った後当該事情を速やかに証明したときには、適用しない。
口頭弁論期日 その他の裁判手続の期日において外国等が出頭しないこと 及び外国等の代表者が証人として出頭したことは、前条第一項の同意と解してはならない。
外国等が訴えを提起した場合 又は当事者として訴訟に参加した場合において、反訴が提起されたときは、当該反訴について、第五条第一項の同意があったものとみなす。
外国等が当該外国等を被告とする訴訟において反訴を提起したときは、本訴について、第五条第一項の同意があったものとみなす。
外国等は、商業的取引(民事 又は商事に係る物品の売買、役務の調達、金銭の貸借 その他の事項についての契約 又は取引(労働契約を除く。)をいう。次項 及び第十六条において同じ。)のうち、当該外国等と当該外国等(国以外のものにあっては、それらが所属する国。以下 この項において同じ。)以外の国の国民 又は当該外国等以外の国 若しくはこれに所属する国等の法令に基づいて設立された法人 その他の団体との間のものに関する裁判手続について、裁判権から免除されない。
前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
当該外国等と当該外国等以外の国等との間の商業的取引である場合
当該商業的取引の当事者が明示的に別段の合意をした場合
外国等は、当該外国等と個人との間の労働契約であって、日本国内において労務の全部 又は一部が提供され、又は提供されるべきものに関する裁判手続について、裁判権から免除されない。
前項の規定は、次に掲げる場合には、適用しない。
当該個人が次に掲げる者である場合
外交関係に関するウィーン条約第一条(e)に規定する外交官
領事関係に関するウィーン条約第一条1(d)に規定する領事官
国際機関に派遣されている常駐の使節団 若しくは特別使節団の外交職員 又は国際会議において当該外国等(国以外のものにあっては、それらが所属する国。以下 この項において同じ。)を代表するために雇用されている者
イからハまでに掲げる者のほか、外交上の免除を享有する者
前号に掲げる場合のほか、当該個人が、当該外国等の安全、外交上の秘密 その他の当該外国等の重大な利益に関する事項に係る任務を遂行するために雇用されている場合
当該個人の採用 又は再雇用の契約の成否に関する訴え 又は申立て(いずれも損害の賠償を求めるものを除く。)である場合
解雇 その他の労働契約の終了の効力に関する訴え 又は申立て(いずれも損害の賠償を求めるものを除く。)であって、当該外国等の元首、政府の長 又は外務大臣によって当該訴え 又は申立てに係る裁判手続が当該外国等の安全保障上の利益を害するおそれがあるとされた場合
訴えの提起 その他の裁判手続の開始の申立てがあった時において、当該個人が当該外国等の国民である場合。
ただし、当該個人が日本国に通常居住するときは、この限りでない。
当該労働契約の当事者間に書面による別段の合意がある場合。
ただし、労働者の保護の見地から、当該労働契約に関する訴え 又は申立てについて日本国の裁判所が管轄権を有しないとするならば、公の秩序に反することとなるときは、この限りでない。
外国等は、人の死亡 若しくは傷害 又は有体物の滅失 若しくは毀損が、当該外国等が責任を負うべきものと主張される行為によって生じた場合において、当該行為の全部 又は一部が日本国内で行われ、かつ、当該行為をした者が当該行為の時に日本国内に所在していたときは、これによって生じた損害 又は損失の金銭によるてん補に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。
外国等は、日本国内にある不動産に係る次に掲げる事項に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。
当該外国等の権利 若しくは利益 又は当該外国等による占有 若しくは使用
当該外国等の権利 若しくは利益 又は当該外国等による占有 若しくは使用から生ずる当該外国等の義務
外国等は、動産 又は不動産について相続 その他の一般承継、贈与 又は無主物の取得によって生ずる当該外国等の権利 又は利益に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。
外国等は、信託財産、破産財団に属する財産、清算中の会社の財産 その他の日本国の裁判所が監督 その他の関与を行う財産の管理 又は処分に係る当該外国等の権利 又は利益に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。
外国等は、次に掲げる事項に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。
当該外国等が有すると主張している知的財産権(知的財産基本法(平成十四年法律第百二十二号)第二条第一項に規定する知的財産に関して日本国の法令により定められた権利 又は日本国の法律上 保護される利益に係る権利をいう。次号において同じ。)の存否、効力、帰属 又は内容
当該外国等が日本国内においてしたものと主張される知的財産権の侵害
外国等は、法人 その他の団体であって次の各号のいずれにも該当するものの社員 その他の構成員である場合には、その資格 又はその資格に基づく権利 若しくは義務に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。
国等 及び国際機関以外の者をその社員 その他の構成員とするものであること。
日本国の法令に基づいて設立されたものであること、又は日本国内に主たる営業所 若しくは事務所を有するものであること。
前項の規定は、当該裁判手続の当事者間に当該外国等が裁判権から免除される旨の書面による合意がある場合 又は当該団体の定款、規約 その他これらに類する規則にその旨の定めがある場合には、適用しない。
船舶を所有し 又は運航する外国等は、当該船舶の運航に関する紛争の原因となる事実が生じた時において当該船舶が政府の非商業的目的以外に使用されていた場合には、当該紛争に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。
前項の規定は、当該船舶が軍艦 又は軍の支援船である場合には、適用しない。
船舶を所有し 又は運航する外国等は、当該船舶による貨物の運送に関する紛争の原因となる事実が生じた時において当該船舶が政府の非商業的目的以外に使用されていた場合には、当該紛争に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。
前項の規定は、当該貨物が、軍艦 若しくは軍の支援船により運送されていたものである場合 又は国等が所有し、かつ、政府の非商業的目的のみに使用され、若しくは使用されることが予定されているものである場合には、適用しない。
外国等は、当該外国等(国以外のものにあっては、それらが所属する国。以下この条において同じ。)以外の国の国民 又は当該外国等以外の国 若しくはこれに所属する国等の法令に基づいて設立された法人 その他の団体との間の商業的取引に係る書面による仲裁合意に関し、当該仲裁合意の存否 若しくは効力 又は当該仲裁合意に基づく仲裁手続に関する裁判手続について、裁判権から免除されない。
ただし、当事者間に書面による別段の合意がある場合は、この限りでない。