障害者基本法

# 昭和四十五年法律第八十四号 #

第一章 総則

分類 法律
カテゴリ   社会福祉
@ 施行日 : 平成二十八年四月一日
@ 最終更新 : 平成二十五年法律第六十五号による改正
最終編集日 : 2022年 12月04日 17時15分


1項

この法律は、全ての国民が、障害の有無にかかわらず、 等しく基本的人権を享有するかけがえのない個人として尊重されるものであるとの理念にのつとり、全ての国民が、障害の有無によつて 分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら 共生する社会を実現するため、障害者の自立 及び社会参加の支援等のための施策に関し、基本原則を定め、及び国、地方公共団体等の責務を明らかにするとともに、障害者の自立 及び社会参加の支援等のための施策の基本となる事項を定めること等により、障害者の自立 及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に推進することを目的とする。

1項

この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。

一 号

障害者

身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害(以下「障害」と総称する。)がある者であつて、障害 及び社会的障壁により継続的に日常生活 又は社会生活に相当な制限を受ける状態にあるものをいう。

二 号

社会的障壁

障害がある者にとつて日常生活 又は社会生活を営む上で 障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念 その他一切のものをいう。

1項

第一条に規定する社会の実現は、全ての障害者が、 障害者でない者と等しく、基本的人権を享有する個人としてその尊厳が重んぜられ、その尊厳にふさわしい生活を保障される権利を有することを前提としつつ、次に掲げる事項を旨として図られなければならない。

一 号

全て障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化 その他あらゆる分野の活動に参加する機会が確保されること。

二 号

全て障害者は、可能な限り、どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと。

三 号

全て障害者は、可能な限り、言語(手話を含む。) その他の意思疎通のための手段についての選択の機会が確保されるとともに、情報の取得 又は利用のための手段についての選択の機会の拡大が図られること。

1項

何人も、障害者に対して、障害を理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない。

2項

社会的障壁の除去は、それを必要としている障害者が現に存し、かつ、その実施に伴う負担が過重でないときは、それを怠ることによつて前項の規定に違反することとならないよう、その実施について必要かつ合理的な配慮がされなければならない。

3項

国は、第一項の規定に違反する行為の防止に関する啓発及び知識の普及を図るため、当該行為 の防止を図るために必要となる情報の収集、整理 及び提供を行うものとする。

1項

第一条に規定する社会の実現は、そのための施策が国際社会における取組と 密接な関係を有していることに鑑み、国際的協調の下に図られなければならない。

1項

国 及び地方公共団体は、第一条に規定する社会の実現を図るため、前三条に定める基本原則(以下「基本原則」という。)にのつとり、障害者の自立 及び社会参加の支援等のための施策を総合的かつ計画的に実施する責務を有する。

1項

国 及び地方公共団体は、基本原則に関する国民の理解を深めるよう必要な施策を講じなければならない。

1項

国民は、基本原則にのつとり、第一条に規定する社会の実現に寄与するよう努めなければならない。

1項

国民の間に広く基本原則に関する関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化 その他あらゆる分野の活動に参加することを促進するため、障害者週間を設ける。

2項

障害者週間は、十二月三日から 十二月九日までの一週間とする。

3項

国 及び地方公共団体は、障害者の自立 及び社会参加の支援等に関する活動を行う民間の団体等と相互に緊密な連携協力を図りながら、障害者週間の趣旨にふさわしい事業を実施するよう努めなければならない。

1項

障害者の自立 及び社会参加の支援等のための施策は、障害者の性別、年齢、障害の状態 及び生活の実態に応じて、かつ、有機的連携の下に総合的に、策定され、及び実施されなければならない。

2項

国 及び地方公共団体は、障害者の自立 及び社会参加の支援等のための施策を講ずるに当たつては、障害者 その他の関係者の意見を聴き、その意見を尊重するよう努めなければならない。

1項

政府は、障害者の自立 及び社会参加の支援等のための施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「障害者基本計画」という。)を策定しなければならない。

2項

都道府県は、障害者基本計画を基本とするとともに、当該都道府県における障害者の状況等を踏まえ、当該都道府県における障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「都道府県障害者計画」という。)を策定しなければならない。

3項

市町村は、障害者基本計画 及び都道府県障害者計画を基本とするとともに、当該市町村における障害者の状況等を踏まえ、当該市町村における障害者のための施策に関する基本的な計画(以下「市町村障害者計画」という。)を策定しなければならない。

4項

内閣総理大臣は、関係行政機関の長に協議するとともに、障害者政策委員会の意見を聴いて、 障害者基本計画の案を作成し、閣議の決定を求めなければならない。

5項

都道府県は、都道府県障害者計画を策定するに当たつては、第三十六条第一項の合議制の機関の意見を聴かなければならない。

6項

市町村は、市町村障害者計画を策定するに当たつては、第三十六条第四項の合議制の機関を設置している場合にあつては その意見を、その他の場合にあつては障害者 その他の関係者の意見を聴かなければならない。

7項

政府は、障害者基本計画を策定したときは、これを国会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。

8項

第二項 又は第三項の規定により都道府県障害者計画 又は市町村障害者計画が策定されたときは、都道府県知事 又は市町村長は、これを当該都道府県の議会 又は当該市町村の議会に報告するとともに、その要旨を公表しなければならない。

9項

第四項 及び第七項の規定は障害者基本計画の変更について、第五項 及び前項の規定は都道府県障害者計画の変更について、第六項 及び前項の規定は市町村障害者計画の変更について準用する。

1項

政府は、この法律の目的を達成するため、必要な法制上 及び財政上の措置を講じなければならない。

1項

政府は、毎年、国会に、障害者のために講じた 施策の概況に関する報告書を提出しなければならない。