文化財保護法

# 昭和二十五年法律第二百十四号 #

第六章 埋蔵文化財

分類 法律
カテゴリ   文化
@ 施行日 : 令和四年六月十七日 ( 2022年 6月17日 )
@ 最終更新 : 令和四年法律第六十八号による改正
最終編集日 : 2024年 11月23日 19時24分


1項

土地に埋蔵されている文化財(以下「埋蔵文化財」という。)について、その調査のため土地を発掘しようとする者は、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、発掘に着手しようとする日の三十日前までに文化庁長官に届け出なければならない。


-ただし、文部科学省令の定める場合は、この限りでない。

2項

埋蔵文化財の保護上特に必要があると認めるときは、文化庁長官は、前項の届出に係る発掘に関し必要な事項 及び報告書の提出を指示し、又はその発掘の禁止、停止 若しくは中止を命ずることができる。

1項

土木工事 その他埋蔵文化財の調査以外の目的で、貝づか、古墳 その他埋蔵文化財を包蔵する土地として周知されている土地(以下「周知の埋蔵文化財包蔵地」という。)を発掘しようとする場合には、前条第一項の規定を準用する。


この場合において、

同項
三十日前」とあるのは、
六十日前」と

読み替えるものとする。

2項

埋蔵文化財の保護上特に必要があると認めるときは、文化庁長官は、前項で準用する前条第一項の届出に係る発掘に関し、当該発掘前における埋蔵文化財の記録の作成のための発掘調査の実施 その他の必要な事項を指示することができる。

1項

国の機関、地方公共団体 又は国 若しくは地方公共団体の設立に係る法人で政令の定めるもの(以下この条 及び第九十七条において「国の機関等」と総称する。)が、前条第一項に規定する目的で周知の埋蔵文化財包蔵地を発掘しようとする場合においては、同条の規定を適用しないものとし、当該国の機関等は、当該発掘に係る事業計画の策定に当たつて、あらかじめ、文化庁長官にその旨を通知しなければならない。

2項

文化庁長官は、前項の通知を受けた場合において、埋蔵文化財の保護上特に必要があると認めるときは、当該国の機関等に対し、当該事業計画の策定 及びその実施について協議を求めるべき旨の通知をすることができる。

3項

前項の通知を受けた国の機関等は、当該事業計画の策定 及びその実施について、文化庁長官に協議しなければならない。

4項

文化庁長官は、前二項の場合を除き第一項の通知があつた場合において、当該通知に係る事業計画の実施に関し、埋蔵文化財の保護上必要な勧告をすることができる。

5項

前各項の場合において、当該国の機関等が各省各庁の長(国有財産法昭和二十三年法律第七十三号第四条第二項に規定する各省各庁の長をいう。以下同じ。)であるときは、これらの規定に規定する通知、協議 又は勧告は、文部科学大臣を通じて行うものとする。

1項

国 及び地方公共団体は、周知の埋蔵文化財包蔵地について、資料の整備 その他その周知の徹底を図るために必要な措置の実施に努めなければならない。

2項

国は、地方公共団体が行う前項の措置に関し、指導、助言 その他の必要と認められる援助をすることができる。

1項

土地の所有者 又は占有者が出土品の出土等により貝づか、住居跡、古墳 その他遺跡と認められるものを発見したときは、第九十二条第一項の規定による調査に当たつて発見した場合を除き、その現状を変更することなく、遅滞なく、文部科学省令の定める事項を記載した書面をもつて、その旨を文化庁長官に届け出なければならない。


ただし、非常災害のために必要な応急措置を執る場合は、その限度において、その現状を変更することを妨げない。

2項

文化庁長官は、前項の届出があつた場合において、当該届出に係る遺跡が重要なものであり、かつ、その保護のため調査を行う必要があると認めるときは、その土地の所有者 又は占有者に対し、期間 及び区域を定めて、その現状を変更することとなるような行為の停止 又は禁止を命ずることができる。


ただし、その期間は、三月超えることができない

3項

文化庁長官は、前項の命令をしようとするときは、あらかじめ、関係地方公共団体の意見を聴かなければならない。

4項

第二項の命令は、第一項の届出があつた日から起算して一月以内にしなければならない。

5項

第二項の場合において、同項の期間内に調査が完了せず、引き続き調査を行う必要があるときは、文化庁長官は、一回に限り、当該命令に係る区域の全部 又は一部について、その期間を延長することができる。


ただし、当該命令の期間が、同項の期間と通算して六月を超えることとなつてはならない。

6項

第二項 及び前項の期間を計算する場合においては、第一項の届出があつた日から起算して第二項の命令を発した日までの期間が含まれるものとする。

7項

文化庁長官は、第一項の届出がなされなかつた場合においても、第二項 及び第五項に規定する措置を執ることができる。

8項

文化庁長官は、第二項の措置を執つた場合を除き第一項の届出がなされた場合には、当該遺跡の保護上必要な指示をすることができる。


前項の規定により第二項の措置を執つた場合を除き第一項の届出がなされなかつたときも、同様とする。

9項

第二項の命令によつて損失を受けた者に対しては、国は、その通常生ずべき損失を補償する。

10項

前項の場合には、第四十一条第二項から第四項までの規定を準用する。

1項

国の機関等が前条第一項に規定する発見をしたときは、同条の規定を適用しないものとし、第九十二条第一項 又は第九十九条第一項の規定による調査に当たつて発見した場合を除き、その現状を変更することなく、遅滞なく、その旨を文化庁長官に通知しなければならない。


ただし、非常災害のために必要な応急措置を執る場合は、その限度において、その現状を変更することを妨げない。

2項

文化庁長官は、前項の通知を受けた場合において、当該通知に係る遺跡が重要なものであり、かつ、その保護のため調査を行う必要があると認めるときは、当該国の機関等に対し、その調査、保存等について協議を求めるべき旨の通知をすることができる。

3項

前項の通知を受けた国の機関等は、文化庁長官に協議しなければならない。

4項

文化庁長官は、前二項の場合を除き第一項の通知があつた場合において、当該遺跡の保護上必要な勧告をすることができる。

5項

前各項の場合には、第九十四条第五項の規定を準用する。

1項

文化庁長官は、歴史上 又は学術上の価値が特に高く、かつ、その調査が技術的に困難なため国において調査する必要があると認められる埋蔵文化財については、その調査のため土地の発掘を施行することができる。

2項

前項の規定により発掘を施行しようとするときは、文化庁長官は、あらかじめ、当該土地の所有者 及び権原に基づく占有者に対し、発掘の目的、方法、着手の時期 その他必要と認める事項を記載した令書を交付しなければならない。

3項

第一項の場合には、第三十九条同条第三項において準用する第三十二条の二第五項の規定を含む。)及び第四十一条の規定を準用する。

1項

地方公共団体は、文化庁長官が前条第一項の規定により発掘を施行するものを除き、埋蔵文化財について調査する必要があると認めるときは、埋蔵文化財を包蔵すると認められる土地の発掘を施行することができる。

2項

地方公共団体は、前項の発掘に関し、事業者に対し協力を求めることができる。

3項

文化庁長官は、地方公共団体に対し、第一項の発掘に関し必要な指導 及び助言をすることができる。

4項

国は、地方公共団体に対し、第一項の発掘に要する経費の一部を補助することができる。

1項

第九十八条第一項の規定による発掘により文化財を発見した場合において、文化庁長官は、当該文化財の所有者が判明しているときはこれを所有者に返還し、所有者が判明しないときは、遺失物法平成十八年法律第七十三号第四条第一項の規定にかかわらず、警察署長にその旨を通知することをもつて足りる。

2項

前項の規定は、前条第一項の規定による発掘により都道府県 又は地方自治法昭和二十二年法律第六十七号第二百五十二条の十九第一項の指定都市(以下「指定都市」という。)若しくは同法第二百五十二条の二十二第一項の中核市(以下「指定都市等」という。)の教育委員会が文化財を発見した場合における当該教育委員会について準用する。

3項

第一項前項において準用する場合を含む。)の通知を受けたときは、警察署長は、直ちに当該文化財につき遺失物法第七条第一項の規定による公告をしなければならない。

1項

遺失物法第四条第一項の規定により、埋蔵物として提出された物件が文化財と認められるときは、警察署長は、直ちに当該物件を当該物件の発見された土地を管轄する都道府県の教育委員会(当該土地が指定都市等の区域内に存する場合にあつては、当該指定都市等の教育委員会。次条において同じ。)に提出しなければならない。


ただし、所有者の判明している場合は、この限りでない。

1項

前条の規定により物件が提出されたときは、都道府県の教育委員会は、当該物件が文化財であるかどうかを鑑査しなければならない。

2項

都道府県の教育委員会は、前項の鑑査の結果当該物件を文化財と認めたときは、その旨を警察署長に通知し、文化財でないと認めたときは、当該物件を警察署長に差し戻さなければならない。

1項

第百条第一項に規定する文化財 又は同条第二項 若しくは前条第二項に規定する文化財の所有者から、警察署長に対し、その文化財の返還の請求があつたときは、文化庁長官 又は都道府県 若しくは指定都市等の教育委員会は、当該警察署長にこれを引き渡さなければならない。

1項

第百条第一項に規定する文化財 又は第百二条第二項に規定する文化財(国の機関 又は独立行政法人国立文化財機構が埋蔵文化財の調査のための土地の発掘により発見したものに限る)で、その所有者が判明しないものの所有権は、国庫に帰属する。


この場合においては、文化庁長官は、当該文化財の発見された土地の所有者にその旨を通知し、かつ、その価格の二分の一に相当する額の報償金を支給する。

2項

前項の場合には、第四十一条第二項から第四項までの規定を準用する。

1項

第百条第二項に規定する文化財 又は第百二条第二項に規定する文化財(前条第一項に規定するものを除く)で、その所有者が判明しないものの所有権は、当該文化財の発見された土地を管轄する都道府県に帰属する。


この場合においては、当該都道府県の教育委員会は、当該文化財の発見者 及びその発見された土地の所有者にその旨を通知し、かつ、その価格に相当する額の報償金を支給する。

2項

前項に規定する発見者と土地所有者とが異なるときは、前項の報償金は、折半して支給する。

3項

第一項の報償金の額は、当該都道府県の教育委員会が決定する。

4項

前項の規定による報償金の額については、第四十一条第三項の規定を準用する。

5項

前項において準用する第四十一条第三項の規定による訴えにおいては、都道府県を被告とする。

1項

政府は、第百四条第一項の規定により国庫に帰属した文化財の保存のため又はその効用から見て国が保有する必要がある場合を除いて、当該文化財の発見された土地の所有者に、その者が同条の規定により受けるべき報償金の額に相当するものの範囲内でこれを譲与することができる。

2項

前項の場合には、その譲与した文化財の価格に相当する金額は、第百四条に規定する報償金の額から控除するものとする。

3項

政府は、第百四条第一項の規定により国庫に帰属した文化財の保存のため又はその効用から見て国が保有する必要がある場合を除いて、独立行政法人国立文化財機構 又は当該文化財の発見された土地を管轄する地方公共団体に対し、その申請に基づき、当該文化財を譲与し、又は時価よりも低い対価で譲渡することができる。

1項

都道府県の教育委員会は、第百五条第一項の規定により当該都道府県に帰属した文化財の保存のため又はその効用から見て当該都道府県が保有する必要がある場合を除いて、当該文化財の発見者 又はその発見された土地の所有者に、その者が同条の規定により受けるべき報償金の額に相当するものの範囲内でこれを譲与することができる。

2項

前項の場合には、その譲与した文化財の価格に相当する金額は、第百五条に規定する報償金の額から控除するものとする。

1項

埋蔵文化財に関しては、この法律に特別の定めのある場合のほか、遺失物法の適用があるものとする。