この章のいかなる規定も、文部科学大臣 及び都道府県知事に対し、宗教法人における信仰、規律、慣習等宗教上の事項についていかなる形においても調停し、若しくは干渉する権限を与え、又は宗教上の役職員の任免 その他の進退を勧告し、誘導し、若しくはこれに干渉する権限を与えるものと解釈してはならない。
特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律
第三章 宗教法人による財産の処分及び管理の特例
第一節 解釈規定
この章のいかなる規定も、宗教法人が公共の福祉に反した行為をした場合において他の法令の規定が適用されることを妨げるものと解釈してはならない。
第二節 指定宗教法人による財産の処分及び管理の特例
所轄庁は、対象宗教法人が次のいずれにも該当すると認めるときは、当該対象宗教法人を指定宗教法人として指定することができる。
前項の規定による指定宗教法人の指定(以下単に「指定宗教法人の指定」という。)をしようとする場合においては、所轄庁は、当該所轄庁が文部科学大臣であるときはあらかじめ宗教法人審議会に諮問してその意見を聴き、当該所轄庁が都道府県知事であるときはあらかじめ文部科学大臣を通じて宗教法人審議会の意見を聴かなければならない。
所轄庁は、指定宗教法人の指定をする場合には、その旨 及び当該指定宗教法人の名称、主たる事務所の所在地 その他の当該指定宗教法人を特定するために必要な事項を公示しなければならない。
指定宗教法人の指定は、前項の規定による公示によってその効力を生ずる。
所轄庁は、指定宗教法人の指定をしたときは、速やかに、その旨を当該指定宗教法人に通知しなければならない。
所轄庁は、公示された事項に変更があったときは、その旨を公示しなければならない。
所轄庁は、指定宗教法人について指定宗教法人の指定を受けるべき事由が消滅したと認めるときは、当該指定宗教法人の指定を解除しなければならない。
前条第三項 及び第五項の規定は、前項の場合に準用する。
指定宗教法人の指定は、次の各号のいずれかに該当するときは、その効力を失う。
当該指定宗教法人が解散したとき(第一号に該当するときを除く。)。
第七条第三項 及び第五項の規定は、前項の場合に準用する。
指定宗教法人は、宗教法人法第二十三条の規定による公告をするほか、不動産を処分し、又は担保に供しようとするときは、当該不動産の処分 又は担保としての提供の少なくとも一月前に、所轄庁に対し、その要旨を示してその旨を通知しなければならない。
所轄庁は、指定宗教法人から前項の規定による通知を受けたときは、速やかに当該通知に係る要旨を公告しなければならない。
宗教法人法第二十四条の規定は、第一項の規定に違反してした不動産の処分 又は担保としての提供について準用する。
指定宗教法人の指定があった場合における宗教法人法第二十五条の規定の適用については、
同条第一項中
「財産目録 及び収支計算書を」とあるのは
「当該会計年度の収支計算書を、毎会計年度の各四半期(会計年度の期間を三月ごとに区分した各期間をいう。第四項において同じ。)終了後二月以内に当該四半期の財産目録、収支計算書 及び貸借対照表をそれぞれ」と、
同条第二項第三号中
「貸借対照表を作成している場合には貸借対照表」とあるのは
「貸借対照表」と、
同条第四項中
「ならない」とあるのは
「ならず、また、同項の規定により当該宗教法人の事務所に備えられた同項第三号に掲げる書類が毎会計年度の各四半期終了ごとに作成されたものであるときは、その作成後十日以内にその写しを所轄庁に提出しなければならない」と、
同条第五項中
「前項」とあるのは
「前項(特定不法行為等に係る被害者の迅速かつ円滑な救済に資するための日本司法支援センターの業務の特例並びに宗教法人による財産の処分及び管理の特例に関する法律(令和五年法律第八十九号。以下「特定不法行為等被害者特例法」という。)第十一条第一項の規定により読み替えて適用する場合を含む。)」と
する。
前項の場合における宗教法人法第八十八条の規定の適用については、
同条第四号中
「第二十五条第一項 若しくは第二項」とあるのは
「特定不法行為等被害者特例法第十一条第一項の規定により読み替えて適用する第二十五条第一項 若しくは第二項」と、
同条第五号中
「第二十五条第四項」とあるのは
「特定不法行為等被害者特例法第十一条第一項の規定により読み替えて適用する第二十五条第四項」と
する。
第三節 特別指定宗教法人の財産目録等の閲覧の特例
所轄庁は、対象宗教法人が次の各号のいずれにも該当すると認めるときは、当該対象宗教法人を特別指定宗教法人として指定することができる。
第七条第一項各号のいずれにも該当すること。
前項の規定により対象宗教法人が特別指定宗教法人として指定されたときは、当該対象宗教法人(当該指定を受けた時において既に指定宗教法人の指定を受けているものを除く。)は、指定宗教法人の指定を受けたものとみなす。
第七条(第一項を除く。)及び第八条の規定は、第一項の場合に準用する。
この場合において、同項の規定により特別指定宗教法人として指定された対象宗教法人について、同項第二号に規定する事由が消滅したことを理由として特別指定宗教法人の指定が解除されたとき(当該対象宗教法人が同項第一号に規定する事由に引き続き該当するときに限る。)は、当該対象宗教法人は、当該解除がされた日に指定宗教法人の指定を受けたものとみなす。
指定宗教法人が特別指定宗教法人として指定された場合における当該指定宗教法人について、第八条第一項の規定により指定宗教法人の指定が解除されたとき 又は第九条第一項の規定により指定宗教法人の指定が効力を失ったときは、当該特別指定宗教法人は、第一項の規定による特別指定宗教法人の指定(以下単に「特別指定宗教法人の指定」という。)が解除されたものとみなす。
第七条第三項 及び第五項の規定は、第三項後段 及び前項の場合に準用する。
特定不法行為等に係る被害者は、宗教法人法第二十五条第三項の規定により同条第二項各号に掲げる書類 又は帳簿の閲覧を請求する場合のほか、当該特定不法行為等に係る対象宗教法人が特別指定宗教法人の指定を受けたときは、所轄庁に対し、当該対象宗教法人に係る次に掲げる書類の写しの閲覧を求めることができる。
第十一条第一項の規定により読み替えて適用する宗教法人法第二十五条第四項の規定により提出された同条第二項第三号に掲げる書類
宗教法人法第二十五条第四項の規定により特別指定宗教法人の指定前に提出された同条第二項第三号に掲げる書類(特別指定宗教法人の指定があった日の属する会計年度の前会計年度(同日が当該特別指定宗教法人の会計年度終了後四月以内の日である場合において、当該前会計年度に係る書類が提出されていないときにあっては、前々会計年度)に係るものに限る。)
前項の規定により閲覧をした特定不法行為等に係る被害者は、当該閲覧により知り得た事項を、当該特定不法行為等に関する自己の権利を実現する目的以外の目的のために利用し、又は第三者に提供してはならない。
第四節 補則
裁判所は、特定解散命令請求等があったとき(当該特定解散命令請求等が所轄庁により行われたものである場合を除く。)は、所轄庁に対し、その旨を通知しなければならない。
宗教法人審議会は、宗教法人法第七十一条第二項に規定する事項のほか、この章の規定によりその権限に属させられた事項を処理する。
宗教法人法第八十条第四項の規定は、指定宗教法人の指定 及び特別指定宗教法人の指定に係る聴聞について準用する。
この章の規定により都道府県が処理することとされている事務は、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二条第九項第一号に規定する第一号法定受託事務とする。
第五節 罰則
指定宗教法人の代表役員、その代務者 又は仮代表役員が、第十条第一項の規定による通知を怠り、又は虚偽の通知をしたときは、十万円以下の過料に処する。