暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律

# 平成三年法律第七十七号 #
略称 : 暴対法  暴力団対策法 

第四章 加入の強要の規制その他の規制等

分類 法律
カテゴリ   警察
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和五年法律第七十九号による改正
最終編集日 : 2024年 04月25日 12時16分


第一節 加入の強要の規制等

1項

指定暴力団員は、少年(二十歳未満の者をいう。以下同じ。)に対し指定暴力団等に加入することを強要し、若しくは勧誘し、又は少年が指定暴力団等から脱退することを妨害してはならない。

2項

前項に規定するもののほか、指定暴力団員は、人を威迫して、その者を指定暴力団等に加入することを強要し、若しくは勧誘し、又は その者が指定暴力団等から脱退することを妨害してはならない。

3項

指定暴力団員は、人を威迫して、その者の親族 又は その者が雇用する者 その他のその者と密接な関係を有する者として国家公安委員会規則で定める者(以下 この項 並びに第十八条第一項 及び第二項において「密接関係者」という。)に係る組抜け料等(密接関係者の暴力団からの脱退が容認されること 又は密接関係者に対する暴力団への加入の強要 若しくは勧誘をやめることの代償として支払われる金品等をいう。)を支払うこと 又は密接関係者の住所 若しくは居所の教示 その他密接関係者に係る情報の提供をすることを強要し、又は勧誘すること その他密接関係者を指定暴力団等に加入させ、又は密接関係者が指定暴力団等から脱退することを妨害するための行為として国家公安委員会規則で定めるものをしてはならない。

1項

指定暴力団員は、その配下指定暴力団員(指定暴力団員が その所属する指定暴力団等の活動に係る事項について他の指定暴力団員に指示 又は命令をすることができる場合における当該 他の指定暴力団員をいう。以下同じ。)に対して前条の規定に違反する行為をすることを命じ、又は その配下指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助長する行為をしてはならない。

2項

前項に規定するもののほか、指定暴力団員は、他の指定暴力団員に対して前条の規定に違反する行為をすることを依頼し、若しくは唆し、又は他の指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助けてはならない。

1項

公安委員会は、指定暴力団員が第十六条の規定に違反する行為をしており、その相手方が困惑していると認める場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項(当該行為が同条第三項の規定に違反する行為であるときは、当該行為に係る密接関係者が指定暴力団等に加入させられ、又は指定暴力団等から脱退することを妨害されることを防止するために必要な事項を含む。)を命ずることができる。

2項

公安委員会は、指定暴力団員が第十六条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、同条第一項 若しくは第二項の規定に違反する行為の相手方 若しくは同条第三項の規定に違反する行為に係る密接関係者を指定暴力団等に加入することを強要し、若しくは勧誘し、又は これらの者が当該指定暴力団等から脱退することを妨害することを防止するために必要な事項を命ずることができる。

3項

公安委員会は、指定暴力団員が第十六条第一項の規定に違反する行為をし、かつ、当該行為に係る少年が 当該指定暴力団等に加入し、又は当該指定暴力団等から脱退しなかった場合において、加入し、若しくは脱退しなかったことが当該少年の意思に反していると認められ、又は当該少年の保護者が当該少年の脱退を求めているときは、当該指定暴力団員に対し、当該少年を当該指定暴力団等から脱退させるために必要な事項を命ずることができる。

1項

公安委員会は、指定暴力団員が第十七条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、その配下指定暴力団員に対して第十六条の規定に違反する行為をすることを命ずること 若しくは その配下指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助長する行為をすることを防止するために必要な事項 又は 他の指定暴力団員に対して同条の規定に違反する行為をすることを依頼し、若しくは唆すこと 若しくは 他の指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助けることを防止するために必要な事項を命ずることができる。

1項

指定暴力団員は、他の指定暴力団員に対して指詰め暴力団員が、その所属する暴力団の統制に反する行為をしたことに対する謝罪 又は その所属する暴力団からの脱退が容認されることの代償として その他これらに類する趣旨で、その手指の全部 又は一部を自ら切り落とすことをいう。以下 この条 及び第二十二条第二項において同じ。)をすることを強要し、若しくは勧誘し、又は指詰めに使用する器具の提供 その他の行為により他の指定暴力団員が指詰めをすることを補助してはならない。

1項

指定暴力団員は、その配下指定暴力団員に対して前条の規定に違反する行為をすることを命じ、又は その配下指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助長する行為をしてはならない。

2項

前項に規定するもののほか、指定暴力団員は、他の指定暴力団員に対して前条の規定に違反する行為をすることを依頼し、若しくは唆し、又は 他の指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助けてはならない。

1項

公安委員会は、指定暴力団員が第二十条の規定に違反する行為をしている場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。

2項

公安委員会は、指定暴力団員が第二十条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、他の指定暴力団員に対して指詰めをすることを強要し、若しくは勧誘すること 又は指詰めに使用する器具の提供 その他の行為により他の指定暴力団員が指詰めをすることを補助することを防止するために必要な事項を命ずることができる。

1項

公安委員会は、指定暴力団員が第二十一条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、その配下指定暴力団員に対して第二十条の規定に違反する行為をすることを命ずること 若しくは その配下指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助長する行為をすることを防止するために必要な事項 又は 他の指定暴力団員に対して同条の規定に違反する行為をすることを依頼し、若しくは唆すこと 若しくは 他の指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助けることを防止するために必要な事項を命ずることができる。

1項

指定暴力団員は、少年に対して入れ墨を施し、少年に対して入れ墨を受けることを強要し、若しくは勧誘し、又は資金の提供、施術のあっせん その他の行為により少年が入れ墨を受けることを補助してはならない。

1項

指定暴力団員は、他の指定暴力団員に対して前条の規定に違反する行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆し、又は 他の指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助けてはならない。

1項

公安委員会は、指定暴力団員が第二十四条の規定に違反する行為をしており、かつ、当該行為に係る少年が困惑していると認め、又は当該行為が当該少年の保護者の意思に反していると認める場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。

2項

公安委員会は、指定暴力団員が第二十四条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、少年に対して入れ墨を施すこと、少年に対して入れ墨を受けることを強要し、若しくは勧誘すること 又は資金の提供、施術のあっせん その他の行為により少年が入れ墨を受けることを補助することを防止するために必要な事項を命ずることができる。

1項

公安委員会は、指定暴力団員が第二十五条の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、他の指定暴力団員に対して第二十四条の規定に違反する行為をすることを要求し、依頼し、若しくは唆すこと 又は 他の指定暴力団員が同条の規定に違反する行為をすることを助けることを防止するために必要な事項を命ずることができる。

1項

公安委員会は、暴力団から離脱する意志を有する者(以下 この条において「離脱希望者」という。)その他関係者を対象として、離脱希望者を就業環境に円滑に適応させることの促進、離脱希望者が暴力団から脱退することを妨害する行為の予防 及び離脱希望者に対する補導 その他の援護 その他離脱希望者の暴力団からの離脱と社会経済活動への参加を確保するために必要な措置を講ずるものとする。

2項

公安委員会は、暴力団から離脱した者が就職等を通じて社会経済活動に参加することの重要性について住民 及び事業者の関心を高め、並びに暴力団から離脱した者に対する援護に関する思想を普及するための啓発を広く行うものとする。

3項

公安委員会は、第一項の措置を実施するため必要な限度において、離脱希望者の状況について、第三十二条の三第一項の規定により指定した都道府県暴力追放運動推進センターから報告を求めることができる。

第二節 事務所等における禁止行為等

1項

指定暴力団員は、次に掲げる行為をしてはならない。

一 号

指定暴力団等の事務所(以下 この条 及び第三十三条第一項において単に「事務所」という。)の外周に、又は外部から見通すことができる状態にして その内部に、付近の住民 又は通行人に不安を覚えさせるおそれがある表示 又は物品として国家公安委員会規則で定めるものを掲示し、又は設置すること。

二 号

事務所 又は その周辺において、著しく粗野 若しくは乱暴な言動を行い、又は威勢を示すことにより、付近の住民 又は通行人に不安を覚えさせること。

三 号

人に対し、債務の履行 その他の国家公安委員会規則で定める用務を行う場所として、事務所を用いることを強要すること。

1項

公安委員会は、指定暴力団員が前条の規定に違反する行為をしており、付近の住民 若しくは通行人 又は当該行為の相手方の生活の平穏 又は業務の遂行の平穏が害されていると認める場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。

第三節 損害賠償請求等の妨害の規制

1項

指定暴力団員は、次に掲げる請求を、当該請求をし、又はしようとする者(以下 この条において「請求者」という。)を威迫し、請求者 又は その配偶者、直系 若しくは同居の親族 その他の請求者と社会生活において密接な関係を有する者として国家公安委員会規則で定める者(第三十条の四 及び第三十条の五第一項第三号から 第五号までにおいて「配偶者等」という。)につきまとい、その他 請求者に不安を覚えさせるような方法で、妨害してはならない。

一 号

当該指定暴力団員 その他の当該指定暴力団員の所属する指定暴力団等の指定暴力団員がした不法行為により被害を受けた者が当該不法行為をした指定暴力団員 その他の当該被害の回復について責任を負うべき当該指定暴力団等の指定暴力団員に対してする損害賠償請求 その他の当該被害を回復するための請求

二 号

当該指定暴力団員の所属する指定暴力団等の事務所(事務所とするために整備中の施設 又は施設の区画された部分を含む。以下 この号第三十二条の三第一項第二号 及び第二項第六号 並びに第三十二条の四第一項 及び第二項において同じ。)の付近の住民 その他の者で当該事務所 若しくは その周辺における当該指定暴力団等の指定暴力団員の行為により その生活の平穏 若しくは業務の遂行の平穏が害されているもの 又は当該事務所の用に供されている建物 若しくは土地(以下 この号において「建物等」という。)の所有権 その他当該建物等につき使用 若しくは収益をする権利 若しくは当該建物等に係る担保権を有する者で当該指定暴力団等の指定暴力団員の行為により当該権利を害されているものが当該事務所に係る管理者に対してする当該行為の停止 又は当該事務所の使用の差止めの請求 その他 当該事務所を当該指定暴力団等の指定暴力団員に使用させないこととするための請求

1項

公安委員会は、指定暴力団員が前条の規定に違反する行為をしている場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。

1項

公安委員会は、第三十条の二各号に掲げる請求が行われた場合において、当該請求の相手方である指定暴力団員が当該請求に係る請求者 又は その配偶者等の生命、身体 又は財産に危害を加える方法で同条の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、同条の規定に違反する行為を防止するために必要な事項を命ずることができる。

第四節 暴力行為の賞揚等の規制

1項

公安委員会は、指定暴力団員が 次の各号いずれかに該当する暴力行為を敢行し、刑に処せられた場合において、当該指定暴力団員の所属する指定暴力団等の 他の指定暴力団員が、当該暴力行為の敢行を賞揚し、又は慰労する目的で、当該指定暴力団員に対し金品等の供与をするおそれがあると認めるときは、当該 他の指定暴力団員 又は当該指定暴力団員に対し、期間を定めて、当該金品等の供与をしてはならず、又は これを受けてはならない旨を命ずることができる。


ただし、当該命令の期間の終期は、当該刑の執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から五年を経過する日を超えてはならない。

一 号

当該指定暴力団等と他の指定暴力団等との間に対立が生じ、これにより当該 他の指定暴力団等の事務所 又は指定暴力団員 若しくは その居宅に対する凶器を使用した暴力行為が発生した場合における当該暴力行為

二 号

当該指定暴力団等に所属する指定暴力団員の集団の相互間に対立が生じ、これにより当該対立に係る指定暴力団等の事務所(その管理者が当該対立に係る集団に所属しているものに限る)又は当該対立に係る集団に所属する指定暴力団員 若しくは その居宅に対する凶器を使用した暴力行為が発生した場合における当該暴力行為

三 号

当該指定暴力団等の指定暴力団員がした暴力的要求行為を その相手方が拒絶した場合において、これに報復し、又は当該相手方を当該暴力的要求行為に応じさせる目的で、当該相手方 又は その配偶者等に対してする暴力行為

四 号

当該指定暴力団等の指定暴力団員がした第十二条の三の規定に違反する行為に係る準暴力的要求行為を その相手方が拒絶した場合において、これに報復し、又は当該相手方を当該準暴力的要求行為に応じさせる目的で、当該相手方 又は その配偶者等に対してする暴力行為

五 号

第三十条の二各号に掲げる請求を妨害する目的 又は当該請求がされたことに報復する目的で、当該請求をし、若しくはしようとする者 又は その配偶者等に対してする暴力行為

2項

公安委員会は、前項の規定による命令をした場合において、当該命令の期間を経過する前に同項に規定するおそれがないと認められるに至ったときは、速やかに、当該命令を取り消さなければならない。

第五節 縄張に係る禁止行為等

1項

指定暴力団員は、その者の所属する指定暴力団等 又は その系列上位指定暴力団等の指定暴力団員の縄張内で営業を営む者のために、次に掲げる行為をしてはならない。


当該行為をすることを その営業を営む者 又は その代理人、使用人 その他の従業者と約束することについても、同様とする。

一 号

用心棒の役務を提供すること。

二 号

訪問する方法により、当該営業に係る商品を販売する契約 又は当該営業に係る役務を有償で提供する契約の締結について勧誘をすること。

三 号

面会する方法により、当該営業によって生じた債権で履行期限を経過しても なおその全部 又は一部が履行されていないものの取立てをすること。

2項

営業を営む者 又は その代理人、使用人 その他の従業者(次条第四項において「営業を営む者等」という。)は、指定暴力団員に対し、前項前段の規定に違反する行為をすることを要求し、依頼し、又は唆してはならない。


同項後段に規定する約束の相手方となることについても、同様とする。

1項

公安委員会は、指定暴力団員が前条第一項前段の規定に違反する行為をしている場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為を中止することを命じ、又は当該行為が中止されることを確保するために必要な事項を命ずることができる。

2項

公安委員会は、指定暴力団員が前条第一項後段の規定に違反する行為をした場合には、当該指定暴力団員に対し、当該行為に係る同項各号に掲げる行為を防止するために必要な事項を命ずることができる。

3項

公安委員会は、指定暴力団員が前条第一項の規定に違反する行為をした場合において、当該指定暴力団員が更に反復して当該行為と類似の同項の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該指定暴力団員に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、同項の規定に違反する行為が行われることを防止するために必要な事項を命ずることができる。

4項

公安委員会は、営業を営む者等が前条第二項の規定に違反する行為をした場合において、当該営業を営む者等が更に反復して当該行為と類似の同項の規定に違反する行為をするおそれがあると認めるときは、当該営業を営む者等に対し、一年を超えない範囲内で期間を定めて、同項の規定に違反する行為が行われることを防止するために必要な事項を命ずることができる。