特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律

昭和五十三年法律第三十号
略称 : 国際出願法 
分類 法律
カテゴリ   産業通則
最終編集日 : 2023年 05月06日 15時43分

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  • 第一章 総則

  • 第二章 国際出願

  • 第三章 国際調査

  • 第四章 国際予備審査

  • 第五章 雑則

第一章 総則

1項

この法律は、千九百七十年六月十九日にワシントンで作成された特許協力条約(以下「条約」という。)に基づく国際出願、国際調査 及び国際予備審査に関し、特許庁と出願人との間における手続を定めるものとする。

第二章 国際出願

1項

日本国民 又は日本国内に住所 若しくは居所(法人にあつては、営業所)を有する外国人(以下「日本国民等」という。)は、特許庁長官に条約第二条(vii)の国際出願(以下「国際出願」という。)をすることができる。


日本国民等と日本国民等以外の者が共同して国際出願をするときも、同様とする。

1項

国際出願をしようとする者は、日本語 又は経済産業省令で定める外国語で作成した願書、明細書、請求の範囲、必要な図面 及び要約書を特許庁長官に提出しなければならない。

2項

願書には、次に掲げる事項を記載しなければならない。

一 号

当該出願を条約に従つて処理すべき旨の申立て

二 号

出願人の氏名 又は名称 並びにその国籍 及び住所 又は居所(出願人が二人以上ある場合にあつては、日本国民等である出願人のうち少なくとも一人の国籍 及び住所 又は居所

三 号
発明の名称
四 号

前各号に掲げるもののほか、経済産業省令で定める事項

3項

明細書、請求の範囲、図面 及び要約書に記載すべき事項 その他これらの書類に関し必要な事項は、経済産業省令で定める。

1項

特許庁長官は、国際出願が次の各号いずれかに該当する場合を除き、国際出願が特許庁に到達した日を国際出願日として認定しなければならない。

一 号

出願人が第二条に規定する要件を満たしていないとき。

二 号

前条第二項第一号に掲げる事項の記載がないとき。

三 号

出願人の氏名 若しくは名称の記載がなく、又はその記載が出願人を特定できる程度に明確でないと認められるとき。

四 号

明細書 又は請求の範囲が含まれていないとき。

五 号

明細書 及び請求の範囲が日本語 又は前条第一項の経済産業省令で定める外国語で作成されていないとき。

2項

特許庁長官は、国際出願が前項各号いずれかに該当するときは、相当の期間を指定して、書面により手続の補完をすべきことを命じなければならない。

3項

特許庁長官は、前項の規定により手続の補完をすべきことを命じられた者が同項の規定により指定された期間内に手続の補完をしたときは、手続の補完に係る書面の到達の日を国際出願日として認定しなければならない。

1項

特許庁長官は、国際出願において、その国際出願に含まれていない図面についての記載がされているときは、その旨を出願人に通知しなければならない。

2項

特許庁長官は、前項の規定による通知を受けた者が経済産業省令で定める期間内に同項の記載に係る図面を提出したときは、その図面の到達の日を国際出願日として認定しなければならない。

1項

特許庁長官は、国際出願が次の各号の一に該当するときは、相当の期間を指定して、書面により手続の補正をすべきことを命じなければならない。

一 号

願書が日本語 又は第三条第一項の経済産業省令で定める外国語で作成されていないとき。

二 号

発明の名称の記載がないとき。

三 号

図面(図面の中の説明に限る)及び要約書が明細書 及び請求の範囲と 同一の言語で作成されていないとき。

四 号

要約書が含まれていないとき。

五 号

第十六条第三項の規定 又は第十九条第一項前段において準用する特許法昭和三十四年法律第百二十一号第七条第一項から第三項までの規定(第十九条第一項後段の政令でこれらの規定の特例を定めたときは、当該特例に係る当該政令の規定)に違反しているとき。

六 号

経済産業省令で定める方式に違反しているとき。

1項

特許庁長官は、国際出願が次の各号いずれかに該当するときは、その国際出願が取り下げられたものとみなす旨の決定をしなければならない。

一 号

前条の規定により手続の補正をすべきことを命じられた者が同条の規定により指定された期間内に手続の補正をしなかつたとき。

二 号

第十八条第二項同項の表三の項に掲げる部分を除く)の規定により納付すべき手数料が経済産業省令で定める期間内に納付されなかつたとき。

三 号

第四条第一項 若しくは第三項 又は第五条第二項の規定による認定をした国際出願につき、経済産業省令で定める期間内に、当該国際出願が第四条第一項各号いずれかに該当することを発見したとき。

第三章 国際調査

1項

特許庁長官は、第四条第一項 若しくは第三項 又は第五条第二項の規定による認定をした国際出願(条約に規定する他の国際調査機関が条約第十五条に規定する国際調査(以下「国際調査」という。)をするものを除くこの章 及び次章において同じ。)につき、審査官に条約第十八条()に規定する国際調査報告(以下「国際調査報告」という。)を作成させなければならない。

2項

審査官は、国際出願がその全部の請求の範囲につき次の各号の一に該当するときは、前項の規定にかかわらず、国際調査報告を作成しない旨の決定をしなければならない。

一 号

国際調査をすることを要しないものとして経済産業省令で定める事項を内容とするものであるとき。

二 号

明細書、請求の範囲 若しくは図面に必要な事項が記載されておらず、又はその記載が著しく不明確であるため、これらの書類に基づいて有効な国際調査をすることができないとき。

3項

審査官は、国際出願がその一部の請求の範囲につき前項各号の一に該当するときは、その旨 及び当該一部の請求の範囲以外の請求の範囲のみについてした国際調査の結果を、国際調査報告に記載するものとする。

4項

特許庁長官は国際出願が条約第十七条()()の発明の単一性の要件を満たしていないときは、出願人に対し、相当の期間を指定して、次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める金額に請求の範囲に記載されている発明の数から一を減じて得た数を乗じて得た金額の範囲内において政令で定める金額の手数料を追加して納付すべきことを命じなければならない。

一 号

明細書 及び請求の範囲が日本語で作成されている場合

十万五千円

二 号

明細書 及び請求の範囲が第三条第一項の経済産業省令で定める外国語で作成されている場合

十六万八千円

5項

審査官は、前項の規定により手数料を追加して納付すべきことを命じられた出願人が同項の規定により指定された期間内にその命じられた金額の手数料を追加して納付しないときは、経済産業省令で定めるところにより、その国際出願を手数料の納付があつた発明に係る部分と その他の発明に係る部分とに区分し、手数料の納付があつた発明に係る部分については当該発明に係る部分についてした国際調査の結果を、その他の発明に係る部分についてはその旨を、国際調査報告に記載するものとする。

1項

出願人は、その国際出願に係る国際調査報告にその国際出願と関連する技術に関する文献の記載があるときは、特許庁長官に対し、経済産業省令で定める期間内に、その文献の写しの送付を請求することができる。

第四章 国際予備審査

1項

第四条第一項 若しくは第三項 又は第五条第二項の規定による認定を受けた国際出願の出願人は、経済産業省令で定める期間内に、その国際出願について、特許庁長官に条約第三十三条に規定する国際予備審査(以下「国際予備審査」という。)の請求をすることができる。


ただし、出願人が条約第三十一条()の規定により国際予備審査の請求をすることができることとされている者以外の者である場合 その他経済産業省令で定める場合は、この限りでない。

2項

前項の請求をしようとする者は、経済産業省令で定める事項を日本語 又は経済産業省令で定める外国語により記載した請求書を、特許庁長官に提出しなければならない。

1項

国際予備審査の請求をした出願人は、経済産業省令で定める期間内に限り、当該請求に係る国際出願の出願時における明細書、請求の範囲 又は図面に記載した事項の範囲内において、明細書、請求の範囲 又は図面について補正をすることができる

1項

特許庁長官は、国際予備審査の請求があつたときは、当該請求に係る国際出願につき、審査官に条約第三十五条に規定する国際予備審査報告(以下「国際予備審査報告」という。)を作成させなければならない。

2項

審査官は、国際予備審査の請求に係る国際出願がその全部の請求の範囲につき次の各号の一に該当するときはその旨を、国際予備審査の請求に係る国際出願がその一部の請求の範囲につき次の各号の一に該当するときはその旨及び当該一部の請求の範囲以外の請求の範囲のみについてした国際予備審査の結果を、国際予備審査報告に記載するものとする。

一 号

国際予備審査をすることを要しないものとして経済産業省令で定める事項を内容とするものであるとき。

二 号

明細書、請求の範囲 若しくは図面における記載が不明確であり、又は請求の範囲が明細書による十分な裏付けを欠いているため、請求の範囲に記載されている発明につき、条約第三十三条()、()又は()に規定する新規性、進歩性 又は産業上の利用可能性についての同条()に規定する見解を示すことができないとき。

3項

特許庁長官は、国際予備審査の請求に係る国際出願が条約第三十四条()()の発明の単一性の要件を満たしていないときは、出願人に対し、相当の期間を指定して、国際予備審査を受けようとする請求の範囲を減縮し、又は次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める金額に当該請求の範囲に記載されている発明の数から一を減じて得た数を乗じて得た金額の範囲内において政令で定める金額の手数料を追加して納付すべきことを命じなければならない。

一 号

明細書 及び請求の範囲が日本語で作成されている場合

二万八千円

二 号

明細書 及び請求の範囲が第三条第一項の経済産業省令で定める外国語で作成されている場合

四万五千円

4項

審査官は、前項の規定により国際予備審査を受けようとする請求の範囲を減縮し又は手数料を追加して納付すべきことを命じられた出願人が同項の規定により指定された期間内にその請求の範囲を減縮せず 又はその命じられた金額の手数料を追加して納付しないときは、経済産業省令で定めるところにより、その国際出願を手数料の納付があつた発明に係る部分と その他の発明に係る部分とに区分し、手数料の納付があつた発明に係る部分については当該発明に係る部分についてした国際予備審査の結果を、その他の発明に係る部分についてはその旨を、国際予備審査報告に記載するものとする。

1項

審査官は、国際予備審査の請求に係る国際出願が次の各号の一に該当するときは、国際予備審査報告の作成前に、出願人に対しその旨 及び その理由を通知し、相当の期間を指定して、答弁書を提出する機会を与えなければならない。

一 号

請求の範囲に記載されている発明に、条約第三十三条()、()又は()に規定する新規性、進歩性 又は産業上の利用可能性がないとき。

二 号

国際予備審査報告において条約第三十五条()に規定する意見を述べる必要があるときその他経済産業省令で定めるとき。

1項

国際予備審査の請求につき、第十八条第二項同項の表三の項に掲げる部分に限る)の規定により納付すべき手数料が納付されていないことその他経済産業省令で定める事由がある場合において特許庁長官 又は出願人が執るべき手続 及び その効果については、政令で定める。

1項

第九条の規定は、出願人が国際予備審査の請求をした場合に準用する。

第五章 雑則

1項

二人以上が共同して国際出願をした場合におけるこの法律の規定に基づく手続については、経済産業省令で定める場合を除き、出願人の代表者がこれを行い、又はその代表者に対してこれを行うことができる。

2項

特許庁長官は、二人以上が共同して国際出願をした場合において出願人が代表者を定めていないときは、経済産業省令で定めるところにより、出願人の代表者を指定することができる。

3項

代理人によりこの法律の規定に基づく手続をしようとする者は、第十九条第一項前段において準用する特許法第七条第一項本文の規定により法定代理人により手続をしようとする場合 その他政令で定める場合を除き、弁理士 又は弁護士を代理人としなければならない。

1項

出願人が第四条第二項の規定による命令 又は第五条第一項の規定による通知を受ける前に、その命令 又は通知を受けた場合に執るべき手続を執つたときは、経済産業省令で定める場合を除き、当該手続は、その命令 又は通知を受けたことにより執つた手続とみなす。

1項

第九条第十五条において準用する場合を含む。)の規定による請求をする者は、実費を勘案して政令で定める金額の手数料を納付しなければならない。

2項

次の表の第二欄に掲げる者は、それぞれ同表の第三欄に掲げる金額の範囲内において政令で定める金額に同表の第四欄に掲げる金額を合算して得た額の手数料を納付しなければならない。

特許庁が国際調査をする国際出願をする者
 
条約第三条(4)(iv)の手数料のうち、国際事務局(条約第二条(xix)の国際事務局をいう。以下同じ。)に係るものの金額として政令で定める金額
イ 明細書 及び請求の範囲が日本語で作成されている場合
一件につき 十四万三千円
ロ 明細書 及び請求の範囲が第三条第一項の経済産業省令で定める外国語で作成されている場合
一件につき 二十二万千円
特許庁以外の条約に規定する 国際調査機関が国際調査をする国際出願をする者
一件につき 一万三千円
条約第三条(4)(iv)の手数料のうち、特許庁以外の条約に規定する 国際調査機関 及び国際事務局に係るものの金額として政令で定める金額
国際予備審査の請求をする者
 
条約第三十一条(5)の手数料のうち、国際事務局に係るものの金額として政令で定める金額
イ 一の項第二欄イに掲げる場合
一件につき 四万八千円
ロ 一の項第二欄ロに掲げる場合
一件につき 七万七千円
3項

特許法第百九十五条第四項第五項第七項第八項 及び第十一項から第十三項までの規定は第一項 及び前項の規定により納付すべき手数料(同項の表の第四欄に掲げる金額に係る部分を除く)並びに第八条第四項 又は第十二条第三項の規定により追加して納付すべきことを命じられた手数料について、同法第百九十五条第六項の規定は前項の規定により納付すべき手数料(同項の表の第四欄に掲げる金額に係る部分を除く)について、同条第八項 及び第十一項から第十三項までの規定は前項の規定により納付すべき手数料(同項の表の第三欄に掲げる金額の範囲内において同項の政令で定める金額に係る部分を除く)について、それぞれ準用する。

1項

特許庁長官は、日本語でされた国際出願をする者であつて、中小企業者(特許法第百九条の二第二項に規定する中小企業者をいう。)、試験研究機関等(同条第三項に規定する試験研究機関等をいう。)その他の資力、研究開発 及び技術開発を行う能力、産業の発達に対する寄与の程度等を総合的に考慮して政令で定める者に対しては、政令で定めるところにより、前条第二項の規定により納付すべき手数料(同項の表の第三欄に掲げる金額の範囲内において同項の政令で定める金額に係る部分に限る)を軽減し、又は免除することができる。

1項

特許法第七条第一項から第三項まで第八条第十一条第十三条第一項 及び第四項第十六条第二十条 並びに第二十一条の規定は、この法律の規定に基づく手続に準用する。


この場合において、条約 又は特許協力条約に基づく規則(以下「規則」という。)に別段の定めがあるときは、その定めを実施するため、政令でこれらの規定の特例を定めることができる。

2項

特許法第四十七条第二項の規定は、国際調査 及び国際予備審査に準用する。

3項

特許法第百九十五条の三の規定は、この法律 又はこの法律に基づく命令の規定による処分に準用する。

1項

第二条から前条までに定めるもののほか、国際出願、国際調査 及び国際予備審査に関し条約 及び規則を実施するため必要な事項の細目は、経済産業省令で定める。

1項

この法律の規定は、工業所有権に関する国際協力の見地から必要がある場合において、条約 若しくは規則 又はこれらに基づいて締結された取決めに従つて、特許庁がこの法律 及び特許法 その他の法律の規定に基づいて行うべき事務の円滑な遂行に支障のない範囲内において、この法律の規定の適用を受ける者以外の者に関し条約に規定する受理官庁、国際調査機関 又は国際予備審査機関としての事務を行うことを妨げるものではない。