更生保護法

# 平成十九年法律第八十八号 #

第一節 通則

分類 法律
カテゴリ   刑事
@ 施行日 : 令和六年四月一日 ( 2024年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第五十二号による改正
最終編集日 : 2024年 04月28日 00時28分


1項

次に掲げる者(以下「保護観察対象者」という。)に対する保護観察の実施については、この章の定めるところによる。

一 号

少年法第二十四条第一項第一号 又は第六十四条第一項第一号 若しくは第二号の保護処分に付されている者(以下「保護観察処分少年」という。

二 号

少年院からの仮退院を許されて第四十二条において準用する第四十条の規定により保護観察に付されている者(以下「少年院仮退院者」という。

三 号

仮釈放を許されて第四十条の規定により保護観察に付されている者(以下「仮釈放者」という。

四 号

刑法第二十五条の二第一項 若しくは第二十七条の三第一項 又は薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律平成二十五年法律第五十号第四条第一項の規定により保護観察に付されている者(以下「保護観察付執行猶予者」という。

1項

保護観察は、保護観察対象者の改善更生を図ることを目的として、その犯罪 又は非行に結び付く要因 及び改善更生に資する事項を的確に把握しつつ、第五十七条 及び第六十五条の三第一項に規定する指導監督 並びに第五十八条に規定する補導援護を行うことにより実施するものとする。

2項

保護観察処分少年 又は少年院仮退院者に対する保護観察は、保護処分の趣旨を踏まえ、その者の健全な育成を期して実施しなければならない。

3項

保護観察所の長は、保護観察を適切に実施するため、保護観察対象者の改善更生に資する援助を行う関係機関等に対し第三十条の規定により必要な情報の提供を求めるなどして、当該関係機関等との間の緊密な連携の確保に努めるものとする。

1項

保護観察対象者は、次に掲げる事項(以下「一般遵守事項」という。)を遵守しなければならない。

一 号

再び犯罪をすることがないよう、又は非行をなくすよう健全な生活態度を保持すること。

二 号

次に掲げる事項を守り、保護観察官 及び保護司による指導監督を誠実に受けること。

保護観察官 又は保護司の呼出し 又は訪問を受けたときは、これに応じ、面接を受けること。

保護観察官 又は保護司から、労働 又は通学の状況、収入 又は支出の状況、家庭環境、交友関係 その他の生活の実態を示す事実であって指導監督を行うため把握すべきものを明らかにするよう求められたときは、これに応じ、その事実を申告し、又はこれに関する資料を提示すること。

保護観察官 又は保護司から、健全な生活態度を保持するために実行し、又は継続している行動の状況、特定の犯罪的傾向を改善するための専門的な援助を受けることに関してとった行動の状況、被害者等の被害を回復し、又は軽減するためにとった行動の状況その他の行動の状況を示す事実であって指導監督を行うため把握すべきものを明らかにするよう求められたときは、これに応じ、その事実を申告し、又はこれに関する資料を提示すること。

三 号

保護観察に付されたときは、速やかに、住居を定め、その地を管轄する保護観察所の長にその届出をすること(第三十九条第三項第四十二条において準用する場合を含む。次号において同じ。)又は第七十八条の二第一項の規定により住居を特定された場合 及び次条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定められた場合を除く)。

四 号

前号の届出に係る住居(第三十九条第三項第四十二条 及び第四十七条の三において準用する場合を含む。)又は第六十八条の七第一項第七十八条の二第一項において準用する場合を含む。)の規定により住居を特定された場合には当該住居、次号の転居の許可を受けた場合には当該許可に係る住居)に居住すること(次条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定められた場合を除く)。

五 号

転居(第四十七条の二の決定 又は少年法第六十四条第二項の規定により定められた期間(以下「収容可能期間」という。)の満了により釈放された場合に前号の規定により居住することとされている住居に転居する場合を除く)又は七日以上の旅行をするときは、あらかじめ、保護観察所の長の許可を受けること。

2項

刑法第二十七条の三第一項 又は薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律第四条第一項の規定により保護観察に付する旨の言渡しを受けた者(以下「保護観察付一部猶予者」という。)が仮釈放中の保護観察に引き続きこれらの規定による保護観察に付されたときは、第七十八条の二第一項において準用する第六十八条の七第一項の規定により住居を特定された場合 及び次条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定められた場合を除き、仮釈放中の保護観察の終了時に居住することとされていた前項第三号の届出に係る住居(第三十九条第三項の規定により住居を特定された場合には当該住居、前項第五号の転居の許可を受けた場合には当該許可に係る住居)につき、同項第三号の届出をしたものとみなす。

1項

保護観察対象者は、一般遵守事項のほか、遵守すべき特別の事項(以下「特別遵守事項」という。)が定められたときは、これを遵守しなければならない。

2項

特別遵守事項は、次条に定める場合を除き第五十二条の定めるところにより、これに違反した場合に第七十二条第一項 及び第七十三条の二第一項刑法第二十六条の二第二十七条の五 及び第二十九条第一項 並びに少年法第二十六条の四第一項 及び第六十六条第一項に規定する処分がされることがあることを踏まえ、次に掲げる事項について、保護観察対象者の改善更生のために特に必要と認められる範囲内において、具体的に定めるものとする。

一 号

犯罪性のある者との交際、いかがわしい場所への出入り、遊興による浪費、過度の飲酒 その他の犯罪 又は非行に結び付くおそれのある特定の行動をしてはならないこと。

二 号

労働に従事すること、通学すること その他の再び犯罪をすることがなく 又は非行のない健全な生活態度を保持するために必要と認められる特定の行動を実行し、又は継続すること。

三 号

七日未満の旅行、離職、身分関係の異動 その他の指導監督を行うため事前に把握しておくことが特に重要と認められる生活上又は身分上の特定の事項について、緊急の場合を除きあらかじめ、保護観察官 又は保護司に申告すること。

四 号

医学、心理学、教育学、社会学 その他の専門的知識に基づく特定の犯罪的傾向を改善するための体系化された手順による処遇として法務大臣が定めるものを受けること。

五 号

法務大臣が指定する施設、保護観察対象者を監護すべき者の居宅 その他の改善更生のために適当と認められる特定の場所であって、宿泊の用に供されるものに一定の期間宿泊して指導監督を受けること。

六 号

善良な社会の一員としての意識の涵養 及び規範意識の向上に資する地域社会の利益の増進に寄与する社会的活動を一定の時間行うこと。

七 号

更生保護事業法平成七年法律第八十六号)の規定により更生保護事業を営む者 その他の適当な者が行う特定の犯罪的傾向を改善するための専門的な援助であって法務大臣が定める基準に適合するものを受けること。

八 号
その他指導監督を行うため特に必要な事項
1項

薬物使用等の罪を犯した者に対する刑の一部の執行猶予に関する法律第四条第一項の規定により保護観察に付する旨の言渡しを受けた者については、次条第四項の定めるところにより、規制薬物等(同法第二条第一項に規定する規制薬物等をいう。以下同じ。)の使用を反復する犯罪的傾向を改善するための前条第二項第四号に規定する処遇を受けることを猶予期間中の保護観察における特別遵守事項として定めなければならない。


ただし、これに違反した場合に刑法第二十七条の五に規定する処分がされることがあることを踏まえ、その改善更生のために特に必要とは認められないときは、この限りでない。

2項

第四項の場合を除き前項の規定により定められた猶予期間中の保護観察における特別遵守事項を刑法第二十七条の二の規定による猶予の期間の開始までの間に取り消す場合における第五十三条第四項の規定の適用については、

同項
必要」とあるのは、
「特に必要」と

する。

3項

第一項の規定は、同項に規定する者について、次条第二項 及び第三項の定めるところにより仮釈放中の保護観察における特別遵守事項を釈放の時までに定める場合に準用する。


この場合において、

第一項ただし書
第二十七条の五」とあるのは、
第二十九条第一項」と

読み替えるものとする。

4項

第一項に規定する者について、仮釈放を許す旨の決定をした場合においては、前項の規定による仮釈放中の保護観察における特別遵守事項の設定 及び第一項の規定による猶予期間中の保護観察における特別遵守事項の設定は、釈放の時までに行うものとする。

5項

前項の場合において、第三項において準用する第一項の規定により定められた仮釈放中の保護観察における特別遵守事項を釈放までの間に取り消す場合における第五十三条第二項の規定の適用については、

同項
必要」とあるのは、
「特に必要」とし、

第一項の規定により定められた猶予期間中の保護観察における特別遵守事項を釈放までの間に取り消す場合における同条第四項の規定の適用については、

同項
刑法第二十七条の二の規定による猶予の期間の開始までの間に、必要」とあるのは、
「釈放までの間に、特に必要」と

する。

1項

保護観察所の長は、保護観察処分少年について、法務省令で定めるところにより、少年法第二十四条第一項第一号 又は第六十四条第一項第一号 若しくは第二号の保護処分をした家庭裁判所の意見を聴き、これに基づいて、特別遵守事項を定めることができる。


これを変更するときも、同様とする。

2項

地方委員会は、少年院仮退院者 又は仮釈放者について、保護観察所の長の申出により、法務省令で定めるところにより、決定をもって、特別遵守事項を定めることができる。


保護観察所の長の申出により、これを変更するときも、同様とする。

3項

前項の場合において、少年院からの仮退院 又は仮釈放を許す旨の決定による釈放の時までに特別遵守事項を定め、又は変更するときは、保護観察所の長の申出を要しないものとする。

4項

地方委員会は、保護観察付一部猶予者について、刑法第二十七条の二の規定による猶予の期間の開始の時までに、法務省令で定めるところにより、決定をもって、特別遵守事項(猶予期間中の保護観察における特別遵守事項に限る。以下この項 及び次条第四項において同じ。)を定め、又は変更することができる。


この場合において、仮釈放中の保護観察付一部猶予者について、特別遵守事項を定め、又は変更するときは、保護観察所の長の申出によらなければならない。

5項

保護観察所の長は、刑法第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付されている保護観察付執行猶予者について、その保護観察の開始に際し、法務省令で定めるところにより、同項の規定により保護観察に付する旨の言渡しをした裁判所の意見を聴き、これに基づいて、特別遵守事項を定めることができる。

6項

保護観察所の長は、前項の場合のほか、保護観察付執行猶予者について、法務省令で定めるところにより、当該保護観察所の所在地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所 又は簡易裁判所に対し、定めようとする 又は変更しようとする特別遵守事項の内容を示すとともに、必要な資料を提示して、その意見を聴いた上、特別遵守事項を定め、又は変更することができる。


ただし、当該裁判所が不相当とする旨の意見を述べたものについては、この限りでない。

1項

保護観察所の長は、保護観察処分少年 又は保護観察付執行猶予者について定められている特別遵守事項(遵守すべき期間が定められている特別遵守事項であって当該期間が満了したものその他その性質上一定の事実が生ずるまでの間遵守すべきこととされる特別遵守事項であって当該事実が生じたものを除く。以下この条において同じ。)につき、必要がなくなったと認めるときは、法務省令で定めるところにより、これを取り消すものとする。

2項

地方委員会は、保護観察所の長の申出により、少年院仮退院者 又は仮釈放者について定められている特別遵守事項につき、必要がなくなったと認めるときは、法務省令で定めるところにより、決定をもって、これを取り消すものとする。

3項

前条第三項の規定は、前項の規定により特別遵守事項を取り消す場合について準用する。

4項

地方委員会は、保護観察付一部猶予者について定められている特別遵守事項につき、刑法第二十七条の二の規定による猶予の期間の開始までの間に、必要がなくなったと認めるときは、法務省令で定めるところにより、決定をもって、これを取り消すものとする。


この場合において、仮釈放中の保護観察付一部猶予者について定められている特別遵守事項を取り消すときは、保護観察所の長の申出によらなければならない。

1項

保護観察所の長は、少年法第二十四条第一項第一号 若しくは第六十四条第一項第一号 若しくは第二号保護処分があったとき 又は刑法第二十五条の二第一項の規定により保護観察に付する旨の言渡しがあったときは、法務省令で定めるところにより、保護観察処分少年 又は保護観察付執行猶予者に対し、一般遵守事項の内容を記載した書面を交付しなければならない。

2項

刑事施設の長 又は少年院の長は、第三十九条第一項の決定により懲役 若しくは禁錮の刑の執行のため収容している者を釈放するとき、刑の一部の執行猶予の言渡しを受けてその刑のうち執行が猶予されなかった部分の期間の執行を終わり、若しくはその執行を受けることがなくなったこと(その執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなった時に他に執行すべき懲役 又は禁錮の刑があるときは、その刑の執行を終わり、又はその執行を受けることがなくなったこと。次条第二項において同じ。)により保護観察付一部猶予者を釈放するとき、又は第四十一条 若しくは第四十七条の二の決定 若しくは収容可能期間の満了により保護処分の執行のため収容している者を釈放するときは、法務省令で定めるところにより、その者に対し、一般遵守事項の内容を記載した書面を交付しなければならない。

1項

刑事施設の長 又は少年院の長は、懲役 若しくは禁錮の刑の執行のため収容している者について第三十九条第一項の決定による釈放の時までに特別遵守事項(その者が保護観察付一部猶予者である場合には、猶予期間中の保護観察における特別遵守事項を含む。)が定められたとき、保護観察付一部猶予者についてその刑のうち執行が猶予されなかった部分の期間の執行を終わり、若しくはその執行を受けることがなくなったことによる釈放の時までに特別遵守事項が定められたとき、又は保護処分の執行のため収容している者について第四十一条の決定による釈放の時までに特別遵守事項が定められたとき、若しくは第四十七条の二の決定 若しくは収容可能期間の満了による釈放の時までに特別遵守事項が定められたときは、法務省令で定めるところにより、その釈放の時に当該特別遵守事項(釈放の時までに変更された場合には、変更後のもの)の内容を記載した書面を交付しなければならない。


ただし、その釈放の時までに当該特別遵守事項が取り消されたときは、この限りでない。

2項

刑事施設の長 又は少年院の長は、懲役 若しくは禁錮の刑の執行のため収容している者について第三十九条第一項の決定による釈放の時までに特別遵守事項(その者が保護観察付一部猶予者である場合には、猶予期間中の保護観察における特別遵守事項を含む。)が定められたとき、保護観察付一部猶予者についてその刑のうち執行が猶予されなかった部分の期間の執行を終わり、若しくはその執行を受けることがなくなったことによる釈放の時までに特別遵守事項が定められたとき、又は保護処分の執行のため収容している者について第四十一条の決定による釈放の時までに特別遵守事項が定められたときは、法務省令で定めるところにより、その釈放の時に当該特別遵守事項(釈放の時までに変更された場合には、変更後のもの)の内容を記載した書面を交付しなければならない。


ただし、その釈放の時までに当該特別遵守事項が取り消されたときは、この限りでない。

1項

保護観察所の長は、保護観察対象者について、保護観察における指導監督を適切に行うため必要があると認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該保護観察対象者の改善更生に資する生活 又は行動の指針(以下「生活行動指針」という。)を定めることができる。

2項

保護観察所の長は、前項の規定により生活行動指針を定めたときは、法務省令で定めるところにより、保護観察対象者に対し、当該生活行動指針の内容を記載した書面を交付しなければならない。

3項

保護観察対象者は、第一項の規定により生活行動指針が定められたときは、これに即して生活し、及び行動するよう努めなければならない。

1項

保護観察における指導監督は、次に掲げる方法によって行うものとする。

一 号

面接 その他の適当な方法により保護観察対象者と接触を保ち、その行状を把握すること。

二 号

保護観察対象者が一般遵守事項 及び特別遵守事項(以下「遵守事項」という。)を遵守し、並びに生活行動指針に即して生活し、及び行動するよう、必要な指示 その他の措置をとること(第四号に定めるものを除く)。

三 号

特定の犯罪的傾向を改善するための専門的処遇を実施すること。

四 号
保護観察対象者が、更生保護事業法の規定により更生保護事業を営む者 その他の適当な者が行う特定の犯罪的傾向を改善するための専門的な援助であって法務大臣が定める基準に適合するものを受けるよう、必要な指示 その他の措置をとること。
五 号
保護観察対象者が、当該保護観察対象者が刑 又は保護処分を言い渡される理由となった犯罪 又は刑罰法令に触れる行為に係る被害者等の被害の回復 又は軽減に誠実に努めるよう、必要な指示 その他の措置をとること。
2項

保護観察所の長は、前項の指導監督を適切に行うため特に必要があると認めるときは、保護観察対象者に対し、当該指導監督に適した宿泊場所を供与することができる。

3項

保護観察所の長は、第一項第四号に規定する措置をとろうとするときは、あらかじめ同号に規定する援助を受けることが保護観察対象者の意思に反しないことを確認するとともに、当該援助を提供することについて、これを行う者に協議しなければならない。


ただし第五十一条第二項第七号の規定により当該援助を受けることを特別遵守事項として定めている場合は、保護観察対象者の意思に反しないことを確認することを要しない。

4項

保護観察所の長は、第一項第四号に規定する措置をとったときは、同号に規定する援助の状況を把握するとともに、当該援助を行う者と必要な協議を行うものとする。

5項

第五十一条第二項第四号に規定する処遇を受けることを特別遵守事項として定められた保護観察対象者について、第一項第四号に規定する措置をとったときは、当該処遇は、当該保護観察対象者が受けた同号に規定する援助の内容に応じ、その処遇の一部を受け終わったものとして実施することができる。

6項

保護観察所の長は、第一項第五号に規定する措置をとる場合において、第三十八条第三項の規定により同項に規定する事項が通知され 又は第六十五条第一項の規定により同項に規定する心情等を聴取したときは、当該通知された事項 又は当該聴取した心情等を踏まえるものとする。

1項

保護観察における補導援護は、保護観察対象者が自立した生活を営むことができるようにするため、その自助の責任を踏まえつつ、次に掲げる方法によって行うものとする。

一 号

適切な住居 その他の宿泊場所を得ること 及び当該宿泊場所に帰住することを助けること。

二 号

医療 及び療養を受けることを助けること。

三 号

職業を補導し、及び就職を助けること。

四 号

教養訓練の手段を得ることを助けること。

五 号

生活環境を改善し、及び調整すること。

六 号

社会生活に適応させるために必要な生活指導を行うこと。

七 号

前各号に掲げるもののほか、保護観察対象者が健全な社会生活を営むために必要な助言 その他の措置をとること。

1項

保護観察所の長は、必要があると認めるときは、保護観察に付されている少年(少年法第二条第一項に規定する少年であって、保護観察処分少年 又は少年院仮退院者に限る)の保護者(同条第二項に規定する保護者をいう。)に対し、その少年の監護に関する責任を自覚させ、その改善更生に資するため、指導、助言 その他の適当な措置をとることができる。

1項

保護観察は、保護観察対象者の居住地(住居がないか、又は明らかでないときは、現在地 又は明らかである最後の居住地 若しくは所在地)を管轄する保護観察所がつかさどる。

1項

保護観察における指導監督 及び補導援護は、保護観察対象者の特性、とるべき措置の内容 その他の事情を勘案し、保護観察官 又は保護司をして行わせるものとする。

2項

前項の補導援護は、保護観察対象者の改善更生を図るため有効かつ適切であると認められる場合には、更生保護事業法の規定により更生保護事業を営む者 その他の適当な者に委託して行うことができる。

1項

保護観察所の長は、保護観察対象者が、適切な医療、食事、住居 その他の健全な社会生活を営むために必要な手段を得ることができないため、その改善更生が妨げられるおそれがある場合には、当該保護観察対象者が公共の衛生福祉に関する機関 その他の機関からその目的の範囲内で必要な応急の救護を得られるよう、これを援護しなければならない。

2項

前項の規定による援護によっては必要な応急の救護が得られない場合には、保護観察所の長は、予算の範囲内で、自らその救護を行うものとする。

3項

前項の救護は、更生保護事業法の規定により更生保護事業を営む者 その他の適当な者に委託して行うことができる。

4項

保護観察所の長は、第一項 又は第二項の規定による措置をとるに当たっては、保護観察対象者の自助の責任の自覚を損なわないよう配慮しなければならない。

1項

地方委員会 又は保護観察所の長は、その職務を行うため必要があると認めるときは、保護観察対象者に対し、出頭を命ずることができる。

2項

保護観察所の長は、保護観察対象者について、次の各号いずれかに該当すると認める場合には、裁判官のあらかじめ発する引致状により、当該保護観察対象者を引致することができる。

一 号

正当な理由がないのに、第五十条第一項第四号に規定する住居に居住しないとき(第五十一条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定められた場合には、当該場所に宿泊しないとき)。

二 号

遵守事項を遵守しなかったことを疑うに足りる十分な理由があり、かつ、正当な理由がないのに、前項の規定による出頭の命令に応ぜず、又は応じないおそれがあるとき。

3項

地方委員会は、少年院仮退院者 又は仮釈放者について前項各号いずれかに該当すると認める場合には、裁判官のあらかじめ発する引致状により、当該少年院仮退院者 又は仮釈放者を引致することができる。

4項

第二項の引致状は保護観察所の長の請求により、前項の引致状は地方委員会の請求により、その所在地を管轄する地方裁判所、家庭裁判所 又は簡易裁判所の裁判官が発する。

5項

第二項 又は第三項の引致状は、判事補が一人で発することができる。

6項

第二項 又は第三項の引致状は、保護観察官に執行させるものとする。


ただし、保護観察官に執行させることが困難であるときは、警察官にその執行を嘱託することができる。

7項

刑事訴訟法昭和二十三年法律第百三十一号第六十四条第七十三条第一項前段 及び第三項第七十四条 並びに第七十六条第一項本文 及び第三項の規定(勾引に関する部分に限る)は、第二項 又は第三項の引致状 及びこれらの規定による保護観察対象者の引致について準用する。


この場合において、

同法第六十四条第一項
罪名、公訴事実の要旨」とあり、
同法第七十三条第三項
公訴事実の要旨」とあり、
及び同法第七十六条第一項本文中
公訴事実の要旨 及び弁護人を選任することができる旨 並びに貧困 その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨」とあるのは
「引致の理由」と、

同法第六十四条第一項
裁判長 又は受命裁判官」とあるのは
「裁判官」と、

同法第七十四条
刑事施設」とあるのは
「刑事施設 又は少年鑑別所」と、

同法第七十六条第三項
告知 及び前項の教示」とあるのは
「告知」と、

合議体の構成員 又は裁判所書記官」とあるのは
「地方更生保護委員会が引致した場合においては委員 又は保護観察官、保護観察所の長が引致した場合においては保護観察官」と

読み替えるものとする。

8項

第二項 又は第三項の引致状により引致された者については、引致すべき場所に引致された時から二十四時間以内に釈放しなければならない。


ただし、その時間内に第六十八条の三第一項第七十三条第一項第七十三条の四第一項第七十六条第一項 又は第八十条第一項の規定によりその者が留置されたときは、この限りでない。

9項

地方委員会が行う第一項の規定による命令、第三項の規定による引致に係る判断 及び前項本文の規定による釈放に係る判断は、三人の委員をもって構成する合議体(第七十一条の規定による申請、第七十三条の二第一項の決定 又は第七十五条第一項の決定をするか否かに関する審理の開始後においては、当該審理を担当する合議体)で行う。


ただし前項本文の規定による釈放に係る地方委員会の判断については、急速を要するときは、あらかじめ地方委員会が指名する一人の委員で行うことができる。

10項

第十三条第二十三条第三項 並びに第二十五条第一項 及び第二項の規定は前項に規定する措置のための合議体 又は委員による調査について、第二十三条第二項の規定は前項の合議体の議事について、それぞれ準用する。


この場合において、

第十三条
、地方更生保護委員会 及び保護観察所の長」とあるのは、
「及び保護観察所の長」と

読み替えるものとする。

1項

保護観察所の長は、保護観察のための調査において、必要があると認めるときは、関係人に対し、質問をし、及び資料の提示を求めることができる。

2項

前項の規定による質問 及び資料の提示の求めは、保護観察官 又は保護司をして行わせるものとする。

3項

第二十五条第二項の規定は、第一項の規定による質問 及び資料の提示の求めについて準用する。

1項

保護観察所の長は、法務省令で定めるところにより、保護観察対象者が刑 又は保護処分を言い渡される理由となった犯罪 又は刑罰法令に触れる行為に係る被害者等から、被害に関する心情、当該被害者等の置かれている状況 又は保護観察対象者の生活 若しくは行動に関する意見(以下この条において「心情等」という。)を述べたい旨の申出があったときは、当該心情等を聴取するものとする。


ただし、当該被害に係る事件の性質 その他の事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。

2項

保護観察所の長は、法務省令で定めるところにより、保護観察対象者について、前項の被害者等から、同項の規定により聴取した心情等の伝達の申出があったときは、当該保護観察対象者に伝達するものとする。


ただし、その伝達をすることが当該保護観察対象者の改善更生を妨げるおそれがあり、又は当該被害に係る事件の性質、保護観察の実施状況 その他の事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。

3項

保護観察所の長は、第一項の被害者等の居住地を管轄する他の保護観察所の長に対し、前二項の申出の受理 及び第一項の規定による心情等の聴取に関する事務を嘱託することができる。


この場合において、前項ただし書の規定により当該保護観察所の長が心情等の伝達をしないこととするときは、あらかじめ、当該他の保護観察所の長の意見を聴かなければならない。