法務局における遺言書の保管等に関する法律

平成三十年法律第七十三号
分類 法律
カテゴリ   民事
@ 施行日 : 令和四年四月一日 ( 2022年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和三年法律第三十七号による改正
最終編集日 : 2023年 01月25日 10時07分

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1項

この法律は、法務局(法務局の支局 及び出張所、法務局の支局の出張所 並びに地方法務局 及び その支局 並びにこれらの出張所を含む。次条第一項において同じ。)における遺言書(民法明治二十九年法律第八十九号第九百六十八条の自筆証書によってした遺言に係る遺言書をいう。以下同じ。)の保管 及び情報の管理に関し必要な事項を定めるとともに、その遺言書の取扱いに関し特別の定めをするものとする。

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1項

遺言書の保管に関する事務は、法務大臣の指定する法務局が、遺言書保管所としてつかさどる。

2項

前項の指定は、告示してしなければならない。

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1項

遺言書保管所における事務は、遺言書保管官(遺言書保管所に勤務する法務事務官のうちから、法務局 又は地方法務局の長が指定する者をいう。以下同じ。)が取り扱う。

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1項

遺言者は、遺言書保管官に対し、遺言書の保管の申請をすることができる。

2項

前項の遺言書は、法務省令で定める様式に従って作成した無封のものでなければならない。

3項

第一項の申請は、遺言者の住所地 若しくは本籍地 又は遺言者が所有する不動産の所在地を管轄する遺言書保管所(遺言者の作成した他の遺言書が現に遺言書保管所に保管されている場合にあっては、当該 他の遺言書が保管されている遺言書保管所)の遺言書保管官に対してしなければならない。

4項

第一項の申請をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、遺言書に添えて、次に掲げる事項を記載した申請書を遺言書保管官に提出しなければならない。

一 号

遺言書に記載されている作成の年月日

二 号

遺言者の氏名、出生の年月日、住所 及び本籍(外国人にあっては、国籍

三 号

遺言書に次に掲げる者の記載があるときは、その氏名 又は名称 及び住所

受遺者

民法第千六条第一項の規定により指定された遺言執行者

四 号

前三号に掲げるもののほか、法務省令で定める事項

5項

前項の申請書には、同項第二号に掲げる事項を証明する書類その他 法務省令で定める書類を添付しなければならない。

6項

遺言者が第一項の申請をするときは、遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。

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1項

遺言書保管官は、前条第一項の申請があった場合において、申請人に対し、法務省令で定めるところにより、当該申請人が本人であるかどうかの確認をするため、当該申請人を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を示す書類の提示若しくは提出又は これらの事項についての説明を求めるものとする。

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1項

遺言書の保管は、遺言書保管官が遺言書保管所の施設内において行う。

2項

遺言者は、その申請に係る遺言書が保管されている遺言書保管所(第四項 及び第八条において「特定遺言書保管所」という。)の遺言書保管官に対し、いつでも当該遺言書の閲覧を請求することができる。

3項

前項の請求をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、その旨を記載した請求書に法務省令で定める書類を添付して、遺言書保管官に提出しなければならない。

4項

遺言者が第二項の請求をするときは、特定遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。


この場合においては、前条の規定を準用する。

5項

遺言書保管官は、第一項の規定による遺言書の保管をする場合において、遺言者の死亡の日(遺言者の生死が明らかでない場合にあっては、これに相当する日として政令で定める日)から相続に関する紛争を防止する必要があると認められる期間として政令で定める期間が経過した後は、これを廃棄することができる。

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1項

遺言書保管官は、前条第一項の規定により保管する遺言書について、次項に定めるところにより、当該遺言書に係る情報の管理をしなければならない。

2項

遺言書に係る情報の管理は、磁気ディスク(これに準ずる方法により一定の事項を確実に記録することができる物を含む。)をもって調製する遺言書保管ファイルに、次に掲げる事項を記録することによって行う。

一 号
遺言書の画像情報
二 号

第四条第四項第一号から 第三号までに掲げる事項

三 号

遺言書の保管を開始した年月日

四 号

遺言書が保管されている遺言書保管所の名称及び保管番号

3項

前条第五項の規定は、前項の規定による遺言書に係る情報の管理について準用する。


この場合において、

同条第五項
廃棄する」とあるのは、
「消去する」と

読み替えるものとする。

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1項

遺言者は、特定遺言書保管所の遺言書保管官に対し、いつでも、第四条第一項の申請を撤回することができる。

2項

前項の撤回をしようとする遺言者は、法務省令で定めるところにより、その旨を記載した撤回書に法務省令で定める書類を添付して、遺言書保管官に提出しなければならない。

3項

遺言者が第一項の撤回をするときは、特定遺言書保管所に自ら出頭して行わなければならない。


この場合においては、第五条の規定を準用する。

4項

遺言書保管官は、遺言者が第一項の撤回をしたときは、遅滞なく、当該遺言者に第六条第一項の規定により保管している遺言書を返還するとともに、前条第二項の規定により管理している当該遺言書に係る情報を消去しなければならない。

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1項

次に掲げる者(以下この条において「関係相続人等」という。)は、遺言書保管官に対し、遺言書保管所に保管されている遺言書(その遺言者が死亡している場合に限る)について、遺言書保管ファイルに記録されている事項を証明した書面(第五項 及び第十二条第一項第三号において「遺言書情報証明書」という。)の交付を請求することができる。

一 号

当該遺言書の保管を申請した遺言者の相続人(民法第八百九十一条の規定に該当し又は廃除によってその相続権を失った者 及び相続の放棄をした者を含む。以下この条において同じ。

二 号

前号に掲げる者のほか、当該遺言書に記載された次に掲げる者又は その相続人(に規定する母の相続人の場合にあっては、に規定する胎内に在る子に限る

第四条第四項第三号イに掲げる者

民法第七百八十一条第二項の規定により認知するものとされた子(胎内に在る子にあっては、その母

民法第八百九十三条の規定により廃除する意思を表示された推定相続人(同法第八百九十二条に規定する推定相続人をいう。以下 このハにおいて同じ。)又は同法第八百九十四条第二項において準用する同法第八百九十三条の規定により廃除を取り消す意思を表示された推定相続人

民法第八百九十七条第一項ただし書の規定により指定された祖先の祭祀を主宰すべき者

国家公務員災害補償法昭和二十六年法律第百九十一号第十七条の五第三項の規定により遺族補償一時金を受けることができる遺族のうち特に指定された者 又は地方公務員災害補償法昭和四十二年法律第百二十一号)第三十七条第三項の規定により遺族補償一時金を受けることができる遺族のうち特に指定された者

信託法平成十八年法律第百八号)第三条第二号に掲げる方法によって信託がされた場合においてその受益者となるべき者として指定された者 若しくは残余財産の帰属すべき者となるべき者として指定された者 又は同法第八十九条第二項の規定による受益者指定権等の行使により受益者となるべき者

保険法平成二十年法律第五十六号) 第四十四条第一項又は第七十三条第一項の規定による保険金受取人の変更により保険金受取人となるべき者

イから トまでに掲げる者のほか、これらに類するものとして政令で定める者

三 号

前二号に掲げる者のほか、当該遺言書に記載された次に掲げる者

第四条第四項第三号ロに掲げる者

民法第八百三十条第一項の財産について指定された管理者

民法第八百三十九条第一項の規定により指定された未成年後見人 又は同法第八百四十八条の規定により指定された未成年後見監督人

民法第九百二条第一項の規定により共同相続人の相続分を定めることを委託された第三者、同法第九百八条の規定により遺産の分割の方法を定めることを委託された第三者 又は同法第千六条第一項の規定により遺言執行者の指定を委託された第三者

著作権法昭和四十五年法律第四十八号第七十五条第二項の規定により同条第一項の登録について指定を受けた者又は同法第百十六条第三項の規定により同条第一項の請求について指定を受けた者

信託法第三条第二号に掲げる方法によって信託がされた場合においてその受託者となるべき者、信託管理人となるべき者、信託監督人となるべき者 又は受益者代理人となるべき者として指定された者

イから ヘまでに掲げる者のほか、これらに類するものとして政令で定める者

2項

前項の請求は、自己が関係相続人等に該当する遺言書(以下 この条 及び次条第一項において「関係遺言書」という。)を現に保管する遺言書保管所以外の遺言書保管所の遺言書保管官に対してもすることができる。

3項

関係相続人等は、関係遺言書を保管する遺言書保管所の遺言書保管官に対し、当該関係遺言書の閲覧を請求することができる。

4項

第一項 又は前項の請求をしようとする者は、法務省令で定めるところにより、その旨を記載した請求書に法務省令で定める書類を添付して、遺言書保管官に提出しなければならない。

5項

遺言書保管官は、第一項の請求により遺言書情報証明書を交付し又は第三項の請求により関係遺言書の閲覧をさせたときは、法務省令で定めるところにより、速やかに、当該関係遺言書を保管している旨を遺言者の相続人 並びに当該関係遺言書に係る第四条第四項第三号イ 及びに掲げる者に通知するものとする。


ただし、それらの者が既にこれを知っているときは、この限りでない。

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1項

何人も、遺言書保管官に対し、遺言書保管所における関係遺言書の保管の有無 並びに当該関係遺言書が保管されている場合には遺言書保管ファイルに記録されている第七条第二項第二号第四条第四項第一号に係る部分に限る)及び第四号に掲げる事項を証明した書面(第十二条第一項第三号において「遺言書保管事実証明書」という。)の交付を請求することができる。

2項

前条第二項 及び第四項の規定は、前項の請求について準用する。

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1項

民法第千四条第一項の規定は、遺言書保管所に保管されている遺言書については、適用しない

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1項

次の各号に掲げる者は、物価の状況のほか、当該各号に定める事務に要する実費を考慮して政令で定める額の手数料を納めなければならない。

一 号

遺言書の保管の申請をする者

遺言書の保管 及び遺言書に係る情報の管理に関する事務

二 号

遺言書の閲覧を請求する者

遺言書の閲覧 及び そのための体制の整備に関する事務

三 号

遺言書情報証明書 又は遺言書保管事実証明書の交付を請求する者

遺言書情報証明書 又は遺言書保管事実証明書の交付 及び そのための体制の整備に関する事務

2項

前項の手数料の納付は、収入印紙をもってしなければならない。

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1項

遺言書保管官の処分については、行政手続法平成五年法律第八十八号第二章の規定は、適用しない

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1項

遺言書保管所に保管されている遺言書 及び遺言書保管ファイルについては、行政機関の保有する情報の公開に関する法律平成十一年法律第四十二号)の規定は、適用しない

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1項

遺言書保管所に保管されている遺言書 及び遺言書保管ファイルに記録されている保有個人情報(個人情報の保護に関する法律平成十五年法律第五十七号第六十条第一項に規定する保有個人情報をいう。)については、同法第五章第四節の規定は、適用しない

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1項

遺言書保管官の処分に不服がある者又は遺言書保管官の不作為に係る処分を申請した者は、監督法務局 又は地方法務局の長に審査請求をすることができる。

2項

審査請求をするには、遺言書保管官に審査請求書を提出しなければならない。

3項

遺言書保管官は、処分についての審査請求を理由があると認め、又は審査請求に係る不作為に係る処分をすべきものと 認めるときは、相当の処分をしなければならない。

4項

遺言書保管官は、前項に規定する場合を除き三日以内に、意見を付して事件を監督法務局 又は地方法務局の長に送付しなければならない。


この場合において、監督法務局 又は地方法務局の長は、当該意見を行政不服審査法平成二十六年法律第六十八号第十一条第二項に規定する審理員に送付するものとする。

5項

法務局 又は地方法務局の長は、処分についての審査請求を理由があると認め、又は審査請求に係る不作為に係る処分をすべきものと認めるときは、遺言書保管官に相当の処分を命じ、その旨を審査請求人のほか利害関係人に通知しなければならない。

6項

法務局 又は地方法務局の長は、審査請求に係る不作為に係る処分についての申請を却下すべきものと認めるときは、遺言書保管官に当該申請を却下する処分を命じなければならない。

7項

第一項の審査請求に関する行政不服審査法の規定の適用については、

同法第二十九条第五項
処分庁等」とあるのは
審査庁」と、

弁明書の提出」とあるのは
法務局における遺言書の保管等に関する法律平成三十年法律第七十三号第十六条第四項に規定する意見の送付」と、

同法第三十条第一項
弁明書」とあるのは
法務局における遺言書の保管等に関する法律第十六条第四項の意見」と

する。

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1項

行政不服審査法第十三条第十五条第六項第十八条第二十一条第二十五条第二項から 第七項まで第二十九条第一項から 第四項まで第三十一条第三十七条第四十五条第三項第四十六条第四十七条第四十九条第三項(審査請求に係る不作為が違法 又は不当である旨の宣言に係る部分を除く。)から 第五項まで 及び第五十二条の規定は、前条第一項の審査請求については、適用しない

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1項

この法律に定めるもののほか、遺言書保管所における遺言書の保管 及び情報の管理に関し必要な事項は、政令で定める。

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