刑事施設の長 又は少年院の長は、懲役 又は禁錮の刑の執行のため収容している者について、刑法第二十八条 又は少年法第五十八条第一項に規定する期間が経過したときは、その旨を地方委員会に通告しなければならない。
更生保護法
第二章 仮釈放等
第一節 仮釈放及び仮出場
刑事施設の長 又は少年院の長は、懲役 又は禁錮の刑の執行のため収容している者について、前条の期間が経過し、かつ、法務省令で定める基準に該当すると認めるときは、地方委員会に対し、仮釈放を許すべき旨の申出をしなければならない。
刑事施設の長は、拘留の刑の執行のため収容している者 又は労役場に留置している者について、法務省令で定める基準に該当すると認めるときは、地方委員会に対し、仮出場を許すべき旨の申出をしなければならない。
地方委員会は、前条の申出がない場合であっても、必要があると認めるときは、仮釈放 又は仮出場を許すか否かに関する審理を開始することができる。
地方委員会は、前項の規定により審理を開始するに当たっては、あらかじめ、審理の対象となるべき者が収容されている刑事施設(労役場に留置されている場合には、当該労役場が附置された刑事施設)の長 又は少年院の長の意見を聴かなければならない。
地方委員会は、前条第一項の規定により審理を開始するか否かを判断するため必要があると認めるときは、審理の対象となるべき者との面接、関係人に対する質問 その他の方法により、調査を行うことができる。
前項の調査を行うに当たっては、審理の対象となるべき者が収容されている刑事施設(労役場に留置されている場合には、当該労役場が附置された刑事施設)又は少年院の職員から参考となる事項について聴取し、及びこれらの者に面接への立会い その他の協力を求めることができる。
第十三条 及び第二十五条第二項の規定は、第一項の調査について準用する。
この場合において、
第十三条中
「、地方更生保護委員会 及び保護観察所の長」とあるのは、
「及び保護観察所の長」と
読み替えるものとする。
地方委員会は、仮釈放を許すか否かに関する審理においては、その構成員である委員をして、審理対象者と面接させなければならない。
ただし、その者の重い疾病 若しくは傷害により面接を行うことが困難であると認められるとき 又は法務省令で定める場合であって面接の必要がないと認められるときは、この限りでない。
地方委員会は、仮釈放を許すか否かに関する審理において必要があると認めるときは、審理対象者について、保護観察所の長に対し、事項を定めて、第八十二条第一項の規定による生活環境の調整を行うことを求めることができる。
前条第二項の規定は、仮釈放を許すか否かに関する審理における調査について準用する。
地方委員会は、仮釈放を許すか否かに関する審理を行うに当たり、法務省令で定めるところにより、審理対象者が刑を言い渡される理由となった犯罪に係る被害者等から、審理対象者の仮釈放、仮釈放中の保護観察 及び第八十二条第一項の規定による生活環境の調整に関する意見 並びに被害に関する心情(以下この条において「意見等」という。)を述べたい旨の申出があったときは、当該意見等を聴取するものとする。
ただし、当該被害に係る事件の性質、審理の状況 その他の事情を考慮して相当でないと認めるときは、この限りでない。
地方委員会は、前項の被害者等の居住地を管轄する保護観察所の長に対し、同項の申出の受理に関する事務 及び同項の規定による意見等の聴取を円滑に実施するための事務を嘱託することができる。
地方委員会は、第一項の規定により仮釈放中の保護観察に関する意見を聴取した場合において、同項の審理対象者について刑法第二十八条の規定による仮釈放を許す処分をしたときは、当該審理対象者の仮釈放中の保護観察をつかさどることとなる保護観察所の長に対し、当該意見 その他の仮釈放中の保護観察の実施に必要な事項を通知するものとする。
地方委員会は、第一項の規定により第八十二条第一項の規定による生活環境の調整に関する意見を聴取した場合において、必要があると認めるときは、第一項の審理対象者について同条第一項の規定による生活環境の調整を行う保護観察所の長に対し、当該意見 その他の同項の規定による生活環境の調整の実施に必要な事項を通知するものとする。
刑法第二十八条の規定による仮釈放を許す処分 及び同法第三十条の規定による仮出場を許す処分は、地方委員会の決定をもってするものとする。
地方委員会は、仮釈放 又は仮出場を許す処分をするに当たっては、釈放すべき日を定めなければならない。
地方委員会は、仮釈放を許す処分をするに当たっては、第五十一条第二項第五号の規定により宿泊すべき特定の場所を定める場合 その他特別の事情がある場合を除き、第八十二条第一項の規定による住居の調整の結果に基づき、仮釈放を許される者が居住すべき住居を特定するものとする。
地方委員会は、第一項の決定をした場合において、当該決定を受けた者について、その釈放までの間に、刑事施設の規律 及び秩序を害する行為をしたこと、予定されていた釈放後の住居、就業先 その他の生活環境に著しい変化が生じたこと その他その釈放が相当でないと認められる特別の事情が生じたと認めるときは、仮釈放 又は仮出場を許すか否かに関する審理を再開しなければならない。
この場合においては、当該決定は、その効力を失う。
第三十六条の規定は、前項の規定による審理の再開に係る判断について準用する。
仮釈放を許された者は、仮釈放の期間中、保護観察に付する。
第二節 少年院からの仮退院
地方委員会は、保護処分の執行のため少年院に収容されている者(第六十八条の五第一項に規定する収容中の特定保護観察処分少年を除く。第四十六条第一項において同じ。)について、少年院法(平成二十六年法律第五十八号)第十六条に規定する処遇の段階が最高段階に達し、仮に退院させることが改善更生のために相当であると認めるとき、その他仮に退院させることが改善更生のために特に必要であると認めるときは、決定をもって、仮退院を許すものとする。
第三十五条から第三十八条まで、第三十九条第二項から第五項まで 及び第四十条の規定は、少年院からの仮退院について準用する。
この場合において、
第三十五条第一項中
「前条」とあるのは
「少年院法第百三十五条」と、
第三十八条第一項中
「刑」とあるのは
「保護処分」と、
「犯罪」とあるのは
「犯罪 又は刑罰法令に触れる行為」と
読み替えるものとする。
第三節 収容中の者の不定期刑の終了
刑事施設の長 又は少年院の長は、不定期刑の執行のため収容している者について、その刑の短期が経過し、かつ、刑の執行を終了するのを相当と認めるときは、地方委員会に対し、刑の執行を受け終わったものとすべき旨の申出をしなければならない。
地方委員会は、前条に規定する者について、同条の申出があった場合において、刑の執行を終了するのを相当と認めるときは、決定をもって、刑の執行を受け終わったものとしなければならない。
地方委員会は、前項の決定をしたときは、速やかに、その対象とされた者が収容されている刑事施設の長 又は少年院の長に対し、その旨を書面で通知するとともに、当該決定を受けた者に対し、当該決定をした旨の証明書を交付しなければならない。
第一項の決定の対象とされた者の刑期は、前項の通知が刑事施設 又は少年院に到達した日に終了するものとする。
第三十七条の規定は、前条第一項の決定をするか否かに関する審理について準用する。
第四節 収容中の者の退院
地方委員会は、保護処分の執行のため少年院に収容されている者について、少年院の長の申出があった場合において、退院させてその保護処分を終了させるのを相当と認めるとき(二十三歳を超えて少年院に収容されている者については、少年院法第百三十九条第一項に規定する事由に該当しなくなったと認めるとき その他退院させてその保護処分を終了させるのを相当と認めるとき)は、決定をもって、これを許さなければならない。
地方委員会は、前項の決定をしたときは、当該決定を受けた者に対し、当該決定をした旨の証明書を交付しなければならない。
第三十七条の規定は、前条第一項の決定をするか否かに関する審理について準用する。
地方委員会は、第六十八条の五第一項に規定する収容中の特定保護観察処分少年について、少年院法第十六条に規定する処遇の段階が最高段階に達し、退院させて再び保護観察を実施することが改善更生のために相当であると認めるとき、その他退院させて再び保護観察を実施することが改善更生のために特に必要であると認めるときは、決定をもって、その退院を許すものとする。
第三十五条、第三十六条、第三十七条第二項 及び第三項、第三十八条 並びに第三十九条第二項から第五項までの規定は、前条の規定による少年院からの退院について準用する。
この場合において、
第三十五条第一項中
「前条」とあるのは
「少年院法第百三十六条の二」と、
第三十八条第一項中
「刑」とあるのは
「保護処分」と、
「犯罪」とあるのは
「犯罪 又は刑罰法令に触れる行為」と、
第三十九条第三項中
「ものとする」とあるのは
「ことができる」と
読み替えるものとする。