国有財産の取得、維持、保存 及び運用(以下「管理」という。)並びに処分については、他の法律に特別の定めのある場合を除くほか、この法律の定めるところによる。
国有財産法
第一章 総則
この法律において国有財産とは、国の負担において国有となつた財産 又は法令の規定により、若しくは寄附により国有となつた財産であつて次に掲げるものをいう。
船舶、浮標、浮桟橋 及び浮ドック 並びに航空機
前二号に掲げる不動産 及び動産の従物
地上権、地役権、鉱業権 その他これらに準ずる権利
特許権、著作権、商標権、実用新案権 その他これらに準ずる権利
株式、新株予約権、社債(特別の法律により法人の発行する債券に表示されるべき権利を含み、短期社債等を除く。)、地方債、信託の受益権 及びこれらに準ずるもの 並びに出資による権利(国が資金 又は積立金の運用 及びこれに準ずる目的のために臨時に所有するものを除く。)
前項第六号の「短期社債等」とは、次に掲げるものをいう。
社債、株式等の振替に関する法律(平成十三年法律第七十五号)第六十六条第一号に規定する短期社債
投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)第百三十九条の十二第一項に規定する短期投資法人債
信用金庫法(昭和二十六年法律第二百三十八号)第五十四条の四第一項に規定する短期債
保険業法(平成七年法律第百五号)第六十一条の十第一項に規定する短期社債
資産の流動化に関する法律(平成十年法律第百五号)第二条第八項に規定する特定短期社債
農林中央金庫法(平成十三年法律第九十三号)第六十二条の二第一項に規定する短期農林債
国有財産は、行政財産と普通財産とに分類する。
行政財産とは、次に掲げる種類の財産をいう。
公用財産
国において国の事務、事業 又はその職員(国家公務員宿舎法(昭和二十四年法律第百十七号)第二条第二号の職員をいう。)の住居の用に供し、又は供するものと決定したもの
公共用財産
国において直接公共の用に供し、又は供するものと決定したもの
皇室用財産
国において皇室の用に供し、又は供するものと決定したもの
森林経営用財産
国において森林経営の用に供し、又は供するものと決定したもの
普通財産とは、行政財産以外の一切の国有財産をいう。
この法律において「国有財産の総括」とは、国有財産の適正な方法による管理 及び処分を行うため、国有財産に関する制度を整え、その管理 及び処分の事務を統一し、その増減、現在額 及び現状を明らかにし、並びにその管理 及び処分について必要な調整をすることをいう。
この法律において「国有財産の所管換」とは、衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、各省大臣、最高裁判所長官 及び会計検査院長(以下「各省各庁の長」という。)の間において、国有財産の所管を移すことをいう。
この法律において「国有財産の所属替」とは、同一所管内に二以上の部局等がある場合に、一の部局等の所属に属する国有財産を他の部局等の所属に移すことをいう。
第二章 管理及び処分の機関
各省各庁の長は、その所管に属する行政財産を管理しなければならない。
二以上の各省各庁の長において使用する行政財産のうち統一的に管理する必要があるもので財務大臣が指定する財産は、これを使用する各省各庁の長のうち財務大臣が指定する者の所管に属するものとする。
普通財産は、財務大臣が管理し、又は処分しなければならない。
財務大臣は、国有財産の総括をしなければならない。
行政財産の用途を廃止した場合 又は普通財産を取得した場合においては、各省各庁の長は、財務大臣に引き継がなければならない。
ただし、政令で定める特別会計に属するもの 及び引き継ぐことを適当としないものとして政令で定めるものについては、この限りでない。
前項ただし書の普通財産については、第六条の規定にかかわらず、当該財産を所管する各省各庁の長が管理し、又は処分するものとする。
各省各庁の長は、その所管に属する国有財産に関する事務の一部を、部局等の長に分掌させることができる。
財務大臣は、国有財産の総括に関する事務の一部を部局等の長に分掌させることができる。
国有財産に関する事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県 又は市町村が行うこととすることができる。
前項の規定により都道府県 又は市町村が行うこととされる事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
財務局ごとに、国有財産地方審議会(以下「地方審議会」という。)を置く。
地方審議会は、財務局長の諮問に応じて国有財産の管理 及び処分について調査審議し、並びにこれに関し財務局長に意見を述べることができる。
地方審議会は、前項に規定するもののほか、第二十八条の二第二項、第二十八条の四 及び第三十一条の四第三項の規定により諮問される事項を調査審議する。
前条に定めるもののほか、地方審議会の組織 及び委員 その他の職員 その他地方審議会に関し必要な事項については、政令で定める。
第三章 管理及び処分
第一節 通則
各省各庁の長は、その所管に属する国有財産について、良好な状態での維持 及び保存、用途 又は目的に応じた効率的な運用 その他の適正な方法による管理 及び処分を行わなければならない。
財務大臣は、前条に規定する国有財産の適正な方法による管理 及び処分を行うため必要があると認めるときは、各省各庁の長に対し、その所管に属する国有財産について、その状況に関する資料 若しくは報告を求め、実地監査をし、又は用途の変更、用途の廃止、所管換 その他必要な措置を求めることができる。
財務大臣は、前項の規定により措置を求めたときは、各省各庁の長に対し、そのとつた措置について報告を求めることができる。
財務大臣は、前項の報告を求めた場合において、必要があると認めるときは、閣議の決定を経て、各省各庁の長に対し、その所管する国有財産について、用途の変更、用途の廃止、所管換 その他必要な指示をすることができる。
財務大臣は、一定の用途に供する目的で国有財産の譲渡 又は貸付けを受けた者に対し、その用途に供されているかどうかを確かめるため、自ら、又は各省各庁の長に委任して、当該財産について、その状況に関する資料 若しくは報告を求め、又は当該職員に実地監査をさせることができる。
財務大臣は、各省各庁の長の所管に属する国有財産につき、その現況に関する記録を備え、常時 その状況を明らかにしておかなければならない。
各省各庁の長が、国有財産の所管換を受けようとするときは、当該財産を所管する各省各庁の長 及び財務大臣に協議しなければならない。
ただし、次条の規定により国会の議決を経なければならない場合 又は政令で定める場合に該当するときは、財務大臣への協議は、要しないものとする。
公園 又は広場として公共の用に供し、又は供するものと決定した公共用財産について、その用途を廃止し、若しくは変更し、又は公共用財産以外の行政財産としようとするときは、国会の議決を経なければならない。
ただし、当該財産の価額が一億五千万円以上である場合を除くほか、毎年四月一日から翌年三月三十一日までの期間内に、その用途を廃止し、若しくは変更し、又は公共用財産以外の行政財産とする財産の価額の合計額が十五億円に達するに至るまでの場合については、この限りでない。
皇室用財産とする目的で寄附 若しくは交換により財産を取得し、又は皇室用財産以外の国有財産を皇室用財産としようとするときは、国会の議決を経なければならない。
ただし、当該財産の価額が一億五千万円以上である場合を除くほか、毎年四月一日から翌年三月三十一日までの期間内に、その寄附 若しくは交換により取得し、又は皇室用財産とする財産の価額の合計額が十五億円に達するに至るまでの場合については、この限りでない。
次に掲げる場合においては、当該国有財産を所管する各省各庁の長は、財務大臣に協議しなければならない。
ただし、前条の規定により国会の議決を経なければならない場合 又は政令で定める場合に該当するときは、この限りでない。
行政財産とする目的で土地 又は建物を取得しようとするとき。
普通財産を行政財産としようとするとき。
行政財産の種類を変更しようとするとき。
行政財産である土地 又は建物について、所属替をし、又は用途を変更しようとするとき。
行政財産である建物を移築し、又は改築しようとするとき。
行政財産を他の各省各庁の長に使用させようとするとき。
国以外の者に行政財産を使用させ、又は収益させようとするとき。
特別会計に属する普通財産である土地 又は建物を貸し付け、若しくは貸付け以外の方法により使用させ 若しくは収益させ、又は当該土地 又は建物の売払いをしようとするとき。
普通財産である土地(その土地の定着物を含む。)を信託しようとするとき。
国有財産を、所属を異にする会計の間において、所管換 若しくは所属替をし、又は所属を異にする会計に使用させるときは、当該会計間において有償として整理するものとする。
ただし、国において直接 公共の用に供する目的をもつてする場合であつて、当該財産の価額が政令で定める金額に達しないときは、この限りでない。
国有財産に関する事務に従事する職員は、その取扱いに係る国有財産を譲り受け、又は自己の所有物と交換することができない。
前項の規定に違反する行為は、無効とする。
第二節 行政財産
行政財産は、貸し付け、交換し、売り払い、譲与し、信託し、若しくは出資の目的とし、又は私権を設定することができない。
前項の規定にかかわらず、行政財産は、次に掲げる場合には、その用途 又は目的を妨げない限度において、貸し付け、又は私権を設定することができる。
国以外の者が行政財産である土地の上に政令で定める堅固な建物 その他の土地に定着する工作物であつて当該行政財産である土地の供用の目的を効果的に達成することに資すると認められるものを所有し、又は所有しようとする場合(国と一棟の建物を区分して所有する場合を除く。)において、その者(当該行政財産を所管する各省各庁の長が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付けるとき。
国が地方公共団体 又は政令で定める法人と行政財産である土地の上に一棟の建物を区分して所有するためその者に当該土地を貸し付ける場合
国が行政財産である土地 及びその隣接地の上に国以外の者と一棟の建物を区分して所有するためその者(当該建物のうち行政財産である部分を所管することとなる各省各庁の長が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付ける場合
国の庁舎等の使用調整等に関する特別措置法(昭和三十二年法律第百十五号)第二条第二項に規定する庁舎等についてその床面積 又は敷地に余裕がある場合として政令で定める場合において、国以外の者(当該庁舎等を所管する各省各庁の長が当該庁舎等の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該余裕がある部分を貸し付けるとき(前三号に掲げる場合に該当する場合を除く。)。
行政財産である土地を地方公共団体 又は政令で定める法人の経営する鉄道、道路 その他政令で定める施設の用に供する場合において、その者のために当該土地に地上権を設定するとき。
行政財産である土地を地方公共団体 又は政令で定める法人の使用する電線路 その他政令で定める施設の用に供する場合において、その者のために当該土地に地役権を設定するとき。
前項第二号に掲げる場合において、当該行政財産である土地の貸付けを受けた者が当該土地の上に所有する一棟の建物の一部(以下この条において「特定施設」という。)を国以外の者に譲渡しようとするときは、当該特定施設を譲り受けようとする者(当該行政財産を所管する各省各庁の長が当該行政財産の適正な方法による管理を行う上で適当と認める者に限る。)に当該土地を貸し付けることができる。
前項の規定は、同項(この項において準用する場合を含む。)の規定により行政財産である土地の貸付けを受けた者が当該特定施設を譲渡しようとする場合について準用する。
前各項の規定に違反する行為は、無効とする。
行政財産は、その用途 又は目的を妨げない限度において、その使用 又は収益を許可することができる。
地方公共団体、特別の法律により設立された法人のうち政令で定めるもの又は地方道路公社が行政財産を道路、水道 又は下水道の用に供する必要がある場合において、第二項第一号の貸付け、同項第五号の地上権 若しくは同項第六号の地役権の設定 又は前項の許可をするときは、これらの者に当該行政財産を無償で使用させ、又は収益させることができる。
第六項の規定による許可を受けてする行政財産の使用 又は収益については、借地借家法(平成三年法律第九十号)の規定は、適用しない。
第二十一条から第二十五条まで(前条第二項第五号 又は第六号の規定により地上権 又は地役権を設定する場合にあつては第二十一条 及び第二十三条を除き、前条第六項の規定により使用 又は収益を許可する場合にあつては第二十一条第一項第二号を除く。)の規定は、前条第二項第一号から第四号までの貸付け、同項第五号の地上権 若しくは同項第六号の地役権の設定、同条第三項(同条第四項において準用する場合を含む。)の貸付け 又は同条第六項の許可により行政財産の使用 又は収益をさせる場合について準用する。
第三節 普通財産
普通財産は、第二十一条から第三十一条までの規定により貸し付け、管理を委託し、交換し、売り払い、譲与し、信託し、又は私権を設定することができる。
普通財産は、法律で特別の定めをした場合に限り、出資の目的とすることができる。
普通財産の貸付けは、次の各号に掲げる場合に応じ、当該各号に定める期間とする。
植樹を目的として土地 及び土地の定着物(建物を除く。以下 この条 及び第二十七条において同じ。)を貸し付ける場合
六十年以内
建物の所有を目的として土地 及び土地の定着物を貸し付ける場合において、借地借家法第二十二条第一項の規定に基づく借地権の存続期間を設定するとき
五十年以上
前二号の場合を除くほか、土地 及び土地の定着物を貸し付ける場合
三十年以内
建物 その他の物件を貸し付ける場合
十年以内
前項の期間は、同項第二号に掲げる場合を除き、更新することができる。
この場合においては、更新の日から同項各号に規定する期間とする。
普通財産は、次に掲げる場合においては、地方公共団体、水害予防組合 及び土地改良区(以下「公共団体」という。)に、無償で貸し付けることができる。
公共団体において、緑地、公園、ため池、用排水路、火葬場、墓地、ごみ処理施設、し尿処理施設、と畜場 又は信号機、道路標識 その他公共用 若しくは公用に供する政令で定める小規模な施設の用に供するとき。
公共団体において、保護を要する生活困窮者の収容の用に供するとき。
公共団体において、災害が発生した場合における応急措置の用に供するとき。
地方公共団体において、大規模地震対策特別措置法(昭和五十三年法律第七十三号)第二条第十四号の地震防災応急対策の実施の用に供するとき。
地方公共団体において、原子力災害対策特別措置法(平成十一年法律第百五十六号)第二条第五号の緊急事態応急対策の実施の用に供するとき。
地方公共団体において、武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律(平成十六年法律第百十二号)第二条第三項の国民の保護のための措置 又は同法第百七十二条第一項の緊急対処保護措置の実施の用に供するとき。
前項の無償貸付は、公共団体における当該施設の経営が営利を目的とし、又は利益をあげる場合には、行うことができない。
各省各庁の長は、第一項の規定により、普通財産を無償で貸し付けた場合において、公共団体の当該財産の管理が良好でないと認めるとき 又は前項の規定に該当することとなつたときは、直ちにその契約を解除しなければならない。
普通財産の貸付料は、毎年定期に納付させなければならない。
ただし、数年分を前納させることを妨げない。
前項の場合において、当該財産を所管する各省各庁の長は、借受人から、預金 又は貯金の払出しとその払い出した金銭による貸付料の納付をその預金口座 又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があつた場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが貸付料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。
普通財産を貸し付けた場合において、その貸付期間中に国 又は公共団体において公共用、公用 又は公益事業の用に供するため必要を生じたときは、当該財産を所管する各省各庁の長は、その契約を解除することができる。
前項の規定により契約を解除した場合においては、借受人は、これによつて生じた損失につき当該財産を所管する各省各庁の長に対し、その補償を求めることができる。
前条第二項の規定により補償の請求があつたときは、当該財産を所管する各省各庁の長は、会計検査院の審査に付することができる。
各省各庁の長は、前項の審査の結果に関し、会計検査院の通知を受けたときは、その通知のあつた判定に基づき、適当な措置をとらなければならない。
第二十一条から前条まで(鉄道、道路、電線路 その他政令で定める施設の用に供される土地に地上権 又は地役権を設定する場合にあつては、第二十一条 及び第二十三条を除く。)の規定は、貸付け以外の方法により普通財産の使用 又は収益をさせる場合(次条の規定に基づいて使用 又は収益をさせる場合を除く。)について準用する。
普通財産は、各省各庁の長が当該財産の有効な利用を図るため特に必要があると認める場合には、政令で定めるところにより、その適当と認める者に管理を委託することができる。
前項の規定による管理の委託を受けた者(以下「管理受託者」という。)は、管理の目的を妨げない限度において、各省各庁の長の承認を受けて、当該普通財産を使用し、又は収益することができる。
管理受託者は、その管理の委託を受けた普通財産の管理の費用を負担しなければならない。
管理の委託を受けた普通財産から生ずる収益は、管理受託者の収入とする。
ただし、その収益が前項の管理の費用を著しく超える場合として政令で定める場合には、管理受託者は、その超える金額の範囲内で各省各庁の長の定める金額を国に納付しなければならない。
普通財産は、土地 又は土地の定着物 若しくは堅固な建物に限り、国 又は公共団体において公共用、公用 又は公益事業の用に供するため必要があるときは、それぞれ土地 又は土地の定着物 若しくは堅固な建物と交換することができる。
ただし、価額の差額が、その高価なものの価額の四分の一を超えるときは、この限りでない。
前項の交換をする場合において、その価額が等しくないときは、その差額を金銭で補足しなければならない。
第一項の規定により堅固な建物を交換しようとするときは、各省各庁の長は、事前に、会計検査院に通知しなければならない。
普通財産は、次に掲げる場合においては、譲与することができる。
公共団体において維持 及び保存の費用を負担した公共用財産の用途を廃止した場合において、当該用途の廃止によつて生じた普通財産をその負担した費用の額が当該用途の廃止時における当該財産の価額に対して占める割合に対応する価額の範囲内において当該公共団体に譲与するとき。
公共団体 又は私人において公共用財産の用途に代わるべき他の施設をしたためその用途を廃止した場合において、当該用途の廃止によつて生じた普通財産をその負担した費用の額が当該用途の廃止時における当該財産の価額に対して占める割合に対応する価額の範囲内において当該公共団体 又は当該私人 若しくはその相続人 その他の包括承継者に譲与するとき。
公共用財産のうち寄附に係るものの用途を廃止した場合において、当該用途の廃止によつて生じた普通財産をその寄附者 又はその相続人 その他の包括承継者に譲与するとき。
ただし、寄附の際特約をした場合を除くほか、寄附を受けた後二十年を経過したものについては、この限りでない。
公共団体において火葬場、墓地、ごみ処理施設、し尿処理施設 又はと畜場として公共の用に供する普通財産を当該公共団体に譲与するとき。
ただし、公共団体における当該施設の経営が営利を目的とし、又は利益をあげる場合においては、この限りでない。
普通財産は、土地(その土地の定着物を含む。以下 この条、第二十八条の四 及び第二十八条の五において同じ。)に限り、政令で定めるところにより、信託することができる。
ただし、次に掲げる場合は、この限りでない。
第二十二条(第二十六条において準用する場合を含む。)、第二十七条 又は前条の規定に該当しない無償貸付、交換 又は譲与をすることを信託の目的とするとき。
国以外の者を信託の受益者とするとき。
土地の信託をすることにより国の通常享受すると見込まれる利益が、当該土地の貸付け 又は売払いをすることにより国の通常享受すると見込まれる利益を下回ることが確実と見込まれるとき。
各省各庁の長は、前項の規定により土地を信託しようとする場合には、次に掲げる事項について、政令で定めるところにより、あらかじめ財政制度等審議会 又は地方審議会に諮問し、その議を経なければならない。
信託の受託者が当該信託に必要な資金の借入れをする場合の当該借入金の限度額
各省各庁の長は、第一項の規定により土地を信託しようとする場合には、事前に、会計検査院に通知しなければならない。
信託期間は、二十年を超えることができない。
前項の信託期間は、更新することができる。
この場合においては、更新の日から二十年を超えることができない。
各省各庁の長は、第二十八条の二第一項の規定により土地を信託した場合において当該信託の信託期間を更新しようとするとき その他政令で定めるときは、財務大臣に協議するとともに、政令で定める事項について、同条第二項の規定により諮問した財政制度等審議会 又は地方審議会に諮問し、その議を経なければならない。
各省各庁の長は、第二十八条の二第一項の規定により土地を信託した場合には、当該土地に係る信託事務の処理を適正に行うため、政令で定めるところにより、その信託の受託者に対し、信託事務の処理状況に関する資料 若しくは報告を求め、又は必要があると認めるときは、当該職員に実地監査をさせ、信託事務の処理について必要な指示をすることができる。
普通財産の売払い 又は譲与をする場合は、当該財産を所管する各省各庁の長は、その買受人 又は譲与を受けた者に対して用途 並びにその用途に供しなければならない期日 及び期間を指定しなければならない。
ただし、政令で定める場合に該当するときは、この限りでない。
前条の規定によつて用途 並びにその用途に供しなければならない期日 及び期間を指定して普通財産の売払い又は譲与をした場合において、指定された期日を経過してもなお その用途に供せず、又はその用途に供した後指定された期間内にその用途を廃止したときは、当該財産を所管した各省各庁の長は、その契約を解除することができる。
前項の規定により契約を解除した場合において、損害の賠償を求めるときは、各省各庁の長は、その額について財務大臣に協議しなければならない。
普通財産の売払代金 又は交換差金は、当該財産の引渡前に納付させなければならない。
ただし、当該財産の譲渡を受けた者が公共団体 又は教育 若しくは社会事業を営む団体である場合において、各省各庁の長は、その代金 又は差金を一時に支払うことが困難であると認めるときは、確実な担保を徴し、利息を付し、五年以内の延納の特約をすることができる。
前項ただし書の規定により延納の特約をしようとする場合において、普通財産の譲渡を受けた者が地方公共団体であるときは、担保を徴しないことができる。
第一項ただし書の規定により延納の特約をしようとするときは、各省各庁の長は、延納期限、担保 及び利率について、財務大臣に協議しなければならない。
第一項ただし書の規定により延納の特約をした場合において、当該財産の譲渡を受けた者のする管理が適当でないと認めるときは、各省各庁の長は、直ちにその特約を解除しなければならない。
第三章の二 立入り及び境界確定
各省各庁の長は、その所管に属する国有財産の調査 又は測量を行うためやむを得ない必要があるときは、その所属の職員を他人の占有する土地に立ち入らせることができる。
各省各庁の長は、前項の規定によりその職員を他人の占有する土地に立ち入らせようとするときは、あらかじめその占有者にその旨を通知しなければならない。
この場合において、通知を受けるべき者の所在が知れないときは、当該通知は、公告をもつてこれに代えることができる。
第一項の規定により宅地 又は垣、さく等で囲まれた土地に立ち入ろうとする者は、立入りの際 あらかじめその旨を当該土地の占有者に告げなければならない。
第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入ろうとする者は、その身分を示す証明書を携帯し、関係人の請求があつたときは、提示しなければならない。
各省各庁の長は、第一項の規定による立入りにより損失を受けた者に対し、通常生ずべき損失を補償しなければならない。
各省各庁の長は、その所管に属する国有財産の境界が明らかでないためその管理に支障がある場合には、隣接地の所有者に対し、立会場所、期日 その他必要な事項を通知して、境界を確定するための協議を求めることができる。
前項の規定により協議を求められた隣接地の所有者は、やむを得ない場合を除き、同項の通知に従い、その場所に立ち会つて境界の確定につき協議しなければならない。
第一項の協議が調つた場合には、各省各庁の長 及び隣接地の所有者は、書面により、確定された境界を明らかにしなければならない。
第一項の協議が調わない場合には、境界を確定するためにいかなる行政上の処分も行われてはならない。
各省各庁の長は、前条第一項の規定により協議を求めた隣接地の所有者が立ち会わないため協議することができないときは、当該隣接地の所在する市町村の職員の立会いを求めて、境界を定めるための調査を行うものとする。
ただし、当該隣接地の所有者が正当な理由により立ち会うことができない場合において、その旨をあらかじめ当該各省各庁の長に通知したときは、この限りでない。
各省各庁の長は、前項の調査に基づいてその調査に係る境界を定めることができる。
各省各庁の長は、前項の規定により境界を定めようとするときは、当該境界の存する地域を管轄する財務局に置かれた地方審議会に諮問し、その意見に基づいて、定めなければならない。
地方審議会は、前項の諮問に係る事案を調査審議する際、当該事案に係る隣接地の所有者 及び当該隣接地の知れたその他の権利者に対して意見を述べる機会を与えなければならない。
各省各庁の長は、第二項の規定により境界を定めた場合には、当該境界 及び当該境界を定めた経過を当該隣接地の所有者 及び当該隣接地の知れたその他の権利者に通知するとともに公告しなければならない。
この場合において、当該通知 及び公告には、次条第一項の期間内に同項の規定による通告がないときは、境界の確定に関し、当該隣接地の所有者の同意があつたものとみなされる旨を付記しなければならない。
隣接地の所有者 その他の権利者は、前条の規定により各省各庁の長が定めた境界に異議がある場合には、同条第五項の公告のあつた日から起算して六十日以内に、理由を付して、当該各省各庁の長に対し、その定めた境界に同意しない旨を通告することができる。
前項の期間内に前条第五項の通知を受けた隣接地の所有者から前項の規定による通告がなかつた場合には、当該期間満了の時に、境界の確定に関し、その者の同意があつたものとみなす。
ただし、同項の期間内に当該隣接地のその他の権利者から同項の規定による通告があつたときは、この限りでない。
前項の規定により同意があつたものとみなされる場合には、各省各庁の長は、速やかに、境界が確定した旨を当該隣接地の所有者 及び当該隣接地の知れたその他の権利者に通知するとともに公告しなければならない。
第三十一条の三第四項の規定は、第一項の期間内に同項の通告があつた場合について準用する。
第四章 台帳、報告書及び計算書
衆議院、参議院、内閣(内閣府 及びデジタル庁を除く。)、内閣府、デジタル庁、各省、最高裁判所 及び会計検査院(以下「各省各庁」という。)は、第三条の規定による国有財産の分類 及び種類に従い、その台帳を備えなければならない。
ただし、部局等の長において、国有財産に関する事務の一部を分掌するときは、その部局等ごとに備え、各省各庁には、その総括簿を備えるものとする。
各省各庁の長 又は部局等の長は、その所管に属し、又は所属に属する国有財産につき、取得、所管換、処分 その他の理由に基づく変動があつた場合においては、直ちに台帳に記載し、又は記録しなければならない。
各省各庁の長は、その所管に属する国有財産につき、毎会計年度間における増減 及び毎会計年度末現在における現在額の報告書を作成し、翌年度七月三十一日までに、財務大臣に送付しなければならない。
財務大臣は、前項の規定により送付を受けた国有財産増減 及び現在額報告書に基づき、国有財産増減 及び現在額総計算書を作成しなければならない。
内閣は、前項の国有財産増減及び現在額総計算書を第一項の国有財産増減 及び現在額報告書とともに、翌年度十月三十一日までに、会計検査院に送付し、その検査を受けなければならない。
内閣は、会計検査院の検査を経た国有財産増減 及び現在額総計算書を、翌年度開会の国会の常会に報告することを常例とする。
前項の国有財産増減 及び現在額総計算書には、会計検査院の検査報告のほか、国有財産の増減 及び現在額に関する説明書を添付する。
各省各庁の長は、毎会計年度ごとに当該年度末 及び翌年度末における国有財産見込現在額報告書を作成し、当該年度九月三十日までに、財務大臣に送付しなければならない。
財務大臣は、前項の規定により送付を受けた国有財産見込現在額報告書に基づき、当該年度末 及び翌年度末における国有財産見込現在額総計算書を作成しなければならない。
各省各庁の長は、毎会計年度末において第二十二条第一項の規定(第十九条 及び第二十六条において準用する場合を含む。)により無償貸付をした国有財産につき、毎会計年度末における国有財産無償貸付状況報告書を作成し、翌年度七月三十一日までに、財務大臣に送付しなければならない。
財務大臣は、前項の規定により送付を受けた国有財産無償貸付状況報告書に基づき、国有財産無償貸付状況総計算書を作成しなければならない。
内閣は、前項の国有財産無償貸付状況総計算書を、第一項の各省各庁の国有財産無償貸付状況報告書とともに、翌年度十月三十一日までに、会計検査院に送付し、その検査を受けなければならない。
内閣は、会計検査院の検査を経た国有財産無償貸付状況総計算書を、翌年度開会の国会の常会に報告することを常例とする。
前項の国有財産無償貸付状況総計算書には、会計検査院の検査報告のほか、国有財産の無償貸付状況に関する説明書を添付する。
本章の規定は、公共の用に供する財産で政令で定めるものについては、適用しない。
第五章 雑則
この法律(第三十一条の三第三項を除く。)又はこの法律に基づく命令の規定により作成することとされている報告書等(報告書 その他文字、図形 その他の人の知覚によつて認識することができる情報が記載された紙 その他の有体物をいう。次条において同じ。)については、当該報告書等に記載すべき事項を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式 その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものとして財務大臣が定めるものをいう。同条第一項において同じ。)の作成をもつて、当該報告書等の作成に代えることができる。
この場合において、当該電磁的記録は、当該報告書等とみなす。
この法律 又はこの法律に基づく命令の規定による報告書等の提出については、当該報告書等が電磁的記録をもつて作成されている場合には、電磁的方法(電子情報処理組織を使用する方法 その他の情報通信の技術を利用する方法であつて財務大臣が定めるものをいう。次項において同じ。)をもつて行うことができる。
前項の規定により報告書等の提出が電磁的方法によつて行われたときは、当該報告書等の提出を受けるべき者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルへの記録がされた時に当該提出を受けるべき者に到達したものとみなす。