高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律

# 平成十七年法律第百二十四号 #
略称 : 高齢者虐待防止法 

第二章 養護者による高齢者虐待の防止、養護者に対する支援等

分類 法律
カテゴリ   社会福祉
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 04月28日 01時33分


1項

市町村は、養護者による高齢者虐待の防止 及び養護者による高齢者虐待を受けた高齢者の保護のため、高齢者 及び養護者に対して、相談、指導 及び助言を行うものとする。

1項

養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命 又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならない。

2項

前項に定める場合のほか、養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならない。

3項

刑法明治四十年法律第四十五号)の秘密漏示罪の規定 その他の守秘義務に関する法律の規定は、前二項の規定による通報をすることを妨げるものと解釈してはならない。

1項

市町村が前条第一項 若しくは第二項の規定による通報 又は次条第一項に規定する届出を受けた場合においては、当該通報 又は届出を受けた市町村の職員は、その職務上知り得た事項であって当該通報 又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。

1項

市町村は、第七条第一項 若しくは第二項の規定による通報 又は高齢者からの養護者による高齢者虐待を受けた旨の届出を受けたときは、速やかに、当該高齢者の安全の確認 その他当該通報 又は届出に係る事実の確認のための措置を講ずるとともに、第十六条の規定により当該市町村と連携協力する者(以下「高齢者虐待対応協力者」という。)と その対応について協議を行うものとする。

2項

市町村 又は市町村長は、第七条第一項 若しくは第二項の規定による通報 又は前項に規定する届出があった場合には、当該通報 又は届出に係る高齢者に対する養護者による高齢者虐待の防止 及び当該高齢者の保護が図られるよう、養護者による高齢者虐待により生命 又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認められる高齢者を一時的に保護するため迅速に老人福祉法第二十条の三に規定する老人短期入所施設等に入所させる等、適切に、同法第十条の四第一項 若しくは第十一条第一項の規定による措置を講じ、又は、適切に、同法第三十二条の規定により審判の請求をするものとする。

1項

市町村は、養護者による高齢者虐待を受けた高齢者について老人福祉法第十条の四第一項第三号 又は第十一条第一項第一号 若しくは第二号の規定による措置を採るために必要な居室を確保するための措置を講ずるものとする。

1項

市町村長は、養護者による高齢者虐待により高齢者の生命 又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは、介護保険法第百十五条の四十六第二項の規定により設置する地域包括支援センターの職員 その他の高齢者の福祉に関する事務に従事する職員をして、当該高齢者の住所 又は居所に立ち入り、必要な調査 又は質問をさせることができる。

2項

前項の規定による立入り及び調査 又は質問を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。

3項

第一項の規定による立入り及び調査 又は質問を行う権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

1項

市町村長は、前条第一項の規定による立入り及び調査 又は質問をさせようとする場合において、これらの職務の執行に際し必要があると認めるときは、当該高齢者の住所 又は居所の所在地を管轄する警察署長に対し援助を求めることができる。

2項

市町村長は、高齢者の生命 又は身体の安全の確保に万全を期する観点から、必要に応じ適切に、前項の規定により警察署長に対し援助を求めなければならない。

3項

警察署長は、第一項の規定による援助の求めを受けた場合において、高齢者の生命 又は身体の安全を確保するため必要と認めるときは、速やかに、所属の警察官に、同項の職務の執行を援助するために必要な警察官職務執行法昭和二十三年法律第百三十六号)その他の法令の定めるところによる措置を講じさせるよう努めなければならない。

1項

養護者による高齢者虐待を受けた高齢者について老人福祉法第十一条第一項第二号 又は第三号の措置が採られた場合においては、市町村長 又は当該措置に係る養介護施設の長は、養護者による高齢者虐待の防止 及び当該高齢者の保護の観点から、当該養護者による高齢者虐待を行った養護者について当該高齢者との面会を制限することができる。

1項

市町村は、第六条に規定するもののほか、養護者の負担の軽減のため、養護者に対する相談、指導 及び助言 その他必要な措置を講ずるものとする。

2項

市町村は、前項の措置として、養護者の心身の状態に照らしその養護の負担の軽減を図るため緊急の必要があると認める場合に高齢者が短期間養護を受けるために必要となる居室を確保するための措置を講ずるものとする。

1項

市町村は、養護者による高齢者虐待の防止、養護者による高齢者虐待を受けた高齢者の保護 及び養護者に対する支援を適切に実施するために、これらの事務に専門的に従事する職員を確保するよう努めなければならない。

1項

市町村は、養護者による高齢者虐待の防止、養護者による高齢者虐待を受けた高齢者の保護 及び養護者に対する支援を適切に実施するため、老人福祉法第二十条の七の二第一項に規定する老人介護支援センター、介護保険法第百十五条の四十六第三項の規定により設置された地域包括支援センター その他関係機関、民間団体等との連携協力体制を整備しなければならない。


この場合において、養護者による高齢者虐待にいつでも迅速に対応することができるよう、特に配慮しなければならない。

1項

市町村は、高齢者虐待対応協力者のうち適当と認められるものに、第六条の規定による相談、指導 及び助言、第七条第一項 若しくは第二項の規定による通報 又は第九条第一項に規定する届出の受理、同項の規定による高齢者の安全の確認 その他通報 又は届出に係る事実の確認のための措置 並びに第十四条第一項の規定による養護者の負担の軽減のための措置に関する事務の全部 又は一部を委託することができる。

2項

前項の規定による委託を受けた高齢者虐待対応協力者 若しくはその役員 若しくは職員 又はこれらの者であった者は、正当な理由なしに、その委託を受けた事務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。

3項

第一項の規定により第七条第一項 若しくは第二項の規定による通報 又は第九条第一項に規定する届出の受理に関する事務の委託を受けた高齢者虐待対応協力者が第七条第一項 若しくは第二項の規定による通報 又は第九条第一項に規定する届出を受けた場合には、当該通報 又は届出を受けた高齢者虐待対応協力者 又はその役員 若しくは職員は、その職務上知り得た事項であって当該通報 又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならない。

1項

市町村は、養護者による高齢者虐待の防止、第七条第一項 若しくは第二項の規定による通報 又は第九条第一項に規定する届出の受理、養護者による高齢者虐待を受けた高齢者の保護、養護者に対する支援等に関する事務についての窓口となる部局 及び高齢者虐待対応協力者の名称を明示すること等により、当該部局 及び高齢者虐待対応協力者を周知させなければならない。

1項

都道府県は、この章の規定により市町村が行う措置の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供 その他必要な援助を行うものとする。

2項

都道府県は、この章の規定により市町村が行う措置の適切な実施を確保するため必要があると認めるときは、市町村に対し、必要な助言を行うことができる。