文化財保護法

# 昭和二十五年法律第二百十四号 #

第二節 登録有形文化財

分類 法律
カテゴリ   文化
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 07月08日 10時02分


1項

文部科学大臣は、重要文化財以外の有形文化財(第百八十二条第二項に規定する指定を地方公共団体が行つているものを除く)のうち、その文化財としての価値に鑑み 保存 及び活用のための措置が特に必要とされるものを文化財登録原簿に登録することができる。

2項

文部科学大臣は、前項の規定による登録をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の意見を聴くものとする。


ただし、当該登録をしようとする有形文化財が第百八十二条の二第一項 若しくは第百八十三条の五第一項の規定 又は文化観光拠点施設を中核とした地域における文化観光の推進に関する法律令和二年法律第十八号)第十六条第一項の規定による登録の提案に係るものであるときは、この限りでない。

3項

文化財登録原簿に記載すべき事項 その他文化財登録原簿に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。

1項

前条第一項の規定による登録をしたときは、速やかに、その旨を官報で告示するとともに、当該登録をされた有形文化財(以下「登録有形文化財」という。)の所有者に通知する。

2項

前条第一項の規定による登録は、前項の規定による官報の告示があつた日からその効力を生ずる。


ただし、当該登録有形文化財の所有者に対しては、同項の規定による通知が当該所有者に到達した時からその効力を生ずる。

3項

前条第一項の規定による登録をしたときは、文部科学大臣は、当該登録有形文化財の所有者に登録証を交付しなければならない。

4項

登録証に記載すべき事項 その他登録証に関し必要な事項は、文部科学省令で定める。

1項

文部科学大臣は、登録有形文化財について、第二十七条第一項の規定により重要文化財に指定したときは、その登録を抹消するものとする。

2項

文部科学大臣は、登録有形文化財について、第百八十二条第二項に規定する指定を地方公共団体が行つたときは、その登録を抹消するものとする。


ただし、当該登録有形文化財について、その保存 及び活用のための措置を講ずる必要があり、かつ、その所有者の同意がある場合は、この限りでない。

3項

文部科学大臣は、登録有形文化財についてその保存 及び活用のための措置を講ずる必要がなくなつた場合 その他特殊の事由があるときは、その登録を抹消することができる。

4項

前三項の規定により登録の抹消をしたときは、速やかに、その旨を官報で告示するとともに、当該登録有形文化財の所有者に通知する。

5項

第一項から第三項までの規定による登録の抹消には、前条第二項の規定を準用する。

6項

第四項の通知を受けたときは、所有者は、三十日以内に登録証を文部科学大臣に返付しなければならない。

1項

登録有形文化財の所有者は、この法律 及びこれに基づく文部科学省令に従い、登録有形文化財を管理しなければならない。

2項

登録有形文化財の所有者は、当該登録有形文化財の適切な管理のため必要があるときは、第百九十二条の二第一項に規定する文化財保存活用支援団体 その他の適当な者を専ら自己に代わり当該登録有形文化財の管理の責めに任ずべき者(以下この節において「管理責任者」という。)に選任することができる。

3項

文化庁長官は、登録有形文化財について、所有者が判明せず、又は所有者 若しくは管理責任者による管理が著しく困難 若しくは不適当であることが明らかである旨の関係地方公共団体の申出があつた場合には、関係地方公共団体の意見を聴いて、適当な地方公共団体 その他の法人を、当該登録有形文化財の保存のため必要な管理(当該登録有形文化財の保存のため必要な施設、設備 その他の物件で当該登録有形文化財の所有者の所有 又は管理に属するものの管理を含む。)を行う団体(以下この節において「管理団体」という。)に指定することができる。

4項

登録有形文化財の管理には、第三十一条第三項第三十二条第三十二条の二第二項から第五項まで第三十二条の三 及び第三十二条の四の規定を準用する。

5項

登録有形文化財の管理責任者 及び管理団体には、第一項の規定を準用する。

1項

登録有形文化財の全部 又は一部が滅失し、若しくはき損し、又はこれを亡失し、若しくは盗み取られたときは、所有者(管理責任者 又は管理団体がある場合は、その者)は、文部科学省令で定める事項を記載した書面をもつて、その事実を知つた日から十日以内に文化庁長官に届け出なければならない。

1項

登録有形文化財の所在の場所を変更しようとするときは、登録有形文化財の所有者(管理責任者 又は管理団体がある場合は、その者)は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、所在の場所を変更しようとする日の二十日前までに、登録証を添えて、文化庁長官に届け出なければならない。


ただし、文部科学省令で定める場合には、届出を要せず、若しくは届出の際登録証の添付を要せず、又は文部科学省令で定めるところにより所在の場所を変更した後 届け出ることをもつて足りる。

1項

登録有形文化財の修理は、所有者が行うものとする。


ただし、管理団体がある場合は、管理団体が行うものとする。

2項

管理団体が修理を行う場合には、第三十二条の二第五項第三十二条の四 及び第三十四条の三第一項の規定を準用する。

1項

登録有形文化財に関し その現状を変更しようとする者は、現状を変更しようとする日の三十日前までに、文部科学省令で定めるところにより、文化庁長官にその旨を届け出なければならない。


ただし、維持の措置 若しくは非常災害のために必要な応急措置 又は他の法令の規定による現状変更を内容とする命令に基づく措置を執る場合は、この限りでない。

2項

前項ただし書に規定する維持の措置の範囲は、文部科学省令で定める。

3項

登録有形文化財の保護上必要があると認めるときは、文化庁長官は、第一項の届出に係る登録有形文化財の現状変更に関し 必要な指導、助言 又は勧告をすることができる。

1項

登録有形文化財を輸出しようとする者は、輸出しようとする日の三十日前までに、文部科学省令で定めるところにより、文化庁長官にその旨を届け出なければならない。

2項

登録有形文化財の保護上必要があると認めるときは、文化庁長官は、前項の届出に係る登録有形文化財の輸出に関し 必要な指導、助言 又は勧告をすることができる。

1項

登録有形文化財の所有者、管理責任者 又は管理団体は、文部科学省令で定めるところにより、文化庁長官に登録有形文化財の管理 又は修理に関し技術的指導を求めることができる。

1項

登録有形文化財の公開は、所有者が行うものとする。


ただし、管理団体がある場合は、管理団体が行うものとする。

2項

前項の規定は、登録有形文化財の所有者 及び管理団体以外の者が、所有者(管理団体がある場合は、その者)の同意を得て、登録有形文化財を公開の用に供することを妨げるものではない。

3項

管理団体が行う登録有形文化財の公開には、第四十七条の二第三項の規定を準用する。

4項

登録有形文化財の活用上必要があると認めるときは、文化庁長官は、登録有形文化財の所有者 又は管理団体に対し、登録有形文化財の公開 及び当該公開に係る登録有形文化財の管理に関し、必要な指導 又は助言をすることができる。

1項

登録有形文化財の所有者(管理団体がある場合は、その者)は、文部科学省令で定めるところにより、登録有形文化財の保存 及び活用に関する計画(以下「登録有形文化財保存活用計画」という。)を作成し、文化庁長官の認定を申請することができる。

2項

登録有形文化財保存活用計画には、次に掲げる事項を記載するものとする。

一 号

当該登録有形文化財の名称 及び所在の場所

二 号

当該登録有形文化財の保存 及び活用のために行う具体的な措置の内容

三 号
計画期間
四 号

その他文部科学省令で定める事項

3項

前項第二号に掲げる事項には、次に掲げる事項を記載することができる。

一 号

当該登録有形文化財の現状変更に関する事項

二 号

当該登録有形文化財(建造物であるものを除く次項第五号において同じ。)のうち世界文化の見地から歴史上、芸術上又は学術上特に優れた価値を有するものの公開を目的とする寄託契約に関する事項

4項

文化庁長官は、第一項の規定による認定の申請があつた場合において、その登録有形文化財保存活用計画が次の各号いずれにも適合するものであると認めるときは、その認定をするものとする。

一 号

当該登録有形文化財保存活用計画の実施が当該登録有形文化財の保存 及び活用に寄与するものであると認められること。

二 号

円滑かつ確実に実施されると見込まれるものであること。

三 号

第百八十三条の二第一項に規定する文化財保存活用大綱 又は第百八十三条の五第一項に規定する認定文化財保存活用地域計画が定められているときは、これらに照らし適切なものであること。

四 号

当該登録有形文化財保存活用計画に前項第一号に掲げる事項が記載されている場合には、その内容が登録有形文化財の現状変更を適切に行うために必要なものとして文部科学省令で定める基準に適合するものであること。

五 号

当該登録有形文化財保存活用計画に前項第二号に掲げる事項が記載されている場合には、当該寄託契約の内容が登録有形文化財の公開を適切かつ確実に行うために必要なものとして文部科学省令で定める基準に適合するものであること。

5項

文化庁長官は、前項の認定をしたときは、遅滞なく、その旨を当該認定を申請した者に通知しなければならない。

1項

前条第四項の認定を受けた登録有形文化財の所有者 又は管理団体は、当該認定を受けた登録有形文化財保存活用計画の変更(文部科学省令で定める軽微な変更を除く)をしようとするときは、文化庁長官の認定を受けなければならない。

2項

前条第四項 及び第五項の規定は、前項の認定について準用する。

1項

第六十七条の二第三項第一号に掲げる事項が記載された登録有形文化財保存活用計画が同条第四項の認定(前条第一項の変更の認定を含む。以下この節 及び第百五十三条第二項第七号において同じ。)を受けた場合において、当該登録有形文化財の現状変更をその記載された事項の内容に即して行うに当たり、第六十四条第一項の規定による届出を行わなければならないときは、同項の規定にかかわらず、当該現状変更が終了した後遅滞なく、文部科学省令で定めるところにより、その旨を文化庁長官に届け出ることをもつて足りる。

1項

文化庁長官は、第六十七条の二第四項の認定を受けた登録有形文化財の所有者 又は管理団体に対し、当該認定を受けた登録有形文化財保存活用計画(変更があつたときは、その変更後のもの。次条第一項 及び第六十七条の七において「認定登録有形文化財保存活用計画」という。)の実施の状況について報告を求めることができる。

1項

文化庁長官は、認定登録有形文化財保存活用計画が第六十七条の二第四項各号いずれかに適合しなくなつたと認めるときは、その認定を取り消すことができる。

2項

文化庁長官は、前項の規定により認定を取り消したときは、遅滞なく、その旨を当該認定を受けていた者に通知しなければならない。

1項

都道府県 及び市町村の教育委員会は、登録有形文化財の所有者 又は管理団体の求めに応じ、登録有形文化財保存活用計画の作成 及び認定登録有形文化財保存活用計画の円滑かつ確実な実施に関し必要な指導 又は助言をすることができる。

2項

文化庁長官は、登録有形文化財の所有者 又は管理団体の求めに応じ、登録有形文化財保存活用計画の作成 及び認定登録有形文化財保存活用計画の円滑かつ確実な実施に関し 必要な指導 又は助言をするように努めなければならない。

1項

文化庁長官は、必要があると認めるときは、登録有形文化財の所有者、管理責任者 又は管理団体に対し、登録有形文化財の現状 又は管理 若しくは修理の状況につき報告を求めることができる。

1項

登録有形文化財の所有者が変更したときは、旧所有者は、当該登録有形文化財の引渡しと同時にその登録証を新所有者に引き渡さなければならない。