独立行政法人通則法

# 平成十一年法律第百三号 #
略称 : 中央省庁等改革関連法  独法通則法 

第四章 財務及び会計

分類 法律
カテゴリ   行政組織
@ 施行日 : 令和五年四月一日 ( 2023年 4月1日 )
@ 最終更新 : 令和三年法律第六十一号による改正
最終編集日 : 2023年 06月13日 10時20分


1項

独立行政法人の事業年度は、毎年四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わる。

2項

独立行政法人の最初の事業年度は、前項の規定にかかわらず、 その成立の日に始まり、翌年の三月三十一日(一月一日から 三月三十一日までの間に成立した独立行政法人にあっては、その年の三月三十一日)に終わるものとする。

1項

独立行政法人の会計は、主務省令で定めるところにより、原則として企業会計原則によるものとする。

1項

独立行政法人は、毎事業年度、貸借対照表、損益計算書、利益の処分 又は損失の処理に関する書類 その他主務省令で定める書類 及び これらの附属明細書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に主務大臣に提出し、その承認を受けなければならない。

2項

独立行政法人は、前項の規定により財務諸表を主務大臣に提出するときは、これに主務省令で定めるところにより作成した当該事業年度の事業報告書 及び予算の区分に従い作成した決算報告書 並びに財務諸表 及び決算報告書に関する監査報告(次条第一項の規定により会計監査人の監査を受けなければならない独立行政法人にあっては、監査報告 及び会計監査報告。以下同じ。)を添付しなければならない。

3項

独立行政法人は、第一項の規定による主務大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表を官報に公告し、かつ、財務諸表 並びに前項の事業報告書、決算報告書 及び監査報告を、各事務所に備えて置き、主務省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。

4項

独立行政法人は、第一項の附属明細書 その他主務省令で定める書類については、前項の規定による公告に代えて、次に掲げる方法のいずれかにより公告することができる。

一 号

時事に関する事項を掲載する日刊新聞紙に掲載する方法

二 号

電子公告(電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法であって総務省令で定めるものにより不特定多数の者が公告すべき内容である情報の提供を受けることができる状態に置く措置であって総務省令で定めるものをとる公告の方法をいう。次項において同じ。

5項

独立行政法人が前項の規定により電子公告による公告をする場合には、第三項の主務省令で定める期間、継続して当該公告をしなければならない。

1項

独立行政法人(その資本の額 その他の経営の規模が政令で定める基準に達しない独立行政法人を除く。以下この条において同じ。)は、財務諸表、事業報告書(会計に関する部分に限る)及び決算報告書について、監事の監査のほか、会計監査人の監査を受けなければならない。


この場合において、会計監査人は、主務省令で定めるところにより、会計監査報告を作成しなければならない。

2項

会計監査人は、いつでも、次に掲げるものの閲覧 及び謄写をし、又は役員(監事を除く)及び職員に対し、会計に関する報告を求めることができる。

一 号

会計帳簿 又はこれに関する資料が書面をもって作成されているときは、当該書面

二 号

会計帳簿 又はこれに関する資料が電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして総務省令で定めるものをいう。以下 この号において同じ。)をもって作成されているときは、当該電磁的記録に記録された事項を総務省令で定める方法により表示したもの

3項

会計監査人は、その職務を行うため必要があるときは、独立行政法人の子法人に対して会計に関する報告を求め、又は独立行政法人 若しくは その子法人の業務 及び財産の状況の調査をすることができる。

4項

前項の子法人は、正当な理由があるときは、同項の報告 又は調査を拒むことができる。

5項

会計監査人は、その職務を行うに当たっては、次の各号いずれかに該当する者を使用してはならない。

一 号

第四十一条第三項第一号 又は第二号に掲げる者

二 号

第四十条の規定により自己が会計監査人に選任されている独立行政法人 又は その子法人の役員 又は職員

三 号

第四十条の規定により自己が会計監査人に選任されている独立行政法人 又は その子法人から公認会計士(公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)第十六条の二第五項に規定する外国公認会計士を含む。第四十一条第一項 及び第三項第二号において同じ。) 又は監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者

1項

会計監査人は、その職務を行うに際して役員(監事を除く)の職務の執行に関し不正の行為 又は この法律、個別法 若しくは 他の法令に違反する重大な事実があることを発見したときは、遅滞なく、これを監事に報告しなければならない。

2項

監事は、その職務を行うため必要があると認めるときは、会計監査人に対し、その監査に関する報告を求めることができる。

1項

会計監査人は、主務大臣が選任する。

1項

会計監査人は、公認会計士 又は監査法人でなければならない。

2項

会計監査人に選任された監査法人は、その社員の中から会計監査人の職務を行うべき者を選定し、これを独立行政法人に通知しなければならない。


この場合においては、次項第二号に掲げる者を選定することはできない。

3項

次に掲げる者は、会計監査人となることができない

一 号

公認会計士法の規定により、財務諸表について監査をすることができない者

二 号

監査の対象となる独立行政法人の子法人 若しくは その役員から公認会計士 若しくは監査法人の業務以外の業務により継続的な報酬を受けている者 又は その配偶者

三 号

監査法人でその社員の半数以上が前号に掲げる者であるもの

1項

会計監査人の任期は、その選任の日以後 最初に終了する事業年度についての財務諸表承認日までとする。

1項

主務大臣は、会計監査人が次の各号の一に該当するときは、その会計監査人を解任することができる。

一 号

職務上の義務に違反し、又は職務を怠ったとき。

二 号

会計監査人たるにふさわしくない非行があったとき。

三 号

心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えないとき。

1項

独立行政法人は、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失を埋め、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。


ただし第三項の規定により同項の使途に充てる場合は、この限りでない。

2項

独立行政法人は、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は、繰越欠損金として整理しなければならない。

3項

中期目標管理法人 及び国立研究開発法人は、第一項に規定する残余があるときは、主務大臣の承認を受けて、その残余の額の全部 又は一部を中期計画(第三十条第一項の認可を受けた同項の中期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)をいう。以下同じ。)の同条第二項第七号 又は中長期計画(第三十五条の五第一項の認可を受けた同項の中長期計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)をいう。以下同じ。)の第三十五条の五第二項第七号の剰余金の使途に充てることができる。

4項

第一項の規定による積立金の処分については、個別法で定める。

1項

独立行政法人は、中期目標管理法人の中期計画の第三十条第二項第四号、国立研究開発法人の中長期計画の第三十五条の五第二項第四号 又は行政執行法人の事業計画(第三十五条の十第一項の認可を受けた同項の事業計画(同項後段の規定による変更の認可を受けたときは、その変更後のもの)をいう。以下同じ。)の第三十五条の十第三項第四号の短期借入金の限度額の範囲内で、短期借入金をすることができる。


ただし、やむを得ない事由があるものとして主務大臣の認可を受けた場合は、当該限度額を超えて短期借入金をすることができる。

2項

前項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。


ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、主務大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。

3項

前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内償還しなければならない。

4項

独立行政法人は、個別法に別段の定めがある場合を除くほか、長期借入金 及び債券発行をすることができない。

1項

政府は、予算の範囲内において、独立行政法人に対し、その業務の財源に充てるために必要な金額の全部 又は一部に相当する金額を交付することができる。

2項

独立行政法人は、業務運営に当たっては、前項の規定による交付金について、国民から徴収された税金 その他の貴重な財源で賄われるものであることに留意し、法令の規定 及び中期目標管理法人の中期計画、国立研究開発法人の中長期計画 又は行政執行法人の事業計画に従って適切かつ効率的に使用するよう努めなければならない。

1項

独立行政法人は、不要財産であって、政府からの出資 又は支出(金銭の出資に該当するものを除く)に係るもの(以下この条において「政府出資等に係る不要財産」という。)については、遅滞なく、主務大臣の認可を受けて、これを国庫に納付するものとする。


ただし、中期目標管理法人の中期計画において第三十条第二項第五号の計画を定めた場合、国立研究開発法人の中長期計画において第三十五条の五第二項第五号の計画を定めた場合 又は行政執行法人の事業計画において第三十五条の十第三項第五号の計画を定めた場合であって、これらの計画に従って当該政府出資等に係る不要財産を国庫に納付するときは、主務大臣の認可を受けることを要しない。

2項

独立行政法人は、前項の規定による政府出資等に係る不要財産(金銭を除く。以下 この項 及び次項において同じ。)の国庫への納付に代えて、主務大臣の認可を受けて、政府出資等に係る不要財産を譲渡し、これにより生じた収入の額(当該財産の帳簿価額を超える額(次項において「簿価超過額」という。)がある場合には、その額を除く)の範囲内で主務大臣が定める基準により算定した金額を国庫に納付することができる。


ただし、中期目標管理法人の中期計画において第三十条第二項第五号の計画を定めた場合、国立研究開発法人の中長期計画において第三十五条の五第二項第五号の計画を定めた場合 又は行政執行法人の計画において第三十五条の十第三項第五号の計画を定めた場合であって、これらの計画に従って当該金額を国庫に納付するときは、主務大臣の認可を受けることを要しない。

3項

独立行政法人は、前項の場合において、政府出資等に係る不要財産の譲渡により生じた簿価超過額があるときは、遅滞なく、これを国庫に納付するものとする。


ただし、その全部 又は一部の金額について国庫に納付しないことについて主務大臣の認可を受けた場合における当該認可を受けた金額については、この限りでない。

4項

独立行政法人が第一項 又は第二項の規定による国庫への納付をした場合において、当該納付に係る政府出資等に係る不要財産が政府からの出資に係るものであるときは、当該独立行政法人の資本金のうち当該納付に係る政府出資等に係る不要財産に係る部分として主務大臣が定める金額については、当該独立行政法人に対する政府からの出資はなかったものとし、当該独立行政法人は、その額により資本金を減少するものとする。

5項

前各項に定めるもののほか、 政府出資等に係る不要財産の処分に関し必要な事項は、政令で定める。

1項

独立行政法人は、不要財産であって、政府以外の者からの出資に係るもの(以下この条において「民間等出資に係る不要財産」という。)については、主務大臣の認可を受けて、当該民間等出資に係る不要財産に係る出資者(以下この条において単に「出資者」という。)に対し、主務省令で定めるところにより、当該民間等出資に係る不要財産に係る出資額として主務大臣が定める額の持分の全部 又は一部の払戻しの請求をすることができる旨を催告しなければならない。


ただし、中期目標管理法人の中期計画において第三十条第二項第五号の計画を定めた場合、国立研究開発法人の中長期計画において第三十五条の五第二項第五号の計画を定めた場合 又は行政執行法人の事業計画において第三十五条の十第三項第五号の計画を定めた場合であって、これらの計画に従って払戻しの請求をすることができる旨を催告するときは、主務大臣の認可を受けることを要しない。

2項

出資者は、独立行政法人に対し、前項の規定による催告を受けた日から起算して一月を経過する日までの間に限り、同項の払戻しの請求をすることができる。

3項

独立行政法人は、前項の規定による請求があったときは、遅滞なく、当該請求に係る民間等出資に係る不要財産 又は当該請求に係る民間等出資に係る不要財産(金銭を除く)の譲渡により生じた収入の額(当該財産の帳簿価額を超える額がある場合には、その額を除く)の範囲内で主務大臣が定める基準により算定した金額により、同項の規定により払戻しを請求された持分(当該算定した金額が当該持分の額に満たない場合にあっては、当該持分のうち主務大臣が定める額の持分)を、当該請求をした出資者に払い戻すものとする。

4項

独立行政法人が前項の規定による払戻しをしたときは、当該独立行政法人の資本金のうち当該払戻しをした持分の額については、当該独立行政法人に対する出資者からの出資はなかったものとし、当該独立行政法人は、その額により資本金を減少するものとする。

5項

出資者が第二項の規定による払戻しの請求をしなかったとき 又は同項の規定による民間等出資に係る不要財産に係る持分の一部の払戻しの請求をしたときは、独立行政法人は、払戻しの請求がされなかった持分については、払戻しをしないものとする。

1項

独立行政法人は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。

一 号

国債、地方債、政府保証債(その元本の償還 及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。)その他主務大臣の指定する有価証券の取得

二 号

銀行 その他主務大臣の指定する金融機関への預金

三 号

信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。)への金銭信託

1項

独立行政法人は、不要財産以外の重要な財産であって主務省令で定めるものを譲渡し、又は担保に供しようとするときは、主務大臣の認可を受けなければならない。


ただし、中期目標管理法人の中期計画において第三十条第二項第六号の計画を定めた場合、国立研究開発法人の中長期計画において第三十五条の五第二項第六号の計画を定めた場合 又は行政執行法人の事業計画において第三十五条の十第三項第六号の計画を定めた場合であって、これらの計画に従って当該重要な財産を譲渡し、又は担保に供するときは、この限りでない。

1項

独立行政法人は、業務開始の際、会計に関する事項について規程を定め、これを主務大臣に届け出なければならない。


これを変更したときも、同様とする。

1項

この法律 及びこれに基づく政令に規定するもののほか、 独立行政法人の財務 及び会計に関し必要な事項は、主務省令で定める。