国有財産法

# 昭和二十三年法律第七十三号 #

第三節 普通財産

分類 法律
カテゴリ   国有財産
@ 施行日 : 令和四年五月十八日 ( 2022年 5月18日 )
@ 最終更新 : 令和三年法律第三十七号による改正
最終編集日 : 2024年 06月19日 08時36分


1項

普通財産は、第二十一条から第三十一条までの規定により貸し付け、管理を委託し、交換し、売り払い、譲与し、信託し、又は私権を設定することができる。

2項

普通財産は、法律で特別の定めをした場合に限り、出資の目的とすることができる。

1項

普通財産の貸付けは、次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める期間とする。

一 号

植樹を目的として土地 及び土地の定着物(建物を除く。以下 この条 及び第二十七条において同じ。)を貸し付ける場合

六十年以内

二 号

建物の所有を目的として土地 及び土地の定着物を貸し付ける場合において、借地借家法第二十二条第一項の規定に基づく借地権の存続期間を設定するとき

五十年以上

三 号

前二号の場合を除くほか、土地 及び土地の定着物を貸し付ける場合

三十年以内

四 号

建物 その他の物件を貸し付ける場合

十年以内

2項

前項の期間は、同項第二号に掲げる場合を除き、更新することができる。


この場合においては、更新の日から同項各号に規定する期間とする。

1項

普通財産は、次に掲げる場合においては、地方公共団体、水害予防組合 及び土地改良区(以下「公共団体」という。)に、無償で貸し付けることができる。

一 号

公共団体において、緑地、公園、ため池、用排水路、火葬場、墓地、ごみ処理施設、し尿処理施設、と畜場 又は信号機、道路標識 その他公共用 若しくは公用に供する政令で定める小規模な施設の用に供するとき。

二 号

公共団体において、保護を要する生活困窮者の収容の用に供するとき。

三 号

公共団体において、災害が発生した場合における応急措置の用に供するとき。

四 号

地方公共団体において、大規模地震対策特別措置法昭和五十三年法律第七十三号)第二条第十四号の地震防災応急対策の実施の用に供するとき。

五 号

地方公共団体において、原子力災害対策特別措置法平成十一年法律第百五十六号)第二条第五号の緊急事態応急対策の実施の用に供するとき。

六 号

地方公共団体において、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律平成十六年法律第百十二号第二条第三項の国民の保護のための措置 又は同法第百七十二条第一項の緊急対処保護措置の実施の用に供するとき。

2項

前項の無償貸付は、公共団体における当該施設の経営が営利を目的とし、又は利益をあげる場合には、行うことができない

3項

各省各庁の長は、第一項の規定により、普通財産を無償で貸し付けた場合において、公共団体の当該財産の管理が良好でないと認めるとき 又は前項の規定に該当することとなつたときは、直ちにその契約を解除しなければならない。

1項

普通財産の貸付料は、毎年定期に納付させなければならない。


ただし数年分を前納させることを妨げない。

2項

前項の場合において、当該財産を所管する各省各庁の長は、借受人から、預金 又は貯金の払出しとその払い出した金銭による貸付料の納付をその預金口座 又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があつた場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが貸付料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。

1項

普通財産を貸し付けた場合において、その貸付期間中に国 又は公共団体において公共用、公用 又は公益事業の用に供するため必要を生じたときは、当該財産を所管する各省各庁の長は、その契約を解除することができる。

2項

前項の規定により契約を解除した場合においては、借受人は、これによつて生じた損失につき当該財産を所管する各省各庁の長に対し、その補償を求めることができる。

1項

前条第二項の規定により補償の請求があつたときは、当該財産を所管する各省各庁の長は、会計検査院の審査に付することができる。

2項

各省各庁の長は、前項の審査の結果に関し、会計検査院の通知を受けたときは、その通知のあつた判定に基づき、適当な措置をとらなければならない。

1項

第二十一条から前条まで鉄道、道路、電線路 その他政令で定める施設の用に供される土地に地上権 又は地役権を設定する場合にあつては、第二十一条 及び第二十三条除く)の規定は、貸付け以外の方法により普通財産の使用 又は収益をさせる場合(次条の規定に基づいて使用 又は収益をさせる場合を除く)について準用する。

1項

普通財産は、各省各庁の長が当該財産の有効な利用を図るため特に必要があると認める場合には、政令で定めるところにより、その適当と認める者に管理を委託することができる。

2項

前項の規定による管理の委託を受けた者(以下「管理受託者」という。)は、管理の目的を妨げない限度において、各省各庁の長の承認を受けて、当該普通財産を使用し、又は収益することができる。

3項

管理受託者は、その管理の委託を受けた普通財産の管理の費用を負担しなければならない。

4項

管理の委託を受けた普通財産から生ずる収益は、管理受託者の収入とする。


ただし、その収益が前項の管理の費用を著しく超える場合として政令で定める場合には、管理受託者は、その超える金額の範囲内で各省各庁の長の定める金額を国に納付しなければならない。

1項

普通財産は、土地 又は土地の定着物 若しくは堅固な建物に限り、国 又は公共団体において公共用、公用 又は公益事業の用に供するため必要があるときは、それぞれ土地 又は土地の定着物 若しくは堅固な建物と交換することができる。


ただし、価額の差額が、その高価なものの価額の四分の一を超えるときは、この限りでない。

2項

前項の交換をする場合において、その価額が等しくないときは、その差額を金銭で補足しなければならない。

3項

第一項の規定により堅固な建物を交換しようとするときは、各省各庁の長は、事前に、会計検査院に通知しなければならない。

1項

普通財産は、次に掲げる場合においては、譲与することができる。

一 号

公共団体において維持 及び保存の費用を負担した公共用財産の用途を廃止した場合において、当該用途の廃止によつて生じた普通財産をその負担した費用の額が当該用途の廃止時における当該財産の価額に対して占める割合に対応する価額の範囲内において当該公共団体に譲与するとき。

二 号

公共団体 又は私人において公共用財産の用途に代わるべき他の施設をしたためその用途を廃止した場合において、当該用途の廃止によつて生じた普通財産をその負担した費用の額が当該用途の廃止時における当該財産の価額に対して占める割合に対応する価額の範囲内において当該公共団体 又は当該私人 若しくはその相続人 その他の包括承継者に譲与するとき。

三 号

公共用財産のうち寄附に係るものの用途を廃止した場合において、当該用途の廃止によつて生じた普通財産をその寄附者 又はその相続人 その他の包括承継者に譲与するとき。


ただし、寄附の際特約をした場合を除くほか、寄附を受けた後二十年を経過したものについては、この限りでない。

四 号

公共団体において火葬場、墓地、ごみ処理施設、し尿処理施設 又はと畜場として公共の用に供する普通財産を当該公共団体に譲与するとき。


ただし、公共団体における当該施設の経営が営利を目的とし、又は利益をあげる場合においては、この限りでない。

1項

普通財産は、土地(その土地の定着物を含む。以下 この条第二十八条の四 及び第二十八条の五において同じ。)に限り、政令で定めるところにより、信託することができる。


ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。

一 号

第二十二条第二十六条において準用する場合を含む。)、第二十七条 又は前条の規定に該当しない無償貸付、交換 又は譲与をすることを信託の目的とするとき。

二 号

以外の者を信託の受益者とするとき。

三 号

土地の信託をすることにより国の通常享受すると見込まれる利益が、当該土地の貸付け 又は売払いをすることにより国の通常享受すると見込まれる利益を下回ることが確実と見込まれるとき。

2項

各省各庁の長は、前項の規定により土地を信託しようとする場合には、次に掲げる事項について、政令で定めるところにより、あらかじめ財政制度等審議会 又は地方審議会に諮問し、その議を経なければならない。

一 号
信託の目的
二 号
信託の受託者の選定方法
三 号
信託の収支見積り
四 号

信託の受託者が当該信託に必要な資金の借入れをする場合の当該借入金の限度額

五 号
その他政令で定める事項
3項

各省各庁の長は、第一項の規定により土地を信託しようとする場合には、事前に、会計検査院に通知しなければならない。

1項

信託期間は、二十年超えることができない

2項

前項の信託期間は、更新することができる。


この場合においては、更新の日から二十年超えることができない

1項

各省各庁の長は、第二十八条の二第一項の規定により土地を信託した場合において当該信託の信託期間を更新しようとするとき その他政令で定めるときは、財務大臣に協議するとともに、政令で定める事項について、同条第二項の規定により諮問した財政制度等審議会 又は地方審議会に諮問し、その議を経なければならない。

1項

各省各庁の長は、第二十八条の二第一項の規定により土地を信託した場合には、当該土地に係る信託事務の処理を適正に行うため、政令で定めるところにより、その信託の受託者に対し、信託事務の処理状況に関する資料 若しくは報告を求め、又は必要があると認めるときは、当該職員に実地監査をさせ、信託事務の処理について必要な指示をすることができる。

1項

普通財産の売払い 又は譲与をする場合は、当該財産を所管する各省各庁の長は、その買受人 又は譲与を受けた者に対して用途 並びにその用途に供しなければならない期日 及び期間を指定しなければならない。


ただし、政令で定める場合に該当するときは、この限りでない。

1項

前条の規定によつて用途 並びにその用途に供しなければならない期日 及び期間を指定して普通財産の売払い又は譲与をした場合において、指定された期日を経過してもなお その用途に供せず、又はその用途に供した後指定された期間内にその用途を廃止したときは、当該財産を所管した各省各庁の長は、その契約を解除することができる。

2項

前項の規定により契約を解除した場合において、損害の賠償を求めるときは、各省各庁の長は、その額について財務大臣に協議しなければならない。

1項

普通財産の売払代金 又は交換差金は、当該財産の引渡前に納付させなければならない。


ただし、当該財産の譲渡を受けた者が公共団体 又は教育 若しくは社会事業を営む団体である場合において、各省各庁の長は、その代金 又は差金を一時に支払うことが困難であると認めるときは、確実な担保を徴し、利息を付し、五年以内の延納の特約をすることができる。

2項

前項ただし書の規定により延納の特約をしようとする場合において、普通財産の譲渡を受けた者が地方公共団体であるときは、担保を徴しないことができる。

3項

第一項ただし書の規定により延納の特約をしようとするときは、各省各庁の長は、延納期限、担保 及び利率について、財務大臣に協議しなければならない。

4項

第一項ただし書の規定により延納の特約をした場合において、当該財産の譲渡を受けた者のする管理が適当でないと認めるときは、各省各庁の長は、直ちにその特約を解除しなければならない。